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非営利法人の想いをカタチにするお役立ち情報
非営利法人の事業継続と経営基盤強化に役立つ情報について、公的機関20年の実績ある会計士の経験・ノウハウをお伝えします。
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役員会、理事会等の活性化のポイントは[2016年04月12日(Tue)]
2016年4月12日(火)
 おはようございます。今朝は少し寒いです。3月に戻ったかのような寒さです。私の住んでいるところは標高300メートルを超える山の麓にあるので、気温の変化が激しいです。びっくりされるかもしれませんが、まだストーブを置いています。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@組織の意思決定を行う会議体である役員会、理事会等の位置付けはとても重要
A役員会、理事会等の位置付けをガバナンスの面から考える
B役員会、理事会等の位置付けをマネジメントの面から考える

@組織の意思決定を行う会議体である役員会、理事会等の位置付けはとても重要

 さて、本日のテーマは「役員会、理事会等の活性化のポイントは」です。組織である以上、その組織の運営に際して、組織の意思決定を行う会議体である役員会、理事会等の位置付けはとても重要です。

 本日は、この役員会、理事会等が実際に機能していますかという問題提起です。ですので、しっかり建設的な議論が行われ、意見が飛び交い、団体の意思決定が迅速に行われている団体はご放念ください。

A役員会、理事会等の位置付けをガバナンスの面から考える

 最近の話題では、セブンイレブンの鈴木会長が社長人事で自分の考えを取締役会に諮ったところ、賛成多数とならずに辞任したニュースがありましたね。これについては、いろいろな所で議論され、情報発信されています。

 日本の場合、社長など実質的な経営支配をしている者の声が大きいため、これに反対するというのは勇気が要ります。自分の保身を考えるからです。

 今回は、社外役員の存在が大きく、はからずもガバナンスが機能した珍しい事例ですが、ここでは、少なくとも喧々諤々の議論がされ、たとえ会社のトップが提案した案件であっても、否決されることがあるということです。

 教科書的には、取締役は代表取締役の業務執行を監督する役割を持つのが建前ですが、実際にはそれができていないのが実態です。これは非営利団体でも基本、それほど変わらないのではないでしょうか。

 トップも人ですから間違った判断をすることだってあります。そうした時にトップに自由にものを言える風土が組織にあり、実際にトップにストップを掛けられる会議体があり、他の役員がそれを実行できる組織は強いですね。

B役員会、理事会等の位置付けをマネジメントの面から考える

 もう一つはマネジメントの問題です。よくあるのは役員会、理事会等がトップの報告会になっていることです。これもトップが組織の運営についての考えや意見を押し付けたり、他の役員の発言がほとんどない場合は、会議が一方通行になってしまっている状態です。

 こちらの方が、実際には深刻かもしれません。役員間の権限と責任が明確でなく、役割分担がはっきりしないことになると、組織のマネジメントとしては宜しくありません。トップ一人がほとんど会議を支配し、他の人が自由な発想でアイデアや建設的な意見を考えるという状態でない場合は、組織自体が危ないかもしれません。

 理想的には組織の規模に関わらず、会議体のメンバーがわいわいがやがや積極的な意見が続出して、組織の運営に資する決定が行われることが重要です。では、どのようにすれば、役員会、理事会等が機能し、活性化するのでしょうか。だいぶん長くなってきましたので、次週に続きます。

  
月次決算の活用方法とは[2016年04月11日(Mon)]
2016年4月11日(月)
 おはようございます。先週の土曜日に大学に講義に行ってきました。これまで会計専門職大学院で非常勤講師をしていたのですが、今年から学部学生のコマを一つ持つことになりました。170名もの履修者がいてびっくりしましたが、少しでも学生の興味を引く講義をしたいと思います。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@月次決算をどのように取り扱っているのでしょうか
A月次決算をする意味は何があるのでしょうか
B月次決算の結果をフル回転で活用する仕組みと体制が重要

@月次決算をどのように取り扱っているのでしょうか

 さて、本日のテーマは「月次決算の活用方法とは」です。前回まで、3回にわたって決算対応のチェックポイントをお伝えしてきました。今まさに決算作業でてんてこ舞いだと思いますが、それも1か月ぐらいの季節労働ですね(笑)。参考にしていただければと思います。

 さて、その決算が終わると、通常の業務に戻ります。日常の業務は月次ベースで実施しますので、決算のステージは月次決算に移ります。では、この月次決算をどのように取り扱っているのでしょうか。

 単に会計システムから試算表を出しているだけ?試算表も出していない?いやいや、年次決算に準じてしっかり月次の業績管理をしている?月次決算については、いろいろな状況にあるのでしょうが、案外、この月次決算の位置付けが明確になっていない団体が多いのではないでしょうか。

 もし、そうだとするとそれは大変もったいないことをしています。年次決算は言うまでもなく年1回の作業であり、年に1回は必ず団体の活動を振り返り総括しています。その年次決算は、月次決算の積み重ねになりますので、月に1回は同様に団体の活動を振り返ることができます。

A月次決算をする意味は何があるのでしょうか

 ですが、意外とこれをやっていない団体が多いと見受けられます。しっかりやっている団体はご放念ください。すでにいろんなところでお伝えしていますが、月次決算をする意味は何があるのでしょうか。

 一言で言えば、団体の活動の進捗管理と経営判断に資する情報を月次決算から把握することです。年度当初に設定した事業計画が順調に進んでいるか、事業を行う財源として上手くお金が回っているか、予定していなかった事象が発生していないか、発生し他場合にどのような手を打って乗り越えたかなど、団体の活動結果が月次決算に反映されます。

 また、月次決算の結果を踏まえて、次月以降の活動の予測をすることが重要です。思いのほか事業計画どおりに進捗していなければ、計画達成のために追加の資源を投入することを考えなければなりません。あるいは、計画そのものを見直しをする必要があるかもしれません。

B月次決算の結果をフル回転で活用する仕組みと体制が重要

 このように、これまでの団体の活動の振り返りと今後の活動に向けた対応をするためには、この月次決算の結果をフル回転で活用する仕組みと体制について、日常のルーティン業務として組み込むことがすごく重要です。

 これができている団体は強いです。経営基盤がしっかりしています。自分たちの活動を常にコントロールし、団体のビジョンミッションの達成に向けたベクトル合わせができています。いかがでしょうか。ご自身の団体はしっかり月次決算を活用していますでしょうか。

 では、具体的にどうすればこの月次決算を適切に活用することができるのでしょうか。月次決算の結果をフル回転で活用する仕組みと体制について、次回以降でお伝えしたいと思います。

NPOのノンデザイナーにお勧めしたい!デザインの基礎が学べる厳選スライド@[2016年04月09日(Sat)]
こんにちは、小さなNPOをデザインで応援している林田です。デザインを活用したいNPOのために有用なノウハウをまとめましたので、共有させていただきます。

「デザインソフトを手に入れたけれど、なかなかいい仕上がりにならない」
「お金をかけず、できるだけ自分たちでデザインしたい」

そんな思いを抱く代表者の方や、事務局長の方、多いのではないでしょうか。

今は安価にデザインソフトが購入でき、技術的に分からなければすぐWebで調べることもできる、ノンデザイナーにとっていい時代になりました。

「デザインの学校を出ていないけれど、それなりのものを作りたい!」という方のために、デザインの基礎をさくっと学べるスライドをご紹介します。


@ 〜デザイン初心者向け〜 デザイン時に気をつけると幸せになれる事



東京と大分に拠点を置くよつばデザインさんによるスライド。
タイトルに「デザイン初心者向け」と書いてあるだけあって、非常にわかりやすくデザインの基礎を知ることができます。

デザインという言葉の意味、文字や余白の使い方、写真の構図やレイアウトに至るまで、最低限必要な情報がまとまった内容になっています。
公監査の活用について[2016年04月08日(Fri)]
2016年4月8日(金)
 おはようございます。今週もあっという間の1週間でしたね。さくらも昨日の雨でかなり散っていました。地域によってはまだまだこれからと言うところもあるでしょうが、本当にさくらの命は短いことを実感しています。今日も元気で行きましょう。

(要旨)
@公監査は経済性、効率性、有効性という3つの観点からの実施が求められる
A公監査は事業目的に適合し3Eの観点から第三者の立場から検証する
B公監査は適切な指導・助言を含めた改善提案をすることができる

 さて、本日のテーマは「公監査の活用について」です。これまで、2回にわたって公会計の活用についてお伝えしました。公監査を効率的効果的に実施するためにも、その前段としての公会計の活用が重要ですが、なかなかハードルが高い現実があることをお伝えしました。

@公監査は経済性、効率性、有効性という3つの観点からの実施が求められる

 今回は公会計を含む公監査の活用です。公監査は関係者ではご存知ですが、経済性、効率性、有効性という3つの観点から監査することが求められます。いわゆる3E監査と言われるものです。

 これは、会計監査と業務監査を含む公監査において、単に適法に業務執行しているかをチェックするだけではなく、その事業が経済性、効率性、有効性という3つの観点から事業目的に合致し、効果的に実施されているかという視点で監査をすることを意味します。

A公監査は事業目的に適合し3Eの観点から第三者の立場から検証する
 つまり、事業の実施に際して、単に法令等を遵守しておれば良いというわけではなく、事業目的に適合して、経済的効率的に実施しているかについて、第三者の立場から検証することが求められます。

 この点、いくら法令等を守っていたとしても、その事業が適切に実施していなければ意味がありません。それを指摘するためには、幅広い知見と情報収集力及び分析力と言った監査の専門性が必要です。

 何故なら、監査を受ける相手は自分たちのことは一番よく知っているからです。そこと対峙して問題点を指摘するためには、よほど情報がないと太刀打ちできません。また、相手に説得力のある意見を言うことができません。

B公監査は適切な指導・助言を含めた改善提案をすることができる

 一方、そうしたことが少しでもできるのであれば、経済性、効率性、有効性という3つの観点から適切な指導・助言を含めた改善提案をすることができます。そうすると監査に対する効果を監査を受ける側も実感することができ、監査に対する見方も変わってきます。

 この辺は、古くて新しい問題ですが、監査を受ける側の目線、外部の住民等の目線などをどこまで意識して監査をするかにかかっています。では、具体的にどうすれば公監査を活用することができるか、その活用方法はどうか。次週に続きます。

 
 
貴法人のターゲット顧客はきちんと設定されていますか[2016年04月07日(Thu)]
2016年4月7日(木)
 おはようございます。本日は朝から雨が降っています。朝から雨だと少し憂鬱になるところです。おまけに今日は4か月に1回の定期診察で、病院に行かねばなりません。ちゃちゃっと済ませて、仕事ムードに入りたいですね。今日も張り切って元気に行きましょう。

(要旨)
@団体が誰をターゲットにして事業を行うかという入口はとても重要
A団体のビジョンミッションとターゲットにする相手は相関関係にあり、常に変わる
Bターゲットにする相手のニーズ等は日常業務の中で継続的にアンテナを張っておく

 さて、本日のテーマは「貴法人のターゲット顧客はきちんと設定されていますか」です。前回、「貴法人のビジネスモデルはきちんと回っていますか」というテーマで、団体の想いを事業として継続させるヒトモノカネが回る仕組みの重要性をお伝えしました。

@団体が誰をターゲットにして事業を行うかという入口はとても重要

 今回は、その仕組みの中で、団体が誰をターゲットにして事業を行うかという入口の話です。この基本中の基本がしっかり設定されている団体は、財やサービスを提供する相手の照準が定まっていますので、後の対応も自ずとはっきりしています。

 もちろん、団体のビジョンミッションがあって、そこに社会課題を解決したい相手がいるはずですから、そんなこと当然じゃないかという声が聞こえてきそうです。

 ですが、事業を展開する過程で、財やサービスを提供する相手のニーズや要望は環境の変化の中で変わりますし、新たな相手が出てくるかもしれません。あるいは、団体のビジョンミッションが当初のものから変わることだってあります。そうすると、そのビジョンミッションを達成すべき相手は変わることもあります。

A団体のビジョンミッションとターゲットにする相手は相関関係にあり、常に変わる

 このように、団体のビジョンミッションとターゲットにする相手は相関関係にあり、常に変わることがあり得ますので、定期的に見直しが必要であるという認識を持つことが大事です。

 実際に、あるNPO法人の代表のお話を聞く機会があり、このターゲットにする相手のことに話題が向けられました。そこでは、いろいろ事業が多様化している中で、サービスを提供する相手が拡がりすぎて、誰を優先的にすれば良いのかわからなくなってきたという話でした。

 結果は、ご自身の団体のビジョンミッションをもう一度見つめ直し、原点に立ち返って自分たちが解決すべき相手のことを考えると、その照準が定まり、ぶれいない軸を再確認することができたということでした。

Bターゲットにする相手のニーズ等は日常業務の中で継続的にアンテナを張っておく

 団体の熱い想いも事業として継続できて初めて意味があります。その想いを到達する相手のことを常に考え、アンテナを張っておき、適時に軌道修正する。これを事業のPDCAの中で繰り返すという過程の中で、ターゲットにする相手を確認するということに尽きると思います。

 ご自身の団体のビジョンミッションを達成すべき相手は、しっかりと定まっているでしょうか。そして、その相手にリーチできるアンテナを張ることを日常業務の中で継続的に実施しているでしょうか。

 しばらくやっていない団体は、これを契機に一度見直しをお勧めします。思わぬ所で認識が変わるかもしれませんね。
いま、流行の資金調達を考える。その2[2016年04月06日(Wed)]
2016年4月6日(水)
 おはようございます。本日は、昨夜の深夜残業の影響で少し体調がすっきりしません。今週は業務が立て込んでいるための緊急措置ですが、慣れないことをするとやはり生活のリズムが狂いますね。何とか今週を乗り切らなければいけません。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
1.クラウドファンディングの業務に専念できる責任者を決めよう
2.クラウドファンディングの企画の段階で、既知の協力者の賛同を得よう
3.クラウドファンディングの実施後の情報開示は積極的に行おう

1.クラウドファンディングの業務に専念できる責任者を決めよう

 さて、本日のテーマは「いま、流行の資金調達を考えるその2」です。前回に引き続いて、クラウドファンディングのお話です。短期決戦の色合いが強いクラウドファンディングをどうすれば成功させることができるのでしょうか。

 まずは、このプロジェクトの責任者を決めることです。団体内のリソースは限られていますが、それでもこのプロジェクトに専念できる人を設定する必要があります。兼務で行うと、どうしても他の業務との調整をしなければならず、ロスが生じます。

 また、責任の所在が不明確になりがちなので、これに集中させるためにも、少なくともこのプロジェクトの期間だけは、他の業務をさせないなどの物理的心理的な負担を軽くする配慮が求められます。

2.クラウドファンディングの企画の段階で、既知の協力者の賛同を得よう

 次に、企画の段階でめぼしい人には声をかけておき、協力の約束を取り付けておくことです。これはとても大事です。何故なら、これまでの経験等から、クラウドファンディングに協力して寄附をしてくれる人の大半は、既知の方々だからです。

 確かにNGO系などの団体は、海外難民や地震で被害にあった方々を救うなどのプロジェクトをタイムリーに設定して、軽々と目標金額をクリアするケースがあります。その場合、団体のことを知らない不特定多数の方々でも、比較的賛同を得やすい状況があるからです。

 ですが、通常はそうしたケースは少ないです。むしろ、団体のビジョンミッションを達成するためのプロジェクトのひとつであることが珍しくありません。そうすると、普段から寄付を多く集めている団体であればともかく、そうでなければなかなかハードルが高くなってしまいます。

 このため、成功している団体の状況をお聞きすると、多くはすでに団体のことを知り、団体と何らかの関係がある方々に、あらかじめプロジェクトに対する協力を得て、目標金額の7割から8割を事前に確保しているのです。

3.クラウドファンディングの実施後の情報開示は積極的に行おう

 最後に、めでたくクラウドファンディングの目標金額を達成して、プロジェクトを実施した後は、詳細な実績報告をすることが求められます。この点、企画の段階である程度の予算を公表しているので、何に使用するかはわかります。

 ですが、あくまで予算であり、実際の金額ではありません。クラウドファンディングも寄附も一種ですから、不特定多数の方々からいただいた寄附の使い道は正確に報告する必要があります。

 クラウドファンディングの運営サイトを見ると、成功した方々をインタビューした記事などは見ても、その実績報告の記載はないようです。

 もちろん、一義的には実際に寄付をした方々に報告しているかもしれません(私もいくつか寄附をしましたが、実績報告を受けたことはありません)。あるいは団体の事業報告書で報告しているかもしれません。

 ただ、潜在的な寄附者や実際に寄付をした方々が、いつでもどこでも寄附の使い道と実績を容易に知ることができる状況にしておく必要があると思います。これはプロジェクトに共感していただいた方々への義務と考えています。

 できれば、クラウドファンディングの運営サイトにプロジェクトの実績報告を掲載し、一覧できるようにしてもらいたいものですね。それがクラウドファンディングへの安心と信頼感を担保するものになると考えています。
 

新規事業、事業連携、事業統合の進め方は[2016年04月05日(Tue)]
2016年4月5日(火)
 おはようございます。さくらが先週末から満開になっています。天気はいまいちですが、今週末までは何とかもちそうですね。さくらって本当に見るだけでも何となく嬉しくなります。そこはかとなく、それでいて凛とした風情が感じられます。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@新規事業を進める際の方法の一つとして事業連携を考える
A事業連携を進める際の留意点とは
B事業連携とは異なる方法としての事業統合とは

@新規事業を進める際の方法の一つとして事業連携を考える

 さて、本日のテーマは「新規事業、事業連携、事業統合の進め方は」です。団体の新年度の目玉としていろいろ考えていると思いますが、新しい事業もそのうちの一つでしょう。その事業を進めるに当たり、どこから資源を引張ってくるかは重要な要素になります。

 団体内に求めるのは当然として、ここではそのリソースとして、他の組織と組むことも選択肢の一つとして考えられます。新規事業を行う際に、自団体では完結しない場合、他団体と組むことで相乗効果が見込める場合など、外部と連携してその事業を行うことは自然の流れだと思います。

 先日、非営利団体のビジネスモデルの構築でもお伝えしましたが、団体のビジョンやミッションに共感してくれる、多様な関係者の資源を戦略的に活用する方法としての事業連携があります。この事業連携の進め方としては、以下の事項に留意する必要があります。

A事業連携を進める際の留意点とは

 まず、団体のビジョンやミッションとの親和性です。言うまでもなく、団体の方向性のベクトルと歩調が合って初めて連携の意味があるので、ベースになるものが同じ価値観であることがとても重要です。

 次に、同じ価値観を共有した後は、双方に連携するメリットがあることが必要です。お互いが活用し合うウィンウィンの関係であり、相互に補完し合うことが求められます。つまりパートナーシップが組めるかという視点が大事です。

 そして、事業の連携時には、双方が窓口の責任者を設定し、連絡を密にして事業を推進する仕組みが必要です。事業連携をしっかり双方の団体内部で認識し、情報の共有化を図り、必ず成功させるのだという強い意思をもって事業を進めることです。

B事業連携とは異なる方法としての事業統合とは

 一方、事業連携とは異なる方法として、事業統合があります。これはなかなかハードルが高いです。よく言う、M&Aになります。同じような事業を実施している団体のどちらかに当該事業を継続できない事情があり、それを廃止することの影響をできるだけ避けるために、他の団体に事業を譲渡することを言います。

 事業統合をする場合、通常、人の移動を伴います。他の団体に移籍することになりますので、職員の業務にも多大な影響を与えますので、慎重な対応が求められます。また、場合によっては、統合される側に信用不安が発生する恐れがありますので、そうした悪影響を避けるために関係者への事前の協力依頼などが必要になってきます。

 しかし、高度な経営判断が求められる事業統合を前向きに考えれば、これにより職員の雇用を守り、統合される側の経験・ノウハウや後継者でさえも継承されることから、民間企業では積極的に行われています。

 どちらかと言えば事業連携が水平連携であるのに対し、事業統合は垂直連携ということができます。事業継続が社会起業家の最大のミッションとすれば、トップはこの事業統合を視野に入れることも必要であり、そうしたアンテナを張っておくことが求められます。

 この事業統合を実際に進めるには、多くの事項を検討しなければなりませんので、機会があれば、このテーマは別に設定してお伝えしたいと思います。宜しくお願いします。
決算対応のチェックポイントその3[2016年04月04日(Mon)]
2016年4月4日(月)
 おはようございます。今日から、実質的な新年度のスタートですね。先週土曜日は天気が良いので、近場の桜を見に行き、日曜日は上の子が1人暮らしを始めるので引越しの手伝いと、何かとあわただしい日々を過ごしています。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@決算対応のチェックポイントの第3回目は会計基準の体系を知ろう
A決算書は会計基準という財務諸表作成のルールに作成方法、様式などが規定されている
B適正な財務諸表を作成するためのポイントはトップの意識がすべて

@決算対応のチェックポイントの第3回目は会計基準の体系を知ろう

 さて、本日のテーマは「決算対応のチェックポイントその3」です。前回、資産負債の残高を関連帳票と照合して、残高が正しく計上されていることを確認することをお伝えしました。今回は3回目として、会計基準の体系を知ろうです。

 決算日を意識して未収金や未払金などもしっかり計上してヌケモレをチェックした、資産負債も関連帳票と合わせて正しい残高を確認した。これで終了、ひと安心というのはまだ早いです。というのは、これらをまとめて決算書に仕上げる作業が残っています。

 株式会社ですと、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書を作成します。NPO法人ですと、貸借対照表、活動計算書、財産目録を作成します。この他、公益法人、社会福祉法人、学校法人などそれぞれ微妙に様式は異なります。

A決算書は会計基準という財務諸表作成のルールに作成方法、様式などが規定されている

 これらの決算書は、すべて会計基準という財務諸表作成のルールに作成方法、様式などが規定されています。株式会社ですと企業会計原則等、NPO法人ですとNPO法人会計基準がそれに該当します。

 すべての法人はこうした会計基準に基づき作成しなければなりません。何を当たり前のことを言っているのだと叱られそうですが、NPO法人に限って言えば、「えっ、本当に会計基準を見ている?」とつい口走ってしまう決算書が少なくありません。

 先日、ある市の所轄のNPO法人の決算書を見る機会があり、NPO法人会計基準に基づいた財務諸表をどれくらい作成しているかについて、確認するお手伝いをさせていただきました。結果は、期待したものとは違っており、残念ながらNPO法人会計基準の普及はまだまだだと実感しました。

 もちろん、NPO法人会計基準が公表されて少しずつではありますが、適正な財務諸表が作成している団体もあり、着実に増えているなということも実感しました。今後、この会計基準を適用して適正な財務諸表を作成するにはどうすれば良いのでしょうか。

B適正な財務諸表を作成するためのポイントはトップの意識がすべて

 まずは、トップが会計について、財務諸表について関心を持つことです。ご自身の団体の決算を公表するのを義務付けられているのですから、いろいろな人が見ています。もちろん、私も見ています。

 団体の活動を会計情報に示したものが決算書ですから、活動結果が正しく決算書に反映され、読み手にわかりやすく公表することは自らの説明責任を果たすとともに、団体の活動のアピールにも使えることを意味します。

 そうすると、たとえば、団体の事業は通常複数実施していますので、最低限、どの事業にどれだけ使ったのかを示す「事業別の事業費の内訳又は事業別損益の状況」を注記することは必須です。
これにより、団体の活動状況や規模をある程度知ることができます。

 ですが、こうした注記情報は多くの団体で公表されていません。考えられる理由としては、内部で作成しているが公表していない、あるいはそもそもこうした注記情報を記載する必要があることを知らないです。おそらく後者の方が圧倒的に多いと思います。

 トップはしっかりした決算書を作成するのだという認識があれば、後は方法だけです。自前で作成するのであれば、担当者にNPO法人会計基準のことを勉強してもらう、中間支援NPO法人の会計研修に参加する、自前が難しい場合は、NPO法人会計基準に詳しい会計事務所に委託するなどがあります。

 いずれの方法を選択するとしても、あくまで主体はご自身の団体であり、これをまったくの人任せにしないことが大事です。ご自身の団体のことは責任を持って決算書を作成し公表するのだという意識をしっかり持っていただきたいと思います。
 
失敗しないデザイナーの選び方 そのG「小さな仕事依頼で相性を確認する」[2016年04月02日(Sat)]
こんにちは、小さなNPOをデザインで応援している林田です。デザインを活用したいNPOのために有用なノウハウをまとめましたので、共有させていただきます。

失敗しないデザイナーの選び方
「予算も確保できたし、デザイナーに依頼したいけれど、どうやって探せばいいの?」
そんな時に押さえておきたいポイントを何回かに分けてお伝えしていきます。

金額が高いからといって、満足のいくデザインが仕上がるとは限りません。“こんなはずじゃなかった!”というマッチングの悲劇を避けるためには、どのような点に気をつければいいのでしょうか。

そのG 小さな仕事依頼で相性を確認する
デザイナーと仕事をする上で「相性が合うかどうか」はとても重要です。
相性が合うか分からないのに、ボリュームが大きいものや、納期が短いものをいきなり依頼する際は、注意が必要です。
印刷物であれば、チラシやポストカード、名刺など。Webであれば、小さなバナーやFacebookページのヘッダー、ブログのカスタマイズなど。小さな仕事で相性があうか、様子を見てみましょう。

例えば、こちらがつくりたいもののテイストを、丁寧に汲み取ってくれる力量があるかどうか。
小さな仕事でも、手を抜かず気を抜かず、精一杯取り組んでくれるかどうか。
最初の仕事のやりとりで、そのあたりを探ってみましょう。


これまでの記事
@ 自分たちのつくりたいイメージに近い制作実績があるかどうか
A NPOなど公益組織の実績があるかどうか
B 価値観や相性が合うかどうか
C 制作予算の折り合いがつくこと
D レスポンスが早い、もしくは返事をしっかり返してくれる
E 横のつながりで紹介してもらう
F スケジュールや忙しさの状況を把握する
公会計の活用についてその2[2016年04月01日(Fri)]
2016年4月1日(金)
 おはようございます。今日から新年度の始まりです。と言っても週末なので、あまりそんな感じはしないですね。今朝は出張先の徳島から投稿しています。あいにく雨ですが、今日も元気で行きましょう。

(要旨)
@予算の世界で動く団体には公会計情報がなくても困らない
A会計の知識や経験を持つ人が少ない
B会計に関心を持って活用するためにはどうすればよいか

 さて、本日のテーマは「公会計の活用についてその2」です。前回、非営利団体はそのほとんどが公会計情報を活用できていないことをお伝えしました。その理由としてはいくつかあります。

@予算の世界で動く団体には公会計情報がなくても困らない

 団体の活動は予算の編成を起点に動きます。すなわち、予算を策定し、それを執行するのです。行政叱り、公益法人など非営利法人もしかりで、予算の策定が最重要事項であり、これがないと事業を行うことができません。

 予算の世界は現金主義の世界です。お金の入りと出で構成されます。いくら収入があり、それをどのように使うかがわかれば良いのです。団体にいくら資産や負債があり、現金の収支を伴わない減価償却費など、非資金費用がどれくらい発生するかは直接関係ありません。

 こうした発生主義の世界の収益や費用がわからなくても、現金の収支さえ勘定が合えば、それで予算の目的が達成されるからです。なくても困らないものを誰も積極的に使いません。そこに経営判断の情報として活用するインセンティブが働かないとも言えます。

A会計の知識や経験を持つ人が少ない

 予算の世界で動く人にとって、会計情報がなくても困らない前に、そもそも会計に対する知識や能力を持つ人が少ないです。人は必要に迫られないと勉強しませんので、その人の能力以前の問題として、会計に対する関心が少なく、また、会計を使う機会が少ないことも要因の一つです。

 よく、会計ってわからないとか、細かいことを難しく言うので、すっと入りにくいとか、いろいろ言われる方もいらっしゃいます。そうすると、会計に対する食わず嫌いから、どうしても敬遠しがちになります。

 会計に対する理解や経験が乏しいと、その使いみちや活用方法についてまで関心が行きにくいので、後回しになってしまうのです。

B会計に関心を持って活用するためにはどうすればよいか

 では、どうすれば会計に関心を持ってもらい、会計を活用しようという気になるのでしょうか。一つは、団体の活動について、会計情報を利用する多様な関係者、たとえば、住民、金融機関、取引先、政府などが予算執行のみの会計情報だけではわからないと声を大きくすることです。

 実際、自治体や非営利団体の会計情報をどれくらいの方々が関心を持って見ているのでしょうか。穿った見方をすれば、あえてそのようにしているのでは思える情報開示の団体もあります。

 組織で人の金を使って活動する以上、説明責任を果たす必要があるのは当然のことであり、それができていないのであれば、もっと説明責任を果たせと会計情報の利用者が声を上げなければなりません。

 この点、自治体にも平成29年度から財務諸表の作成が義務付けられ、一定の会計情報を開示することが求められます。非営利団体はすでに概ね、財務諸表の公表を義務付けられています。これにより、いやでも会計に対する知識や経験が少しづつでも蓄積することが期待されます。

 もう一つは、内部で会計情報を使うメリットを受けることです。予算の策定の際に、事業のトータルコストや資産負債情報を把握することをセットにしたり、民間企業では普通に行っている経営判断に資する管理会計に活用したりすることです。

 内部で活用するメリットを感じることができると、会計情報が案外使えることがわかりますので、ではこれを使ってみよういうインセンティブが働きます。先進的な自治体や団体では、積極的に公会計情報を活用する事例も出てきています。

 こうした取り組みにも是非とも注目して、ご自身の団体でも会計情報の活用について、一度検討されてみてはいかがでしょうか。このブログでも、良い事例はどんどん紹介したいと思います。まずは、使ってみてくださいね。

  
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