マラッカ・シンガポール海峡で浮体式灯標破壊される [2007年08月03日(Fri)]
マラッカ・シンガポール海峡は、世界で最も通航する船舶が多い海峡である。その数は、年間9万隻を越え、日本、中国をはじめとしたアジア各国の経済を支える大動脈となっている。この海峡には、航行の安全を守るため50ヶ所以上の灯台、灯標、灯浮標などの航路標識が設置されている。この内、30ヶ所(45基)は、日本財団の資金により、マラッカ海峡協議会が設置したものだ。
さる8月1日(水)未明、マラッカ・シンガポール海峡内のフィリップチャンネルに設置しているタコン浮体式灯標(TAKONG RLB、北緯1度5分、東経103度43分・インドネシア領海)が消失していることが判明した。フィリップチャンネルは、浅瀬と岩礁が点在し航行の難所として恐れられている海域である。タコン浮体式灯標は暗礁を回避するための変針点として、重要な役割を果たしている。(左上:タコン浮体式灯標) 消失していた同灯標の一部は、約20km離れたシンガポール沖で、シンガポール海事港湾庁(MPA)により発見され回収された。灯標の破壊されている情況から大型船が衝突し、10数キロにわたり引きずったものと考えられている。現在、同地点には、標識が設置されていないため、関係当局により航行警報が発令されていますが、極めて危険な情況にある。(右:発見されたタコン浮体式灯標) 日本財団では、世界的な重要航路であるマラッカ・シンガポール海峡の安全を確保するために、緊急措置として仮設小型浮体式灯標の設置を行う予定だ。この工費は、約5千500万円が見込まれている。この仮設灯標を正式のものに置き換える場合には、日本財団は、企業の社会的責任の観点から、マ・シ海峡を利用する船社などの民間事業者が自主的に資金拠出をするか、現在、沿岸国や利用国の間で設置が議論されている「航行安全に関わる基金(The Aids to Navigation Fund) 」により対応することを求めている。 |