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臨床の現場からC [2007年03月05日(Mon)]

以前にも書きましたように、St. Jude病院の病床数は50床程度です。職員に採用されて初めて出勤した日、病院の建物を見て、「意外と小ぢんまりしているな」と感じたのを思い出します。その規模の病院でたくさんの患者さんを治療出来る仕掛けが、前回の引用記事です。日本の入院施設以上の治療設備を外来に備え、無料の宿泊施設を完備しています。これを日本における外来治療と同じカテゴリーに分類するのは適当でないようにも思いますが、何れにしても、豊富なマンパワーや物量に支えられたシステムにより提供される医療クオリティの一端を感じて頂けたらと思います。国立循環器病センターの話は、こちらでも衝撃を以って受け止めています。国も成り立ちも全く違う病院同士とは言え、循環器疾患における日本のナショナルセンターですから、余りにも皮肉な対比だと感じています。

引用を続けます。

[外来管理を可能にする中心静脈ライン]
日本では、入院期間中のみ中心静脈ラインを用い、外来患者では末梢血管にて点滴ラインを確保し薬剤を投与することが多いです。米国では殆どの患者が、入院・外来にかかわらず、治療期間中は中心静脈ラインを維持しています。これを可能にしているのは、ラインナースという中心静脈の管理を専門的に行うスタッフの存在であり、保護者に生理食塩水の注射によるラインのフラッシュやガーゼドレッシングの仕方を丁寧かつ徹底的に教えます。新患患者の場合、保護者がライン管理出来ないと、退院が1日延期になることがあります。
好中球減少を伴う発熱の患者は、解熱し好中球数が100/mm3を超えて退院した後も抗生物質の静注を続けることが多く、この際サイドキックという携帯用の簡易静注ポンプを用いて、保護者に抗生物質の中心静脈ラインへの接続、輸注を任せます。ラインの感染もありますが、徹底した教育によりそれほど頻度は高くありません。さらに好中球減少を伴う患者は、細菌感染に曝されやすいため、来院時に敗血症ショックに陥っていることもあり、この際ラインがあるとすぐに血液培養の採取、抗生物質の投与や生理食塩水の急速静注を行え、ライフラインとなります(日本では好中球の減少の患者を退院させることは少なく、このようなことはまず見られません)。
また、中心静脈ラインがあることで、患者は末梢静脈ラインの確保に伴う痛みから解放されます。さらに、末梢静脈ラインの確保は、アメリカで働いている病院スタッフにとっては一つの大仕事です。新患患者など一時的な点滴ラインが必要な際、ラインナースたちが挿入を試みますがそれでも入らないことがあります。そんな時は、私が呼ばれることもあります。日本の現場を離れて5年以上経ちかなり技術は落ちているものの、たまに誰も挿入出来なかった点滴ラインを確保すると、その時ばかりはヒーローとなります。
このように、中心静脈ラインを維持することは、米国における小児悪性腫瘍患者の外来管理の上で欠かせないこととなっています。

by Hiro, in Memphis
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