史上最高値の12億円余で落札 被災地の祭り・伝統芸能復活資金に [2011年06月22日(Wed)]
![]() 史上最高値で落札されたレディ・ブラント(Photo by S.Yokoyama) 東日本大震災の復興支援に向けロンドンのオンラインオークションに出された日本音楽財団所有のストラディバリウス製バイオリン「レディ・ブラント」が史上最高値の1589万ドル(12億7342万円)で落札され、全額、日本財団の「東日本大震災支援基金」に寄付されることになった。これを受け日本財団では新たに「伝統芸能復興基金」を立ち上げ、大震災で大きな打撃を受けた東北地方の祭りや伝統芸能の再生に取り組む。6月21日、記者会見した笹川陽平・日本財団会長は「祭りや伝統芸能を通じて少しでも被災地の人々に元気を取り戻してほしい」と語った。 |
![]() 会見する笹川会長 レディ・ブラントは1721年製で、一時期、英国の詩人・バイロンの孫娘のレディ・アン・ブラントが所有したことからこの名で呼ばれる。ほとんど未使用で現存する約600挺のストラディバリウス製バイオリンの中でも最も保存状態がよく、6月6日、弦楽器専門の楽器商「タリシオ」によりロンドンでオークションの受け付けが始まって以降、世界のコレクターから大きな注目は集まっていた。 オークション最終日の6月20日、締め切った結果、1589万4千ドルで落札された。タリシオによると過去に取引されたストラディバリウス製バイオリンの最高価格のほぼ4倍で、タリシオでは落札者の名前を明らかにしていない。 ![]() レディ・ブラントは英国の博物館に展示された(左から二つ目。タリシオWebより) 今回の落札についてタリシオのプライス・ディレクターは「歴史の残るオークションで一生に一度の売却に携わることができ光栄に思う」と語り、日本音楽財団関係者も「被災地支援に貢献することができホッとしている」と語っている。 売却金は一部手数料を引いた上、近く、東日本大震災支援基金に振り込まれる。東北地方は祭りを中心に民族芸能、伝統芸能の宝庫。今回の大震災では岩手県陸前高田市で900年前から続く「気仙町けんか七夕まつり」や同大船渡市の浦浜念仏剣舞獅子踊り、宮城県石巻市の山伏神楽など伝統芸能が山車や衣装・楽器などが大きな被害を受けており、日本財団では伝統芸能復興基金を立ち上げるとともに被害の全容把握を急ぐ考えだ。(了) |
