「退所後も引き続きケアを」 児童養護施設OB調査で [2011年09月26日(Mon)]
![]() 発表した桑名教授 児童養護施設で生活した人の多くが施設入所時代の学校生活でいじめや差別、施設児童であることの劣等感に直面した経験を持ち、卒後も引き続き施設からの連絡・訪問など自立に向けたケアを求めているー。宮城、岩手、山形、福島4県の計14養護施設を退所した成人を対象に行われた調査でこんな結果が出た。研究代表者の桑名佳代子・宮城大看護学部教授は「児童福祉法は退所者に対する相談など自立に向けた援助を目的のひとつとしており、この趣旨が再確認される必要がある」と指摘している。 |
![]() 研究会会場 調査は2008年度末までに施設を退所し、昨年10月の調査時点で20歳以上の172人に調査票を送り、男性33人、女性56人から回答を得た。児童養護施設における生活体験や人間関係がその後の生活に及ぼしている影響を調べ、今後の支援強化に役立てるのが狙い。9月10日、「こどもの夢ネットワーク」と仙台市児童養護施設研究会が日本財団の助成で共催した研修会「育ちゆく子どもに学ぶ」で桑名教授が発表した。 ![]() 4つの分散会に別れ討論も 回答者のうち78人は20、30歳代。失業中の一人と専業主婦の12人を除くと全員、職を持っており、主な職種は飲食店・宿泊業21人、製造業16人、医療・福祉関係10人。52人は転職経験があり、現在の職業に対し7割、給与に関しては半数強が「満足」「まあまあ満足」と答えている。 ![]() 会場となった宮城大大和キャンパス 養護施設入所時代の学校生活の悩みに関しては18人が「服装などの制限」を指摘したほか、12人は「いじめ」、8人が「偏見・差別」、7人は「施設児童であることに対する抵抗感・劣等感」を挙げ、退所後も養護施設に対し32人が「卒後も施設から連絡や訪問があるようにし、相談できるようにしてほしい」、12人は「社会生活や一般常識を教えてほしい」(複数回答)などの要望を寄せた。 同種の調査は少なく、調査項目も広範にわたるが、里親制度を肯定的に受け止める回答結果なども出ており、報告書は今後の課題として養護施設による退所後の自立支援や児童養護施設と児童相談所、里親の連携強化などを指摘している。 また研修会では東日本大震災の被災児童に関する報告も行われた。これによるとは宮城県内で震災により両親を亡くした孤児は122人、片親を亡くした遺児は711人に上っている。報告した山崎剛・宮城県中央児童相談所長によると、孤児のうち120人は親戚等が保護、2人は児童福祉施設に入所しているほか、孤児を保護している親戚のうち47世帯が既に里親登録を済ませており、児童相談所職員が毎月1回訪問、養育者へのアドバイスなど支援を進めるという。(宮崎正) |













