公監査の現状と課題についてその3[2016年03月11日(Fri)]
2016年3月11日(金)
おはようございます。本日は、東日本大震災から5年たちました。いろんなところでこれに関する特集が組まれています。忘れないようにするためです。私も阪神大震災を経験していますので、その気持ちはよくわかるつもりです。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。今日も元気で行きましょう。
(要旨)
@自治体に統一された監査基準が必要であることはすでに公表されている
A統一された監査基準が法制度化されるのはそう簡単ではない
B統一された監査基準が制度化されるためには、実務上の課題を解決する関係者の力を結集する必要がある
さて、本日のテーマは「公監査の現状と課題についてその3」です。前回、監査委員の監査の品質を維持するためにも、自治体に統一された監査基準が必要とお伝えしました。
https://blog.canpan.info/kin-cpa/daily/201603/04
@自治体に統一された監査基準が必要であることはすでに公表されている
前回で書き切れなかったことがあるので、もう1回、監査の専門性についてお伝えしたいと思います。総務省では、「地方公共団体の監査制度に関する研究会報告書」や第31回の地方制度調査会の「人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申(案)」が公表されています。http://www.soumu.go.jp/main_content/000219868.pdf
http://www.soumu.go.jp/main_content/000401436.pdf
これらの公表情報から、監査の専門性を上げることは急務であり、特に地方制度調査会から答申が出ましたので、普通に行けばこれを受けて法制度の改正が行われる手はずとなるはずです。
A統一された監査基準が法制度化されるのはそう簡単ではない
ところが、この「なるはず」というところが実際に成就するかは難しいものと考えています。何故なら、統一した監査基準一つをとっても、ずいぶん前から言われているのにもかかわらず、まだ実現していないからです。
一般的に法制度化する前段には、実務的に実施可能な環境が整備される必要があります。すなわち制度化する際のヒトモノカネを整備しなければなりませんが、統一した監査基準については、その環境を誰も責任を持って整えようとしていない状況があると考えています。
統一した監査基準を法制度化するには、当然のことながら規範性が求められます。いったん制度化したならば、これを義務付けられることになります。ですが、全国の自治体は都道府県から市町村まで約1800ほどありますが、これをすべての自治体に適用する監査基準を設定するのは、そう簡単ではありません。
たとえば、現在でも監査を実施する部門である監査委員事務局の人員体制はピンキリです。東京都は100人を超える規模を誇る反面、人口5万人未満の市町村は数人しかいません。このような体制の中で統一した監査基準に基づいた監査を実施せよと声高に言っても物理的に無理があります。
つまり、実際にすべての自治体にこれを義務付けようとするならば、本当に実施できる体制を整備しないと、絵に描いた餅になってしまうことを意味します。いざ、実施しようとするとぐんとハードルが高くなってしまうのです。
B統一された監査基準が制度化されるためには、実務上の課題を解決する関係者の力を結集する必要がある
こうした実務上の課題を解決しない限り、統一した監査基準を設定すべきと言ったところで、誰も本気で考えません。もっとも、まずは法制度化して、そこから実務を整備する逆算方式も考えられるところですが、関係者の力技と腹をくくった実行力が求められます。
そこまで本当にやるのだとという強い意思が問われているものだと思います。すみません。これまで関わってきただけに、少し熱くなってしまいました。また、専門的な話になってしまい、退屈に感じる方も大勢いるでしょう。
もう、これで終わりにしますが、個人としてはこの問題に引き続き強い関心を持ち、監査の専門性が強化されることを願ってやみません。そのことが自治体の行政経営力の強化、ひいては税金を払っている住民のためになると考えています。
おはようございます。本日は、東日本大震災から5年たちました。いろんなところでこれに関する特集が組まれています。忘れないようにするためです。私も阪神大震災を経験していますので、その気持ちはよくわかるつもりです。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。今日も元気で行きましょう。
(要旨)
@自治体に統一された監査基準が必要であることはすでに公表されている
A統一された監査基準が法制度化されるのはそう簡単ではない
B統一された監査基準が制度化されるためには、実務上の課題を解決する関係者の力を結集する必要がある
さて、本日のテーマは「公監査の現状と課題についてその3」です。前回、監査委員の監査の品質を維持するためにも、自治体に統一された監査基準が必要とお伝えしました。
https://blog.canpan.info/kin-cpa/daily/201603/04
@自治体に統一された監査基準が必要であることはすでに公表されている
前回で書き切れなかったことがあるので、もう1回、監査の専門性についてお伝えしたいと思います。総務省では、「地方公共団体の監査制度に関する研究会報告書」や第31回の地方制度調査会の「人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申(案)」が公表されています。http://www.soumu.go.jp/main_content/000219868.pdf
http://www.soumu.go.jp/main_content/000401436.pdf
これらの公表情報から、監査の専門性を上げることは急務であり、特に地方制度調査会から答申が出ましたので、普通に行けばこれを受けて法制度の改正が行われる手はずとなるはずです。
A統一された監査基準が法制度化されるのはそう簡単ではない
ところが、この「なるはず」というところが実際に成就するかは難しいものと考えています。何故なら、統一した監査基準一つをとっても、ずいぶん前から言われているのにもかかわらず、まだ実現していないからです。
一般的に法制度化する前段には、実務的に実施可能な環境が整備される必要があります。すなわち制度化する際のヒトモノカネを整備しなければなりませんが、統一した監査基準については、その環境を誰も責任を持って整えようとしていない状況があると考えています。
統一した監査基準を法制度化するには、当然のことながら規範性が求められます。いったん制度化したならば、これを義務付けられることになります。ですが、全国の自治体は都道府県から市町村まで約1800ほどありますが、これをすべての自治体に適用する監査基準を設定するのは、そう簡単ではありません。
たとえば、現在でも監査を実施する部門である監査委員事務局の人員体制はピンキリです。東京都は100人を超える規模を誇る反面、人口5万人未満の市町村は数人しかいません。このような体制の中で統一した監査基準に基づいた監査を実施せよと声高に言っても物理的に無理があります。
つまり、実際にすべての自治体にこれを義務付けようとするならば、本当に実施できる体制を整備しないと、絵に描いた餅になってしまうことを意味します。いざ、実施しようとするとぐんとハードルが高くなってしまうのです。
B統一された監査基準が制度化されるためには、実務上の課題を解決する関係者の力を結集する必要がある
こうした実務上の課題を解決しない限り、統一した監査基準を設定すべきと言ったところで、誰も本気で考えません。もっとも、まずは法制度化して、そこから実務を整備する逆算方式も考えられるところですが、関係者の力技と腹をくくった実行力が求められます。
そこまで本当にやるのだとという強い意思が問われているものだと思います。すみません。これまで関わってきただけに、少し熱くなってしまいました。また、専門的な話になってしまい、退屈に感じる方も大勢いるでしょう。
もう、これで終わりにしますが、個人としてはこの問題に引き続き強い関心を持ち、監査の専門性が強化されることを願ってやみません。そのことが自治体の行政経営力の強化、ひいては税金を払っている住民のためになると考えています。