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非営利法人の想いをカタチにするお役立ち情報
非営利法人の事業継続と経営基盤強化に役立つ情報について、公的機関20年の実績ある会計士の経験・ノウハウをお伝えします。
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事業別損益の実務上の対応について[2018年09月26日(Wed)]
 秋もだんだんと深まってくる今日この頃ですが、近所の田んぼの稲穂が大分垂れ下がってきていますね。もう少しで収穫が始まりそうです。

 さて、今回は、前回の事業別損益の重要性の実践編です。前回は事業別損益の必要性をNPO法人の経営者がどこまで意識するかについてお話ししました。とは、言うものの、それを実務に落とし込むことが求められます。
https://blog.canpan.info/kin-cpa/daily/201809/15

1.把握する事業区分について

 事業別損益の把握を実務に落とし込むには、まず、事業別損益をデータで集計する必要があります。おそらくどのNPO法人も会計ソフトを使用していると思いますが、そこではマネジメントの視点が重要となります。

 法人を経営する際に、どのような事業の業績を把握しようとしているかにより、その単位は変わります。どの法人もいくつかの事業を複数実施しているところが多いと思います。単一の事業を運営していたとしても、それを細分化すると複数の事業単位に区分することもあります。

 たとえば、介護事業をしているNPO法人の場合、その事業が居宅介護、訪問介護、デイサービス、グループホームなど多岐にわたります。これに事業をしている場所が複数あることもあります。

 また、グループホームを単独事業として実施しても、利用者を年齢、性別、場所などユーザーによる区分をしている場合もあります。あるいは、グループホーム事業を促進するために地域の活動をすることもあります。

 このように、把握すべき事業単位をどのように区分するかは、まさにマネジメントの視点、つまり、どの事業単位の区分で業績を把握したいのかという経営者目線を持つことで、自ずから決まってくるということです。

2.組織と会計上の区分について
 経営者が把握する事業区分が決まれば、次に行うのはこれらの事業を誰が実施するかです。NPO法人でも比較的規模の大きな法人から少人数で運営している法人までいろいろあります。ここでは、比較的少人数で運営しているNPO法人を前提とすると、事業実施のための体制と人数の割り振りをすることになります。

 ところが、ここで大きな壁に当たります。何故なら、複数の事業を実施するとしても、少ない人数をそんなにすっきりと分けられないからです。1人何役もこなさないと回って行かないのが実情だと思います。

 では、どうするか。ここでもマネジメントの方針次第で、どれだけのレベルの業績を把握したいかにかかっています。当然のことながら、各事業別損益を正確に把握したいというのであれば、それに必要なデータが求められます。そうではなく、とりあえず、ざっくりとした業績を把握すれば良いというのであれば、ある程度の誤差があっても、それで良いということになります。
 
 前者の場合だと、それこそ1日の業務量を測定して、当該業務に係る時間を集計して、人件費を事業別に按分することになります。後者の場合だと、事業計画の中で、人員別にざっくりとした業務量で事業別に按分することで足ります。

 このように、経営者の求める情報をどこに求めるかで決めればよいことがわかります。この辺は、裁量に委ねられるところですので、何が正解かを求める必要はありません。欲しい情報により判断すれば良いのです。まずは、ざっくりでも人件費を事業別に按分するところから開始するkとをお勧めします。

3.経費の事業別按分について
 残るコストとしては経費をどう事業別に按分するかがあります。経費の事業別に按分する原則は、個別費用と共通費用の事業別の負担を決めることです。すなわち、個別の事業で直接発生する経費は、その事業に賦課すればよいし、共通して発生する経費は、何らかの基準で事業別に按分すれば良いという考え方です。

 個別費用はそのまま事業に賦課すればよいので、それほど問題になることはありません。問題は共通費用の按分です。これは、各費用の性質により、各事業に按分すれば良いのですが、これも精度をどこに求めるかをマネジメントの視点で決めればよいことになります。

 たとえば、事務所家賃は事業にも管理にも共通して発生します。その家賃をどれだけ各事業や管理に按分するか。教科書的に言えば、当該事業や管理に使用する面積で按分するのがオーソドックスな方法ですが、それほど簡単に行くわけではありません。

 そうすると、後は何か理屈をつけて、ある程度使用実態を踏まえて各事業や管理に按分するしかありません。そこにこれといった正解はありませんので、自らこれだと大体合っているのではないかというくらいでも大丈夫です。

 このように、最初は、精度はともかく、事業別損益の把握を実施することです。その実施した結果をどう経営判断に活用するかが大事です。そこで何故事業別損益を把握するのかというそもそも論に入ってくるのです。

 少し長くなりましたので、今回はこの辺にしておきます。次回では、事業別損益の経営判断に活用する際の留意点などを取り上げ上げたいと思います。

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金 公認会計士事務所
公認会計士・税理士 金 志煥
〒651-1202 神戸市北区花山中尾台2−3−6
phone : 090-9053-5368 e-mail : shikankin@hotmail.co.jp
site : http://kin-cpa.com/ http://koyu-ac.com/index.html
blog : https://blog.canpan.info/kin-cpa/
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事業別損益の重要性について[2018年09月15日(Sat)]
 今日から9月最初の3連休ですね。あいにくの天気ですが、いかがお過ごしでしょうか。

さて、しばらく間が空きました。久しぶりの投稿になります。本日は、「事業別損益の重要性について」です。

1.事業別損益の実施状況

 最近、いくつかのNPO法人の支援で感じることは、NPO法人の代表理事の経営者や幹部職員の方々に事業別損益の話をしても、あまり反応が良くありません。それは何のことって言うぐらいの感覚ですね。

 これは、普段から事業別の予算執行管理をしていないことの意識が乏しいと、こんな状況になります。さらに言えば、月次または4半期決算などによる予算の進捗管理が進んでいないこともあります。ただ、まったく何もしていないわけではありません。

 実際に、月次決算をして、その決算状況を関係者で情報共有している団体も普通にあります。その情報共有する際に、事業別の予算執行管理まで落とし込んでいるかどうかが問われているのです。

2.事業型のNPO法人の事業別損益の把握

 事業型のNPO法人だと単一の事業の場合もありますので、その場合は執行管理する事業はひとつになりますが、ほとんどのNPO法人は当該事業に関連する事業も実施しているのではないでしょうか。

 そうだとすると、やはり複数の事業を実施することになりますので、計画の段階でその事業にどれだけの人員を配置し、どれくらいの時間を従事させるかを決めて事業を実施する必要があります。

 そして、その計画どおりに実施したかどうかを計画と実績を比較することにより、事業別の進捗管理を行うことが出来ます。それを数値でどこまで把握するかですが、後の業績評価を考えると人件費経費の金額だけでなく、それを裏付ける時間などの基礎データも必要となります。

3.事業別損益の必要性をどこまで意識するか


 あらためて、何故、事業別損益の把握が必要なのでしょうか。この理解があって次の意識付けに進むことが出来ます。ひとつは、やはりどの事業の収支が良くて、どの事業の収支が悪いかを把握することです。その業績を把握して、次のアクションの手立てを考えて、実行することに繋げるためです。

 NPO法人と言えども、事業を継続させないとその法人のビジョンミッションを達成することができません。ましてや人を雇用している場合は、給与を支払う原資を稼がないと立ちどころに事業がストップしてしまいます。

 もちろん、ボランティアの場合もあるので一概に言えませんが、いや、ボランティアであっても事業をする限りお金が付いて回りますので、こうした資金管理も必要になります。また、当たり前のことを言っているのだとお叱りを受けそうですが、それを事業ごとに把握して次の一手に必要な判断材料にしていますかということです。

 この辺は、経営者の意識の問題だと思います。当然にそういうことをルーティン業務として実施ている団体もあります。そして次の一手の対応をしている団体もあります。貴団体の場合はいかがでしょうか。

 少し長くなってきましたので、次回は実務上の対応について、これまでの団体の支援の中から、触れてみたいと思います。よろしくお願いいたします。

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