臨床の現場より A [2007年02月09日(Fri)]
まずは、前回の引用記事についての補足です。
感染症科は、AIDSの診療を行っているのに加え、悪性腫瘍の患者さんが化学療法などの治療中に感染症状を呈した時に、コンサルトとして非常に重要な役割を果たし、集中治療科は重症化した患者さんを集中治療室(8床)において原疾患のプライマリーチームと共に管理します。麻酔科は、常勤医による外科手術以外に、非常勤医により骨髄穿刺や腰椎穿刺の際の麻酔を行ってくれるそうです。ACTクリニックは、完全寛解になって5年経過した患者さんに対し、18歳になるか診断後10年を経過するまで、その健康状態や治療による医学的・心理学的な副作用についてフォローアップを行うそうです。また、患者さんに、神経科学的、行動学的アプローチをする行動医学科(Behavioral Medicine)というものもあります。 http://www.stjude.org/search/0,2616,582_3161_3545,00.html さて、引用を続けます。 〔入院患者の管理〕 病床数が限られていることから、入院患者は、新患患者、強力な化学療法中の患者、好中球減少を伴う感染症、骨髄移植患者などに限られます。病室は全て個室で、1ユニットが患者用及び保護者用の2室からなり、保護者はどちらかで休息をとることが出来ます。白血病、固形腫瘍、血液幹細胞移植病棟と集中治療室の4病棟に振り分けられた入院患者を担当するプライマリーチームは3つあり(白血病、固形腫瘍、血液幹細胞移植)、アテンディング、フェロー、テネシー大学のLeBonheur Children’s Hospital からレジデントが2名、ナースプラクティショナー、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカー、チャイルドライフ、クリニカルナーススペシャリスト(入院患者の退院後のケアのアレンジメントをする)、そして病棟ナースからなります。アテンディングは1−2週毎、フェロー、レジデントは1ヵ月毎に交代します。アテンディングとフェローは各病棟約20名の全症例の病態を把握し、レジデント2名とナースプラクティショナーが実際の患者の管理をほぼ3等分します。また、ナース(ほとんどが12時間交代制)の受け持ち患者は24時間を通して最大3人(集中治療室は1人)で、患者に綿密な看護が行えるようになっています。 また、毎朝9時頃から各病棟のディスカッションルームにこれらのメンバーが集まり、1例ずつ担当ナースを招いて、治療方針のみならず、栄養やサポート体制についても議論していきます。このように、入院患者の管理には数多くのスタッフが関わっているため、かなり多くの医療費がかかります(患者1人あたり1日平均4700ドル)。 一般的な退院の基準は、@新患患者の場合は、急性期の症状が落ち着き、中心静脈ラインが挿入された後、A強力な化学療法の場合は、通常投与終了後24時間以内、B好中球減少を伴う感染症の場合は、解熱し好中球が100 / mm3 を超え、血液培養が陰性と証明された時点、などと日本とは大きく異なります。 by Hiro, in Memphis |
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