福祉、水問題テーマに対談 笹川会長、嘉田滋賀県知事 [2009年02月19日(Thu)]
対談に先立ち談笑する笹川会長と嘉田知事 日本財団の笹川陽平会長と滋賀県の嘉田由紀子知事が2月2日、京都新聞社の黒田清喜・滋賀本社代表の司会で対談。その詳細が2月16日付の京都新聞朝刊に掲載された。この中で笹川会長は弱者に対する思いやり、嘉田知事は相互扶助が生きる地域社会の重要性を強調した。 |
対談は障害者の作品を中心に展示する滋賀県近江八幡市の「ボーダレス・アートミュージアムNO−MA」を2人で見学した後、近くのホテルで約1時間半、行われた。テーマは「福祉」と「水」。まず福祉の在り方について笹川会長は、郊外型の老人ホームや障害者施設の建設が進められた結果、街中が健常者中心の世界となり、弱者に対する若者の思いやりが失われる結果になっていると指摘、障害者や老人を戻す街づくりの必要性を強調した。
これに対し嘉田知事は「日本はもともと住民が相互に助け合い、生きていく社会だった。それが都市化の進行の中で崩壊し、行政が福祉を担うようになった」とした上で、行政として暮らしの再生、相互扶助が生きる地域社会の確立を目指す考えを示した。さらにボーダレスアートに関しても「子供たちが素晴らしい作品を作り出している。芸術が持つ根源的な力がある」とその可能性を高く評価、障害者と健常者がともに生きる社会の実現に向け意欲を語った。(写真:京都新聞紙面に掲載された対談記事) さらに琵琶湖の水問題に関し、笹川会長は「今世紀の世界が抱える最大の課題は水問題」との認識を披露。琵琶湖研究の専門家でもある嘉田知事は湖底で進む低酸素現象について温暖化の影響の可能性を指摘した上で「琵琶湖から温暖化対策を世界に発信したい」と語り、笹川会長は「水に守られてきた滋賀県民が今度は琵琶湖を守る側に立って先進的な活動をしていただきたい」と期待を述べた。(宮崎 正) |