
内部統制の評価(2)[2016年06月03日(Fri)]
2016年6月3日(金)
おはようございます。昨日はあるNPO法人の理事会評議員会に参加してきました。主な議題は総会にかける項目で、2016年度の事業計画が中心でした。毎年実施している事業の中にも、新たな取り組みがあり、少しでも良くしていこうという関係者の熱い議論がされていました。今月は、こうした総会対応の理事会等があちこちで行われていることでしょうね。今日も元気で行きましょう。
(要旨)
@自治体における内部統制とは?
A自治体における内部統制の壁その1
B自治体における内部統制の壁その2
さて、本日のテーマは「内部統制の評価(2)」です。前回まで、リスク・アプローチの考え方に基づく自治体や非営利法人の監査をする際に、内部統制の位置付けや目的などについてお伝えしました。今回は、自治体における内部統制の話をします。
@自治体における内部統制とは?
前回、組織で活動する以上、必ず内部統制はあると言いました。そう、複数の人が一つの業務をする瞬間に、内部統制ができます。そうしないと業務が進まないからです。これを自治体に当てはめた場合、どうなるのでしょうか。
自治体の場合にも当然に内部統制があります。管理者の決裁承認、事務分掌など、自治体の内部統制はすでに組織の中に組み込まれています。
実際のところ、法令等の世界で業務を行うため、がんじがらめの感がなくはありません。ですが、結構いろいろな自治体で不正事件や事故が起こっていますよね。何か変な感じがします。
これは自治体の特性から来ます。もちろん、業務を適切に執行するための内部統制がありますので、それを自ら評価し、どこにリスクがあるかを確認する必要があります。ですが、いくつかの要因で、その評価が思いのほかできていないことが多いです。
A自治体における内部統制の壁その1
一つには、性善説です。自治体職員は法令等の世界で業務を行うため、間違ったことはするはずがないという盲信です。そんなはずないですよね。自治体職員もいろんな人がいます。大多数の職員はまじめで業務を行っていますが、もし、ざるなチェック体制があるとすれば、その気になることだってあるかもしれません。
次に、内部統制に対する意識です。これは、誤解を恐れずに言えば、法令等の世界で動く首長をはじめとする役職員のリスクに対する理解と意識が進んでいないことがあります。内部統制って、ある意味空気みたいなものですから、法令等の世界で動いてさえいれば、あってもなくても業務は進むという感覚があるのでしょうか。
それから、縦割りの弊害です。民間企業でも組織における縦割りの弊害はありますが、自治体ほどではないですね。いわゆるセクショナリズムが強いので、横で大変そうにしている部門や人がいても、我関せずというのは案外、まだまだ残っているのではないでしょうか。
B自治体における内部統制の壁その2
さらに、部局間の連携が不十分で、責任の役割分担と所在があいまいなところが多いです。よく言われるのには、大きなプロジェクトの事業に失敗しても、誰も責任を取らないなんてことはよくあります(自治体の人見ていたら、ごめんなさい)。
自治体の場合、事業の数が半端ではないほど多いですし、利害関係者も広範囲です。住民は言うに及ばず、民間企業、金融機関、同じ自治体等の公的機関など様々です。こうした利害関係者が多いという自治体の特性により、自治体を取り巻くリスクも多いということです。
この点、自治体の中でも積極的に内部統制におけるリスクを評価して、業務を効果的効率的に進めようとするところもあります。たとえば、静岡市は全庁的に内部統制の整備に取組み、リスクチェックシート等の活用によりリスクマネジメントを実施しています。
こうした自治体の特性を踏まえた内部統制をどのように評価し、監査を進めて行けばよいのでしょうか。次週に続きます。
おはようございます。昨日はあるNPO法人の理事会評議員会に参加してきました。主な議題は総会にかける項目で、2016年度の事業計画が中心でした。毎年実施している事業の中にも、新たな取り組みがあり、少しでも良くしていこうという関係者の熱い議論がされていました。今月は、こうした総会対応の理事会等があちこちで行われていることでしょうね。今日も元気で行きましょう。
(要旨)
@自治体における内部統制とは?
A自治体における内部統制の壁その1
B自治体における内部統制の壁その2
さて、本日のテーマは「内部統制の評価(2)」です。前回まで、リスク・アプローチの考え方に基づく自治体や非営利法人の監査をする際に、内部統制の位置付けや目的などについてお伝えしました。今回は、自治体における内部統制の話をします。
@自治体における内部統制とは?
前回、組織で活動する以上、必ず内部統制はあると言いました。そう、複数の人が一つの業務をする瞬間に、内部統制ができます。そうしないと業務が進まないからです。これを自治体に当てはめた場合、どうなるのでしょうか。
自治体の場合にも当然に内部統制があります。管理者の決裁承認、事務分掌など、自治体の内部統制はすでに組織の中に組み込まれています。
実際のところ、法令等の世界で業務を行うため、がんじがらめの感がなくはありません。ですが、結構いろいろな自治体で不正事件や事故が起こっていますよね。何か変な感じがします。
これは自治体の特性から来ます。もちろん、業務を適切に執行するための内部統制がありますので、それを自ら評価し、どこにリスクがあるかを確認する必要があります。ですが、いくつかの要因で、その評価が思いのほかできていないことが多いです。
A自治体における内部統制の壁その1
一つには、性善説です。自治体職員は法令等の世界で業務を行うため、間違ったことはするはずがないという盲信です。そんなはずないですよね。自治体職員もいろんな人がいます。大多数の職員はまじめで業務を行っていますが、もし、ざるなチェック体制があるとすれば、その気になることだってあるかもしれません。
次に、内部統制に対する意識です。これは、誤解を恐れずに言えば、法令等の世界で動く首長をはじめとする役職員のリスクに対する理解と意識が進んでいないことがあります。内部統制って、ある意味空気みたいなものですから、法令等の世界で動いてさえいれば、あってもなくても業務は進むという感覚があるのでしょうか。
それから、縦割りの弊害です。民間企業でも組織における縦割りの弊害はありますが、自治体ほどではないですね。いわゆるセクショナリズムが強いので、横で大変そうにしている部門や人がいても、我関せずというのは案外、まだまだ残っているのではないでしょうか。
B自治体における内部統制の壁その2
さらに、部局間の連携が不十分で、責任の役割分担と所在があいまいなところが多いです。よく言われるのには、大きなプロジェクトの事業に失敗しても、誰も責任を取らないなんてことはよくあります(自治体の人見ていたら、ごめんなさい)。
自治体の場合、事業の数が半端ではないほど多いですし、利害関係者も広範囲です。住民は言うに及ばず、民間企業、金融機関、同じ自治体等の公的機関など様々です。こうした利害関係者が多いという自治体の特性により、自治体を取り巻くリスクも多いということです。
この点、自治体の中でも積極的に内部統制におけるリスクを評価して、業務を効果的効率的に進めようとするところもあります。たとえば、静岡市は全庁的に内部統制の整備に取組み、リスクチェックシート等の活用によりリスクマネジメントを実施しています。
こうした自治体の特性を踏まえた内部統制をどのように評価し、監査を進めて行けばよいのでしょうか。次週に続きます。