「日本はもっと積極的になれ」 笹川会長、ナジブ首相を表敬 [2010年04月26日(Mon)]
握手する首相と会長 日本財団の笹川陽平会長は4月19日、マレーシアのナジブ・ラザク首相を迎賓館に表敬訪問し、パプアニューギニア(PNG)、東ティモール両国のASEAN(東南アジア諸国連合)加盟問題などについて意見を交換した。席上、ナジブ首相は強力な国家であった日本の影が薄くなってきている、とした上で「世界には様々なプレイヤーが出てきており、日本ももっと積極的になる必要がある」と指摘した。 |
迎賓館の懇談会場 ナジブ首相は12,13両日、ワシントンで開催された「核安全保障サミット」出席を経て来日した。昨春、6代首相に就任して初の来日。冒頭、サミットを「前向きの会議だった」と評価する一方、「テロリストに核物質が渡れば小型兵器がつくられる。常に警戒を怠ってはならない」と述べた。 次いで笹川会長がPNG、東ティモールのASEAN加盟について「日本財団としても両国の人材育成などに協力する」とした上で「(PNGの)マイケル・ソマレ首相、(東ティモールの)ホルタ大統領とも加盟を希望している。ASEANのリーダーとして、機運が高まった時によろしくお願いしたい」と要請した。これに対しナジブ首相は「まずASEANを強化しなければならない。今、あまり広げるのは良くない」と答えた。 和やかに懇談 ASEANは1995〜99年にベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアが加盟、現在10カ国で構成されるが、米国、中国、インドとの関係などに温度差があると言われ、 ナジブ首相の発言はPNGなど2カ国の加盟に問題がないとしても当面は、10カ国の足並みをそろえるのが先決、との考えを示したとみられる。日本財団ではかつてラオス、カンボジアのASEAN加盟に先立ち、人材育成などに協力した実績があり、PNG、東ティモールに関しても同様の取り組みを進める考えだ。 さらに日本に強い姿勢を求めたナジブ首相に対し笹川会長が「われわれの世代は戦争を経験し、アジアでの日本の責任を引きずっている。戦争を知らない次世代に日本の良いところを出してもらいたい」と答えると、ナジブ首相は「わが国の指導者は皆、戦後の人間です」と強調した。マレーシアでは第4代のマハティール首相がルックイースト政策を打ち出して以来、日本に対する関心が高まっていたが、ここ数年、急速に低下しつつある。(宮崎正) |