被災神社の“鎮守の森”復活 30の神社の植樹を計画 [2012年07月03日(Tue)]
ステージで植樹を指導する宮脇教授 八重垣神社は大津波の直撃を受け、本殿や境内を囲んでいた森が数本の松を残し跡形もなく流失した。この日は冒頭、日本財団の尾形武寿理事長が「鎮守の森が育つように、この村も育つのだと思う。皆様の手で、子孫が自慢できる森を作りましょう」と挨拶、神社本庁の田中恆清(つねきよ)総長も「この森を中心に、地域の文化が発展することを願います」と述べた。 「大きく育てよ」、苗に声を掛けながら植樹 次いで植樹を指導する国際生態学センター長の宮脇昭・横浜国大名誉教授が「亡くなった方の鎮魂の森、生き残った人の希望の森を作るため、手抜きをせず100%の力で植樹してほしい」、「植える樹木の名前を是非、覚えてほしい」と登壇者やゲストにポット苗を手渡し、全員で声を揃えて木の名前を読み上げた。 苗を植えた後、仮本殿に参拝 植樹は例祭の舞台となる神社の森を復活させることで地域の結束を高めるのが目的。参加者は10を超えるチームに分かれ、それぞれの分担場所に移動。植樹リーダーの指導とアドバイスを受けながらシイやカシなど21種類約3,300のポット苗を植えた。宮脇教授によると、5〜6年で立派な鎮守の森が完成するという。 およそ一時間で苗を植え終え、女性宮司の藤波祥子さんは「本当にありがたいこと。神様のお陰げです」と言葉を詰まらせ、神社から少し離れた仮設住宅に住む女性は「すぐそこに住んでたんだ。今日は来てよがったわ〜、楽しいなぁ。時々水まきにくっから」と笑顔を見せた。「疲れだのなんだのはないわぁ、汗かいてほら、こういうのが大事なんだなぁ」など元気な声も多く、「はい、亘理!(山元町は亘理郡にある)」の掛け声で記念撮影した班も。 日本財団は2009年から宮脇教授の協力で、その土地本来の植生を活用した災害に強い鎮守の森や学校防災林づくりを進め、昨年度末までに計17回の植樹祭を開催している。(宇田川貴康) 動画:宮城県山元町の八重垣神社で開催された植樹祭(2分27秒)
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