「明日を植え、いのちを植える」 熊谷・赤城神社で植樹祭 [2010年04月22日(Thu)]
日本財団が防災のコンセプトで進める植樹支援事業の一環として4月11日、埼玉県熊谷市の赤城神社で植樹祭が行われた。日本財団では今後5年間に全国約50ヵ所の鎮守の森や学校で防災林造りを進める予定で、鎮守の森の植樹は同神社が第1号。指導に当たる宮脇昭・横浜国大名誉教授(地球環境戦略研究機関・国際生態学センター長)は参加者に「木を植えるということは、明日を植えること。いのちを植えること。そして、みなさんの心に木を植えることです」と熱く語り掛けた。(写真:宮脇氏の指導で植樹)
鎮守の森は長い間、神が宿る聖域として守られ、比較的自然林に近い形で残ってきた。しかし戦後の都市化で多くが破壊され、横浜国立大の調査によると、1972年〜80年の文献で172ヵ所に上った首都圏(東京、千葉、神奈川、埼玉、茨城)の鎮守の森は、その後、管理者の調査協力が得られた145ヵ所に限っても51ヵ所が更地や墓地、駐車場などに転用され姿を消していた。この30年間に3分の1が消滅した計算で、全国的にもほぼ同様の傾向にあり、残る森も外来樹が増え、その土地本来の森とは言えないという。 |
植えられたポット苗 植樹祭が行われた赤城神社は奈良時代から赤城山の神様を祀り、晴れた日には赤城山が見える。この日は気温24度。初夏を思わせる陽気の中、氏子ら地域住民約200人が参加。「今日はみなさんが主役です。鎮守の森を、ここから世界に発信しましょう」との宮脇教授の掛け声で植樹に汗を流し、茂木貞純宮司は開会式で「鎮守の森が全国的に弱っている。(かつて森で囲まれていた)赤城神社の森の裏側も道路になってしまった。植樹を機会に再び森を取り戻したい」とあいさつ、鎮守の森復活に意欲を見せた。 会場となった赤城神社 約240平方bの境内に1時間かけて植樹されたポット苗は約1,000本。日本の緑の92%以上を占める照葉樹のシラカシを主木にウラジロカシ、シイノキ、スダジイなど31種類を混植・密植した。照葉樹は水分を多く含むため防火効果が高く、根を深く張るため揺れに強いことが過去の大震災などで証明されており、「国際ふるさとの森づくり協会」(高野義武理事長)がこの日の31種を選定した。 子供たちも多数参加 支援事業は「いのちを守り、いのちを学ぶ森づくり」をキャッチフレーズに2009年11月、横浜市立汲沢中の植樹でスタート。4月17日にも、さいたま市の氷川神社で行われた。2010年度も東京都品川区の八潮学園での実施が予定されている。(枡方瑞恵) |