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健康寿命は温水プールから。成果あげる「ケアポートよしだ」 [2007年04月26日(Thu)]


温水プールで楽しむお年寄りと保育園児たち


全国の多くの山間地域が、過疎化と高齢化の同時進行に悩んでいる。慣れ親しんだ地域での生活継続を希望する高齢者に対し、過疎化の進展が地域社会の維持を危うくしているからだ。そうした中で、お年寄りの「自立・共助」を理念に健康増進活動を続けている島根県雲南市の「ケアポートよしだ」(旧吉田村)が注目されている。

出雲地域の南部、広島県境に近い旧吉田村は、古代製鉄の歴史が残る山間地にあり、3年前に広域合併が実現した段階の人口は約2300人。高齢化率は37%を超えている。ここに日本財団の高齢者総合福祉施設モデル事業として「ケアポートよしだ」が建設されて13年になる。「よしだ福祉会」(森山泰孝理事長)が運営するデイサービスセンターだ。

注目されるのは、この地域の高齢者の自立期間(介護1の認定を受けるまでの期間)と平均余命が、島根県の県平均を大きく上回っていることだ。その結果、旧吉田地区の高齢化率は雲南圏域のそれを上回っているにもかかわらず、要介護者比率は圏域平均を下回っている。年齢の割に元気なお年寄りが多いということである。それは「ケアポートよしだ」の転倒予防活動などの成果だと考えられている。

こうした実績を基に、雲南市は昨年4月、「身体教育医学研究所うんなん」を設立し、子供から高齢者まで市民の健康増進や介護予防のための実践的研究に乗り出した。「よしだ福祉会」が運営に当たり、「ケアポートよしだ」で継続して調査している高齢者自立データを、圏域全体の健康地域づくりに生かす取り組みが始まっている。
「ケアポートよしだ」は、高齢化に対応した過疎地域活性化策を模索していた旧吉田村が、日本財団のモデル事業指定を受けることによって誕生した。聖路加国際病院の日野原重明理事長が委員長を勤める運営委員会が結成され、「数十人収容の老人ホームを作っても、高齢化が進んでどうせ足りなくなる。それよりもお年寄りが元気に長生きするための施設を作ろう」というコンセプトが生まれた。

「ケアポートよしだ」エントランス

山に囲まれ、清流が谷を作る山間の平坦部に、保育所、小学校、公民館、役場出張所、診療所、駐在所、マーケットが点在し、その中心に「ケアポートよしだ」が建設されている。中央の広々としたロビーは土足OKで、そのまま村人の生活道路となっている。高齢者施設が地域の核を形成しているのだ。そしてこの施設を最も特徴付けているのが温水プールである。


ショートステイ居住施設


施設内で温泉ボーリングをした「ケアポートよしだ」は、施設の入浴施設はすべて温泉であり、全国初の温水プール付きの高齢者福祉施設となった。プールはシルバー大学の健脚プログラムに活用されているだけでなく、保育園児や小学生の水泳教室も開かれ、お年寄りと子供たちの交流の場にもなっている。

高齢者の自立期間を長く保つには、転倒による足腰の衰えを防ぐことが重要であることはよく知られている。このため東京大学大学院の武藤芳照教授の指導で、シルバー大学参加者を中心に転倒予防運動を取り入れている。プールでの歩行訓練のほか、「10メートル全力歩行」などの健脚度調査を続けている。

こうした活動の結果、シルバー大学のお年寄りは「10メートル歩行秒数」も「最大1歩幅も」全国平均を上回っていることが確認されている。これらの積み重ねが、旧吉田地区における高齢者の自立期間や平均余命を向上させたと考えられる。


島根県保健環境科学研究所の「島根県における健康寿命(平均自立期間)の地域格差に関する研究」でも、「平均余命ならびに平均自立期間は、雲南圏域が最も長い」という結果が出ており、旧吉田村の突出した実績がその結果に大きく寄与している。




地域の生活道路でもあるロビー


「ケアポートよしだ」は、パートも含め70人の職員が通常のデイサービスや高齢者のショートステイ、ホームヘルプや配食サービスなどの活動をしており、介護保険制度導入後も自立した運営を維持している。「お年寄りが水着に着替えてくれるだろうか」と心配したことは昔話となり、温水プールでは賑やかな歓声が途絶えることがない。

設立時には「1人1室など、聞いたことがない」と厚生省を驚かせた施設のあり方も、その後の先駆けとなって定着している。昨年度の財団助成で居住施設などの補修を行い、施設の改善も進められている。板垣文雄事務局長は「これからも高齢者の自己管理能力を上げる活動を続け、データを科学的に蓄積することによって地域の健康づくりにつなげたい」と夢を膨らませている。


お年よりもゆっくり休憩


日本財団がモデル事業としている「ケアポート」は、他に長野県東御市の「みまき福祉会」と富山県砺波市の「庄川福祉会」の2施設があり、それぞれ地域に定着した活動を続けている。「よしだ福祉会」は町村合併に際し、新市全体の福祉協議会に合流する道をとらず、単独で自主運営を続けている。しかし日々の活動で蓄積される健康づくりのノウハウは、雲南市の研究所を通じ、地域全体の水準向上をもたらすと期待されている。

ようやく本格的な春が訪れた「ケアポートよしだ」の里は、新緑に満開の桜が色を添え、せせらぎが明るく光を放つ桃源郷であった。園児たちと温水プールに集うお年寄りはみな笑顔に満ち、都会生活より幸せそうだと感じた。かつては「たたら製鉄の町」として栄えた旧吉田村は、同じ中国山地の石見地域などに比べ、過疎化の進展は比較的緩やかなようである。

しかしそれでも確実に高齢化は進み、年金受給者の受給額合計は、地域全体の農業所得を上回るまでになっている。そうした中で、在宅ケアを原則としている「ケアポートよしだ」が、自主運営を維持しているのは並大抵の努力ではないだろう。そのことを実感しながらなお、「シルバー大学の1回1000円(送迎、昼食付き)という個人負担を、さらに軽くできないものか」などと考えたのだった。
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Posted by 日本財団 広報チーム at 11:47 | 福祉・医療 | この記事のURL | コメント(0)
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