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命の大切さについて [2010年01月16日(Sat)]

ご報告が大変遅くなりましたが、2009年8月より異動のため国立病院機構大阪医療センター小児科勤務となりました。何度かブログでもご紹介させていただいた恩師である多和先生と一緒に働いています。阪大病院にも外来診療のため、週1回うかがわせて頂いています。

大阪医療センターでは、私が研修医のころ診させていただいていた子ども達がすっかり大きくなっていて感動の連続です。子どもの成長を親とともに楽しめる、これは他の科では味わえない小児科の特権です。

研修医のころ白血病で入院していた男の子が、中学3年生になり次のような作文を書いてくれました。そして学校代表で選ばれ、たくさんの人々の前で発表しました。その勇姿をビデオで見させていただきましたが、バクタ(苦い薬)を飲むのに1日何時間もかかっていた子がこんなに立派になるのかと思うと、感慨深いものがありました。

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「 いのちの大切さについて」
ぼくは、この夏休みに一冊の本に出会った。本の題名は、「 電池が切れるまで」 です。
この本との出会いは自分の今までの人生を振り返るいい機会になった。この本は、十一歳で亡くなった小学校4年生のゆきなちゃんと、病気と闘う仲間達の命のストーリーです。ぼくも、幼稚園のときから病気で、いつも病院にいた。病院でいつも採血や点滴とかをされるのが嫌だった。
自分の死ぬ日を知っている人は誰もいないと思う。もし、自分の寿命を知っていたら人はどうするのだろう。
「 人の命は、今日あって明日無い命だ。」 と誰かが言っていたのを聞いたことがある。明日、自分が生きているのか死んでいるのか誰にも分からない。逆に、分からないから普通に生きていられるのかもしれない。まるでこのまま何十年も生きていられると、心のどこかで当たり前のように考えている。僕も、お母さんから入院している時のことを聞くまでそう思っていた。ぼくは助かったけど、ぼくが入院しているときに、いっぱい色々な人が亡くなったことを話してくれた。ぼくは、この本に書いてあることが、自分のことのようで辛かった。この本のように、ぼくもあきらめなかった。「 必ず治る」 と信じて、退院したらあれが食べたい、これがやりたいと、毎日思っていた。日々の生活の全てが、まるで当たり前のことであるかのように思い、何事に対しても感動や感謝の思いを持ったことなんてなかった。自分の思い通りにいかないと家族や友達に、八つ当たりをしたり、暴言を吐いたりしていた。この本を読んで、お母さんの話を聞いて初めて「 この世の中に、当たり前のことなんてない」 ということを学んだ。嫌なことがあったときに「明日が来なければいいのに」とか「 死んだら何もかも忘れられる」 なんて思っている人もいる。
この本やお母さんの話を聞いて一番分かったことは、「 生きていること、明日をむかえられることは、当たり前のことではなくて、とても幸せだ」 ということ、そして、「 人はたくさんの人に支えられ、助けられ、生かされている」 ということだった。世の中には生きていたいと望んでも、病気のために苦しみ、亡くなっていく人達がいることを全ての人達に知って欲しいとぼくは強く思う。
いじめや悩みで苦しみ、自殺する人達がいる。その人達にとっていじめや悩みは、どれほど辛く、苦しいものだったのだろう。しかし、まだまだ生きられる命を自分の手で絶つ人達は、なぜ自殺なんてするのだろうと思う。「この世の中に、命と引き換えにしていいものなんて何もない」 と、ぼくは思う。生まれてきたことを心から喜んでくれた家族を悲しませることをしてはいけない。
「人は誰も一人ではない、家族がいる、友達がいる、たくさんの人達が自分の周りにいることを忘れてはいけない。」自分にとっては先生やクラスのみんながいることも忘れてはいけないと思う。
「 後悔しないように生きろ、でも約束だけは守れ、世の中には順番がある、私より先に死ぬな。」 と母はいつも、ぼくに言う。そんな言葉に今、自分は深い重みを感じる。
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昨年の誕生日に母親から「貴方の母親であることが誇りです。親孝行は親よりも長生きすることしかありません。お母さんは長生きするから貴方は大変だよ。無理しないで身体を大切にしてください」とのメールが来ました。
親というのは、みんな同じ気持ちなのだと思います。

しかし親よりも先に天国に旅立った子どもは、もっと親孝行であることを、たくさんの方々に知って欲しいです。先日の甲南女子大学でのチャリティーコンサートでも、これからの時代を担う学生さん達にそのことを是非とも知って欲しくて、2007年5月25日のブログ記事を紹介させていただきました。
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2007年5月25日 「親孝行 親不孝」

みなさま、親孝行されてますでしょうか?
私はあまりできていません。
大学に入学後、実家を離れ今年で15年目になります。

「元気に暮らしていれば、それだけで親孝行だろう」と自分に言い訳をし、
日々大学生活を過ごしていました。
また、大学時代は
「親より長生きをしないことが、最大の親不孝だろう」とも考えていました。

しかし小児科医になってからこの考えが、全くの間違いであることに気がつきました。

こどもが小児がんになった親御さんは、想像を絶する絶望感を感じられることと思います。
それは、どのような言葉でも癒すことは難しいでしょう。

しかし、その親御さんのこころを救ってくれるのは、
こどもの笑顔であったり、
「ママ大好き」「パパ大好き」といった、こどもの声です。

「この子が頑張っているのに、泣いてなんかいられない」と、
気丈に踏ん張っておられる親御さんも多いと思います。

残念ながら、小児がんのために親よりも先に旅立ってしまうこどもたちもいます。
しかし、そのこどもたちが、親不孝であるはずはなく、
それどころか、誰も救うことのできない親御さんのこころを癒してくれたのだから、
最高に親孝行だと思います。

「がんになっても笑顔で育つこと」 
本当に大切なことだと思います。
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子どもの闘病している姿がテレビで紹介されることが最近多いですが、そのような番組を見て、「いのちの大切さ」を感じられることも多いでしょう。
そのときに、この取材を受けてくださった親御さんの気持ちを少し考えてください。きっと、命の大切さとともに、子どもが生まれてきた意味と子どもの人生がいかに素晴らしいものであったかを伝えたいのではないでしょうか。

このようなことを、たくさんの方々に知っていただけると、小児医療に関わるものとして非常に嬉しく思います。

s,kusuki
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コメント
kazuko様。コメントありがとうございます。
母親と思春期の息子、いろいろと大変だと思います。本気で腹がたつこともあると思いますが、本気でぶつかっていけば大丈夫だと思います。よくわからないお返事ですみません。こどもと一緒に、親も成長していきたいですね。
Posted by: s.kusuki  at 2010年02月14日(Sun) 15:00

もうすぐ中学生の息子が現在、小児がんで闘病中です。チャイケモさんの活動は本当に素晴らしくいつも応援しております。
中学3年生の方の感想文、思春期の年頃の子供が闘病中どんな気持ちなのか、自分の息子も同じ様な気持ちでいるのかしら、と考えながら読ませていただきました。
わが息子は再発から2年、初発からはもう7年以上病気と向かい合っています。小さな子供だったときから体も心もどんどん成長し、母親がそばにいれば安心できた時期も過ぎてしまい、いろんな事を考えるようになりました。小児がんと闘っている間も、子供は日々成長しています。元気なお子さん達と同じ様に、勉強して、友達と遊んで、笑って、ふざけて、時に怒って、、、
親子共々、今を大切に生きていきたいと切に願っています。そして、病気が教えてくれることを一緒に学んでいきたいと思います。
全ての小児がんのお子さんが毎日笑顔で安心して生活できる環境が、一日も早く実現するよう祈っています。
Posted by: kazuko  at 2010年01月28日(Thu) 09:48