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非営利法人の想いをカタチにするお役立ち情報
非営利法人の事業継続と経営基盤強化に役立つ情報について、公的機関20年の実績ある会計士の経験・ノウハウをお伝えします。
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リスク・アプローチの手法について(2)[2016年04月29日(Fri)]
2016年4月29日(金)
 おはようございます。今朝は少し気温が低いですが、天気は良さそうです。近くの小学校のスポーツフェスティバルのお手伝いに行ってきます。全国的には連休に入りましたね。行楽日和でお出かけの方も多いのではないでしょうか。特に予定入れていませんが、家族でご飯を食べに行くことはしようと思っています。今日も元気で行きましょう。

(要旨)
@重要性の原則の適用とは
A金額的重要性とは金額で重要か否かの判断を行う考え方
B質的重要性とは科目や内容で重要か否かの判断を行う考え方

 さて、本日のテーマは「リスク・アプローチの手法について(2)」です。前回、リスク・アプローチとは何かということをお伝えしました。監査の手法として、重要な項目に焦点を当ててしっかりチェックする手法ということをお話ししましたね。今回から、リスク・アプローチの手法を取り入れる際に、関連する事項をいくつかお伝えしたいと思います。

@重要性の原則の適用とは

 財務諸表監査では、重要な科目は詳細に時間をかけて監査をしますが、重要でない科目は簡便な方法でも容認されています。

 元々は、財務諸表を作成する際に、重要な科目は会計のルールで規定される方法で会計処理や表示をしますが、そうでない科目は簡便な処理や表示が容認されるという理屈を監査に応用したものです。

 これを重要性の原則と言います。これは実社会でもいろいろな場面で実際に行っていますので、わかりやすい考え方だと思います。この重要性の原則は、金額的重要性と質的重要性に分かれます。

A金額的重要性とは金額で重要か否かの判断を行う考え方

 財務諸表の作成において、金額的重要性は、文字どおり金額で重要か否かを判断することを言います。前回のトヨタの例で言いますと、売上高20兆円の会社で、1億円くらい売上の計上が間違っていたところで、大勢に影響はありませんよね。

 あるいは、最近、プリウスの新車販売の広告宣伝がネット上でも良く見ます。この広告宣伝費が1000万円くらい多く計上されていてもたいしたことはないですね。

 このように、その会社にとって、いろいろな科目や財務諸表全体にとって、どれくらいの金額が重要性があるかどうかを決めて、財務諸表を作成する際の会計処理や表示を行うことを言います。

 したがって、トヨタの例でもわかりますように、金額的重要性が会社の規模などによって変わります。売上高が10億円の会社であれば、1億円は相当大きい金額ですので、その会社にとっては重要性ありということになります。

B質的重要性とは科目や内容で重要か否かの判断を行う考え方

 一方、財務諸表の作成において、質的重要性は、科目や内容で重要か否かの判断を行う考え方です。たとえば、役員報酬はその会社の役員の人件費ですが、会社の経営を行う役員にどれだけ支払っているかは結構注目度が高いです。

 そうすると金額の多寡に関係なく、この科目が適切に会計処理と表示がされているか、あるいは法律に違反していないかなどを確認することが必須になります。金額が少なくとも、そういう処理をするのは、もし、間違っていたりすると影響が大きいからです。

 このように、質的に重要な影響を与える科目や事象については、必ず適切な対応をするということは重要な考え方です。金額だけでは判断しないということですね。これも、会社にとっての質的重要性ですので、会社によってその内容は変わります。

 以上、財務諸表の作成にかかる重要性について、お伝えしました。これを監査、とりわけ、自治体や非営利法人の監査に際して、どう適用するのでしょうか。次回に続きます。
 

 
貴法人の経営管理の仕組みと運用はきちんと回っていますか[2016年04月28日(Thu)]
2016年4月28日(木)
 おはようございます。本日が4月の実質的な業務の最終日ということになりました。早くも4月は終わりでいよいよ連休に突入です。各地でいろいろなイベントが企画されていますが、まったく何も予定しておらず、どうして連休を過ごそうかしらんとは思案してはいません(笑)。たまりまくった書類や資料の整理などで、あっという間に終わるかもしれませんね。今日も張り切って元気に行きましょう。

(要旨)
@経営管理とは法人のヒトモノカネ情報を回すこと
A経営管理にたずさわる人の意識の狭間には何がある
B法人の未来に向けて共通の目的や目標を共有し、実行する

 さて、本日のテーマは「貴法人の経営管理の仕組みと運用はきちんと回っていますか」です。前回までビジョンやミッションの共有、ビジネスモデルやターゲット顧客の設定、情報共有や情報発信の仕組みと運用など、いくつか経営に関する項目を取り上げてきました。今回は、その集大成として経営管理といういうテーマで、お伝えしたいと思います。

@経営管理とは法人のヒトモノカネ情報を回すこと

 経営管理とはどういうことを言うのでしょうか。学問的にはいろいろな定義があるのでしょうが、平たく言うと法人の目的を達成するために、ヒトモノカネ情報を回す仕組みと運用をすることではないでしょうか。

 これまで取り上げてきた事項は、その経営管理を行うための要素といえます。法人の目的を達成するために必要不可欠なものですね。もちろん、法人によりこれらの要素のウェイトは様々でしょうが、いずれもないと困り、上手く経営が回っていかないものです。

A経営管理にたずさわる人の意識の狭間には何がある

 この経営管理を行うのに、どうすれば効率的効果的にヒトモノカネ情報を回せるのでしょうか。また、法人に関わる人たち、内部であれ、外部であれ、トップであれ、末端であれ、その関係者は何を重視して経営管理を行うのでしょうか。

 こうした法人の経営管理にたずさわる人の意識は一様ではない中で、その中心となるのは、やはり法人のビジョンミッションであり、その経営目的になるのではないでしょうか。

 すでにいろいろなところでお伝えしてきたビジョンミッション、目的の達成に向けて法人に集まる多様な人々の力を結集する。つまるところ、これに尽きると思います。いろいろな関係者の力をこの錦の御旗のもと、フラッグをつけてこの指とまれ、というところでしょうか。

B法人の未来に向けて共通の目的や目標を共有し、実行する

 経営管理は、組織であれば、規模の大小や形態を問いません。いかに考えや意識の異なる他人と同じ方向性に向けて活動するか、法人の未来に向けて共通の目的や目標を共有し、法人に集まるヒトモノカネ情報を回せるかにかかっています。

 そして法人の共通の目的や目標を共有し、実行するために必要なものを仕組化し、運用していく。その過程でいろいろな問題や悩みが発生するでしょう。 ロスも発生するでしょう。それでも、法人の未来を描く共通の目的や目標があり、それを常に確かめつつ活動していく。

 法人の目指すところに、その関係者がどのような立ち位置で役割を果たしていくのか、組織と個人の関わり合いも決まってくるように思います。今回は、至極当たり前のことしか書けませんでしたが、今後も愚直にこのことを追求して行き、そのための情報発信を続けたいと思います。
小規模補助金の申請にかかる留意点とは[2016年04月27日(Wed)]
2016年4月27日(水)
 おはようございます。昨日、地域の活動のお世話をしている指導者から、29日に開催される地元の小学校のスポーツフェスティバルのお手伝いの連絡がありました。毎年、この時期は一つのイベントになっています。子供が小学校の時にソフトボールチームに入ったことがきっかけです。焼きそばを作るなどなかなか楽しいですよ。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
1.小規模補助金における経営計画書の申請にかかるポイント
2.小規模補助金における経営計画書の申請にかかるポイントその2
3.小規模補助金における補助事業計画書の申請にかかるポイント

 さて、本日のテーマは「小規模補助金の申請にかかる留意点とは」です。前回、補助金公募に採択される場合の要件についてお伝えしました。形式的要件や申請書の内容について簡単に紹介させていただきました。

1.小規模補助金における経営計画書の申請にかかるポイント

 今回は、小規模補助金とものづくり補助金について、もう少し深堀をしていきます。まず、小規模補助金ですが、メインは経営計画書と補助事業計画書です。経営計画書は事業者がどのような事業を行っているかを総括的に記載するものです。

 具体的には、企業概要、顧客ニーズと市場の動向、 自社や自社の提供する商品・サービスの強み、経営方針・目標と今後のプランを記載します。このうち、自社や自社の提供する商品・サービスの強み、経営方針・目標と今後のプランが重要です。

  自社や自社の提供する商品・サービスの強みは、よく言われるSWOT分析を行います。事業を行う際に、外部環境や内部環境を自社の強みや弱みを把握し、事業環境の変化に対応した商品・サービスを提供する時に、他社とどこが違うのか、その優位性や差別化の要因を考えます。

 そして、その優位性や差別化の要因をできるだけ説得力のある事実や数値でもって説明していきます。ここでは、説得性が最も重要です。もちろん、客観的な数値や事実があるに越したことはないのですが、実はこれが案外難しい。

 実際に人に言える差別化や優位性があるのだろうか。そしてそれを上手く人に伝えられるのだろうかと不安になるのは普通の感覚です。これが簡単にできるのであれば、何の苦労もありません。ですが、実際はうーんと考え込む方が多いのではないでしょうか。

 そこで、主観的であっても、これまで経験したことや自分のこの事業に賭ける熱い想いをストーリー仕立てで文章にしていく。これを何度も何度も推敲する。そうして読む人がなるほどと思えてくればしめたものです。そこには申請者の意気込みを感じることができるからです。

2.小規模補助金における経営計画書の申請にかかるポイントその2

 次に、経営方針・目標と今後のプランです。事業者のそもそもの経営方針は事業の核になるところですが、それが今回の事業とどのように関連付けられているか。また、それを今後、どう計画実行していくか。具体的には、その経営方針や目標を実現させる行動計画と実施時期を記載します。

 事業に賭ける熱い想いを達成するための行動計画をいつどう実施するのかについて、しっかりと記載されていることが必要です。これは経営方針や目標が明確であれば、後はそれを実行に移すだけなので、比較的記載しやすいと思います。

 ここら辺りはあくまで計画です。申請書を各時点と実際に行動する時点が一致することが望ましいですが、そこは計画ですので変更はありです。ですので、経営方針や目標との関連性がある程度説明できれば、細かな部分の文言にとらわれなくても良いと思います。

3.小規模補助金における補助事業計画書の申請にかかるポイント

 補助事業計画書は、具体的には、補助事業で行う事業名、販路開拓等の取組内容、補助事業の効果を記載します。補助事業で行う事業名は30文字の制限がありますので、短いキャッチコピーを考える必要があります。それからメインは販路開拓等の取組内容です。

 小規模補助金は事業者の販路開拓や新規顧客の創出を狙ったものなので、事業者の経営計画において、販路開拓や新規顧客の創出を計画に落とし込む必要があります。たとえば、チラシを作成するとしても、どんな方法で人とは異なる取り組みをするのか、何を工夫して行うのかを具体的に記載します。

 これにより、事業者の経営計画を達成するためにこの補助事業があり、その実施方法が明確であるが故に、計画が達成できてその効果を見込めるという流れができます。つまり、この経営計画と補助事業計画がリンクしており、整合性が取れていることが求められます。

 以上、小規模補助金の申請にかかるポイントをお伝えしてきました。この辺は、実際に書いてみて初めて実感できることと思います。未確認情報ですが、この小規模補助金も従来はダメだったNPO法人も参加できるようになるとのことです。一度、トライしてみてはいかがでしょうか。
役職員の役割分担と法人のベクトル合わせとは[2016年04月26日(Tue)]
2016年4月26日(火)
 おはようございます。今朝も徳島からの投稿です。徳島では早い所ではもう田植えが済んでいます。4月に田植えが終わっているとは少しびっくりです。地域によっても田植えの時期は違いますが、こんなに早い所もあるんですね。子供の時に習った二毛作はしていないようですが、お盆前に収穫するとのことです。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@役職者の役割は肩書にあらず、その機能にある
A役職者の役割と肩書が一致していない場合の対応
B法人の方向性との関係を常に意識した役割分担を考える

 さて、本日のテーマは「役職員の役割分担と法人のベクトル合わせとは」です。前回まで、役員会、理事会等の活性化のポイントを2回にわたり、お伝えしました。その中で、役員会、理事会等の参加者における役割分担についても触れました。今回は、その役割分担をもう少し掘り下げたいと思います。

@役職者の役割は肩書にあらず、その機能にある

 団体のトップから末端の職員まで、団体の運営が機能するためにはそれぞれの役割が定められています。トップはトップの役割、幹部職員は幹部職員の役割、末端の職員は末端職員の役割があります。

 このそれぞれの役職者の役割と肩書は本来、一致していることが前提です。ですが、必ずしも一致しているとは限りません。トップの肩書があるにもかかわらず、その役目をはたしていない場合、逆に一職員なのに経営者の目で動き、一目を置かれている場合など、普通にあります。

 もちろん、肩書が人を作ることもありますので、最初はその役目を果たしていなくても、段々と様になってくることも大いにあります。肩書が人を育てる典型ですね。こうしたうれしい誤算がある一方、それとは逆の動きの場合は困った誤算ですね。

 いずれにしても、役職者の役割と肩書が一致しないことには、組織としての運営に支障をきたすことになります。その求められる役割が機能していないからです。

A役職者の役割と肩書が一致していない場合の対応

 では、役職者の役割と肩書が一致していない場合はどうすればよいのでしょうか。求められる役職者の役割にもよりますが、基本、当該役職者に対して、周囲の意見を促してその意見を取り入れ、改善の行動をすべく自覚に委ねることになると思います。

 それですぐに反応してくれると良いのですが、その反応の仕方は様々です。反応が良くなるまで何度も粘り強く話し合いの機会を持ち、成長する過程を共有することが必要です。団体が目指す方向性を確認し、その方向に向けた役割を追求することになります。

 それでも、反応しない場合は、場合によってはその役職から一端、外れることを検討することも考えられます。その辺は、団体の個別の状況の中で、何が本人にとってベストな選択かを良く考えたうえで、判断することになると思います。

B法人の方向性との関係を常に意識した役割分担を考える

 役職者の役割分担は、つまるところ、法人の方向性に向いた機能を果たしているかが問われていると考えます。その人の能力もさることながら、法人のベクトル合わせができている役割が求められるのです。

 法人のベクトル合わせができている団体は強いです。何故なら、法人の方向性が明確であり、その方向性にそれぞれの役割をはめ込み、行動し、評価できるからです。法人の方向性に求められる役割を共有化しているので、役割の軸にブレがありません。それによりそれぞれの役職者の貢献がはっきり見える化できるのです。

 こうした法人の方向性との関係を意識した役割分担ができているか、その役割がしっかりと団体内で共有化できているか、そしてその役割で評価され、組織に適材適所に必要な肩書で構成されているか、一度、ご自身の団体で振り返って見られたらいかがでしょうか。

 
役員会、理事会等に会計情報をどのように報告していますか[2016年04月25日(Mon)]
2016年4月25日(月)
 おはようございます。今朝は徳島から投稿しています。先週の土曜日に、神戸で自民党の議員団がNPO法人の声を聴く会があり、これに参加してきました。素直な感想は、政治家も案外、NPOのことを知っている人がいるのだということと、やはりNPOはビジネスモデルとして、財源に苦戦している団体が多く、これを企業の寄附戦略(CRM)でカバーできないかをあらためて考えさせられました。これについては、別の機会にお伝えしたいと思います。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@月次決算による会計情報の報告の仕方は?
A会計情報は現場の情報とセットで報告する
B経営基盤の強化にぜひとも会計情報を上手く活用しよう

 さて、本日のテーマは「役員会、理事会等に会計情報をどのように報告していますか」です。月次決算の重要性とその活用方法については、すでにお伝えしました。
https://blog.canpan.info/kin-cpa/daily/201604/11
https://blog.canpan.info/kin-cpa/daily/201604/18

@月次決算による会計情報の報告の仕方は?

 こうした月次決算や年次決算などの会計情報を役員会、理事会等にどのように報告していますでしょうか。関連情報と併せてしっかり定期的に報告している、試算表をもとに簡単に口頭で報告している、試算表を渡すだけ?団体により様々だと思います。

 月次決算による会計情報は役員と現場を繋ぐ重要な情報です。規模の小さな団体では役員自らが現場で活動していますので、現場での感覚はもちろんあります。ですが、その活動結果がどうであったのかは、月次決算をしてその結果を確認することは必要です。

 これが規模が大きくなると、役員はどんどん現場から遠ざかりますので、担当者から実際の活動について会議等で間接的に聞くことになります。その際に数値で確認するには、やはり月次決算による会計情報が重要となります。

A会計情報は現場の情報とセットで報告する

 こうした月次決算による会計情報は、現場の情報とセットで報告することが必要です。会計情報自体は数値にすぎませんから、その数値に意味を持たせるのは現場の情報だからです。役員の中には、会計に明るくない方も相当いることでしょうから、数値だけですと無味乾燥で現場の雰囲気が伝わりにくいと思います。

 では、どのような現場の情報があれば良いのでしょうか。それは現場には実際の活動の動きがありますので、それを拾えば良いのです。たとえば、施設の管理運営をしている団体であれば、毎日の利用者数や男女、年齢層、利用料金、部屋の稼働時状況などがあります。

 介護事業をしている団体であれば、利用者数や男女、年齢層、利用料金、利用サービスの種類と利用頻度などがあります。これらは年次決算で事業報告書に記載しているはずですから、活動の実態を示す情報はいくらでもあります。

 こうした活動の実態を示す非財務情報と会計情報をセットで示すことで、活動の結果としての会計情報を正確に把握することが可能となります。

B経営基盤の強化にぜひとも会計情報を上手く活用しよう

 このように、会計情報を非財務情報とセットで活用することで、活動の実態を把握することができ、次の行動に適切な示唆を与えてくれます。役員間だけでなく役員と担当者との間で情報共有化に資するとともに、経営のベクトル合わせをすることができます。

 ですが、こうした会計情報の活用について、なかなか思うように進んでいない団体が多いのではないでしょうか。繰り返しになりますが、規模の大小にかかわらず、役員会、理事会は開催されますので、そこに必ず会計情報を織り込むことによって、活動の進捗と実態を把握することができます。

 会計情報の使い方はつまるところ、団体の経営ポリシリーの問題です。その意識の差が経営の巧拙に直結します。いつも言っていることですが、団体のビジョンミッションを達成するためにも、日常のルーティンの活動をいかにしっかりと積み上げていくか。

 この地道な活動の積み重ねが団体の事業継続と経営基盤を強化する唯一の方法と考えています。時間のある時に、一度会計情報の役員会、理事会等の報告の仕方をじっくりと考えて見られてはいかがでしょうか。 
  
NPOのノンデザイナーにお勧めしたい!デザインの基礎が学べる厳選スライドB[2016年04月23日(Sat)]
こんにちは、小さなNPOをデザインで応援している林田です。デザインを活用したいNPOのために有用なノウハウをまとめましたので、共有させていただきます。

「デザインソフトを手に入れたけれど、なかなかいい仕上がりにならない」
「お金をかけず、できるだけ自分たちでデザインしたい」

そんな思いを抱く代表者の方や、事務局長の方、多いのではないでしょうか。

今は安価にデザインソフトが購入でき、技術的に分からなければすぐWebで調べることもできる、ノンデザイナーにとっていい時代になりました。

「デザインの学校を出ていないけれど、それなりのものを作りたい!」という方のために、デザインの基礎をさくっと学べるスライドをご紹介します。


B ノンデザイナーのための「デザインの判断」はとりあえずコレだけおさえよう


デザイナーのSasaki Kouheiさんによるスライドです。
自分のデザインが、あるいは他の人がつくったデザインが「いいかどうかわからない」という時に、レイアウト、書体、ロゴ、色、写真といった各ジャンルごとで確認すべきポイントがまとめられています。
リスク・アプローチの手法について(1)[2016年04月22日(Fri)]
2016年4月22日(金)
 おはようございます。今朝は少しどんよりしています。春の天気は変わりやすく、安定しません。天気の良い日が2日と持たないことが多いです。週末はどうでしょうか。さて、監査は全国的にはすでに繁忙期に入っています。上場会社は言うに及ばず、学校法人などの非営利法人も決算を経て監査を受けます。この時期は忙しすぎて体調を崩しやすいので、注意が必要です。今日も元気で行きましょう。

(要旨)
@リスク・アプローチって何?
A精査と試査とは?
Bリスク・アプローチの手法とは重要な項目に焦点を当ててしっかりチェックする手法

 さて、本日のテーマは「リスク・アプローチの手法について(1)」です。前回まで、公監査の活用についてお伝えしてきました。では、実際にどのような監査をしているのでしょうか。ここでは、自分の経験がある監査委員監査を中心にして、しばらくリスク・アプローチの手法についてお伝えしようと思います。少し、テクニック的な話になるかも知れませんが、できるだけ平易にお話しするように努めたいと思います。

@リスク・アプローチって何?

 リスク・アプローチとはいったい何でしょうか。これは、もともと民間企業の財務諸表監査で言われる監査の方法です。小さな会社なら、すべての取引や勘定残高をチェックすることは、それほど難しくありません。あまり時間をかけずに全部を見ることが可能です。

 これが、大きい会社だとどうでしょうか。たとえば、日本を代表するトヨタを想像してみてください。年間売上高20兆円を超えるメガ企業です。トヨタでも、いきなり20兆円になる訳ではありません。日々の何千何百という取引の積み重ねの果てがここまで巨大な金額になるのです。

A精査と試査とは?

 これらの取引を限られた時間ですべて見ることは可能でしょうか。どう考えても物理的に無理ですよね。全部の取引を見るのを監査の用語で精査と言いますが、これに対して一部の取引を見るのを試査と言います。全部の取引を見れない以上、この試査という方法で見るしかありません。

 そこで、この売上高をもう少し細分化していくと、比較的大きな売上を計上している地域とそうでない地域があります。あるいは、車種で見ていくと売上の大きい車種とそうでない車種があります。つまり、重要な地域や車種の売上とそうでないものに区分できます。

 そうすると、比較的大きな売上を計上している地域や売上の大きい車種をチェックして特に問題なければ、それ以外の地域や車種の売上もたぶん大丈夫だろうという推定が働きます。もちろん、まったく何も見ないという訳には行きませんが、それでも限られた人員を重要な項目に監査に充てることができます。

Bリスク・アプローチの手法とは重要な項目に焦点を当ててしっかりチェックする手法

 少し説明が長くなりましたが、リスク・アプローチとは重要な項目にはそれ相応の財務諸表が正しく表示されないというリスクがあるため、たっぷりと人と時間をかけて監査をしますが、重要でない項目にはそれほど人と時間をかけて監査をしなくても良いという監査の手法であることをイメージしていただけると思います。いわば監査にメリハリを付けるということですね。

 財務諸表監査では、財務諸表が適正に表示されているかを証明するものですから、万一、不正や虚偽の表示がされると多くの関係者に損害を与えることになります。これを防ぎ、安心して企業の財務諸表を信用して取引ができるようにするのが監査の役割です。

 このように、監査をする際にリスク・アプローチを適用することによって、大企業でも監査をすることが可能となります。

 財務諸表を作成する際に、どこにどんなリスクがあり、そのリスクを少なくしてその部分は詳細に時間をかけて監査をするリスク・アプローチ手法は、自治体や非営利法人にどのように適用されるのでしょうか。次週以降に続きます。
 
貴法人の情報発信の仕組みと運用はきちんと回っていますか[2016年04月21日(Thu)]
2016年4月21日(木)
 おはようございます。最近、日々の業務にかまけてNPO法人との接点が少ないなと感じています。その反省を込めて、今週の土曜日に神戸で自民党の公益法人・NPO等特別委員会のセミナーが開催されますので、参加してきます。政党とNPO法人との関係は、休眠預金の取り扱いなどでにわかにクローズアップされていますが、新しい情報があれば収集したいと考えています。今日も張り切って元気に行きましょう。

(要旨)
@団体における情報発信の手段や頻度は様々
A情報発信の手段や頻度について戦略的に実施しているか
B効果的な情報発信は常に仮説を立ててPDCAの中で検証を繰り返す

 さて、本日のテーマは「貴法人の情報発信の仕組みと運用はきちんと回っていますか」です。前回、「貴法人の情報共有の仕組みと運用はきちんと回っていますか」というテーマで、フォーマルとインフォーマルの間で情報の共有化の仕組みが回っているかを点検することをお伝えしました。

@団体における情報発信の手段や頻度は様々

 団体における情報発信の手段や頻度は様々です。会報誌や事業報告書などの紙の媒体は定期的に行われています。勉強会やセミナーなどの現場における活動はその都度実施されています。新聞雑誌書籍ラジオなどのメディア系はその都度でしょうか。そしてWEBを使った各種ネット系などは時と時間を選ばずに実施するなど多くの方法と時期があります。

 特に、現在はネットの時代ですから、ホームページは言うに及ばず、ツイッター、ブログ、メルマガ、フェイスブック、果てはユーチューブ動画など、本当に多くの種類がありますね。これらの手法を使いこなすには、それ相応の技術だけでなく、時間とコストがかかります。

A情報発信の手段や頻度について戦略的に実施しているか

 こうした情報発信の仕組みは多くありますが、どうすれば法人の熱い想いやビジョンミッションをターゲットとする読者に効果的効率的に提供できるか、その戦略と戦術が重要になってきます。相手に届いて初めて意味を持ちます。

 何故なら、NPO法人など非営利法人は多くの関係者、潜在的な関係者を含めてその多様な資源を引き出し、共感と協力が求められるからです。そのためには、ターゲットとする読者に響く情報発信を戦略的戦術的に考え実行するという仕組みが必要です。

 たとえば、よく言われるのはペルソナの設定です。団体が一番届けたい相手として、具体的な人物を設定し、その相手に何をどのように伝えるのか、どうすれば相手に響くのか、その効果的な手法とタイミングは何かなどドンドン掘り下げていきます。

B効果的な情報発信は常に仮説を立ててPDCAの中で検証を繰り返す

 そうすると、ターゲットとする情報発信する相手が明確になってきますので、後はどんな手法で行うのが良いか、その組み合わせは何が効果的かを考え、実行することになります。その手法はいくつもあり、ベストプラックティスを求めて団体の中で議論され、決めていくことになります。

 これらの手法は一様ではありませんし、その組み合わせも多種多様です。その中で、団体が持っているリソースを使って実施されます。その際、肝心なことは団体がしっかりと情報発信する仕組みを戦略的に考え、それを実行して効果があったのかどうかを検証確認することが必要です。

 既存の読者であれば、アンケートをして反応を見るのも良いでしょう。潜在的な読者であれば、たとえばセミナーを企画し、参加者人数の目標を設定してその結果を確認することも良いでしょう。また、先進的な情報発信をしている団体をじっくり研究してみるのも良いでしょう。

 この辺は、何が正解であるかはわかりませんので、試行錯誤の中で情報発信の良しあしを日々点検確認するしかありません。これを反復することで、だんだんと団体なりの情報発信の戦略や手法が確立されてくるのではないでしょうか。

 ぜひ、ご自身の団体で情報発信の仕組みと運用がきちんと回っているか、ご確認ください。そうして、それが十分でないとすれば、改善の方向性を探ってみてはいかがでしょうか。
 

 
補助金公募に採択される場合の要件は何[2016年04月20日(Wed)]
2016年4月20日(水)
 おはようございます。ここ数日は鼻炎に悩まされています。私の場合はいわゆる花粉症そのものでなく、季節の変わり目の温度の変化が大きいときや、ハウスダストなどが多い場合になりやすいのですが、一度鼻炎の症状が出ると薬を飲まないと終日調子がすぐれません。朝から少し憂鬱ではありますが、今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
1.採択されるポイントは形式的要件をすべて満たす
2.補助金申請するに至った動機や背景を明確に記載する
3.事業者のビジョンミッションを具現する経営計画の説得性、独自性や革新性を説明する

1.採択されるポイントは形式的要件をすべて満たす

 さて、本日のテーマは「補助金公募に採択される場合の要件は何」です。前回、補助金・助成金の全体像についてお伝えしました。補助金・助成金の違いとか、ものづくり補助金、創業補助金と小規模事業者持続化補助金について、簡単に紹介させていただきました。

 この補助金は、助成金と違って申請しても採択されなければ意味がありません。経産省が出す予算には限りがあり、応募者が多いので、審査に通らなけれないけません。要領を見ると審査のポイントが記載されており、その項目に従って採点されます。まあ、大学受験みたいなものですね。

 では、どうすれば採択されるのでしょうか。まずは、形式的要件をすべて満たすことです。要領にしたがって、申請書を作成するのですが、案外、要領通りの記載になっていないことがあります。また、CD−Rなど要求される添付資料を付けていない場合があります。

 こうした形式的要件が満たされていないと、そもそも採択の土俵に乗りません。せっかく良い内容であったとしても、勝負する前から負けています。相手はお役所ですから、この形式的要件に情状酌量の余地はありません。揃っていない段階でアウトです。

 ですので、当たり前のことですが、申請書を出す前には何回もチェックすることが必要です。これで間違いないか、要件はすべて満たしているかなどチェックリストなどを使って点検することが求められます。

2.補助金申請するに至った動機や背景を明確に記載する

 次に、内容に入ります。すべての補助金に共通するのですが、何故、補助金申請するに至ったのかという動機や背景を明確に記載することが必要です。そこには、事業者の熱い想いであるとか、この事業を行わなければならない動機があるはずです。

 その動機や背景を物語風、すなわちストーリーにして絵が描けるかどうかが重要です。審査担当者になるほどと思わせるストーリー、それは独りよがりではなく、第三者が見てもうなづくことができる説得性が求められます。

 こうした事業者の動機や背景は、実は事業者のビジョンミッションと密接に関係しています。普段から自らのビジョンミッションを考えて事業を行っており、その過程で財源の一つとして補助金を活用する。

 逆に、補助金欲しさにビジョンミッションを考えるのは本末転倒であり、付け焼刃の動機や背景では、案外審査担当者にも見透かされるのではないでしょうか。

3.事業者のビジョンミッションを具現する経営計画の説得性、独自性や革新性を説明する

 そして、経営計画の中身です。補助金申請をする事業が事業者のビジョンミッションを具現するものであり、その実施可能性が問われます。本当にこの事業を実施できるのかについて、いかに説得力のある説明になっているかが重要です。

 そのためには、誰をターゲットにして財・サービスを提供するのかについて、そのニーズを捉え、市場調査を行い、事業の実施体制、経営計画の数値目標、事業のビジネスモデルが明確であることが求められます。

 そして、採択されるには、他の応募者と競争して勝つための独自性や革新性が記載されている必要があります。審査担当者は多くの申請書を見ていますので、何か他者と異なる切り口であるとか、ユニークさのある申請書を評価します。

 ですので、そうした審査担当者の心理も読みながら、いわば試験に通るための申請書を作成することが求められます。この辺は、多少はテクニカルな面もありますが、採択されて初めて申請書の価値が認められます。

 こうした一連の作業は、申請書の作成を通じて、あらためて事業のビジョンミッションを振り返るとともに、採択されることで自らの事業の方向性に自信を持つことができます。さらに、返さなくてもより資金を調達できるというメリットもあります。

 補助金申請するには、要領を熟読して、いろいろな要件をクリアして行かなければなりません。もちろん、それを自分で作成することになりますが、リソースが足りない場合は専門家の力を借りることもできます。

 この補助金にトライすることは結構大きな転機になるかも知れません。一度、この補助金にチャレンジされてみてはいかがでしょうか。
 
役員会、理事会等の活性化のポイントはその2[2016年04月19日(Tue)]
2016年4月19日(火)
 おはようございます。熊本の地震が連日報道されています。私も阪神大震災を経験していますので、現地の混乱ぶりが少しは分かります。遠くにいてすぐにできることと言えば、知り合いとの連絡と募金や寄附しかありません。これからもできることをしたいと思います。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@理事会等の活性化のポイントはまずはトップが聞く耳を持つ
A役員会、理事会等に参加する役職者が経営者の意識で組織全体の観点から発言する

 さて、本日のテーマは「役員会、理事会等の活性化のポイントはその2」です。前回、組織の意思決定を行う会議体である役員会、理事会等をガバナンス及びマネジメントの面から考え、機能し、活性化するにはどうすれば良いかの問題提起をしました。

@理事会等の活性化のポイントはまずはトップが聞く耳を持つ

 私が考える役員会、理事会等の活性化のポイントはまずはトップが聞く耳を持つことです。トップは組織の総括責任者ですから、トップの持つ情報量や経営を考える時間は圧倒的に他の役職者より多いです。

 他者との関係で言えば優位に立ちますので、どうしても自分の意見や考えが優れていると思い、知らず知らずのうちに他者を圧倒してしまうことが多くなります。その時に相手の言うことを尊重して聞く耳を持てばよいのですが、力関係から結果として、相手の言うことを否定してしまうことがあります。

 そうすると相手もいくら言っても受け入れてもらえないと感じてしまい、良いヒントや考えがあっても積極的に発言しようとしないかもしれません。相手が萎縮してしまうとろくなことがありません。これは規模の小さな組織ほどその傾向があるように思います。

 一方、比較的規模の大きい組織では、役職者の役割分担や権限の委譲が行われているので、ある程度そうした弊害は少ないかもしれません。ですが、トップの権能は規模の大小にかかわらず同じですので、つまるところ、トップの姿勢、相手を尊重し謙虚な気持ちで他者のいうことに耳を傾け、聞き役に徹することができるかにかかっていると思います。

A役員会、理事会等に参加する役職者が経営者の意識で組織全体の観点から発言する

 次に、役員会、理事会等に参加する役職者の意識です。自分が組織の中にどのような立ち位置であるかは様々ですが、経営の視点で常に物事を考え、それを実行し、周りを巻き込んでいくことについてはトップと変わりません。

 その意識があれば、会議体での積極的な発言に繋がるはずです。もちろん、役割分担の中でそれを実施することになりますが、経営の意識があれば、他の部門にも関心を寄せるとともに、組織が活性化するにはどうすれば良いかを考え、それを発言することができます。

 逆に、自部門のことしか頭にない場合、経営者としての全体を俯瞰する意識が出てこないので、どうしても視野が狭くなり、組織全体からの発言が出にくくなります。よく言われるセクショナリズムの問題です。

 トップは他者と比べて優位性があるとしても、一人の人間のすることには限界があります。それを補完し、トップでは思いつかないようなことを組織全体の観点から考え、発言する。そうすると会議で喧々諤々の意見が飛び交い、最終的にはトップがとりまとめ決定する。

 いかがでしょうか。ご自身の団体の役員会、理事会等は活性化し、機能していますでしょうか。単なる報告会で終わっていないでしょうか。組織の方向性にベクトルを合せつつ、自由闊達な意見が出る組織は強いです。
月次決算の活用方法とはその2[2016年04月18日(Mon)]
2016年4月18日(月)
 おはようございます。昨日は久しぶりに近所の温泉に行ってきました。近くの温泉めぐりは数少ない趣味の一つですが、少しはゆっくりできたようです。そのしわ寄せが今朝の早朝からの作業に食い込んだため、いつもより投稿が遅くなってしまいました。時間管理ができていませんね。反省です。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@月次決算をルーティン化する
A月次決算の情報を共有化する
B月次決算のPDCAサイクルを回す体制を敷く

@月次決算をルーティン化する

 さて、本日のテーマは「月次決算の活用方法とはその2」です。前回、月次決算が団体の活動の進捗管理と経営判断に資する情報を把握するものであり、月次決算の結果をフル回転で活用する仕組みと体制が重要とお伝えしました。

 今回は、具体的な手法についてです。まずは、月次決算をルーティン化することです。この当たり前のことをするには、翌月初いついつまでに、月次決算を締めておく必要があります。理想的には翌月5日までには会計数値を確定させます。

 そのうえで、ここから重要なのですが、出てきた月次決算情報を分析します。前年度や予算との数値の比較はもちろん、そこに事業にかかる非財務情報を関連付けて、月次決算の数値の意味を把握します。

 何故、今月はこのような数値になったのか、それは当初の事業計画で設定した目標を達成しているのか、その数値の裏にある事業活動の実態を反映しているかなど、月次決算から得られる情報に団体の活動を肉付けしていくプロセスです。

 こうした月次決算の分析は、民間企業であれば普通に行っている手続きです。これを毎月実施していくと、団体の活動を月次ベースで把握する習慣が付きますので、環境の変化にもすぐに反応して、次のアクションの道筋を立てやすくなります。

A月次決算の情報を共有化する

 次は、月次決算の情報の共有化です。月次決算という共通の情報を踏まえて役職者が議論するツールがありますので、月次決算を通じて理事会や関係部署の議論が進みます。これにより、各部門は、自らの執行状況を把握して関係者に報告することになるので、いやでも自部門の活動状況を整理することになります。

 また、そうした対応を各部門が実施しますので、それぞれの動きを知ったうえで関係する部門と協働して効率的な活動をすることが可能となります。

B月次決算のPDCAサイクルを回す体制を敷く

 最後に、こうした月次決算をベースに活動することについて、すべての役職者が意識し、それに基づく行動を取る体制です。月次決算を中心にした活動と報告を団体のルールとして設定し、それを実行していくことを組織としてPDCAサイクルを回す体制を敷くことが団体の経営基盤を強化する唯一の手段となるのです。

 いかがでしょうか。月次決算は結構、奥深いものです。なんとはなくやり過ごしがちな月次決算の結果を上手く活用して、団体の活動の核にしたいものですね。


 
NPOのノンデザイナーにお勧めしたい!デザインの基礎が学べる厳選スライドA[2016年04月16日(Sat)]
こんにちは、小さなNPOをデザインで応援している林田です。デザインを活用したいNPOのために有用なノウハウをまとめましたので、共有させていただきます。

「デザインソフトを手に入れたけれど、なかなかいい仕上がりにならない」
「お金をかけず、できるだけ自分たちでデザインしたい」

そんな思いを抱く代表者の方や、事務局長の方、多いのではないでしょうか。

今は安価にデザインソフトが購入でき、技術的に分からなければすぐWebで調べることもできる、ノンデザイナーにとっていい時代になりました。

「デザインの学校を出ていないけれど、それなりのものを作りたい!」という方のために、デザインの基礎をさくっと学べるスライドをご紹介します。


A 色彩センスのいらない配色講座



デザイナーをされているMariko Yamaguchiさんによるスライドです。
「色は理論的に説明できる」とサブタイトルに書いてあるように、色彩センスが磨かれていない人でも簡単に色選びの基礎を知ることができます。

色はベースカラー70%、メインカラー25%、アクセントカラー5%くらいの比率にする方法は、なるほどと納得してしまいます。
公監査の活用についてその2[2016年04月15日(Fri)]
2016年4月15日(金)
 おはようございます。関西はさくらはほとんど終わりに近づいてきましたね。昨日、京都に行ってまして、電車の車窓から見えるさくらもだいぶん少ない風情でした。ところどころ、まだ頑張っているさくらもありますが、ニュースで御室仁和寺のさくらも散り始めというところで、季節の舞台はいっきに初夏に向かう感じでしょうか。今日も元気で行きましょう。

(要旨)
@公監査は間違いなく内部統制の強化に活用できる
A公監査は住民目線での気づきを与えることができる
B公監査は監査を受ける側と住民や利用者のコミュニケーションに活用できる

 さて、本日のテーマは「公監査の活用についてその2」です。前回、公監査は経済性、効率性、有効性という3Eの観点から、適切な指導・助言を含めた改善提案をすることができる旨、お伝えしました。今回は、その具体的な活用方法です。

@公監査は間違いなく内部統制の強化に活用できる

 公監査は、別に3Eの監査だけをする訳ではありません。その前段として、法令規則等の遵守と財務報告の正確性、適切性などを検証します。こうした面からの監査結果は、いわゆる内部統制の目的を達成するために活用することが可能です。

 たとえば、監査を受ける対象が実施しなければならない法令規則等の遵守ができていないという監査結果の場合、単にその事実を指摘するのではなく、その背景や理由まで深堀をします。そうすると、実は内部けん制が働きにくい組織的な構造問題が裏にあったり、法令規則等のルールそのものが陳腐化し、時代の変化に合っていないことなどがあります。

 このような場合、根本的な解決策として、実態に即して内部けん制が働きにくい状況を改善する提案や法令規則等のルールの見直しを提案を併せてします。それを実行すると同じ失敗をしなくて済みますし、実はこうした問題は他の部門にも同じ問題が潜んでいることがあります。それを横展開で実施すると組織全体で改善することが可能となり、結果として内部統制が強化されます。

A公監査は住民目線での気づきを与えることができる

 公監査は経済性、効率性、有効性という3Eの観点からと住民目線という外部的な側面からの監査結果を出すことができます。これは、事務事業を実施する際にはややもすれば内輪の論理で進めることがあるため、そこにメスを入れるのです。つまり、民間で言う供給側(サプライヤー)の論理からの脱却です。

 そこには、住民視点でこの事業で本当に住民に役に立っているのか、環境の変化の中で利用者のニーズをとらえて事務事業を実施しているのかという適度な懐疑心があります。この辺は、自らも住民の視点で事務事業を観察した時に、あれっ、これって何か変という素朴な気づきから思わぬ結果になることがあります。

 もちろん、事務事業を実施する側もこうした利用者や住民の側に立って行うのですが、どうしてもギャップが生じ、知らず知らずのうちにそれが大きくなってしまいがちです。そうするとその事務事業の有効性が損なわれていることだってあり得るのです。

 これを住民目線で違う目で監査をすることにより、事務事業を実施する側では思いつかない気づきや提言をすることが可能です。これにより、事務事業の新たな見直しに繋げて、より効率的効果的な事業を実施する契機にすることができます。

B公監査は監査を受ける側と住民や利用者のコミュニケーションに活用できる

 上記より、公監査の活用方法の一端をお伝えしてきました。こうした内部統制の強化や住民目線での気づきを与える監査は、当然にできる訳ではありません。そこには相当の専門性と独立性を確保し、監査に対する深い経験と能力が求められます。

 それでも、公監査を行う意義があるとすれば、事務事業を実施する側と住民や利用者との間で、監査を通じて双方のコミュニケーションの橋渡しをする役割があるということです。そのためには、監査をする側もそれを意識した行動が求められますし、そうした情報発信をする必要があります。

 監査結果を住民や利用者が見てくれないと意味がありません。この情報発信はまだまだ不足しているものと考えています。自らの使命とパフォーマンスをしっかりと伝えていく。これを継続することに尽きると思います。

 公監査に携わる方々は、私も含めて常にそれを意識し、良い仕事をしたいものです。そのことが監査を通じて、社会の役に立つことができるのではないかと思っています。

 

 
貴法人の情報共有の仕組みと運用はきちんと回っていますか[2016年04月14日(Thu)]
2016年4月14日(木)
 おはようございます。昨日は林 英臣氏のセミナーに行ってきました。林 英臣氏は、松下政経塾第一期生で林英臣政経塾を主宰されておられます。今回は「志士経営者が進む公益経済への道」というテーマで、経営者がどうあるべきかという大局的な所から、熱く「志」についてお話をしていただきました。あらためて「志」についてその価値の重要性を認識させられました。今日も張り切って元気に行きましょう。

(要旨)
@団体内で普段からベクトル合わせをする習慣をつける
Aフォーマルな会議の決定事項はいつでもだれでも容易に知り得る状態にしておく
Bインフォーマルなコミュニケーションが団体内で意識的に行われていることが必要

 さて、本日のテーマは「貴法人の情報共有の仕組みと運用はきちんと回っていますか」です。前回、「貴法人のターゲット顧客はきちんと設定されていますか」というテーマで、団体が誰をターゲットにして事業を行うかという入口の重要性をお伝えしました。

@団体内で普段からベクトル合わせをする習慣をつける

 団体がターゲットにする相手のニーズ等をとらえて、団体のビジョンミッションを明確にし、実際の活動を進めていく際に、基本、関係者が同じ方向性で業務をすることが求められます。それでないとシナジー効果が出にくいです。

 その場合、活動する関係者が多ければ多いほど、普段からベクトル合わせをする習慣をつけていないと、どうしても団体の活動にロスが生じてしまいます。何故なら、関係者が協力して業務を実施する際でも、双方で認識のずれが生じることは普通に発生するからです。

 先日もある団体の担当者と話をしているときに、当然に団体内での情報共有されていたであろうことが、実はその担当者には伝わっていなくて、話が噛み合わないことがありました。

 こうした認識のずれを極力少なくし、お互いが共通の認識で仕事をするためには、団体内で情報の共有化の仕組みとその運用が求められます。では、どのような方法で情報の共有化が行われているのでしょうか。

Aフォーマルな会議の決定事項はいつでもだれでも容易に知り得る状態にしておく

 フォーマルには各種会議があります。会議の目的が明らかであり、その目的を達成するために関係者が集まり、会議に参加した人は会議での決定事項を共有します。

 会議の後では、議事録や会議メモの形で回覧することがあります。そうすると、都合が合わずに欠席した人もその会議でどんなことが話され、何が決まったかということを知ることができます。団体内で各種データベースを設定していれば、それぞれの会議の決定事項について、いつでもどこでも見ることができるような仕組みを持っている場合もあります。

 重要なことは、会議の決定事項がいつでもだれでも容易に知り得る状態にしておくことです。すなわち、決定事項を記録に残すことが必須であり、それが紙であろうとデータであろうと媒体は何でも良いので、容易にアクセスする状況にしておくということです。

Bインフォーマルなコミュニケーションが団体内で意識的に行われていることが必要

 一方、インフォーマルには、関係者のコミニュケーションがあります。フォーマルももちろん大事ですが、それ以上にインフォーマルな関係者のコミニュケーションはもっと重要です。フォーマルでは読み切れない行間の部分は、関係者のコミニュケーションで補うことが必要だからです。

 インフォーマルだからカタチはありません。普段からの何気ない雑談の中でもできるでしょうし、アフターファイブでのノミニュケーションでもできるでしょう。肝心なことは、そうしたことが団体内で意識的に行われていることが一定は必要だということです。

 関係者が同じベクトル合わせができていると自然にそうしたことに目が行きますし、それをいろいろなカタチで確認することがふんだんに行われます。これにより、情報共有の際にヌケモレが減りますし、結果として確実に業務を効率的に回すことも可能となります。

 このフォーマルとインフォーマルの情報の共有化の仕組みは一様ではありませんし、ましてやその運用も様々だと思います。一度、団体内での情報の共有化の仕組みと運用はきちんと回っているか、確認してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

補助金・助成金の全体像を知っておこう[2016年04月13日(Wed)]
2016年4月13日(水)
 おはようございます。最近、業務が立て込んでいてなかなか十分な睡眠を取れていません。電車に乗っているときは、外国語のレッスンを聞いたり、いつも読める本などを携行しているのですが、すぐに爆睡してしまいます(笑)。どこかで取り戻さないといけませんね。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
1.補助金・助成金とは?
2.補助金・助成金の違いとは?
3.補助金、創業補助金、小規模事業者持続化補助金とは?


1.補助金・助成金とは?

 さて、本日のテーマは「補助金・助成金の全体像を知っておこう」です。実は、昨日までものづくり補助金の申請のお手伝いをしていました。本日が締切の最終日で、何とかぎりぎり間に合わせることができました。

 前回までクラウドファンディングの話をさせていただきましたが、今回からしばらく補助金・助成金のシリーズが続きます。まずは、補助金・助成金の概要です。補助金・助成金は基本、どちらも返還を要しない資金としてとても重宝されます。

2.補助金・助成金の違いとは?

 補助金・助成金の違いは、申請をされた方はご存知のことと思いますが、助成金は要件さえ合えば、申請すると必ずもらえる資金です。これに対して、補助金は予算の枠がありますので、申請しても採択されて初めてもらえる資金です。つまり、試験を受ければ必ず合格する助成金に対して、試験を受けても一定の水準に達しないと合格しないのが補助金です。

 助成金の多くは、就労関係の政策を展開している厚労省関係のものが多いです。ついで経産省も少しはあります。また、自治体がいろいろな施策を実施する際の呼び水として、運営の助成をするものもあります。

 一方、上記の趣旨での補助金は経産省の補助金が圧倒的に多いです。その代表がものづくり補助金、創業補助金と小規模事業者持続化補助金です。後、設備投資の一部を手当てする補助金も結構あります。

3.補助金、創業補助金、小規模事業者持続化補助金とは?

 ここでは、私の少ない経験から、このものづくり補助金、創業補助金と小規模事業者持続化補助金を取り上げたいと思います。

 まず、ものづくり補助金とは、「国内外のニーズに対応したサービスやものづくりの新事業を創出するため、革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行う中小企業・小規模事業者の設備投資等を支援」する制度です。

 平たく言うと、主にものづくりやサービスにこれまでにはない事業を起こす事業者に対して、500万円〜3000万円までの補助金をもらえる制度です。対象の中心は設備投資をおこなう事業者ですが、最近は設備投資を要しないサービス事業者ももらえます。

 現状では、過去のトレンドから採択率が概ね40%程度となっており、今年はそれ以上の採択率になるのではないかと言われています。金額が比較的高額で、大きな設備投資を考えている事業者にはありがたい制度です。

 次に、創業補助金とは、正確には創業・第二創業促進事業ことを言います。「新たに創業する者や第二創業を行う者に対して、その創業等に要する経費の一部を助成する事業で新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させることを目的」としています。

 これから創業する方を中心に、その創業資金を補助するものであり、200万円までの補助金がもらえます。創業時の内外装工事や人件費、家賃などに使えます。比較的こじんまりしていますが、200万円までもらえるのはそこそこうれしい制度です。

 最後に、小規模事業者持続化補助金です。小規模事業者が、商工会・商工会議所と一体となって、販路開拓に取り組む費用(チラシ作成費用や商談会参加のための運賃など)を支援する制度です。

 小規模事業者が経営計画に基づいて実施する販路開拓等に取り組むと50万円まで、これに雇用増加を加えると100万円までの補助金をもらえる制度です。個人事業主でも応募することができ、私も昨年応募して採択されました。

 以上、代表的な補助金制度を概観しました。繰り返しになりますが、補助金は申請しても採択されて初めて意味のある制度です。上記のうち、経産省関係の補助金は中小企業者を対象にすることが多いのですが、創業補助金はNPO法人も応募できます。

 この補助金申請をすることは、実は団体のビジョンミッションを振り返り、事業の見直しや確認をいやでもしなければなりません。それが、団体の経営基盤強化に結びつけることができます。次回以降は、その辺の話と併せてお伝えしたいと思います。

 
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