駅の案内標識見直しへ 交通エコモ財団が手引書 [2009年02月23日(Mon)]
案内サインの見直し作業をするメンバー JRや私鉄の駅などには、様々な誘導・案内サイン(標識)がある。これを駅だけでなく駅前広場や隣接するショッピング施設にまで広げ、対象者も高齢者や障害者にとどまらず、外国人や観光客も配慮した分かりやすいデザインを考えることなどを盛り込んだ交通拠点の誘導・案内サイン計画の見直し作業を交通エコロジー・モビリティ財団(交通エコモ財団)が日本財団の支援で進めている。有識者や交通事業者、行政関係者らによる検討委員会(委員長、秋山哲男・首都大学東京大学院都市環境科学科教授)がサイン計画の手引を3月末にもまとめる予定で、新しい法体系にマッチした案内サインの指針が打ち出される。 |
秋山委員長や赤瀬達三委員(黎デザイン総合計画研究所代表取締役)によると、日本の案内サインは1964年の東京五輪で各種目の会場などに掲示されたのが始まりといわれ、この後の五輪でも各国が採用した。1970年の大阪万博の際には、グラフィックデザイナーの福田繁雄さん(1月11日に死去)が絵文字(ピクトグラム)を使った迷子標識や公式ポスターを制作し、内外から高く評価された。一方、交通については、米国運輸省が採用したものが各国の鉄道のガイドラインに取り込まれ、普及したという。(写真:駅のホームに設置されたエレベータのサイン)
日本の駅の案内サインは、国土交通省による旅客施設のガイドラインと日本財団が支援し、エコモ財団が作成した「サインシステムガイドブック」(1998年3月)などを基に、統一したデザインで掲示されてきた。その後、交通バリアフリー法(2000年)、同新法(06年)の施行で、駅周辺まで範囲を拡大し、ユニバーサルデザイン(文化・言語・国籍の違いや老若男女・障害の有無にかかわらずだれでも利用することができるデザイン)に配慮した案内サインの整備が求められており、手引では高齢者や障害者が移動しやすいよう駅出入り口とホーム間の主動線を明確に示し、運行情報の表示、音声案内も提供されることにした。(写真:真ん中が秋山委員長、右端が赤瀬委員) また、高齢者や視覚障害者(色覚障害者)に配慮し文字の大きさ、掲示の高さに留意し、色彩を使って分かりやすくすることも打ち出している。この案内サインは全国的に統一されたものを目指すが、利用者の多い駅と少ない駅とを同一にするのは効果的でないとして「大規模駅」「中規模駅」「小規模駅」の3つのモデルを作成する。まとまった手引は、国土交通省のガイドラインとして利用するよう働きかけるほか、冊子は書店などを通じて交通問題を専攻している学生や交通・デザイン関係者にも読んでもらう予定だ。秋山委員長は「案内サインの分野で日本は先進国といえる。今回は車でいえばマイナーチェンジだが、外国人観光客を増やそうという動きや障害者にもさらに分かりやすくしようという考え方を取り込んだものになる」と話している。(写真:JR駅構内のサイン)(石井克則) |