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こども達の応援団のひとりとして [2008年04月11日(Fri)]

病院という場所は、「病気を治すため」とは言え、こども達と家族が、多くの理不尽な苦しみと痛み、不安や悲しみと向き合う場所です。「元気になること」ことだけではなく、「こども達の“いのち”と“こころ”の輝きを育み守ること」を願う家族の思いを、病院スタッフがしっかり受け止め、家族の気持ちに添って“伴走”することができるなら、闘病生活の苦しみを無くすことはできなくても、少なくとも、ほんの少し柔らかく、軽く、小さくすることはできるはずです。そして、その受け入れ難い体験の中にも、「宝物」や「贈り物」だと感じられるもの見つけてゆく、こども達と家族の“思い”と“生きる力”をサポートしていくことができるはずです。

病院の中でも、病院の中だからこそ、こども達と家族の”大好き”と”いつも”の世界を大切にしたい・・・ほっと安心できる場所、笑顔になれる時間、“だいじょうぶ”と思えるかかわり、“宝物”に出会える環境を守りたい・・・。今まで日本とアメリカで出会った多くのこども達(治療を終えて元気になったこども達、そして、天国に旅立ったこども達)のかけがえのない“いのち”と“こころ”の輝きを胸に、“今闘病中のこども達”のためにCLSとしてできる取り組みを、ひとつひとつ心をこめて積み重ねてゆきたいと思っています。

fumiクローバー
“守る力”と“開く力” [2008年04月09日(Wed)]

おとうさん あのなぁ、あめのときは、おひさま、かんがえとるねんで
くものなかで・・・・・・・そとに でようかなぁって(3歳)
「ポッケにいつもお星さま」小椋佳:編より

入院して、本来の笑顔や言葉をなくしてしまうこども達もいます。行き場のない苛立ちを、家族や医療者にぶつけるこども達もいます。弱音を吐くことができず、笑顔で頑張り続けてしまうこども達もいます。どのような時も、まず、ありのまま、そのままを、受けとめ、表面化しないその子の気持ちに思いを寄せ、耳を傾けます。心の扉を少ししか開けていないこども達、抵抗し拒絶するこども達、不安を心の奥に押し込めて笑顔で頑張るこども達にとって、その扉や抵抗や笑顔は、自分の心を守るために作った「とりで」「心のよりどころ」かもしれません。あそびの中で、安心したとき、扉の奥の気持ち、苛立ちの本当の理由、笑顔の奥の気持ちが、あふれ出します。こども自身の「もういいよ」を尊重すること、「まぁだだよ」の間は待つこと、こども自身が持つ、「守る力」と「開く力」、その両方をサポートすることが大切だと、日々病棟で実感しています。

笑顔やことばをなくしていた子が笑い話すようになる、処置に強い抵抗を示していた子がスムーズに乗り越えられるようになる・・・そのような目に見えて分かりやすい劇的な効果があったかかわり、「雨がやみ、雲が切れて太陽が輝き出した」ように見える瞬間は、CLSの介入の成果や効果として、クローズアップされがちです。でも、こども達にとって、そして、CLSの介入として、本当に大切なのは、その背後・前後にある時間、目に見える変化のない部分だと痛感しています。「雲の中で雨をしのぎ、そろそろ外に出ようかなぁ・・・出ても大丈夫かなぁ・・・と揺れている段階」・・・恐怖や緊張で硬くなっていた心や、ストレスやショックで疲れ切った心が、ふわっと解けてゆく・・・そのプロセスのひとつひとつは、たとえ、目に見える変化はなくても、心の中で秘かな変化が起こっています。そして、目に見える変化の後、特にその変化が大人に歓迎された場合、その期待に応え続けなければいけないというプレッシャーを感じるこども達もいます。その“揺れている”部分に寄り添うサポートが、大切なポイントとなるのだと思います。

こども達が病院という場所で、できる限りリラックスして、“本来の”その子らしくいられるように助け、人知れず心の奥に抱えている”痛み”と“強さ”と“揺れ(葛藤)”に寄り添うことが、CLSの大切な役割だと感じています。(つづく)

fumiクローバー
みんながあなたの味方 [2008年04月04日(Fri)]

ある医療スタッフが、こどもと家族にCLSを紹介する時に、「こどもの味方」と表現してくれたことがありました。CLSが本当の意味で「こどもの味方」になるためには、「CLSだけがこどもの味方」かのような状況や印象を作るのではなく、「こども」と「医療者」、「日常体験」と「医療体験」との間に“架け橋”を作り、家族も病院スタッフも「みんなが、こどもの味方」だと、こども達が信頼や安心感を伴って感じられる状況をサポートしていくことだと思います。また、家族の付添や面会が制限された時間・場所では特に、こどもが「ひとりぼっちじゃない。だいじょうぶ」と思えるように、安心感を途切れさせない“架け橋”の役割を担います。こどもは小さな胸の中に、抱えきれないほどの不安を持っていますが、自分を取り巻く”人”と、医療機器など自分を取り巻く”もの”の“大切な役割”を理解して、「みんなが自分を守り、支え、助けてくれる味方」・・・と感じられたら、大人もかなわないほどの大きな力、乗り越える力を持つことができると、いつも感じます。

心地よい日常から一転して、緊張や不安を伴う体験をしなければならない馴染みのない場所に連れて来られたこども達が、多くの見知らぬ大人たちに囲まれ、痛みやストレスを伴う体験をする中で、「みんなが自分の味方」だと受けとめることは、大変困難で、また、負担が大きなことです。CLSは、こども達の一番の味方である「家族」のぬくもりとつながりができる限り守られるように、そして、あそびや会話の中で、こどもが“その子らしく”いられ、少しでも安心できるようにサポートし、「患児」としてではなく、「こども」として向き合います。そして、あそびを通して、こどもが何を感じているかを汲み取り、負担のない方法で、体験や感情を表現・消化し、心を癒す形で、「あそびきる (play out)」ことができるように援助してゆきます。そのような介入を通して、こども達が胸の奥に閉じ込めていた様々な「思い」がぽろぽろと溢れ出します。弱音を吐かずに「いい子」でがんばらなければというプレッシャー、処置や病気を「悪い子」への“おしおき”だと感じているという誤解、何が何だかわからない、逃げ出したいほどの恐怖・・・。まず、どんな感情も無条件で受け止めてもらえる、弱音を吐いてもいい、という安心感を持てるように、その気持ちをありのままに包んで耳を傾けます。そのあと、ゆっくりと、心と理解の許容範囲内で、こどもが受けている医療体験の意味や目的、プロセスや今後の見通し、こどもをサポートする医療スタッフの役割を、安心感を伴って受け止められるように援助してゆきます。

あそびの中で、医師・看護師役となったこども達は、患児役のぬいぐるみを、やさしく撫で、語りかけます。「ちっくんは、いたいね。でも、だいじょうぶ。いたかったね。もうだいじょうぶ」。医療者に対して拒絶や警戒心を見せていたこども達が、あそびの中で、徐々に医療者の役割を理解しながら、医療者への信頼や憧れの気持を育んだり、医療者の患児に対するいたわりや優しさを表現したり、「こうしてほしい」という願い、「これがあればだいじょうぶ」という“おまもり”を表現することが大変多いのです。

そして、医師役・看護師役を演じているこども達のもとに、医師・看護師が処置のために訪れる時、急に、「患児」の立場に引き戻されると、こどもたちは、傷ついたり、混乱や戸惑いを感じることもあります。ほんの少しの時間、あそびの中でこども達が演じる“医師・看護師”としての役割や仕事を尊重して見守ることで、多くのこども達は、納得して安心して、“医師や看護師に診てもらう患児”の立場に戻り、受け入れることができるのです。(つづく)

fumiクローバー
プーさんも、行ったんや〜 [2008年04月02日(Wed)]

手術を前に緊張していたこども達の表情がふっと柔らかくほころびます。絵本や人形劇、お医者さんごっこなど、ひとりひとりの気持ちに寄り添いながらリハーサル。当日は、病室からオペ室まで付き添い、一緒に考えた“乗り越えやすい方法” “おまもり”をサポートします。麻酔で眠る直前まで、歌を歌ったり、お気に入りのあそびをしながら、手術室の中にいるとは思えないようなリラックスした表情で、手術体験を乗り越えたこども達、術後に、「もう一度絵本を見たい!」と言い、写真絵本を見ながら、笑顔で誇らしげに、手術室への冒険物語を振り返るこども達がたくさんいます。(つづく)

fumiクローバー

家族(ピグレット)、小児科医、小児科病棟看護師、CLS


小児外科医、小児科医、オペ室看護師


麻酔科医、CLS
チーム医療の中で [2008年04月01日(Tue)]

勤務を始めた当初、CLSの介入に使うツール(特に、プリパレイション・ツール)は、ほとんどない状態でした。処置・検査・手術・治療等の理解と心の準備を援助するための、写真絵本、医療機器の模型、メディカル・プレイ用の人形、ロールプレイ・人形劇のツール、治療・病気についての紙芝居、など、医師・看護師・技師の協力を得て、手作りでひとつひとつ準備・製作してゆきました。製作過程は、他のスタッフから、こども達が直面することになる当院での医療体験のプロセスを教わり、CLSからは、こども達が、どんなことを「怖い」と感じ、どんなことが「助け」となるか、そして、CLSの取り組みについて伝える貴重な機会となりました。
CLSの役割は、こども達の不安や疑問を、あそびを通して表出・消化できるように援助し、不安をできる限り小さくすること、残っている不安をそのまま受け止めて寄り添うこと、そして、こども自身がもっている「乗り越える力」を引き出し、サポートすることです。けれど、CLSだけではなく、“こどもと家族”を中心にしたチームとして、医師・看護師・技師始めその他のスタッフと連携するとき、一番効果的にこども達が安心して乗り越えやすい状況を作ることができることを、現場での体験を通して実感する毎日です。(つづく)

fumiクローバー
チャイルド・ライフ・スペシャリストとして [2008年03月31日(Mon)]

以前、“あそびのボランティア”として、病棟のこども達のベッドサイドを訪ねていた時、数え切れないほどの輝く笑顔に出会いました。一方で、あそびの最中に、処置の時間が来ることもありました。「まだあそびたい。一緒に来て。いかないで」と小さな手でしがみつき、必死になって引き留めて泣いている子に、「待ってるからね」と伝えて、見送った時の心の痛みは、今も忘れられません。こども達が、一番の“安心”である家族と離れて不安な時、最も恐怖や痛みを感じる時こそ力になりたい・・・と願うようになりました。そして、こども達の心の傷つきやすさと強さ、あそびの持つ癒しの力、その奥深さに触れるたび、CLSになって専門家としてこども達を支えたい、という思いを強くして、留学を決心しました。

昨年夏帰国し、CLSとして阪大病院での活動を始めました。小児科・小児外科病棟、骨髄移植病棟、脳神経外科病棟、ICUなど、入院しているこども達は約100人。アメリカでは各病棟・各検査室専任のCLSがチームとなって対応する規模であり、残念ながら、CLS一人で、すべてのこども達に十分なサポートを届けることはできません。そこで、まず、医師からの提案で、「病状・治療経過を把握する主治医が、“CLSのサポートを特に必要としていると思われるこども達”を判断して、介入を依頼する」という形で活動を始めることになりました。一見「落ち着いている」ように見えたこども達の、「もし、(処置中)一緒にいてくれなかったら怖くてパニックになってた」という程の不安、「聞きわけの良い」こども達が人知れず抱く葛藤や疑問やプレッシャー、「幼すぎて理解できない」と思われがちな乳幼児の“安心を得た時の乗り越える力”を医療者に伝え、シェアすることを通して、表面化しないニーズに目を向けた依頼や相談も届くようになりました。「明日、○○(処置)があるから、一緒に来てね」と自分でCLSに伝えて “予約”をすることができるこども達がいる一方で、自分では決して言い出せないこども達もいます。家族やこども達からCLSに直接“依頼”が届くことも増え、今後、どのように、“CLSの介入が助けになる”と思われるこども達のニーズに応えていくことができるか、大きな課題です。

次に、チーム医療の中で、CLSの専門性が生かされる介入のひとつとして、“ストレスを伴う医療処置・検査・手術等の「前・中・後」のサポート”に重点を置くこととなりました。医療者からの依頼に応じて、血液腫瘍、循環器、腎臓、消化器、脳・神経など、様々な疾患をもつこども達が体験する処置や検査、治療や手術の際のサポートに取り組んできました。当初、処置室に入る前から処置後まで泣き続けて全身で処置を拒んでいたというこども達が、介入後、あそびを通して、言葉にできなかった気持ちを表現し、徐々に恐怖心が和らぎ、処置の意味と周囲の援助を、その年齢なりに理解してゆきました。そして、医師・看護師・母・CLSが、それぞれの形・役割で「助けてくれる」という安心感を育み、おまもりやリラックスできるあそび、“自分で何かを選ぶこと”や“安心できる人と手をつなぐこと”などを通して、「守られている」「尊重されている」と感じ、不安が和らいだ様子で、処置を乗り越えていく例を何度も経験しています。

お母さんと離れて処置室に連れて行かれて、事前の説明なしに抑制を受けて、痛い処置を体験し、それが、心理的トラウマとなっているこども達は、日本中に数多いことでしょう。処置そのものの痛みだけではなく、“一番の安心感”から引き離される恐怖、理由が分からずに押さえつけられ、すがるもののない恐怖、予期できず親しみのない体験の恐怖、処置に付随する体験すべてが、心の痛みとなって残る可能性のある体験です。周囲の人とモノと体験に、事前に安全な場所・方法で親しみ、受け身ではなく主体的に体験に向き合うことができたなら、こども達は、驚くほどの「受けとめる力、乗り越える力」を発揮することを、日々感じています。医療現場は、時間的余裕のない場所ですが、短時間であっても適切なタイミングで適切なサポートを提供できれば、その処置・検査中だけではなく、その後の長期的なトラウマを予防・最小限にし得ることを、伝えてゆきたいと思います。

9ヶ月経ち、特定の処置に特化しない継続的な介入の意義も伝わるようになり、次第に、長期入院(再入院)のこども達とその兄弟姉妹のための治療の経過(小児がん患児の場合は、化学療法、放射線治療、骨髄移植、など)に沿ったサポートへの依頼が増えてきました。入院中と退院後を含めた治療の経過全体を視野に入れたサポート、ICUや重症室や無菌室など家族の付添や面会が制限された場所でのサポートなど、介入内容は徐々に多様になってきています。お母さんが心身の休憩をしたり、安心して思いを話し、涙を流せる場所や時間やかかわり、兄弟姉妹の病院での“居場所”作り、面会できない入院中のこども達と兄弟姉妹の橋渡しなど、兄弟姉妹を含めた家族サポートの充実は、今後の課題です。(つづく)

fumiクローバー
“架け橋”として、こども達に寄り添うこと [2008年03月29日(Sat)]

病院という場所では、こども達が、一番必要なとき、一番不安なときに、こども達にとっての一番の安心、“お母さんの手のぬくもり”から引き離されてしまったり、元気なときはおしゃべりが大好きだったこども達が笑顔や声を失ってしまったり、心に抱える感情を人に伝えることができなくなってしまったりします。CLSは、大人中心、こどもは受身になりがちな医療の場で、こどもの視線に立って寄り添い、こどもの自尊心を尊重して、病院体験が、少しでもストレスや不安の少ないもの、温かい安心感や楽しみのあるものになるように、治療の経過に沿って、こども達とその家族の心のケアを行う専門家です。

CLSは、その子らしい成長や日常の安心感と楽しみをサポートするあそびの他に、心の癒しとなる治癒的あそびを援助します。”あそび”は、こどもが、“人から伝えられたこと、自分の身に起きたできごと"を、“心”で理解して、消化する、また、“言葉にできない思いを、表現する、伝える、誰かと分かち合う”大きな援助となります。このため、CLSは、あそびを通したかかわりを通して、こどもの「心の声」、「ことばにならない気持ち」を大人のことばに置き換えて大人に伝えたり、大人の言葉をこどものことばに置き換えてこどもに伝える・・・架け橋のような役割を担うのです。

心理的プリパレイションと呼ばれるCLSが専門とする介入では、医師・看護師・家族と連携・相談しながら、ひとりひとりのこどもの気持ちに添った形、理解しやすい方法(言葉、形、ツール、タイミング、環境)で、病気や治療、処置や検査、その他病院で体験することについてお話し、気持ちの表出を助け、不安や恐怖心を和らげ、心の準備と理解ができるように、少しでも安心して向き合えるように、お手伝いします。また、その子にとってストレスを伴う処置や検査、不安が強い場合は、“医療行為を行わない医療スタッフ”として、処置室、検査室、手術室などに付き添い、乗り越えやすいように、また、ストレスが最小限となるようにサポートします。その他、親、兄弟姉妹のサポートを通して、家族全体を支える取り組みなど、CLSの役割は多岐にわたります。(つづく)

fumiクローバー
“いのち”と“こころ”の輝き [2008年03月26日(Wed)]

言葉も笑顔もなくしたこども達の瞳の奥にかすかな、でも確かな輝きが戻る瞬間があります。体はどんなにしんどくても、小さな手を伸ばし、楽しみを求める瞬間があります。今まで、周囲の期待に応えて、一生懸命“いい子”になって頑張っていたこども達が、あそびの中で緊張やプレッシャーが和らぎ、以前の体験について「本当はこわかった」思いを語り出したり、ほっと安心して初めて流せる涙があります。医療体験をあそびの中でリハーサルしたこども達が、「これ、知ってる!」「くまさんと一緒や!」と、安心感と克服感を持って乗り越え、自信と誇りを持って振り返る笑顔があります。処置を拒んで、周囲には「受け入れが難しい」と思われていたこども達が、実は、心の中で少しずつ体験に手を伸ばし始め、人知れず育んでいる勇気と信頼の“つぼみ”があります。

“ありのまま”が受け入れられる環境と適切なサポートが、恵みの水や陽の光となって、つぼみを育み、“その時”を待って、花を咲かせます。一見何気ないあそびや会話の中で、少しずつ、少しずつ、不安や恐怖が和らぎ、少しずつ、少しずつ、安心感や自信や信頼を育み、戸惑い揺れながら、そのこどもだけのペースと形で、闘病体験を受けとめ乗り越えて、“いのち”と“こころ”を輝かせながら生きる、ひとりひとりのこどもの繊細なプロセスです。(つづく)

fumiクローバー
”幸運”の意味 [2006年12月07日(Thu)]

長い闘病生活を経験した子が、退院の日に
伝えてくれた言葉があります。
「わたし、病気になれて、本当にラッキー(幸運)だった。
入院しなかったら、ここのみんなに出会えなかったから。
病気になって、家族や人の優しさがもっとよく分かったから。
こんなにも楽しいこと、嬉しいことが、病院にもあるなんて、知らなかったし、
病気になって初めてできるようになったことが、いっぱいある」
そして、ふわぁっと、やわらかな笑顔で笑いました。

病気のために、多くのつらいこと、痛いこと、
不安なこと、こわいことを、経験しなければならなかったのに、
“退院できて、元気になれて、ラッキー”ではなくて、
“病気になれて、ラッキー”と言って笑ったその子の笑顔を、
いつまでも、忘れることができません。

病気がもたらしたものが、“つらいこと”だけではないことを
たくさんの子ども達が伝えてくれました。
心と体の痛みを通して、家族や友達の優しさを深く感じ取り、
周囲への優しさを育んでいく子ども達・・・。
病気や治療の経験を乗り越えながら、何度もくじけそうになりながら、
信じる気持ち、勇気や希望を、ひとつひとつ重ねてゆく子ども達・・・。

家族や友達、病院スタッフひとりひとりの、“小さな助け”が集まれば、
子ども達自身の“生きる力”、”心の力”を守り、癒し、育む“大きな助け”
となることを、子ども達は教えてくれました。
多くの“つらいこと”にあふれた病院という場所が、
“病気になれてラッキーだった”と思える場所にもなることを・・・。

家族や友達との絆を深め、支え合う温かい場所に・・・
ありのままの気持ちを、安心して分かち合える場所に・・・
「ひとりじゃない」「だいじょうぶ」と、
誰かに勇気づけられ、誰かを勇気づける場所に・・・
そして、“夢”や“大好きなこと”を見つけ、“楽しみ”を膨らませ、
日々“成長”してゆける場所に・・・。

子ども達からもらった、贈り物の尊さと、宿題の重さを想いながら、
CLSとしての出発に向けて、準備する日々です。

fumiクローバー