石巻で淡水化装置使い造水作業 1日100トン生活用水 [2011年03月22日(Tue)]
![]() トラック2台を使って設置された大型浄水器 宮城県石巻市の被災地の水不足を解消するため日本財団は22日、東京都国分寺市の浄水プラントメーカー「戸倉工業」から車積載型の淡水化処理装置(約8千万円)の提供を受け河川水の浄化による造水を開始、23日にも給水を開始する。1日当たりの造水能力は100トン。当面、洗濯やトイレなど生活用水として活用するが、市水道局の検査で問題がなければ飲料水としても利用する予定。1人当たりの1日使用量を2リットルとすると、5万人分の飲料水の提供が可能となる。 |
![]() 破壊された石巻市の被災地 装置は21日朝、日本財団の尾形武寿理事長や戸倉工業システム事業部の亀井明剛副部長らが4トントラック3台に分けて国分寺市東戸倉の戸倉工業から被災地に向けて搬送し同日夕、石巻市に到着。同市の災害対策本部と協議の結果、石巻市中央2丁目の中町交番横バスターミナル広場に丸亀市のリース会社から貸与された発電機とともに設置された。 装置は2台並べたトラックの荷台に据えられ22日夕から20メートル先の旧北上川からホースで取水し浄水・造水作業を始めた。関係者は水質を確認した後、23日には給水を開始したいとしている。 ![]() 大津波で船も車も一緒に流された 石巻市の被災地では自衛隊の給水車による飲料水の供給が始まっているが、洗濯やトイレなど生活用水は大幅に不足している。また飲料水として使用するには市水道局の水質検査が必要となるが、石巻市では大津波で検査装置が流失し早急な検査は不可能。このため、当面は生活用水として広く活用される予定。亀井副部長も「プラントでできる水を泥の除去など街を少しでもきれいにすることに役立ててもらえれば・・」と期待を寄せている。 ![]() 亀山市長を激励する尾形理事長 一方、尾形理事長は22日朝、石巻市役所に亀山紘市長を訪ね「自衛隊と連携して市民に水を届けてほしい」と要請するとともに「阪神淡路大震災の経験を生かしてボランティアも派遣する」と激励、亀山市長も「是非、力を貸してほしい」と答えた。 淡水化処理装置は殺菌・脱臭や有機物の分解能力を持つオゾンの特性を利用して河川水や海水を浄水し災害や渇水対策に活用される。機動力を持たせるため車積載型となっており、災害復旧の進展を見ながら孤立する被災地への派遣も検討される見通し。(了) |
