「海」を教えるリーダー養成 米国生れのMAREを活用 [2008年12月02日(Tue)]
「サメの絵を描こう」と、さまざまなサメが・・・ 沖縄に本部を置くNPO法人・海の自然史研究所が、「海」を学ぶ教育プログラムの普及に精力的に取り組んでいる。鹿児島、宮城、愛知、東京など全国を駆け回り、子どもたちの体験学習会やリーダー養成講座を開催しているのだ。そこで使われているのは、米国で開発された海を学ぶための体験型教育カリキュラムMARE(Marine Activities,Resources and Education)。東京・赤坂の日本財団で開催されたリーダー養成のためのワークショップを覗いてみた。 |
MAREは米国カリフォルニア大学バークレー校の研究機関で開発された教育カリキュラムで、幼稚園児から中学2年生程度までが対象。海や海洋生物、環境問題などの科学的知識が年齢別に楽しく理解され、身に付くよう考え抜かれている。高度な専門知識と教育指導理論に基づいて設計されているものの、そのテキストに基づいて教える側には特別な専門知識は要求されず、指導のための方法もパッケージされているが特徴だ。(写真:ウエットスーツでスノーケリングを体験)
「海の自然史研究所」はこのMAREを日本に普及させることにより、多くの子どもたちに「海を学ぶ」機会を提供しようと活動している。MAREの教師用ガイドブックを日本語に翻訳することと、日本の海洋環境や教育事情にあわせて内容の改訂を行うことをカリフォルニア大学から認められ、「ジャパンMAREセンター」を設立して体験教室などを開催している。 「リーダー養成講座」は、各地域でのMARE普及リーダーを増やして行くためのワークショップで、11月の連休を利用して開かれた東京会場には、秋田や宮城、それに名古屋や島根などからやって来た10人が参加した。自治体の海洋センターや水族館の職員、子どもたちの野外活動ボランティアをしている女性ら「海のことをより分かりやすく教える方法を勉強したくて」という人たちだ。(写真:MAREリーダーを目指すワークショップ) 「サメとの遭遇」「赤い魚を探せ」など、2日間で4項目のプログラムを、子どもたちの立場になって指導方法を体得した。例えば小学校6年生程度が対象のサメのワークショップでは、サメの絵を描いたりサメに関する印象やその特性について、グループに分かれて話し合い、それぞれの考えを整理して行く。その設問や手順がMAREで考え抜かれた仕掛けで、参加者は子どもたちの考えを引き出して行く効果があることを実感していた。 「海の自然史研究所」の藤田喜久代表理事は「MAREは子どもたちが考え、意見を発表して行けるよう、優れた工夫があります。こうした養成講座からどんどんリーダーが生まれ、日本中で海を学ぶ機会が増えて行ってほしいものです」と語っている。参加者たちは、それぞれのホームグランドに戻り、学んだカリキュラムを早く子どもたちに教えたいと張り切っていた。MAREリーダー養成講座は、年明け1月には名古屋(11、12日)と東京(24、25日)でも開催される。(写真:「海の自然史研究所」の教育事業だ(左は藤田代表理事)) |