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非営利法人の想いをカタチにするお役立ち情報
非営利法人の事業継続と経営基盤強化に役立つ情報について、公的機関20年の実績ある会計士の経験・ノウハウをお伝えします。
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法人設立の場合に気を付けることは?1[2016年06月07日(Tue)]
2016年6月7日(火)
 おはようございます。もう梅雨入りしましたね。今朝もどんより曇り空です。昨日は、久しぶりに東京出張で慶応大学に行ってきました。そこで打ち合わせをしたのですが、また、新たなビジネスに繋がりそうです。
 大学に行くときは学食に行くのを常としており、早速学食に行ってきました。慶応大学だから洗練された学食と思いきや、普通でしたので少しがっかりでした。最近は学食の良し悪しが受験生の増減に影響する?ようなので、学食侮るなかれというところでしょうか。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@法人設立のメリット・デメリット
A個人事業主が法人に転換する時期はいつごろが良い?
B事税金対策だけで法人設立を判断しない

 さて、本日のテーマは「法人設立の場合に気を付けることは?1」です。前回まで、事業譲渡について4回にわたりお伝えしてきました。今回からしばらく、法人設立のことをお話ししたいと思います。

@法人設立のメリット・デメリット
 
 法人設立もいろいろあって、通常は新規の法人設立が多いのですが、既存の休眠会社をそのまま利用することもあります。ここでは、新規設立を前提にお話をします。法人設立のメリット・デメリットは何でしょうか。

 よく言われるのは、個人事業主よりは税金対策上のメリットがあることです。たとえば、交際費など個人事業主より損金の取り扱いについてそれほど厳密にしなくても許容されますし、青色申告の損失の繰越期間は10年と個人事業主より長い年数となっています。

 また、法人による社会的な利便性があります。各種補助金や助成金は個人事業主より法人の方が圧倒的に有利ですし、社会的な信用力という点では、実態はともかく、法人の方が個人事業主よりあることが多いです。

 逆にデメリットは、法人になった瞬間に社会保険制度の強制加入であったり、法令等の縛りは個人事業主よりあったりします。組織上及び労務上の問題もいろいろと発生します。また、会社設立時に登記の費用が掛かります。

A個人事業主が法人に転換する時期はいつごろが良い?

 では、法人設立のメリット・デメリットを踏まえて、個人事業主が法人に転換する時期はいつごろが良いのでしょうか。これはいろいろあると思いますが、やはり税金上の恩典を考慮することが最大の要因となります。

 つまり、個人事業主より法人の方が税金が少なくなるであろう収入で判断するということです。これも前提条件で変わるのですが、一つの目安として、毎月50万円程度の利益があるかどうかで判断します。特段の根拠はなく、あくまで目安です。

 はっきり言えるのは、個人で利益が多くなると、所得税の累進税率が上がりますので、結果として税金が増えていきます。その分岐点は個人事業主の事業内容により様々ですので、最終的にはそれぞれの判断になります。

B税金対策だけで法人設立を判断しない

 このように、主に税金面での法人設立の判断材料とすることをお伝えしましたが、反面、これだけで判断するとミスリードするリスクもあります。それは法人設立の目的との関係です。何のために法人設立するのか、法人設立をすることで何をなしとげたいのか。

 その目的達成の手段として、法人設立を考える際に、その要因として税金を考慮するという方が理にかなっていると思います。たとえば、社会的な信用力や人材確保の観点から、個人事業主より法人の方が得やすく、それが法人設立の目的達成のための優先順位が高ければ、必然的にそちらを目指すということになります。

 もちろん、税金対策が有効な判断材料であることは間違いありません。ですが、それだけで判断してしまうと、こんなはずではなかったということになりかねません。特に人を雇うことの責任は重大です。

 法人設立は、事業を展開するうえで必須ですが、その時期については税金対策を含め、よく考えて実行しましょう。その時期が来るまで個人事業主のままでも大丈夫であることをご理解いただければと思います。次週に続きます。
 
 
事業統合を円滑に進めるためのいくつかのことその4[2016年05月31日(Tue)]
2016年5月31日(火)
 おはようございます。本日で5月も終わりです。本当に早いですね。明日からは大手を振って夏のエコスタイルに代わるところでしょう。最近は、役所を中心にして5月からエコスタイルの職場も珍しくありません。むしろ、増えていると思います。何と言ってもネクタイを締めなくても良いのはうれしいです。ネクタイ業界の人には申し訳ないけど、首を絞めつけるだけのものとしか感じないのは言い過ぎでしょうか。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@専門家は双方の立場を理解し円滑に進める役割を持つ
A専門家は通常、事業譲渡を受ける側の要請で対応する
B事業統合を円滑に進める唯一の方法は?

 さて、本日のテーマは「事業統合を円滑に進めるためのいくつかのことその4」です。前回、事業譲渡の隠れた瑕疵として、ヒトカネに関わる問題についてトラブルやリスクをお伝えしました。

@専門家は双方の立場を理解し円滑に進める役割を持つ

 事業譲渡の隠れた瑕疵を事前にキャッチし、事業譲渡をする側と受ける側にとってお互いのためにできるだけ円滑に進めるには、客観的に第三者的立場でものを言える専門家が重要な役割を持ちます。

 いくつか経験をさせていただいたことからすると、事業譲渡をする側と受ける側はややもすると利害関係が相反することがあるため、対立することが往々にしてあります。そうするとそれが感情的なもつれに繋がり、段々亀裂が大きくなると修復不可能になることだってあります。

 特に、事業譲渡をする側は統合される側になるので、精神的な負い目がもとからあります。それだけに、些細なことから大きな問題になることも状況次第で起こり得るのです。このことを事業譲渡を受ける側がよくよく理解して物事を進めることが求められます。

 それでも、利害関係の対立で上手く行かないことも多いです。そこで、双方の立場を理解した第三者的立場でものを言える専門家の登場です。事業譲渡の潤滑油の役目ですね。

A専門家は通常、事業譲渡を受ける側の要請で対応する

 この専門家は事業譲渡をする側と受ける側のどちらから支援を受けるのでしょうか。これはいろいろな組み合わせがあります。事業譲渡をする側、受ける側、双方の3パターンです。でも、一番多いのは事業譲渡を受ける側です。それは、事業譲渡をする側の資産負債の査定、いわゆるデューデリを伴うからです。

 資産負債の金額は直接事業譲渡の対価に影響するため、前回お伝えしたカネに関わる潜在的な財務リスクの有無を検討して、あるべき資産負債の査定をして行きます。この過程で、短期間でどこまで事業譲渡をする側の財務に関する実態を把握し、適正な対価の算定をするかが問われるのです。

 その間、事業譲渡をする側と諸々のやり取りを行うのですが、潜在的な財務リスクを把握するには、短期間のうちに信頼関係を構築できるかが鍵となります。

 事業譲渡をする側は、できれば都合の悪いことは言いたくないという心情的なブレーキが働きやすいので、それを上手く引出し、お互いのために都合の良いことも悪いことも出し合うような、双方向の場作りが求められます。

 その辺は、やはり経験がものを言うのでしょうか。良い意味で上手くさばける専門家は信頼感が増して、結果として良い仕事ができることになると思います。

B事業統合を円滑に進める唯一の方法は?

 以上、事業統合を円滑に進めるためのいくつかのことをお伝えしてきました。事業譲渡をする側と受ける側、専門家と登場人物の立場の違いからくる葛藤を最小限に抑え、その役割を果たすことが求められます。

 その際、事業統合を円滑に進める唯一の方法は、それぞれの立場を理解して当面のゴールである事業譲渡をきっちりと仕上げるためにお互いが協力することに尽きます。いかに信頼関係を作って同じ方向性を向いて仕事をするかです。

 もし、これが上手く行かなかったら、事業譲渡をする側は拾ってくれる相手を失い、破産や解散への道を走るしかありません。そうすると多くの関係者を巻き添えにし、不幸にします。一時的にはつらいこともあるかも知れません。ですが、事業継続してなんぼです。

 事業統合はある意味、お見合いみたいな面があります。相手が気に入らなければその時点で打ち切りとなります。でも、ご縁があってお互いまみえたのであれば、何とか上手く行きたいですよね。その努力はお互い必要ですし、それを信じてやり続けることだと思います。

 事業統合のお手伝いは、大変な労力がかかりますが、それだけに物事が成就すると、こんなにうれしいことはありません。その一端に関わることができる身として、機会があればこれからもこの仕事をしていきたいと思っています。
 
 
事業統合を円滑に進めるためのいくつかのことその3[2016年05月24日(Tue)]
2016年5月24日(火)
 おはようございます。今朝は少し寝坊をしてしまいました。なので、少し短めにします。すみません。昨日、ある首長の講演会に行ってきました。そこでは地域の資源である企業、NPO等、行政がどのように協働すればよいかについて、これまでの研究者であった時からの経験を踏まえて、お話をされていました。そこでは地域に集まる場づくりには繋げる人が決定的に大事であり、対話による共感と信頼づくりが極めて重要というのが骨子で、さもありなんという思いで聞いていました。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@事業譲渡の隠れた瑕疵に留意する
Aヒトに関わる問題は複雑でトラブルの元になりやすい
Bカネに関わる問題は潜在的な財務リスクになりやすい

 さて、本日のテーマは「事業統合を円滑に進めるためのいくつかのことその3」です。前回、事業統合の対象として、ヒトモノカネの範囲を確定するのには、時間が相当かかることをお伝えしました。

@事業譲渡の隠れた瑕疵に留意する

 では、実際の譲渡の際にはどんな問題が起こりやすいのでしょうか。一つには事業譲渡の隠れた瑕疵があります。ここでは、譲渡する側では少しでも高く売りたいとすることから、自分たちに都合の悪いことはあまり詳らかにしたくないという心理的抑制が働きやすいです。

 できればそっとしておいてほしい。もちろん、それが重要なことであれば、信義則に反しますし、契約でもそのようなことがあれば無効になることだってあります。この重要性については、解釈が入りやすく、先ほどの心理的抑制と相まって認識のギャップが生じることがあります。

 つまり、譲渡する側はさほど大きな問題でないとしても、これを受ける側は問題にすることが往々にして起こりやすいということです。このわずかな解釈の差がともすれば相互の不信感になることも場合により起こり得ます。

Aヒトに関わる問題は複雑でトラブルの元になりやすい

 このうち、人に関わる事項はカタチがないだけに、取りようによっては後で問題になることがあります。たとえば、社内に問題社員がいてよくトラブルを起こして、関係者に迷惑をかけるケースがあります。

 と言っても、何か法的にまでの問題ではないことから、それ以上具体的な対応を迫られるところまでは行かないというレベルです。ですが、もともとそのような問題を起こすかもしれないという潜在的な不安はありますので、引き継ぎの際に、そうした社員がいないかどうかは確認した方が良いと思います。

 また、身体的精神的に病んでいる社員がいる場合です。この場合は、そもそも戦力にならないリスクがあります。そうすると、譲渡を受けた法人で業務をしっかりと実施できるかどうかの不安材料になることがあります。

Bカネに関わる問題は潜在的な財務リスクになりやすい

 カネの問題はどうでしょう。よくあるのは、会計処理の問題です。たとえば、資産の評価です。引き継ぐ資産として売れない在庫を抱えていたり、ずいぶん長く稼働していない固定資産があるとします。あるいは、債権に回収が難しいものが含まれているとします。

 これらの資産は、将来的には価値がなくなるか減額する必要があるものの予備軍です。つまり、本来であれば、譲渡する前にこうした問題資産の評価を下げたり、除却したりすることが求められます。ですが、そうした対応をしないとは限りません。

 これらは、直接的には譲渡資産負債の対価に影響するものです。本来の処理がされていないために、実際の価値とはかい離した評価をすると、引き継いだ後でこうした処理を迫られます。すると、譲渡を受ける側では最初から毀損した資産を保有するリスクが残ることになってしまいます。

 以上、いくつか事業譲渡の隠れた瑕疵を紹介しました。できれば、こうした問題を事前にキャッチし、お互いのためにできるだけ実態に近い譲渡をしたいですよね。そこで、専門家の登場です。次週に続きます。
事業統合を円滑に進めるためのいくつかのことその2[2016年05月17日(Tue)]
2016年5月17日(火)
 おはようございます。消費税が先送りになりそうとの記事が出ましたね。景気の回復が見られないのと、熊本の震災の影響で税率アップする時期ではないとの判断が働いたようです。実質的な給与が増えていない人にとっては、心理的にも望ましいと思われる反面、増税をあてにしたいろいろな政策の経費の見込みが立たなくなっていることの影響が出ます。税金は常に利害関係で対立する構図になりますので、いろいろな所でひずみが出るのでしょうね。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@事業譲渡の対象区分を明らかにする
A事業譲渡の人の対象を検討する
B事業譲渡のカネの対象を検討する

 さて、本日のテーマは「事業統合を円滑に進めるためのいくつかのことその2」です。前回、事業統合はすごく気を使う業務であるので、関係者の協力を最大限に受けて事業統合の目指すゴールを共有する必要があることをお伝えしました。

@事業譲渡の対象区分を明らかにする

 事業統合の際に譲渡するヒトモノカネをまずは区分することになります。すなわち、まずは譲渡対象になる資産、負債はどれか、すべて対象にするのか一部を対象にするのかを決めます。

 すべてを対象にする場合はあまり検討の余地はなく、譲渡する法人は基本、モノぬけの殻となりますので、解散手続きをします。これが一部の場合は、どれを残してどれを渡すといったやりとりになりますので、ある種の駆け引きが発生します。

 譲渡を受ける側はできるだけ、事業統合後の絵を描いた中での資産負債を譲り受けたいと考えていますが、譲渡する側はできるだけ、心理的な面も含めて少なく資産負債を譲りたいと考えています。その方が負担が少なくなるからです。

 最終的には、譲渡を受ける側の影響力が大きいので、そちらに寄せられるのですが、譲渡する側の負担を少しでも減らす配慮をどこまでするかで、手続きの速度が変わってきます。重要なことは一方的な対応にしないことです。

A事業譲渡の人の対象を検討する

 次に、譲渡を受ける側に移籍する職員の対象を決めます。これが一番、困難を極める作業になることが多いです。人の問題は非常にデリケートで、残る人、移る人の思惑とともに、諸事情で退職するケースもあります。そうすると退職金の問題も出てきます。

 これに加えて、労働組合がからんでくると、そちらへの対応も適切に実施することが求められます。職員の処遇問題はとても重要ですので、誰かが不利益を受けないようにする事前の調整も必要になることがあります。

 実際には、譲渡を受ける側に移籍する職員を処遇するポストなどの有無により、相当の影響を受けるので、移籍先での配置などをはめ込む可能性を十分に検討する必要があります。

B事業譲渡のカネの対象を検討する

 最後にお金の話です。事業譲渡に際して、資産である現金預金、負債である借金や支払債務をどれだけ引き継ぐのかにより、キャッシュフローの増減に影響を与えます。これも、譲渡する際の借金や支払債務を少しでも減らしたいという、譲渡を受ける側の意図が働きやすいです。

 また、資産にどれだけの価値があるかという観点から、土地の不動産鑑定を求められることがあります。譲渡するまでにできれば身軽にしたいので、遊休財産の処分を求めらることもあります。
資産を売却して資金に転換してキャッシュを増やすことも必要になってきます。

 このように、お金にまつわる調整は時間が相当かかることから、早めの対応が求められます。それでないと譲渡期限に間に合わないということになってしまうと、譲渡自体が無効になってしまうリスクさえ発生します。これだけは避けなければなりません。

 最終的には金銭の問題に集約されることから、譲渡される金銭の確定をすることができると譲渡のゴールが見えてくるということになります。では、実際の譲渡の際にはどんな問題が起こりやすいのでしょうか。次回に続きます。
事業統合を円滑に進めるためのいくつかのこと[2016年05月10日(Tue)]
2016年5月10日(火)
 おはようございます。今朝も徳島から発信しています。昨日からの雨で、宿泊所は深い霧で周りは何にも見えません。何か別世界に迷い込んだ感じです。なかなかこのような雰囲気は味わえることはないように思います。自然の現象は、人知の及ばないところにあることを思い知らされます。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@事業統合はすごく気を使う業務であることを忘れてはならない
A関係者の協力を最大限に受けて初めてなし得ることに留意する
B事業統合の目指すゴールを共有する

 さて、本日のテーマは「事業統合を円滑に進めるためのいくつかのこと」です。以前、「新規事業、事業連携、事業統合の進め方は」というテーマで、事業連携とは異なる方法としての事業統合の話をさせていただきました。https://blog.canpan.info/kin-cpa/daily/201604/05
本日は、少し毛色の変わった事業統合のことに触れたいと思います。

@事業統合はすごく気を使う業務であることを忘れてはならない

 事業統合とは平たく言うと、同じ事業を実施している団体のどちらかに当該事業を継続できない場合に、他の団体に事業を譲渡することを言います。いわゆるM&Aになります。事業統合という言葉自体はそうでもないですが、実際の業務はなかなか難しい作業を強いられます。

 まず、心理的なハードルがすごく高いです。そこには統合する側と統合される側があり、統合される側のやむを得ないというあきらめの気持ちと、外からずけずけと入って来られる抵抗感が入り混じっています。

 これは、ある意味どうしようもない心理です。そこにはやはり勝ち負けの世界が厳格に存在するからです。他人に自らを委ねなければならないこの屈折した心理は理屈では補いきれないものがあります。

 それ故に、統合する側はそうした前提があることを十分承知し、間違っても相手の懐に何の遠慮もなしに入ってくることについて避けなければなりません。そうしないと実際の業務を進めるうえで強烈な反発を受けるリスクが高くなるからです。

A関係者の協力を最大限に受けて初めてなし得ることに留意する

 そうであるために、事業統合を進めるには、細心の注意と細かな作業を積み重ねる必要があります。そして多くの関係者の協力を得なければ前に進まないことに留意すべきです。実際には多くの作業が待っています。

 たとえば、事業統合に核になる事業ノウハウ、技術などの無形の資産から始まり、人事、労務、財務、システム、取引先など広範囲な事業活動や財産について、一つ一つどのような形で統合を進めていくかを検討することになります。

 これが、単に財産の譲渡であれば、モノカネだけの話になるので、比較的簡単に進めることができます。譲渡の範囲が絞られるからです。ですが、事業統合の場合、事業を一体的に譲渡することになるため、ヒトモノカネ情報のすべてを含みます。それだけに与える影響が広範囲になります。

B事業統合の目指すゴールを共有する

 それでも、事業統合をするのは、これまで築いてきた事業を継続する手法の一つとして、経済的にも有効な手段になるからです。これにより、積み上げた事業ノウハウや経験を途絶えさせることなく、そこで働く職員の雇用を守り、経済を活性化させる効果をもたらすことが期待されます。

 しかしながら、微妙で複雑な問題を抱えやすい業務だけに、上手く行かないこともそれなりにあります。事業統合の失敗ですね。その失敗の要因はいくつか考えられるところですが、やはり最初の心理的な側面と実際の実務を進める際に阻害するものがあるということになります。

 これを新規に事業を行うと仮定した場合、どういう手順で事業を進めることになるかを考えるとヒントになるものと思います。多くの関係者の協力を得るために、トップは何を優先するのでしょうか。

 それは、関係者に事業統合により何を目指すのか、そのゴールを明らかにし、将来像を明確に伝えることだと思います。そのゴールに向かうとどんな良いことがあるのか、共通のイメージを植え付けることができれば、それに向かって関係者の協力を得やするくなります。

 では、どのように進めていくのか、何に留意して、効率的効果的に事業統合という難業に立ち向かえば良いのか。次週に続きます。
情報発信と広報活動の戦略的手法はどうするのか[2016年05月03日(Tue)]
2016年5月3日(火)
 おはようございます。連休も後半戦に入りました。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。今日はあいにくの雨で、所によっては大雨が降るそうです。お出かけの方は、大きめの傘を持って行った方がよさそうですね。当方は朝からしこしことブログを書いています(笑)。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@まずは団体のビジョンミッションとのすり合わせを行う
A次に情報発信と広報活動のTPOを使い分けを考える
Bそして、情報発信と広報活動の結果を検証確認する

 さて、本日のテーマは「情報発信と広報活動の戦略的手法はどうするのか」です。情報発信と広報活動を戦略的に行うことの重要性は、すでにいろいろな所でお伝えしています。本日は、この戦略的手法をもう少し深堀したいと思います。

@まずは団体のビジョンミッションとのすり合わせを行う

 当然のことですが、情報発信と広報活動は団体のビジョンミッションを具現するものであり、そことの整合性を取るのは言うまでもありません。ですが、状況は常に変化しています。

 団体のターゲットとする顧客(あえて顧客と言います)のニーズやウォンツに変わりはないか、その顧客に対してリーチする手法は適切か、そして、そこにリーチする情報発信の方法は問題ないかなど、情報発信する相手のことをよくよく考える必要があります。

 去年やっているからそれをそのまま踏襲して同じ方法でということになると、そこには団体のポリシーとひょっとしたらずれているかもしれません。結果として、去年と同じであっても、そこには一応のスクリーニングが行われていますので、納得して同じ手法を取ることができます。

A次に情報発信と広報活動のTPOを使い分けを考える

 団体のビジョンミッションとのすり合わせが終わると、次は情報発信と広報活動の手法をどう組み合わせていくかの戦略を考えます。その際に、手法のTPO、すなわち、時間、場所、ねらいなどについてどうすれば効果的に実施できるかについて、内部で議論します。

 たとえば、リーチしたい相手として、1人親家庭のお母さんや子供がいるとした場合、地域の夏祭りやイベントの機会を利用して、団体のことを知ってもらうために商店街や行政と連携し、ブースを設置して、そこであらかじめ作成したちらしを配るというような方法を考えます。

 この方法をいきなり実施しても効果は少ないので、団体のサイトに告知するとともに、商店街や行政にも周知の情報発信をしてもらうことで、リーチしたい相手の目に触れる機会や数をできるだけ増やします。

 あるいは、このイベントに照準を合わせて、地元でのセミナーや交流会などを企画しても良いかもしれません。このように、いろいろな媒体、関係者を巻き込み、リーチしたい相手に効果的に届くような情報発信の組み合わせをTPOで考えるとアイデアはいくらでもありそうですね。

Bそして、情報発信と広報活動の結果を検証確認する

 情報発信と広報活動に一本、筋を通したうえで後は実行し、その結果を検証確認します。当初の狙いどおりの効果があったのか、予想以上に良かった点は何か、逆にあまり思わしくなかったのは何が悪かったのかなどを分析して行きます。

 そして、もう、みなさんお分かりですね。次のアクションに繋げるべく、PDCAを回す仕組みと運用をするということです。これをルーティンに取り入れると、次第に意識せずともそのような動きをすることができます。まるで、朝起きると顔を洗い、歯を磨くように。

 こうした情報発信と広報活動を戦略的に考え、それを内部で情報共有し、実行していく。これを愚直に進めることで確実に団体の情報発信力は強化されることと思います。連休中の時間のある時に、このような手法の仕組みと運用についてゆっくり考えてみてはいかがでしょうか。
役職員の役割分担と法人のベクトル合わせとは[2016年04月26日(Tue)]
2016年4月26日(火)
 おはようございます。今朝も徳島からの投稿です。徳島では早い所ではもう田植えが済んでいます。4月に田植えが終わっているとは少しびっくりです。地域によっても田植えの時期は違いますが、こんなに早い所もあるんですね。子供の時に習った二毛作はしていないようですが、お盆前に収穫するとのことです。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@役職者の役割は肩書にあらず、その機能にある
A役職者の役割と肩書が一致していない場合の対応
B法人の方向性との関係を常に意識した役割分担を考える

 さて、本日のテーマは「役職員の役割分担と法人のベクトル合わせとは」です。前回まで、役員会、理事会等の活性化のポイントを2回にわたり、お伝えしました。その中で、役員会、理事会等の参加者における役割分担についても触れました。今回は、その役割分担をもう少し掘り下げたいと思います。

@役職者の役割は肩書にあらず、その機能にある

 団体のトップから末端の職員まで、団体の運営が機能するためにはそれぞれの役割が定められています。トップはトップの役割、幹部職員は幹部職員の役割、末端の職員は末端職員の役割があります。

 このそれぞれの役職者の役割と肩書は本来、一致していることが前提です。ですが、必ずしも一致しているとは限りません。トップの肩書があるにもかかわらず、その役目をはたしていない場合、逆に一職員なのに経営者の目で動き、一目を置かれている場合など、普通にあります。

 もちろん、肩書が人を作ることもありますので、最初はその役目を果たしていなくても、段々と様になってくることも大いにあります。肩書が人を育てる典型ですね。こうしたうれしい誤算がある一方、それとは逆の動きの場合は困った誤算ですね。

 いずれにしても、役職者の役割と肩書が一致しないことには、組織としての運営に支障をきたすことになります。その求められる役割が機能していないからです。

A役職者の役割と肩書が一致していない場合の対応

 では、役職者の役割と肩書が一致していない場合はどうすればよいのでしょうか。求められる役職者の役割にもよりますが、基本、当該役職者に対して、周囲の意見を促してその意見を取り入れ、改善の行動をすべく自覚に委ねることになると思います。

 それですぐに反応してくれると良いのですが、その反応の仕方は様々です。反応が良くなるまで何度も粘り強く話し合いの機会を持ち、成長する過程を共有することが必要です。団体が目指す方向性を確認し、その方向に向けた役割を追求することになります。

 それでも、反応しない場合は、場合によってはその役職から一端、外れることを検討することも考えられます。その辺は、団体の個別の状況の中で、何が本人にとってベストな選択かを良く考えたうえで、判断することになると思います。

B法人の方向性との関係を常に意識した役割分担を考える

 役職者の役割分担は、つまるところ、法人の方向性に向いた機能を果たしているかが問われていると考えます。その人の能力もさることながら、法人のベクトル合わせができている役割が求められるのです。

 法人のベクトル合わせができている団体は強いです。何故なら、法人の方向性が明確であり、その方向性にそれぞれの役割をはめ込み、行動し、評価できるからです。法人の方向性に求められる役割を共有化しているので、役割の軸にブレがありません。それによりそれぞれの役職者の貢献がはっきり見える化できるのです。

 こうした法人の方向性との関係を意識した役割分担ができているか、その役割がしっかりと団体内で共有化できているか、そしてその役割で評価され、組織に適材適所に必要な肩書で構成されているか、一度、ご自身の団体で振り返って見られたらいかがでしょうか。

 
役員会、理事会等の活性化のポイントはその2[2016年04月19日(Tue)]
2016年4月19日(火)
 おはようございます。熊本の地震が連日報道されています。私も阪神大震災を経験していますので、現地の混乱ぶりが少しは分かります。遠くにいてすぐにできることと言えば、知り合いとの連絡と募金や寄附しかありません。これからもできることをしたいと思います。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@理事会等の活性化のポイントはまずはトップが聞く耳を持つ
A役員会、理事会等に参加する役職者が経営者の意識で組織全体の観点から発言する

 さて、本日のテーマは「役員会、理事会等の活性化のポイントはその2」です。前回、組織の意思決定を行う会議体である役員会、理事会等をガバナンス及びマネジメントの面から考え、機能し、活性化するにはどうすれば良いかの問題提起をしました。

@理事会等の活性化のポイントはまずはトップが聞く耳を持つ

 私が考える役員会、理事会等の活性化のポイントはまずはトップが聞く耳を持つことです。トップは組織の総括責任者ですから、トップの持つ情報量や経営を考える時間は圧倒的に他の役職者より多いです。

 他者との関係で言えば優位に立ちますので、どうしても自分の意見や考えが優れていると思い、知らず知らずのうちに他者を圧倒してしまうことが多くなります。その時に相手の言うことを尊重して聞く耳を持てばよいのですが、力関係から結果として、相手の言うことを否定してしまうことがあります。

 そうすると相手もいくら言っても受け入れてもらえないと感じてしまい、良いヒントや考えがあっても積極的に発言しようとしないかもしれません。相手が萎縮してしまうとろくなことがありません。これは規模の小さな組織ほどその傾向があるように思います。

 一方、比較的規模の大きい組織では、役職者の役割分担や権限の委譲が行われているので、ある程度そうした弊害は少ないかもしれません。ですが、トップの権能は規模の大小にかかわらず同じですので、つまるところ、トップの姿勢、相手を尊重し謙虚な気持ちで他者のいうことに耳を傾け、聞き役に徹することができるかにかかっていると思います。

A役員会、理事会等に参加する役職者が経営者の意識で組織全体の観点から発言する

 次に、役員会、理事会等に参加する役職者の意識です。自分が組織の中にどのような立ち位置であるかは様々ですが、経営の視点で常に物事を考え、それを実行し、周りを巻き込んでいくことについてはトップと変わりません。

 その意識があれば、会議体での積極的な発言に繋がるはずです。もちろん、役割分担の中でそれを実施することになりますが、経営の意識があれば、他の部門にも関心を寄せるとともに、組織が活性化するにはどうすれば良いかを考え、それを発言することができます。

 逆に、自部門のことしか頭にない場合、経営者としての全体を俯瞰する意識が出てこないので、どうしても視野が狭くなり、組織全体からの発言が出にくくなります。よく言われるセクショナリズムの問題です。

 トップは他者と比べて優位性があるとしても、一人の人間のすることには限界があります。それを補完し、トップでは思いつかないようなことを組織全体の観点から考え、発言する。そうすると会議で喧々諤々の意見が飛び交い、最終的にはトップがとりまとめ決定する。

 いかがでしょうか。ご自身の団体の役員会、理事会等は活性化し、機能していますでしょうか。単なる報告会で終わっていないでしょうか。組織の方向性にベクトルを合せつつ、自由闊達な意見が出る組織は強いです。
役員会、理事会等の活性化のポイントは[2016年04月12日(Tue)]
2016年4月12日(火)
 おはようございます。今朝は少し寒いです。3月に戻ったかのような寒さです。私の住んでいるところは標高300メートルを超える山の麓にあるので、気温の変化が激しいです。びっくりされるかもしれませんが、まだストーブを置いています。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@組織の意思決定を行う会議体である役員会、理事会等の位置付けはとても重要
A役員会、理事会等の位置付けをガバナンスの面から考える
B役員会、理事会等の位置付けをマネジメントの面から考える

@組織の意思決定を行う会議体である役員会、理事会等の位置付けはとても重要

 さて、本日のテーマは「役員会、理事会等の活性化のポイントは」です。組織である以上、その組織の運営に際して、組織の意思決定を行う会議体である役員会、理事会等の位置付けはとても重要です。

 本日は、この役員会、理事会等が実際に機能していますかという問題提起です。ですので、しっかり建設的な議論が行われ、意見が飛び交い、団体の意思決定が迅速に行われている団体はご放念ください。

A役員会、理事会等の位置付けをガバナンスの面から考える

 最近の話題では、セブンイレブンの鈴木会長が社長人事で自分の考えを取締役会に諮ったところ、賛成多数とならずに辞任したニュースがありましたね。これについては、いろいろな所で議論され、情報発信されています。

 日本の場合、社長など実質的な経営支配をしている者の声が大きいため、これに反対するというのは勇気が要ります。自分の保身を考えるからです。

 今回は、社外役員の存在が大きく、はからずもガバナンスが機能した珍しい事例ですが、ここでは、少なくとも喧々諤々の議論がされ、たとえ会社のトップが提案した案件であっても、否決されることがあるということです。

 教科書的には、取締役は代表取締役の業務執行を監督する役割を持つのが建前ですが、実際にはそれができていないのが実態です。これは非営利団体でも基本、それほど変わらないのではないでしょうか。

 トップも人ですから間違った判断をすることだってあります。そうした時にトップに自由にものを言える風土が組織にあり、実際にトップにストップを掛けられる会議体があり、他の役員がそれを実行できる組織は強いですね。

B役員会、理事会等の位置付けをマネジメントの面から考える

 もう一つはマネジメントの問題です。よくあるのは役員会、理事会等がトップの報告会になっていることです。これもトップが組織の運営についての考えや意見を押し付けたり、他の役員の発言がほとんどない場合は、会議が一方通行になってしまっている状態です。

 こちらの方が、実際には深刻かもしれません。役員間の権限と責任が明確でなく、役割分担がはっきりしないことになると、組織のマネジメントとしては宜しくありません。トップ一人がほとんど会議を支配し、他の人が自由な発想でアイデアや建設的な意見を考えるという状態でない場合は、組織自体が危ないかもしれません。

 理想的には組織の規模に関わらず、会議体のメンバーがわいわいがやがや積極的な意見が続出して、組織の運営に資する決定が行われることが重要です。では、どのようにすれば、役員会、理事会等が機能し、活性化するのでしょうか。だいぶん長くなってきましたので、次週に続きます。

  
新規事業、事業連携、事業統合の進め方は[2016年04月05日(Tue)]
2016年4月5日(火)
 おはようございます。さくらが先週末から満開になっています。天気はいまいちですが、今週末までは何とかもちそうですね。さくらって本当に見るだけでも何となく嬉しくなります。そこはかとなく、それでいて凛とした風情が感じられます。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@新規事業を進める際の方法の一つとして事業連携を考える
A事業連携を進める際の留意点とは
B事業連携とは異なる方法としての事業統合とは

@新規事業を進める際の方法の一つとして事業連携を考える

 さて、本日のテーマは「新規事業、事業連携、事業統合の進め方は」です。団体の新年度の目玉としていろいろ考えていると思いますが、新しい事業もそのうちの一つでしょう。その事業を進めるに当たり、どこから資源を引張ってくるかは重要な要素になります。

 団体内に求めるのは当然として、ここではそのリソースとして、他の組織と組むことも選択肢の一つとして考えられます。新規事業を行う際に、自団体では完結しない場合、他団体と組むことで相乗効果が見込める場合など、外部と連携してその事業を行うことは自然の流れだと思います。

 先日、非営利団体のビジネスモデルの構築でもお伝えしましたが、団体のビジョンやミッションに共感してくれる、多様な関係者の資源を戦略的に活用する方法としての事業連携があります。この事業連携の進め方としては、以下の事項に留意する必要があります。

A事業連携を進める際の留意点とは

 まず、団体のビジョンやミッションとの親和性です。言うまでもなく、団体の方向性のベクトルと歩調が合って初めて連携の意味があるので、ベースになるものが同じ価値観であることがとても重要です。

 次に、同じ価値観を共有した後は、双方に連携するメリットがあることが必要です。お互いが活用し合うウィンウィンの関係であり、相互に補完し合うことが求められます。つまりパートナーシップが組めるかという視点が大事です。

 そして、事業の連携時には、双方が窓口の責任者を設定し、連絡を密にして事業を推進する仕組みが必要です。事業連携をしっかり双方の団体内部で認識し、情報の共有化を図り、必ず成功させるのだという強い意思をもって事業を進めることです。

B事業連携とは異なる方法としての事業統合とは

 一方、事業連携とは異なる方法として、事業統合があります。これはなかなかハードルが高いです。よく言う、M&Aになります。同じような事業を実施している団体のどちらかに当該事業を継続できない事情があり、それを廃止することの影響をできるだけ避けるために、他の団体に事業を譲渡することを言います。

 事業統合をする場合、通常、人の移動を伴います。他の団体に移籍することになりますので、職員の業務にも多大な影響を与えますので、慎重な対応が求められます。また、場合によっては、統合される側に信用不安が発生する恐れがありますので、そうした悪影響を避けるために関係者への事前の協力依頼などが必要になってきます。

 しかし、高度な経営判断が求められる事業統合を前向きに考えれば、これにより職員の雇用を守り、統合される側の経験・ノウハウや後継者でさえも継承されることから、民間企業では積極的に行われています。

 どちらかと言えば事業連携が水平連携であるのに対し、事業統合は垂直連携ということができます。事業継続が社会起業家の最大のミッションとすれば、トップはこの事業統合を視野に入れることも必要であり、そうしたアンテナを張っておくことが求められます。

 この事業統合を実際に進めるには、多くの事項を検討しなければなりませんので、機会があれば、このテーマは別に設定してお伝えしたいと思います。宜しくお願いします。
後継者教育はどのように進めていますか[2016年03月29日(Tue)]
2016年3月29日(火)
 おはようございます。3月も最終コーナーを回り始めました。今日を含めてあと3日で平成27年度も終わりです。やり残したことがないかどうか、最終確認をするギリギリのタイミングでしょうか。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@トップに求められる後継者選びはとても重要でありながら、優先順位が低い
A団体の存在意義やミッションを達成するためには、普段から後継者の養成を考えておく
B後継者選びはそう簡単ではないため、経営者としての資質を磨く機会を頻繁に作る

@トップに求められる後継者選びはとても重要でありながら、優先順位が低い

 さて、本日のテーマは「後継者教育はどのように進めていますか」です。トップに求められる役割は様々ですが、その一つに後継者選びがあります。この後継者選びはとても重要でありながら、どちらかと言えば優先順位が低いです。

 何故なら、当面はトップが団体の代表として業務を実施するため、直ちに交代することは予定されておらず、喫緊の課題となりにくいからです。団体によっては、何十年も同じ人がトップにいることも珍しくはありません。

 トップの力が強ければ強いほど、関係者はトップの様子を伺いながら仕事をしがちなので、ともすれば組織が停滞し、組織運営では弊害すら出てくることもあります。ですので、トップがあまり長く居続けるのは良くありません。

 一方、毎年のようにトップが交代する団体があります。もちろん、諸般の事情でトップが変わらざるを得ない状況があったことが考えられます。ですが、団体の方向性はある程度決まっているとしても、トップの考え方は一様ではないため、一緒に働く役職員に少なからぬ影響を与えます。

 トップが頻繁に変わるのも、あまり好ましいことではありません。何故なら、人間の常として、前任者とは異なることをしたいという想いが多かれ少なかれあるからです。極端な話、前任者を否定することから始めるトップもいます。

A団体の存在意義やミッションを達成するためには、普段から後継者の養成を考えておく

 このように、トップの影響力は大きいため、団体の方向性を決定する重要な役割があるトップは、日々の業務の中でトップの考え方を事あるごとに関係者に情報発信し、納得と共感を得る努力を続けなければなりません。そうしないと肝心な時に関係者の協力を得られないからです。

そうすると、団体の存在意義やミッションを達成するためには、その考え方に深い理解と実践を図るべく、普段から団体の方向性を継続させ、継承する後継者の養成を考えておく必要があります。

B後継者選びはそう簡単ではないため、経営者としての資質を磨く機会を頻繁に作る

 実際のところ、この後継者選びはそう簡単ではありません。トップ自身の考え方を理解し、それを発展させる気概の持ち主を団体内に求めようとすれば、これはと思う方に日常の業務を通じて経営者としての資質を磨く機会を頻繁に作ることが求められます。

 もちろん、次の後継者は貴方ですよとは直接言わないとしても、そのような雰囲気を醸し出し、自覚を持ってもらう必要があります。経営者としての経験知識を伝授することもあるでしょう。

 その方法は、一つではなく、いろいろなやり方があります。肝心なことは、トップ自らがそれを常に意識し、自分なりの方法を選択して、次の世代にバトンタッチすることを考え実践するしかありません。

 日頃は多忙を極めているトップですが、年度末の終わりに、ちょっと立ち止まって後継者教育のことを考えてみてはいかがでしょうか。
 

 

 

 
 
組織運営におけるフォーマルとインフォーマルとの間ですべきことは[2016年03月22日(Tue)]
2016年3月22日(火)
 おはようございます。3月も第4コーナーを回り始めました。今週辺りは、来年度の予算や事業計画における理事会や評議員会などが行われる期限となりましょうか。いよいよ新年度に向けての諸活動が本格化してまいります。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@フォーマルは、理事会、評議員会、各種会議、インフォーマルはその会議等に参加する役職員間のコミュニケーション
Aフォーマルでは、決定することを重視し、インフォーマルは日頃の役職員間のコミュニケーションを重視
B円滑な組織運営をするためには、フォーマルとインフォーマルのバランスを上手く取る

さて、本日のテーマは「組織運営におけるフォーマルとインフォーマルとの間ですべきことは」です。前回まで3回にわたり、トップに関して日頃考えていることをお伝えしました。何と言っても組織の大小にかかわらず、トップの役割は決定的ですからね。

@フォーマルは、理事会、評議員会、各種会議、インフォーマルはその会議等に参加する役職員間のコミュニケーション

 そのトップに限らず、役職員が一丸となって組織全体や各部門の運営を回すことが求められます。その際、フォーマルとインフォーマルとの間ですべきことは何でしょうか。ここでは、フォーマルは、理事会、評議員会、各種会議を指します。インフォーマルはその会議等に参加する役職員間のコミュニケーションを指します。

Aフォーマルでは、決定することを重視し、インフォーマルは日頃の役職員間のコミュニケーションを重視

 フォーマルでは、決定することを重視します。関係者が各種会議に参加して協議するのですが、ともすれば、何かを決定せずそのままになっていることがあります。多くの関係者が参加する時間とコストを考えると、決定しない会議は何の意味もありません。

 もちろん、1回で決まらなければ、2回3回と回を重ねることがあります。しかし、できるだけその回ごとでも必ず何かを決定して、次の行動に繋げる必要があります。多くの関係者を拘束するのですから、そうしないと時間がもったいないからです。

 一方、そのようなフォーマルな場で決定するためには、日頃から役職員間のコミュニケーションが円滑に行われていることが大事です。会議の参加者にその時の議題に共通認識があり、ベクトルが一定の方向に向いていれば、スムーズに行きやすいですね。インフォーマルなコミュニケーションがいわば潤滑油になります。

B円滑な組織運営をするためには、フォーマルとインフォーマルのバランスを上手く取る

 このように、円滑な組織運営をするためには、フォーマルとインフォーマルとの間を上手く泳ぐ必要があります。フォーマルを補完するインフォーマルはとても大事です。役職員間のコミュニケーションは組織風土の問題でもあります。

 職場でのコミュニケーションが日頃から進んでいる団体は、各種会議に参加する関係者が自らの役割分担の中で、活発な意見が出やすいと思います。当事者意識を持ち、何とか組織に貢献したいと思える組織風土がある団体は強いです。

 ご自身の団体で、この組織運営におけるフォーマルとインフォーマルのバランスが上手く取れているか、物事を決定するルールとそれを補完する組織内のコミュニケーションがとれているかについて、一度確かめて見られてはいかがでしょうか。
トップは経営判断に必要な情報をどのように集めているか[2016年03月15日(Tue)]
2016年3月15日(火)
 おはようございます。もう、3月も半分が過ぎようとしています。本当に早いですね。3月は学校では卒業式に修了式、会社では早いところは4月からの異動がぽつぽつ発表されています。その中でも毎日の営みは行われていますね。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
@トップの経営判断は孤独な作業
Aいかに経営判断に必要な情報を集めるかが鍵となる
Bトップは圧倒的な情報の中から、経営判断に必要な情報を選択し、不要な情報を捨てる作業を繰り返す
 
さて、本日のテーマは「トップは経営判断に必要な情報をどのように集めているか」です。前回、「トップと現場の情報ギャップは誰が埋める」でトップは事業規模に応じて段々と現場と遠ざかるので、そのギャップを特に事務局長が埋める必要があることをお伝えしました。
https://blog.canpan.info/kin-cpa/daily/201603/08

@トップの経営判断は孤独な作業

 本日は、トップシリーズの最終回です。トップは団体の規模に関わらず経営判断するための情報を収集し、自ら意思決定するという孤独な作業を行うことが多いです。もちろん、役職員との会議等で意思決定しますが、最後は団体の最終責任者として、誰にも相談せずに決定することもあります。

Aいかに経営判断に必要な情報を集めるかが鍵となる

 そうした場合、いかに経営判断に必要な情報を集めるかが鍵となります。情報の質と量が決定的に重要だからです。この点、対外的には、トップの人脈を生かして同業者が集まる各種会合に出かけたり、個人的なつながりで情報を取ることもあるでしょう。

 また、取引先や行政、支援者など広範囲な関係者に対して、日頃からアンテナを張っておき、関連する情報を適時に収集する仕組みを持っている場合もあります。できるだけ広範囲にネットワークを持つことが重要です。

 一方、対内的には役職員との会議や現場に出かけて、それこそトップとしていつでも必要な情報を収集することが可能です。忙しい中でも、常に内部の関係者と接点を持ち、特に現場から上がってくる情報に耳を傾けることが重要です。

Bトップは圧倒的な情報の中から、経営判断に必要な情報を選択し、不要な情報を捨てる作業を繰り返す

 このように、圧倒的な情報の質と量を集めることができて初めて、トップとしての経営判断をするインフラを備えることが可能となります。この圧倒的な情報の中から、経営判断に必要な情報を選択し、不要な情報をどんどん捨てていく。

 この繰り返しがトップの良質な経営判断に収斂されていくことになります。この間、何を残して何を捨てるのか、重要な案件ほどストレスも高いですが、これが経営者としての醍醐味と言えるのでしょう。

 本日は、当たり前過ぎてお叱りを受けそうですが、この孤独な作業をどれだけのトップが日々の業務の中で行動しているか、その原点をあらためて確認するために整理してみました。トップとしての経営判断に過不足がないか、今一度振り返って見られてはいかがでしょうか。
トップと現場の情報ギャップは誰が埋める[2016年03月08日(Tue)]
2016年3月8日(火)
 おはようございます。先週、日曜日の震災関係の映画見ました。障害者施設の利用者や事業者が震災にどう向き合ったのか、どう乗り越えて行ったのか、1時間ほどのドキュメンタリーでその後、視聴者でディスカッションしました。もうすぐ、東日本大震災5年目を迎えます。今日も元気で張り切って行きましょう。

(要旨)
・トップは事業規模に応じて段々と現場と遠ざかることを余儀なくされる
・トップと現場との間にコミニュケーションギャップが大きくなると不信感が芽生えて、相互理解 の量がどんどん減るリスクがある
・そのギャップを埋めるのは現場とトップの両方に接する管理層、特に事務局長の役割が大きい

 さて、本日のテーマは「トップと現場の情報ギャップは誰が埋める」です。前回、「トップのリーダーシップは何を重視する」で、非営利法人の場合、「共感」を得るための情報発信とコミニュケーションが重要とお伝えしました。https://blog.canpan.info/kin-cpa/daily/201603/01

 組織で活動する以上、たとえ最少人数であったとしても、コミニュケーションが必要です。相互理解がないと業務を円滑に進めるうえでロスが生じるからです。したがって、規模が大きくなればなるほど、このコミニュケーションをどのように進めるかが重要です。

 ここでは、ある程度の規模(数十人から100人ぐらいの組織)を前提にすると、トップと現場の距離感は比較的近いです。一緒に業務をすることも多く、トップは自然と現場と情報を共有し、肌感覚で現場の雰囲気を感じ取ることができます。

 しかし、業務が多様化複雑化するにつれて、本来の業務であるトップの経営にかける時間が多くなると、必然的に現場と接する時間が少なくなり、現場からの間接的な報告を通じて経営判断することを余儀なくされます。

 現場からの情報が適時に上がるうちは良いのですが、忙しさにその頻度が下がり、段々と現場との接点が減少して遠ざかってくると、トップと現場との間にコミニュケーションギャップが生じ易くなります。

 このギャップが大きくなると、トップと現場との間に不信感が芽生えて、相互理解の量がどんどん減ってきます。いったんこうした情報ギャップと不信感が出ると、それを是正するのに多くの労力をかけることになります。

 トップは忙しいですから、なかなか現場と十分なコミニュケーションを取ることが難しいです。そのことを前提にして、トップはできるだけ自ら現場に足を運び、相互理解の行動を取ることが求められますが、限界もあります。

 トップと現場の情報ギャップは常に発生するのだという認識の下、それを埋める不断の対応が求められます。そのギャップを埋めるのは現場とトップの両方に接する管理層です。非営利団体で言うと事務局長や現業ラインの部門長です。特に事務局長の役割が大きいです。何故なら、法人全体の状況を一番把握できる位置だからです。

 もちろん、内部での各種会議などトップと現場の相互理解を進める仕組みは必要です。ですが、公式の場だけでは足りません。いくらハコを作っても機能していないことも多いからです。非公式のコミニュケーションギャップを埋める作業が上手く行くかどうかは、管理層の意識の差が大きいです。

 公式非公式、いろいろな場を設定したり、情報を共有化したりの組み合わせになると思います。組織を一定の方向性のベクトルに向かわせるためには、現場との接点を常に持ち続けることが重要です。現場に問題が落ちていることを十分把握して、その問題を拾える体制と意識が大事です。

 ご自身の団体でこのギャップが生じていないか、そしてこのギャップを埋める体制ができているか、一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

 
 
トップのリーダーシップは何を重視する[2016年03月01日(Tue)]
2016年3月1日(火)
 おはようございます。今日から3月です。3月は日本の場合、いろいろな節目の月になりますね。学校や公的機関、多くの民間企業の仕上げの月です。今日も張り切って行きましょう。

(要旨)
・トップのリーダーシップは利益だけでなく、「共感」資産を獲得する必要がある
・非営利法人の場合、特に「共感」を得るための情報発信とコミニュケーションが重要
・対外的な情報発信、対内的にはコミニュケーションをいかに工夫して行動するかがトップの役目

 さて、本日のテーマは「トップのリーダーシップは何を重視する」です。およそ組織で活動するには、トップのリーダーシップがもっとも重要なのは論を待ちません。営利非営利も関係ありません。民間企業の場合、利益という共通の尺度があるため、利益獲得に向かってのリーダーシップに集約されるものと考えます。

 一方、非営利法人の場合は、必ずしもそうではありません。もちろん、利益を獲得しないと事業継続できないので、重要な指標ですがそれだけではありません。多様な関係者の資源を集め活用するために、「共感」という無形の資産を獲得する必要があるからです。

 無形であるがゆえに、この「共感」という得体のしれない、しかし、最も重要なものをトップは常に意識し、これを団体の内外から得るために自ら行動を示す必要があります。そのためには常に日頃からアンテナを張っておき、この団体で仕事がしたい、自分の持っているものを役立たせたいいと思わせる「共感」を得るための情報発信とコミニュケーションを取ることが求められます。

 この「共感」資産が多い団体ほど、多くの人が団体に集まり、いろいろな資源を提供してくれるインフラがあることを意味します。団体のサービスを受ける受益者、取引先、金融機関、行政、役職員とその家族、潜在的な見込み客など多様な関係者に対する求心力が強いのです。

 対外的には、この情報発信、対内的にはコミニュケーションをいかに工夫して行動するか。ちまたにリーダーシップ論は山ほどありますが、次週以降でまずは組織内のコミニュケーションの方法、それから情報発信と広報戦略についてお伝えしていきたいと思います。ご期待ください。
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