大災害に挑んだ1年間 日本財団が東日本大震災の記録を刊行 [2012年06月27日(Wed)]
被災された方やボランティア、多くの方々から寄せられた声に耳を傾けて… 日本財団は2011年3月11日の東日本大震災に対し、「ROAD PROJECT」を立ち上げ、組織を挙げて支援活動を続けている。被災地が復旧から復興へと動きつつある中で、これまでの支援の在り方を振り返った「東日本大震災1年間の活動記録」をまとめ、公表した。昨年10月に刊行した「6カ月の記録」に続くもので、日本財団が未曽有の大災害にどのように取り組んだかを検証している。 |
足湯サービスで心も体も温まる 記録はA4判、128頁、カラー版。主な活動を@「自主企画・共同事業」、A「NPO・ボランティア団体への緊急活動助成」、B「弔慰金・見舞金の緊急配付」、C「企業からの支援」―の4つの章に分けて紹介している。1章では、大学生ボランティアの派遣や被災小型船再生プロジェクト、臨時FM放送局支援プロジェクト、地域伝統芸能復興基金など16の事業の活動を報告。被災地で支援活動をしたNPO・ボランティア団体に100万円を上限とする緊急助成を実施したが、2章ではこの助成を受けた651団体(695事業)を対象に「緊急助成」の在り方について13項目のアンケート調査を行い、その結果(536団体=82%から回答)を掲載した。このうち「計画した支援活動を予定通り実施できたか」という問いに対し、大半の団体が「予定通りかそれ以上にできた」という回答を寄せた。一部からは「個人情報保護が壁になった」「現地の団体や大手支援団体との活動のバッテングがあり、うまくいかなかった」という答えもあった。 多くのボランティアに支えられた復興支援活動 3章では、弔慰金・見舞金の緊急配付活動のほか日本財団に届いた被災者からの声の一部を紹介。ある女性からは「今回の大津波で母を失いましたが、翌日の午前中に発見され、火葬と葬儀を執り行うことができたことは幸いでした。母を失って3カ月が経ち、いまだに受け入れないでおりますが、このように手を差しのべてくれる方々がおられることが心に深くしみております。このお見舞い金は今後の母の供養に充てさせていただきます。本当にありがとうございました」という感謝の手紙が寄せられた。企業のCSR活動に対する注目度が高まる中で今回の大震災は、内外の民間企業からの支援が目立ったのも特徴で、4章でその実情を紹介した。 地域に寄り添った情報を届ける臨時災害FM放送局 この後の「まとめ」では、笹川陽平日本財団会長、一般財団法人ダイバーシティ研究所代表理事・復興庁上席政策調査官の田村太郎氏、輪転機が使えず記者たちが新聞ロール紙に油性ペンで記事を書き市内の壁に張った石巻日日新聞報道部長の平井美智子さんによる「被災地に必要なのは希望の光」という鼎談を行い、被災地復興に対する思いを語ってもらった。巻末には資料編として緊急支援先団体一覧、支援物資一覧、弔慰金・見舞金の配付内訳などを載せている。(石井克則) 記録集の問い合わせは 日本財団公益・ボランティア支援グループ東日本大震災復興支援チーム 電話03(6229)5333 記録集のダウンロードはこちらから http://www.nippon-foundation.or.jp/org/news/2012062501k.html |