日系人老人ホームを増設 ペルーで起工式 [2013年05月10日(Fri)]
![]() 式典会場、この庭に寝室棟が増設される 日系ペルー人2世の加藤正美神父が1981年設立したNPO団体「エンマヌエル協会」の日系人老人ホームに寝室棟が増設されることになり、4月22日、起工式が行われた。併設の診療所にも超音波診断装置(エコー)や内視鏡など新しい機器が配備され、支援する日本財団の尾形武寿理事長は「苦難を乗り越え、一生懸命頑張ってこられた人たちの快適な終の棲家となるよう願っています」とあいさつした。 |
![]() ケイコ・フジモリ氏も出席 エンマヌエル協会は首都リマから車で1時間のベンタニーヤ地区に設立された。低所得者層の多いこの地区の貧しい人々、特に身寄りのない子どもたちの養護施設からスタートし、1990年からは地域の医療支援を目的に診療活動も開始、2005年には内科・精神科・歯科・眼科・産婦人科などを備えた診療所を建設した。さらに日本からの移民開始100年に当たる2000年には、身寄りのない日系1世のお年寄りが老後を過ごす老人ホームが併設され、日本財団も職員宿舎や事務所の整備を支援した。 ![]() あいさつする尾形理事長 日系人老人ホームには現在、開設当初の見込みを上回る48人が入居しているが、ここ数年、ペルー日系人の高齢化が一段と進み、施設の拡張が求められていた。寝室棟が完成すると、新たに30人の高齢者の受け入れが可能となる。また診療所では1日約400人の患者を他の病院の半額程度の診療代で診察しているが、医療機器の老朽化が目立ち、新たな機器を備えることで診療体制を強化することになった。 ![]() 老人ホーム入居者も式典に参加した 起工式にはエンマヌエル協会、ペルー日系人協会関係者のほか、日本大使館、JICAペルー事務所の代表者、老人ホーム入居者やヘルパーら約70人が参加。来賓として出席したフェルサ2011党首、ケイコ・フジモリ氏は、「日本財団には30年以上前から小学校建設など日系人社会だけでなく、ペルーの国民全体に支援をいただき、感謝している」と述べた。 また診療所の機器強化に関しても診療所の副部長で日系スカラーシップの3期生でもある岸本グスタボ医師が「今回の支援でハイテク機器が充実し、よりよい医療サービスを提供することができる」と喜びの言葉を述べた。 これに対し尾形理事長は「ペルー日系人は結束が固く、互いに助け合っている。日本社会はそうした精神を失いかけており、ペルーに来ると家族のもとに帰ってきた気がする」とペルー日系人社会の結束の固さを讃えた。(田中麻里) |
