半年遅れで日本語知識大会 過去最多の60大学が参加 [2013年05月28日(Tue)]
挨拶する伊副学長(左)と大島会長 日中関係の冷え込みで延期されていた「笹川杯日本知識クイズ大会」が「笹川杯全国大学日本語言語文化知識大会」に名称を変え5月18、19両日、北京の中国人民大学で開催された。同大と日本科学協会の主催で、大会には過去最多の60大学が参加。冒頭、挨拶に立った伊志宏・中国人民大学副学長は大会の狙いを「中国の学生の日本に対する認識を深め、中日両国の友好を促そうということです」と説明、大島美恵子・日本科学協会会長も「今回ほど大会開催の意義の深さと責任の重さを痛感したことはない」と再開までの道のりを振り返った。 |
熱気がこもった団体戦決勝戦 事業は日中関係の将来を担う人材の育成を目標に2004年に始まり今回で9回目。尖閣諸島問題などで昨年10月開催の予定が延期されていた。名称変更など学術交流の色彩を強めることで再開にこぎつけ、13省4直轄市から過去最大の35大学を大きく上回る60大学が参加した。 東華大学に優勝トロフィー 1チーム3人の団体戦と個人戦とが行われ、予選上位の9チームと9人が決勝に進出。学生の司会で「日本の当用漢字数はいくつ」、「古事記伝の作者は」といった問いに4択の回答から正解を選ぶ形で争い、団体戦は上海市の東華大学、個人戦は中国人民大学の譚宏さんがそれぞれ優勝した。 中国の大学で日本語や日本文化を学ぶ学生は約68万人。日本科学協会では1999年から中国の大学に対する日本図書の寄贈事業にも取り組み、既に計35大学に300万冊の書籍が贈られているほか、中国青年報社、人民中国雑誌社などと協力して作文コンクールなども進めている。日本語言語文化知識大会はこうした事業の一環で、7月には日本科学協会の招聘で団体戦上位3校と個人戦上位6人の学生や教師が日本を訪問、日本人学生らと交流を行う予定。 参加者全員で記念撮影 大会は白いTシャツ姿の中国人民大学生が進行・運営を全面的に担当。「風になる」を日本語で披露し大会を盛り上げたほか、17日に事業の継続に向けた調印式が人民大会堂で行われたばかりの日中笹川医学協力プロジェクトの奨学生OB組織「同学会」メンバー3人も団体戦に友情出演した。 事業を支援する日本財団の尾形武寿理事長は閉会の挨拶で「中国全土で日本語を学ぶ学生が日本語を勉強して良かったと思うような日中関係を作るのがわれわれの役目」と語り掛け、女子学生の一人は「日本との関係について中国の学生にもいろんな意見がある。反日だけがすべてではないし、多くの学生は友好を望んでいることを日本の皆さんも知ってほしい」と語った。(宮崎正) |