(特活)トッカビ子ども会 [2008年02月29日(Fri)]
「KNA・会員紹介」では、(特活)関西国際交流団体協議会の会員団体を紹介しています。
今回は、2007年度に入会された(特活)トッカビ子ども会です。2008年2月9日(土)にルーツ語教室の見学と代表理事の朴洋幸(パク ヤンヘン)さんへのインタビューを行いました。 (特活)トッカビ子ども会 ----------------------------------------------------------------------- ■目的 「日本で生活する異文化ルーツの人たちに対する支援、交流等の活動を推進することにより、異文化ルーツの人々と日本人との相互認識と理解を深め、各々が持つ多様な文化や社会的背景が尊敬される、人権を基調とした多文化共生社会の創造に寄与する」(トッカビ子ども会定款より) ■トッカビ子ども会は、1974年に地域の在日コリアンが抱える問題を解決していくために設立された会です。当初は、在日コリアンの子どもが民族としての誇りを持って生活していけるよう、勉強会、スポーツ、朝鮮語、歴史の学習、サマースクールなどの活動を行っていました。 ----------------------------------------------------------------------- ![]() トッカビ子ども会発足当時の1970年代は、当時の言葉でいえば、コリアンの子どもが自分のことを否定せず、民族に誇りを持って生きていけることをテーマに活動に取り組んできました。 1980年代半ば、八尾に中国やベトナムの子どもが増加した時、彼らとコリアンの子どもたちが置かれていた状況に類似する点をみつけました。 例えば、子どもが親を否定するという状況。私は在日コリアンですが、子どもの頃、親の職業が好きではありませんでした。中国、ベトナムの子どもたちは、日本語が不十分な親を否定してしまう。本来、否定しなくてよいことまで否定するという状況は、時代が変化しても変わっていない。子どもたちは、本来嫌わなくてよいことを嫌わなくてはならない状況に置かれているのです。 このような問題を解決していくために、コリアンの子どもと中国、ベトナムの子どもが抱える課題に共通項をみいだし、結果、多文化をルーツに持つ子どもを対象とした活動へと広げてきました。 □ベトナム語、中国語のルーツ語教室、中学生を対象とした勉強会についてお話ください。 ![]() トッカビ子ども会の核となる事業に相談業務がありますが、母語を話せなくなる子どもに母語を学んでほしいという保護者の相談からルーツ語教室は始まりました。現在、ベトナム語は5クラス25名、中国語は1クラス8名の子どもが参加しています。また、家庭の事情から塾に行けない子どもが学校の授業についていけるよう手助けするために、中学生を対象とした勉強会も行っています。ベトナム、中国、タイなどにルーツを持つ6名の子どもが参加しており、大阪教育大学の在日コリアンの問題に取り組むサークルの学生が講師として勉強を教えています。 ![]() □会発足当初は、コリアンの子どもへの母語教室も開いていたようですが、現在はどうですか。 コリアンの子どもにとって、韓国・朝鮮語は日常的に使用する言語ではなくなっています。家庭でも韓国・朝鮮語を話す機会はほとんどなく、言葉を学習する動機が家庭生活につながっていきません。一方で、ベトナム、中国の子どもの場合、ルーツ語教室で学習したことが日常生活に結びつきます。保護者も自分の母語に対する思いが強く、子どもの母語学習に積極的です。 このような理由から、韓国・朝鮮語教室に子どもが集まらないという状態で、こちらの教室は休業中です。 □ルーツ語教室の目的についてお話ください。 ![]() さらに、ルーツ語教室の活動から、子どもたちの関心、ニーズを知り、新しい活動へとつなげていきたいと考えています。 □トッカビ子ども会が取り組んでいる多文化共生について、今後の展望をお聞かせください。 いろいろなルーツを持つ子どもが、それぞれのルーツについてしっかり理解し、自覚できる「場」の提供が私たちができることではないかと考えています。そのような「場」は、文化背景の異なる子どもが混ざり合うことで生まれてきます。 たとえば、コリアンの子どもの場合、中国、ベトナムの子どもが入ってきたとき、面白い現象が生まれました。これまで日本人かコリアンかという視点しかなかった子どもたちの中に、異なる文化の視点が入ることで、彼らの考え方に変化がありました。今まで自分のルーツに関心を持っていなかった子どもが、親に韓国のことや韓国料理のことを聞いて、みんなに披露するというようなことができるようになったのです。このように、ルーツを異にする子どもが混ざり合うことで、自分のルーツに対する自覚を与え、それが子どもの成長につながっていくのです。 □協議会の会員となって良かったこと、また今後一緒に活動していきたいことなどについてお聞かせください。 私たちは、普段、地域という限られた範囲で活動しているため、協議会からの情報提供などは、より広い視点から日常の活動を捉えるきっかけとなっています。 「帰国・渡日児童生徒学校生活サポート事業」などでは協議会と連携できる部分はあると思います。この事業では、多言語で情報提供、進路ガイダンスをされていますが、依然、トッカビ子ども会に親が問い合わせをしてくるケースがあります。地域に密着した活動の特性を活かしながら、点在地域の親へのフォローなど地域と学校を結ぶシステムづくりなどの視点から、協議会と連携することもできるのではないかと思います。 (長野、写真=WEBチームボランティア・北川聡) |