改革はわれわれ自身の希望 ミャンマー与党の総書記来日 [2012年06月25日(Mon)]
来日した議員団 ミャンマーの与党・連邦団結発展党(USDP)のテー・ウー総書記ら同連邦議会の下院議員5人が笹川平和財団、日本ミャンマー協会などの招きで来日、6月14日、東京都内のホテルで歓迎レセプションが行われた。日本政府からミャンマー少数民族福祉向上大使の委嘱を受けたばかりの笹川陽平・日本財団会長は「政治、経済レベルにとどまらず国民レベルの交流を進めたい」と歓迎の挨拶を述べ、ウー総書記も「改革はわれわれ自身の希望。今後も全力を尽くす」と力強く語った。 |
テー・ウー総書記(左)と談笑する笹川会長 来日したのはウー総書記を団長とする与党議員3人と野党議員2人。総書記は国軍出身で農業相なども務めUSDPのトップの地位にある。レセプションに先立ち野田佳彦首相や玄葉光一郎外相らを表敬訪問し、テイン・セイン大統領の下、引き続き改革を進める方針などを伝えた。 多数の関係者で盛会の会場 改革が進む中、遅れが目立った日本企業の進出も活発化し、レセプション会場にも多数の政財界関係者が姿を見せた。笹川会長も「ようやく両国の正常な関係がスタートした」とした上で、「日本がミャンマーの発展に最大限の努力をする情熱を持っていることを知ってほしい」と語り掛け、日本ミャンマー協会の渡辺秀央会長も「両国の潤滑油となるよう頑張る」と挨拶。ウー総書記は「日本とミャンマーの友好関係は本物。さらなる改革に向け努力することを約束する」と答えた。 一行は奈良、京都を回り17日に帰国した。16日奈良公園で 日本・ミャンマー議員連盟のメンバーである民主党の仙谷由人政策調査会長代行も姿を見せ「途上国に原理的な民主主義を押し付けた場合、どうなるか、北アフリカや中東である程度の回答が出ている」としながらも、「民主化なくして経済発展はない」、「ミャンマーにはあらゆる可能性がある」とエールを送った。 ミャンマーは人口の約7割を占めるビルマ族のほか100を超える少数民族が住む多民族国家。焦点となる少数民族との和解についてメンバーの一人テン・マウン・ウィン議員に質問すると「今も武器を捨てない勢力もある。平和な日本では想像しにくいかもしれないが、和解交渉が成立しない限り、その地域の開発は前に進まない」と語った。 ミャンマーでは日本財団が山岳地域での学校建設や伝統医薬品の普及、地雷被害者に対する義肢義足支援などの事業を進めているほか、笹川平和財団が2014年にASEAN(東南アジア諸国連合)の議長国に就任するこの国の事務局機能の強化に向け、外交文書の作成や通訳など人材育成を支援している。(宮崎正) |