白血球の立ち上がり [2008年06月02日(Mon)]
移植後2週間と少しでようやく白血球が立ち上がり始めました。
白血球は立ち上がりだせば、そこからは結構なスピードで増えてくれました。 免疫抑制剤の量もピークからすこしずづ調整され始めました。毎日量が適正かどうか採血検査で血中濃度を測定しながら主治医が微調整をしてくれます。 待ちに待ったビニールカーテンがはずされるとき。Sはもうゆがんだアンパンマンを見なくても済むようになりました。カーテンがはずされた時は目の前がパッと開かれた、何とも言えない爽快感を感じました。Sも邪魔なものがなくなりニコニコと、とても嬉しそうでした。 普通の生活から考えると、何重もの苦痛や不便さを感じる日々が続いていました。ひとつ、ひとつもとの生活に戻っていく「ありがたさ」は今まで自分の人生の中で感じたことも見たこともないことでした。普通であることの幸せ。健康であることのありがたさ。命の大切さ、重さ。どれをとっても普通に日常生活を過ごしている上ではなかなか気づかないことなのだということもわかりました。 また、移植を通して、人体の不思議についても驚かされました。人間はとてつもない絶妙なバランスによって命や健康が保たれているのだということ。ひとつバランスを崩すと、それと人工的に、科学的に調整することの大変さ。この大変さはSの点滴ルートにつながれている薬の数と比例し、一時は点滴の支柱が2本になったこともありました。ひとつ改善されると、たくさんのお薬がはずされます。これには驚くばかりでした。「普通に元気に生きていることって奇跡やんか。。」と思いました。 白血球がほぼ正常範囲まで増えてくれた頃、同じ部屋に小児科から次に移植を控えている 男の子が来ました。 小児科で面識のあったその男の子のお母さんと、移植について話をすることがありました。 その子のお母さんは元看護師でしたが、自分の子の移植に対して相当の不安と恐怖を感じている様子でした。看護師の経験があるからこそ、覚える恐怖や不安もあるのだろうと思います。「思ったよりスムーズに、あっという間に今日がきたよ!あんまり思いつめんときよ。。。」という私の言葉に、「早くそう言える日を迎えたい、、、」といっていました。話せば話すほど男の子のお母さんが思いつめていくような気がして、できるだけ違う話をして数日間一緒に過ごしました。 数日後、私たちは無事に小児科病棟へ戻る日が来ました。 いよいよ退院が目の前に見えてきた喜びでいっぱいでした。 「もうすぐお花(桜)がいっぱい咲くねんで〜」とSと話をして過ごしました。 ![]() ![]() |