視覚障害者にマッサージ講習 カンボジアで筑波技術大 [2008年01月24日(Thu)]
マッサージの講習光景 カンボジアの視覚障害者マッサージ師の技術向上を目的に、筑波技術大学(茨城県つくば市)は、昨年末日本財団の支援で首都・プノンペンに講師を派遣、カンボジア盲人協会の協力で講習会を開いた。同大は、2007年3月にカンボジアとラオスで同様の講習をしており、カンボジアは今回が2回目。東南アジアでは視覚障害者の就学、就労の機会は少なく、この講習会は視覚障害者の自立支援の側面もあり、ことし2月―3月にはモンゴル、ベトナム、ラオス各国でも短期の講習を実施するという。 今回の講習はプノンペンのカンボジア盲人協会の建物を使い、07年12月25日−27日までの3日間にわたり実施された。指導に当たったのは筑波技術大の形井秀一教授ら2人と公立盲学校の講師2人の計4人で、カンボジア国内から集まった視覚障害者マッサージ師10人(男7人、女3人)が受講した。講師陣には視覚障害者も含まれ、通訳を通じて熱心な指導が行われた。(写真:講習に参加した視覚障害者) 講習は実技が中心で、医療マッサージの知識や技術に関する講義もあった。参加者は経験が4年以上で、一番長い人で12年のマッサージ歴がある。形井教授ら講師によると、カンボジアのマッサージは、受ける人が痛いと思うほど力を加える印象があり、講師たちは柔軟性を持って適切なマッサージをするよう指導していた。受講者の評価も高く、マッサージという仕事に自信を得た様子がうかがえた。(写真:講義で手を挙げる受講者たち) カンボジアでは14万人前後の視覚障害者がいるといわれるが、教育事情は極端に悪く、高校を卒業した視覚障害者は数人しかいないという。就労の場も少なく、経済的な自立も困難だ。このため、マッサージの技術を生かして生計を立てようという希望者は多い。現在、視覚障害者が経営するマッサージ店が全土に10店舗あり、70人以上の視覚障害者が働いているという。今回の受講者は将来カンボジアのマッサージの指導者として成長することが期待されており、アシスタントとして参加したカンボジアの視覚障害者マッサージ指導者も、カンボジアのマッサージのレベルが上がることに感謝していた。(写真:熱心に実技指導を受ける受講者) 筑波技術大学は、わが国では唯一の聴覚・視覚障害者を対象にした国立大学。2005年10月1日付で筑波技術短期大学から4年制大学になった。各学部の学生やスタッフ支援のための「障害者高等教育研究支援センター」も置かれている。 |