初の日本体験!中央アジアの5人 JATCAFAの留学生研修旅行 [2012年07月24日(Tue)]
![]() 訪問先の福山市・常石造船で記念撮影 トルコに留学する中央アジアの学生を支援する「日本・トルコ・中央アジア友好協会」(JATCAFA、本部・イスタンブール)の日本研修旅行が7月2〜6日の日程で行われ、イスタンブールとアンカラの大学の修士課程で学ぶJATCAFA奨学生5人が参加、初の日本を体験した。いずれもJATCAFAへの貢献度が高く成績も優秀で、約50人のJATCAFA奨学生の中から選ばれた。日本への関心も高く、将来、日本財団が中央アジアで事業展開した際の有力なパートナーとなると期待されている。 5人の出身国はアゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタン各1人とキルギス2人。来日中、東京・広島・京都を回り、盲導犬協会神奈川訓練センターやアール・ブリュット作品を展示する「鞆の津ミュージアム」(広島県福山市)、視覚障害者の総合福祉施設「京都ライトハウス」など日本財団の支援施設を訪問、交流を深めたほか、平和島ボートレース場や広島平和記念公園、自動車工場、造船所なども見学、内容の濃い日本研修となった。 |
![]() 「障害」について発表するカザフスタン出身のアイジャン・ウセノヴァさん 研修旅行は、JATCAFA奨学生に日本の社会・経済・歴史・文化、さらに日本財団の活動を学んでもらうのが目的。6回目となる今回の研修旅行では初の試みとして、5人がそれぞれ「障害」や「自動車産業」、「造船業」など訪問施設に関連するテーマを事前に調べ研修を充実させることになり、研修初日に日本財団ビルで“成果”を発表した。 ![]() 盲導犬協会ではアイマスクをして体験歩行も 事前学習の成果もあり、一行は訪問・見学先でも活発に意見交換。特に日本財団が支援する施設では、トルコや自国の障害者支援の現状と日本の障害者サポートシステムの違いに関する質問が多く出された。京都ライトハウスでは「アゼルバイジャン、カザフスタンでは視覚障害者への政府支援はほとんどない。日本はどうか」、「日本には障害者雇用を義務付ける法律はあるのか」、「障害者施設同士のネットワークは構築されているのか」といった質問が出され、ライトハウスの関係者から「よく勉強されていますね」と感心する声も出た。 ![]() ![]() 京都ライトハウスの職員の説明を聞く奨学生(左)、鞆の津アートミュージアムも見学 また「宮崎アニメ」の大ファンというトルクメニスタン出身のイリアス・ゼバリーさんは今回の研修旅行について、「本やTV、インターネットで日本のことは知っていたが実際に日本に来て、普通の観光では外国人が回らないようなところ訪問・見学できた。よりリアルな日本を体験できて、ますます日本が好きになった」と笑顔を見せた。医学生として「視覚障害」について事前学習してきたアゼルバイジャン出身のニジャット・アリシェブさんは「日本の福祉施設や社会システムがとても参考になった。この研修で学んだことを自国に戻って生かしたい」と力強く語った。 ![]() 初めての日本、初めてのしゃぶしゃぶ! 中央アジア諸国は旧ソ連時代に産業経済が地域ごとに分業化されていた影響もあって、独立後、国としての経済・社会基盤が弱い状態が続いている。各国の将来を担う学生のトルコ留学に当たっても、留学生の多くは学費・生活費の確保に苦労しており、日本財団は、このような学生たちが安心して就学できる環境を作るため2006年度から、イスタンブールとアンカラの大学に通う留学生を対象にJATCAFAを通じて奨学金を支給、これまでに延べ961人がこの制度で学んでいる。(田中麻里) |
