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臨床の現場より F [2007年07月04日(Wed)]

前回まで6回に分けました「臨床の現場より」ですが、まずはこのブログで紹介することを快く承諾して下さいました、○○先生に改めて感謝します。以前にも書きましたように、彼は私と同い年で、この夏からSt. Judeのスタッフに採用されます。先日、あるプロジェクトで、病棟担当メンバーの一員として彼が、研究室担当メンバーの一員として私が名前を連ねました。彼はわざわざ研究室まで足を運んでくれて、「一緒に頑張ろう!」と激励に来てくれました。本当に嬉しい話です。私も一緒に良い仕事が出来れば、と心から思っています。

さて、「臨床の現場よりE」を書いてから暫く時間が経ちました。7回目をこのシリーズのまとめにすることは決めていたのですが、なかなか筆が進みませんでした。日本の現場から離れている立場でありながら、このような記事をたくさん書くことが「盲目的なSt. Jude礼賛」となり、日本で頑張っていらっしゃる先生方に失礼になるのは本意ではないという思いと、そうならないようにまとめるのがどうにも難しかったからです。

私たちここで働く日本人小児科医は、このような病院を日本でも実現したいと強く感じました。その理由は、うまく表現し難いですが、小児がんの患者さんを助けることをミッションとして全職員が働き、それを寄付・ボランティアを通じて社会の人たちが支えることの素晴らしさであり、豊富な物量とマンパワーによって提供される医療サービスの高さへの憧れです。

しかしながら、一方で、これは寄付金からの圧倒的な物量があってこそ可能なのであって、それを現状のままの日本でもというのは土台無理な話だと思います。小児血液腫瘍の分野では、日本の医療スタッフは、限られた医療資源の中で本当に限界一杯まで頑張っておられます。私が駆け出しだった頃と比べても、患者さんに提供できる治療内容も、安全対策や説明、その他のサポート体制もどんどん進歩しています。それに伴い、医療スタッフの業務量もどんどん増えています。その一方で、医療費に関しては抑制することが善とされています。患者さんが求められる治療や安全対策などの医療水準はこれからも高くなるでしょうし、医療側も可能な限りそれに応えるべきだと思います。しかしながら、このことと医療費抑制とが両立するとはとても思えません。これは小児血液腫瘍以外の分野でも同じでしょう。今回、豊富な物量があればこのようなことが可能だという実例を6回にわけて紹介しました。現在の日本で、現状以上の医療の向上は、マンパワーの充実なしには有り得ないと思います。もっと病院医療にお金をかける必要があるでしょう。小規模に分散している治療施設は患者さんのアクセスに配慮しながら集約する、などの工夫も必要かも知れません。

また、チャイケモには、日本での寄付金による小児がん病院という扉を是非開けてもらいたいと思います。St. Judeも最初は小さな病院でした。扉を開けた後は、少しずつでも大きな病院に発展して行ってもらって、既存の概念・規制にとらわれることなく、その理念を日本の社会の人々の前に具現して欲しいと思います。その時、私たちがSt. Judeで感じた思いを、そういった人々にも理解してもらえるのではないかと思います。

Hiro, in Memphis

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