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非営利法人の想いをカタチにするお役立ち情報
非営利法人の事業継続と経営基盤強化に役立つ情報について、公的機関20年の実績ある会計士の経験・ノウハウをお伝えします。
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見える化するためにはどんなことから始めればよいか[2017年03月30日(Thu)]
 おはようございます。今朝は東京からです。昨日は、大学院の関係で東京駅近くの証券会社との会議を行っていました。大学院に行くのは久しぶりですが、何年か前にそこに通っていたと思うと、何か数年前の自分がそこにいるような既視感が出てきましたよ。今日も元気に行きましょう。

 さて、経営の見える化について、なぜ見える化できていないか、それによる影響はどんなものがあるかをお伝えしてきました。今日は、その締めくくりとして、どうすればよいかを私なりに整理したものをお伝えしたいと思います。

1.経営者トップが変わる
 
 まずは、経営者トップの意識の問題が一番大きいです。経営の見える化を本気でやるという強い意志を経営者トップが自ら宣言するのです。もうほとんどこれにつきます。これが明確になっていないと軸足がぶれてしまいます。

 ただし、この意識の問題はなかなかやっかいです。今までやってきていないのに、本当に変われるのかということに、経営者トップ自身が疑念を持つかもしれません。しかし、その覚悟を自らコミットするためにも宣言するのです。

 これにより、周りの人々が認知しますので、いやおうなしに自分を追い込むことになります。トップが変わるという宣言をぜひやってみてください。その本気度をみなさんは見ています。

2.周りが変わる

 経営者トップが変わる宣言をすれば、周りの人たちもそれに対応しなければなりません。経営者トップが変わる覚悟を斟酌して、トップに賛同し協力する必要があります。そのためには、経営者トップと職員がマメに意思疎通するための対話が必須になります。

 職員も今までそうした見える化をせずに業務を行っているので、そうした組織風土はありません。したがって、そうした風土を変えるためには、トップと現場、現場と現場、現場と外部の関係者などあらゆる関係者間での対話を繰り返すことが重要となります。

 これも簡単ではありません。組織風土はいったんできてしまうと、それを変えるには長く大きなエネルギーが求められます。でも、それをいろいろな局面で継続するしかありません。経営者トップの意識の変化の下、それを実行する周りの職員も対話を通じて変わる努力をじわじわと続けることが求められます。

3.システムが変わる

 経営者トップの意識と周りの職員の意識が変わるのを支えるのがシステムの変化です。どんぶり経営ではなく、データと事実に基づく客観的な情報があれば、その変化を裏付けることが可能となります。

 月次決算情報、経営管理情報など、多様な関係者が対話をするコミュニケーションツールはいろいろなものがあります。それを仕組みとして支える情報を選択するのは、最後は経営者トップの意識に戻ります。

 的確で情報共有するシステムが現時点でなければ、それを補完するあるいは、新たに設定する必要があります。そして、これらの対話をルーティン化することが最も重要です。それが関係者の見える化を促進するプラットフォームになります。

 以上、経営の見える化をするための方法を述べてきました。企業や団体により、経営の見える化の程度は様々だと思います。肝心なことは、組織のビジョンミッションを達成するために関係者のリソースを結集する意思と仕組みを構築することです。

 ご自身の法人や団体を振り返ってまだまだと思われるところは、できるところからこの見える化を進めていただければと思います。そのヒントになれば幸いです。
FRJ2017 ファンドレイジング・日本に行ってきました。その5[2017年03月28日(Tue)]
 おはようございます。そろそろ桜前線の便りがちらほら聞こえ始めていますが、雪が結構降っている地域もあります。日本は広いですね。昨日、家の近所の桜を見ていると、まだつぼみは固く、しばらく先のような気がします。みなさんの地域ではいかがでしょうか。

 さて、このシリーズも今日で5回目と言うことで、いつまで引っ張っているんだという声が聞こえてきそうです(笑)。ですので、今回で打ち止めにしたいと思います。今日は、戦略的な企業へのアプローチを行うNPO法人の実施体制と専門家や中間支援団体の役割について、述べたいと思います。

 本気で企業と関係構築しようと思えば、業務の片手間にできるものではありません。NPO法人の中には、専担のファンドレイザーやCSV担当を置いているところもありますが、そのようなNPO法人はまだまだ少ないと思います。

 しかしながら、NPO法人の方針として企業と関係構築することを事業計画の中に位置付け、法人全体で取り組む姿勢を示す必要があると思います。そのうえで、担当者を決める。専担であれば理想的ですが、兼務でもまずはあなたが企業の窓口ですよと言う宣言を内外にするのです。

 そうすると、その本気度を法人内で共有することができますので、担当者本人はもちろんのこと、他の職員の有形無形の協力を得ることができます。逆に良くないのは、そうした方向性を示さずに始めることです。責任の所在が不明確になり、対応がおざなりになるリスクが高くなります。

 企業と関係構築することをNPO法人のトップ自らが宣言し、その責任の下で事業計画に組み込み、PDCAを中長期的に回していく。1年や2年でものになるわけではありませんので、中長期的な期間の中で、実行していくことが求められます。

 一方、そうした方向性を示したとしても、NPO法人のリソースが不足していることも十分考えられます。その不足を補完するものとして、中間支援団体の役割があり、こうしたNPO法人を支援する団体も少なからずあります。

 NPO法人を啓蒙するCSV関連のセミナー開催をしたり、CSVを仕組みとして定着させる伴走型の支援をすることもあります。さらにはそうした想いのある企業とのマッチングなどをすることもあります。

 専門家は、そうしたNPO法人を応援する観点から、自身の専門領域で貢献することが可能です。私の場合であれば、企業に信用してもらえる事業報告書や決算書の向上です。企業と同じ土俵で議論するには、しっかりした事業内容や財務情報を適切に簡潔に説明する資料を用意する必要があります。

 具体的には、CSVにコミットした事業報告であり、その活動結果をきちんと財務情報に反映していることが求められます。そこにNPO法人の本気度を読み取ることができるからです。それが企業と信頼関係を構築するツールにすることができるからです。

 このように、NPO法人が本気であれば、協働したり支援したりする専門家や中間支援団体を上手く見つけて、リソース不足を補うことが可能となります。私も微力ながら、そうしたお手伝いができればと考えています。

 以上、5回にわたり、FRJ2017 ファンドレイジング・日本に行ってきた総括をしました。できるだけ企業と信頼関係を構築し、有効なファンドレイジングの一つとして、寄附等の財源確保を戦略的に行うNPO法人が出てくることを願ってやみません。
 
FRJ2017 ファンドレイジング・日本に行ってきました。その4[2017年03月27日(Mon)]
 おはようございます。3月も最終週を迎えることになりました。新年度に向けて人や物事がいろいろな形で動きますね。当方は特段変わりなく、昨日は甲子園に行って、久しぶりに高校野球の応援をしてきました。阪神甲子園駅も随分広くなってリニューアルされていましたよ。

 さて、前回から少し間が空きましたが、NPO法人のビジョン・ミッションをあらためて見つめ直し言語化する事を受けて、本日はNPO法人の企業に対するアプローチの仕方や体制、それをサポートする専門家や中間支援団体との関係を述べたいと思います。

B戦略的な企業へのアプローチ方法と実施体制及び専門家や中間支援団体の役割

 企業のCSV情報を収集して自団体と親和性のある企業をリサーチした、NPO法人のビジョン・ミッションをあらためて見つめ直し言語化した、さあ、次のアクションは、実際に企業へのアプローチと言う段階に入ります。

 企業がCSVを行っている、あるいはそれを志向していると言っても様々です。ある程度リサーチできていたとしても、それは外部から見えてくる一面に過ぎません。実際にどのような取り組みをしているかは、膝突き合わして話をしないと本当のところはわかりません。

 したがって、CSVを行っている企業に訪問したり、交流会等で情報交換をして、お互いの立ち位置などを知る必要があります。まあ、一種のお見合いと同じですよね。相手の考えていること、自分たちが考えていることを擦り合わせて、一緒にパートナーとしてやっていけるかどうかを確認する作業が重要になります。

 その際、大手企業と中小企業とではアプローチ方法が異なります。CSVを行っている大手企業は概ねCSR部門がありますので、まずはそこへの訪問となります。NPO法人の方ですでに人脈があればそれを使って訪問しますが、なければ取材と言うことで初対面になります。

 逆にCSVを行っている中小企業は、そういった部門はまずないので、総務部門などCSVを行っている組織かあるいは、直接経営トップに訪問することの方が効果的なこともあります。いずれにせよ、短期ではなく、中長期的な視点で当該企業とお付き合いをすることが必要です。

 CSVを行っている企業の方にもともと問題意識があるとしても、当然ながら法人として組織としての活動になります。じっくり相手を見て、継続的にお付き合いできる相手であるかを見定めようとします。よって、何度も訪問を繰り返し、少しずつ信頼関係を構築するプロセスがとても大事になってきます。

 こうした取り組みは、時間がかかるしすぐには効果が出ないと思います。しかしながら、これが王道です。NPO法人にとっても、立場を変えれば容易に想像が付くと思います。知らない団体が自分たちに何かの意図をもって接近したときは、無意識のうちに身構えますよね。

 企業も同じです。その壁を突破した時点で、次の展望が見えてくるわけですから、ターゲットを絞った企業に粘り強く接点を持ち続けることがどこまできるかが鍵となります。少し長くなってきました。明日に続きます。
FRJ2017 ファンドレイジング・日本に行ってきました。その3[2017年03月23日(Thu)]
 おはようございます。昨日はWBC侍ジャパン惜しかったですね〜。私もいまだに草野球していますので、気にはしていましたよ。勝負のあやというか、ほんのわずかな手元の狂いが勝敗の分かれ目になることもあります。そんな修羅場に身を置いていない者にとっても、いろいろと考えさせられることがありました。今日も元気に行きましょう。

 さて、昨日は、「企業のCSV情報を収集して自団体と親和性のある企業をリサーチする。」ということで、NPO法人もこのマーケティング手法を取り入れて、戦略的に親和性のあるパートナーを探すことを提案しました。

 本日は、以下の事項を検討していくことになります。

ANPO法人のビジョン・ミッションをあらためて見つめ直し言語化する。

 自団体と親和性のある企業をリサーチした後は、自団体のビジョン・ミッションをあらためて見つめ直し、それをわかりやすく見える化、言語化することが必要です。

 何をいまさらと言われるかもしれませんが、企業はNPO法人のことを基本、知りません。同じ方向性だからと言っていきなり何の武器を持たずにアプローチしても、返り討ちに会うのが関の山です。

 これは何も企業と接点を持つだけでなく、寄附を受ける、協力者を募る、会員になってもらうなどの際に、わが団体は何のために存在し、誰を対象にどう社会課題を解決したいのかという基本中の基本です。

 ですが、この基本を全く知らない相手に響くだけの見える化、言語化ができているでしょうか。それができているとしても、どのように伝えれば最も効果的に共感を得られるような仕組みや仕掛けができているでしょうか。

 自団体の足元であるビジョン・ミッションをもう一度見つめ直してみると、設立当初の想いが微妙に変わっていたり、周りの環境の変化でリーチする対象が変わっていたりすることがあると思います。

 そうすると、そもそも何をどうしたいのかと言ったことがずれているのではないか、ずれていないとしてもそれをしっかり正確に相手に伝わるような見える化、言語化が十分できていないのではないかと思い当たることがあるかも知れません。それがないとしても、確認する作業は最低限必要なことだと思います。

 私の数少ない経験でも、こうしたことが本当に相手に伝わっているのかが良く見えない法人も散見するところではあります。もちろん、自団体は問題ない、十分できているところは結構です。ご放念ください。

 こうした一連のプロセスを確認できれば、次は自団体の情報開示の見直しです。通常、年度ごとに事業報告書と決算書を作成しホームページに公表されていると思いますが、上記のビジョン・ミッションを具体的に実施した結果を事業報告書に記載されており、その事業結果を決算書に反映されているはずです。

 ですが、NPO法人の中には、事業報告書の内容がビジョン・ミッションとの整合性が不十分であったり、決算書がNPO法人会計基準に準拠していないか、必要な情報が開示されていないところも散見されます。

 特に、事業及び財務情報が適正に開示されていないと、それだけで信用問題にかかわるリスクが高くなります。きちんとした事業及び財務情報はNPO法人の活動結果を的確に反映したものであり、それが企業と交渉する際の共通言語になります。

 そう、まさに、相手を知り、己を知り、己をいかに信用してもらえる情報発信をしているかが問われていますということが本日の結論です。次回に続きます。


 

FRJ2017 ファンドレイジング・日本に行ってきました。その2[2017年03月22日(Wed)]
 おはようございます。今朝は良い天気ですね。地元では甲子園がにぎわっていますが、今週の日曜日に応援している報徳学園の試合を見に行く予定です。春の選抜はしばらくぶりなので、今から楽しみにしています。

 さて、昨日、企業のCSVとNPOとの接点をどう繋げて行くかというテーマで問題提起をしたところですが、今日はどのように進めていくかの気づきを得たことをお話ししたいと思います。

 双方の立場をよく理解し尊重するパートナーシップの進展とは、詰まるところ、相手のことをよく知って、社会課題を解決するという共通の目標を達成するパートナーを探し、そのパートナーと同じ土俵で戦略的に取り組んでいくインフラを作っていくかにかかっていると思います。

 具体的には以下の事項を検討していくことになります。

@企業のCSV情報を収集して自団体と親和性のある企業をリサーチする。

 最近では、企業がCSVを戦略の一つとして、重点的に取り組んでいる事例が増加しています。しかしながら、真に社会課題を解決するために、自社のリソースを積極的に活用していこうとする企業もあれば、どちらかと言えば、単に利益獲得の要素としてCSVに取り組んでいる企業もあります。

 そうすると、自団体と組むパートナーにふさわしいかどうかの目利き力をつける必要があります。株式公開している企業であれば、統合報告書やCSR報告書などで情報発信していますので、公表情報からある程度どのような姿勢でCSVに取り組んでいるかがわかります。

 株式公開していない企業であれば、少なくともホームページはありますので、そこでの情報発信から拾うことが可能です。あるいは、交流会や勉強会などリアルな場でCSVに取り組む企業のことを知る機会があります。いずれにせよ、マインドとしてどんどん情報発信していこうとする姿勢なので、その気になれば情報収集できるはずです。

 こうした多種多様な情報の中で、これはと思う企業をある程度絞り込むことはできます。やはり、自団体と組んでも良いなと思える企業は親和性を感じることができますので、そういった企業の候補をリサーチする手続きを行うことになります。

 これは、すでにお気づきだと思いますが、実はマーケティング手法と同じです。NPO法人が自らのターゲット顧客は誰かを設定し、そのターゲット顧客を絞り込む手法です。自分たちが一番リーチしたい企業は誰かを明確に把握することができれば、後はそこに向かって資源を効率的に投入することが可能となります。

 そう、まさに、NPO法人もこのマーケティング手法を取り入れて、戦略的に親和性のあるパートナーを探しましょうということが本日の結論です。次回に続きます。


FRJ2017 ファンドレイジング・日本に行ってきました。その1[2017年03月21日(Tue)]
 おはようございます。3連休は天気も良く、読者のみなさまも、思い思いの日を過ごされたことと存じます。しばらく投稿が空いていましたが、少しづつ戻っていきたいと思います。

 さて、この3連休のうち、土日にFRJ2017 ファンドレイジング・日本に行ってきました。東京は久しぶりでしたが、なかなか中身の濃いセッションに参加することができました。以下は、参加した感想を述べたいと思います。

1.企業のCSVとNPOとの接点をどう繋げて行くか

 今回のFRJ2017では、一つの問題意識を持って臨みました。それは、企業とNPOをどう繋げて行くかです。最近の企業戦略の一つとして、CSV(クリエイティング・シェアード・バリュー)を掲げている企業は少しずつ増えています。

 しかしながら、企業側がCSVの相手の一つであるNPOをどう見ているのか、同じ土俵で話をできるのか、パートナーとして協働できるNPOをどのように選ぶのかについては、手探り状態だと思います。

 他方、NPO側も自らの事業活動の財源の一つとして、企業からの支援、たとえば、法人会員になってもらう、寄附を受ける、CRM(コーズ・リレイテド・マーケティング)の協働を行うなどの仕組みをしっかり構築している団体はまだまだ少ないと思います。

 そして、上記の課題認識の中で、専門家としてどのような立ち位置で関わっていくのかということが私の命題となっていますが、セッションに参加する中で、いくつかヒントや気づきを得ることができました。

 一つは、双方の立場をよく理解し尊重するパートナーシップの進展です。企業は営利企業なので、利潤最大化が最も強いミッションです。したがって、何のメリットもないのにNPOとの接点を持つことはありません。それは、株主等に対する説明責任を求められるからです。

 もちろん、利潤最大化行動には様々な動きがあり、その戦略としてCSVがあるということです。その際、どのようなNPOと組むかは極めて重要な選択になります。自分たちと同じ方向性がNPOにあるのか、信頼に足る法人なのか、マネジメントができる法人なのかといったことをNPO側に求めていきます。

 一方、NPO側も企業のことをよく見ています。自分たちのビジョンやミッションの達成に協働できる法人なのか、単に利益を上げるためだけのCSVを考えていないか、信頼に足る法人なのかといったことを企業側に求めていきます。

 このように、立場の違いからくる相違点を認識したうえで、一つのゴールとして、共に社会課題を解決するという共通の目標があり、その目標達成に向けて、ヒトモノカネを効率的に使い、役割分担を果たしていくかということが問われているものと考えています。

 では、どのような方法でこれを進めていくのか、少し長くなりましたので、セッションで得た気づきは次回にお話ししたいと思います。よろしくお願いします。

 
 
見える化できないことでどんな影響が出るか[2017年03月15日(Wed)]
 おはようございます。今日は寒の戻りのようで、久しぶりにうっすら屋根に雪が積もっています。関東の方では、まとまった雪が降るとか。例年のことですが、春に向けて冬将軍の最後の名残を惜しむかのようなふるまい?でしょうか。今日も元気に行きましょう。

 さて、本日はこれまでの見える化できていない要因を受けて、見える化できないことでどんな影響が出るかを一気呵成にまとめたいと思います。読者のみなさんはもうお気づきのことだと思いますが、経営の見える化がいかに大事かを再認識していただきたいと思います。

 まず、経営の見える化ができないと法人がどこに向いて走っているか見えなくなります。羅針盤である経営理念や経営目標を掲げたとしても、経営トップがそれをわかりやすい言葉で職員と共有できていないと、いくら経営トップが熱い想いを持っていたとしても、それを伝える努力が不足しているわけですから、その思いを共有できないことになります。

 その結果、法人が進むべき方向性が不明確になり、各人がばらばらに動くなんてことになりかねません。せっかくの経営資源を結集してのベクトル合わせができていないため、大きなロスが生じてしまいます。

 これはひとえに経営トップの意識が脆弱なことによる影響の最たるものであり、その脆弱さ故に、いずれは経営が傾く遠因になると思います。

 次に、実際に現場の最前線で働く職員は、法人の進むべき方向性が見えていないため、そこに焦点を当てた活動をする意欲が遠のき、好き勝手に動くリスクが大きくなります。自分が法人の目的達成のためにどのように動けば貢献できるのか、そのような考え方に基づいた行動をとらなければならないという発想から遠のくため、結果として、大きなロスが生じてしまいます。

 これはひとえに経営トップとのコミュニケーションができていないなことによる影響の最たるものであり、法人の進むべき方向性の共有ができていないが故に、職員の能力を引き出せず、いずれは経営が傾く遠因になると思います。

 さらに、経営の見える化を促進するシステムの活用ができていないと、法人の経営状況を正確に把握することが難しくなり、その実態を踏まえた適切な経営判断に資する情報を使いこなせないことになってしまいます。

 法人内外の情報をいかに整理し、それを経営に関する情報として使えるものにするか。これはひとえに経営トップの意識の問題でもあります。事実とデータを重視するシステムの活用をしないため、結果としてどんぶり経営に陥ってしまいます。

 以上、これまでの経営の見える化ができていない影響をまとめてみました。経営の見える化をしないか、できないことによる弊害は留まることを知りません。最終的には、それができているところとの競争に負けてしまいます。あるいは、自滅するリスクさえあります。

 もちろん、経営の見える化ができているところは問題ありません。ご放念ください。これは法人や団体の規模に関係ありません。そのマインドを経営者トップがどれだけ持っているかで変わります。ご自身の法人や団体を一度振り返ってみられてはいかがでしょうか。



 
何故見える化できていないか、その要因 3[2017年03月13日(Mon)]
 おはようございます。今週末は東京でファンドレイジング大会があります。年に1度の大イベントですが、ものすごい数のセッションがあり、いつもどれを選択するかで悩んでしまいます。今から、わくわく楽しみです。今日も元気で行きましょう。

 さて、本日は経営が見える化できていない要因のその3です。前回まで、経営者トップの意識、現場の職員の意識を取り上げました。その大半は経営者トップの意識によるところが大きいのですが、テクニカルな部分としてシステムの問題があります。

 民間企業の場合、ある程度の規模であれば経営管理情報としてのシステムは確立されています。業務系、人事系、財務会計系、原価管理系とヒトモノカネに係る様々なシステムがあり、それらを適時活用しています。それでないと競争に勝てないからです。

 この点、小規模な民間企業や非営利法人では、その活用が進んでいないところが結構あるのではないでしょうか。さほど必要性を感じなかったり、システム投資にはそれなりのコストがかかったりするため、二の足を踏むこともあると思います。

 しかしながら、最低限の経営管理として、財務会計系の経営管理情報は必須です。事業計画と連動した損益及び資金収支の予算実績比較は必ずしなければなりませんが、残念ながらそれさえ十分でないケースもあります。

 システム自体がない場合はもちろん、システムはあってもそれを活用していない場合など、経営管理情報の重要性とそれを活用する経営者トップの意識いかんにより、その取り組みには大きな差が出てしまいます。

 とりわけ、月次決算の位置づけが極めて重要です。月次決算をしていないか、月次決算はしていても、それについて振り返り次月以降の経営判断の情報として使っていないケースはそこそこあるのではないでしょうか。

 特に、資金収支は大事であり、この管理が十分できていないと資金ショートのリスクさえ出てきます。結果として、次の経営判断が遅れたり、十分な手立てを講じる機会を逸することもあり得ます。この辺は、非営利法人の方が意識が薄いというのがこれまでの経験の中で感じているところでもあります。

 もちろん、普通にしっかりやっている法人は関係ありませんので、ご放念ください。心当たりがある法人は、一度ご自身の法人の状況をチェックしてみてください。そうすると早めの対応ができてくると思います。

 近く、国の制度でIT補助金の2次公募(3月中旬以降)が始まります。これは、非営利法人も対象になっていますので、まだ、システムを導入していない団体や新たなシステム導入を考えている団体は、この機会を活用することが可能です。一度トライされてみてはいかがでしょうか。

https://www.it-hojo.jp/



何故見える化できていないか、その要因 2[2017年03月11日(Sat)]
 おはようございます。本日はあの日から6年が経ったんですね。その日は大学院の面接を受けるために、東京に向かうべく新幹線に乗ったのですが、米原近辺で立ち往生し、足止めを受けて結局戻らざるを得ないことになりました。
 その後、段々と入ってくる状況を知るに連れ、戦慄を感じたのを鮮明に覚えています。あらためて、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたします。

 さて、しばらく間が空きましたが、経営の見える化ができていない要因の2つめを考えたいと思います。前回は、経営者トップの意識のなさのお話をしましたが、今回は現場で業務をしている職員に焦点を当てたいと思います。

 現場で業務をしている職員が普段の日常において、経営と言うフレーズを意識することはそれほど多いわけではありません。目の前の業務をこなすことで精一杯で、余裕がない問うこともあるでしょうし、そもそも経営に関する情報に触れることが少ない人もいるでしょう。

 あるいは、いわゆる幹部職員と言われる方でも、職種や部門により法人全体に関わっていなければ、なかなか経営陣との普段の意思疎通がしにくい場合もあります。この辺は、むしろ経営陣と職員間のコミュニケーションの問題があるかも知れません。

 すなわち、経営陣が適時に必要に応じて経営に関する情報を職員と共有し、できるだけ同じ目線で業務をするという場がないと、法人の中での経営陣と職員間の情報格差を埋めることはなかなか難しいと思います。

 したがって、経営陣からのアプローチがしっかりできているかどうかで、随分様子が違うことが考えられます。規模が小さく経営者トップの意向で経営が決まる法人はともかく、ある程度の規模でトップの目が行き届かない場合は、こうした情報共有をどれだけするかで変わってきます。

 一方、法人の問題の多くは現場に落ちています。そうした問題が発生した場合に、適時に上司を通じて経営陣に伝わっているかと言うと往々にして、それがどこかで止まったり、あるいは、実は起こっている事象が問題であるにもかかわらず、そうした認識がないこともあり得ます。

 この辺は、職員の意識の問題かもしれません。自身の仕事の役割や責任、法人における立ち位置をわかっている人とそうでない人とでは、同じことでも対応が異なることがあることを示しています。

 経営陣と職員の一体感のあるなしと言うか、その範囲と言うか、程度は様々だと思います。法人の目指す方向性のベクトルの問題でもあり、なかなか悩ましいです。今日は、何か通り一遍のことになってしまった感がありますが、次回はシステムに焦点を当てたいと思います。


 
 

 
何故見える化できていないか、その要因 1[2017年03月07日(Tue)]
 おはようございます。昨日は、重たいワインを飲みすぎたのか、少し寝坊をしましてまだ、ぼーっとしています。この記事を書いてすっきりできればと思います。本日も元気に行きましょう。

 さて、何故、経営の見える化ができていないのでしょうか。しばらくはあるあるシリーズが続きます。まずは、経営者トップの意識の問題です。経営者トップによっては、数値とデータという客観的な指標を見て経営判断される方もありますが、そういう方ばかりではありません。

 数字に対する苦手意識が根底にあるのか、あるいは、もともと数値やデータを重視ないからなのか、いわゆるどんぶり経営をされている経営者トップは、そこそこいるのではないでしょうか。

 そのような経営者トップは、決算書や月次の試算表にあまり関心を寄せません。現時点で、どれくらいの資産負債があり、いくら儲かっているのか損をしているのかを正確に把握されていません。それを確認するには、自分のところの決算書や月次試算表を説明してもらえればすぐにわかります。

 そうですね、売上や借入金くらいは説明できても、人件費や経費、利益が何故この金額になっているか、売掛金や買掛金、固定資産がいくらあるかを明確に把握している経営者トップはそれほどいないのではないでしょうか。

 さらには、銀行借入するときには、本来であれば、経営者トップ自らが自社の決算状況を説明し、融資の必要性を説明する必要があるにもかかわらず、普段から銀行との接点を持ち合わせていない、あるいは、担当者に任せているということもあるのではないでしょうか。

 いくら、部下や外部の専門家が決算書等の数値やデータの重要性を言っても、本人がその気になっていなければ、行動に繋がっていきません。単にスルーしているだけになっているかもしれません。

 なんか、経営者トップから見たら、お前何を言っているのだと叱られそうですが、決算書や月次試算表の数値を経営判断に活用しようという意識があれば、上記のようなケースは出てこないと思います。少なくとも、経営者トップの頭の中に自社の決算状況が入っており、それをどう経営に活用するか、行動に反映されると思います。

 ここでは、あくまで経営判断に活用するという問題意識を問うており、そのためのオペレーションをせよと言っているわけではありません。経営者トップは、それを指示すれば良いからです。その意識が経営の見える化に向かわせることになるからです。

 はい、のっけから経営者トップに厳しいことを言った感になっていますが、きちんと対応されている経営者トップもいらっしゃるので、そこはごめんなさい。ご放念ください。次回に続きます。
経営の見える化はできていますか?[2017年03月06日(Mon)]
 おはようございます。本日は雨模様と思っていましたが、まだ、降ってはいないようです。花粉が結構飛んでいるようで、鼻炎系の身にとってもはなかなかつらい日々が続きそうです。ですが、今日も張り切って行きましょう。

 さて、先週、淡路島に行ってまちづくりのセミナーに行ってきました。そこで学んだことは、行政からの待ちをするのではなく、住民が当事者意識を持って自分事として問題をとらえ、それを解決するのに多様な関係者を巻き込んで協力を得るとともに、それぞれの役割分担を果たす。

 その際、地域の多くの関係者が地元の複雑な利害関係で、がんじがらめに身動きできないことが良くありますが、だからこそまちづくりの大変さと進め方を知っている外部者がいると、そこをエンジンにしがらみがないが故に、成果を出すことができるのだということを実感しました。

 そして、関係者の協力を最大限引き出すための約束事など、成果を出すためのステップがとても大事であり、目からうろこが落ちる思いでした。

 さて、本日のテーマは経営の見える化はできていますか?です。何をいまさらと言われそうですが、中小企業や非営利法人、とりわけNPO法人には案外できていないところが多いのではないでしょうか。

 事業計画を策定し、その進捗状況を把握するためには月次決算を締めて、データとファクトで確認検証する。その客観的な数値から経営判断に資する情報を分析する。それを踏まえて必要な行動を実施するというPDCAサイクルを回していく。

 これはおよそ有給の職員を雇用して、それなりの規模の事業を行う経営者には必須のものと思いますが、実際はそう簡単ではない。これがしっかりできていない経営者は案外いるのではないでしょうか。

 この古くて新しい問題に、あらためて焦点を当てて、しばらくは取り組んでいきたいと思います。だいぶん長くなってきましたので、本日はここらで終わりにして、明日以降、不定期ですが、投稿したいと思います。

 

 
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