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334件に決定 平成22年度笹川科学研究助成 [2010年04月30日(Fri)]

決定通知書の交付式

日本の科学研究の将来を担う若手研究者らを育成する「日本科学協会」(大島美恵子会長)の平成22年度助成対象研究334件が決まり、4月27日東京・港区のホテルで開かれた「笹川科学研究助成・奨励の会」で決定通知書が渡された。大島会長は「現在の社会の科学に対する無関心は、研究者が社会に語りかける努力を怠ってきたことが一因。若い人は研究の意義を吟味し、社会とのつながりの中で羽ばたいてほしい」と激励した。

笹川科学研究助成は昭和63年度から、日本財団の助成金を受けて行っている。大学院生以上の能力のある35歳以下の研究者と現場の専門的立場にある人が対象で、選考にあたっては国など他の助成制度の対象になりにくい研究、研究者を掘り起こすことを主眼に、大学教授らで構成する選考委員会が審査にあたった。

笹川会長を囲んで記念撮影

今年度は1162人の応募があり、学術研究部門の一般科学分野で251件、海洋・船舶科学分野で50件、実践研究部門で33件を選んだ。助成総額は1億8950万円。研究者の内訳は男性217人、女性117人。このうち外国人留学生は中国の9人をトップに韓国、台湾、インドネシアなど12カ国計29人。また、この制度がスタートしてからの助成総数はのべ5906人、6702件にのぼった。

助成対象の中には、筑波大学大学院助教、土岐田昌和さんの「コウモリの翼はいかにして獲得されたか?―前肢骨格筋の発生パターンの解析―」や東京大学大学院研究員、本郷宙軌さんの「台風がおよぼすサンゴ礁生態系への影響評価:破壊過程と回復過程の定量的検討」、大阪府池田市立秦野小学校教諭、西義史さんの「箕面の森・クワガタ虫の生態を継承する実践的貢献活動」などユニークな研究があり、これらの研究成果は来春までに報告書にまとめられる。

大島会長は研究には熱意が大事と述べた

奨励の会では、それぞれの研究分野を代表する7人に、大島会長が決定通知書を渡した。このあと来賓を代表して日本財団の笹川陽平会長が「資源の乏しい日本は人材が宝。選考にあたっては何十人もの先生がボランティアで審査し、不採用者に対してもきちんと説明責任を果たしている。こんなフェアな選考は世界的にも他にないだろう。助成金額は些少だが、この審査を経ての決定に誇りを持って、今後の励みにしてほしい」とあいさつした。続く懇談会では事業委員会委員長の高橋正征・東大名誉教授が「先頭に立ってトンネルを掘っていると周りがみえなくなる。時々研究を休んで後を見てほしい。自分の研究がどんな位置に、社会にどう役立とうとしているのか、確かめてほしい」とエールを送った。

若手研究者を激励する笹川会長

この日は奨励賞に輝いた昨年度の研究者14人に対する表彰も行われた。代表として受賞した東京大学大学院2年の井上志保里さんは「昨年のこの席で味わった緊張感がその後の研究を支えてくれました。今後も励んでいきます」と感謝の気持ちを話した。(平尾隆夫)

高橋委員長から奨励賞を受ける井上さんら


※「科学研究奨励の会」の動画はコチラ(3:31秒)

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Posted by 日本財団 広報チーム at 09:39 | 文化・教育・社会問題 | この記事のURL | コメント(0)
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