• もっと見る
«小野田さんの戦友 | Main | あきらめない限り負けない»
「不屈」 小野田寛郎先生 [2006年07月10日(Mon)]
週末、参加した小野田自然塾指導者養成セミナーで、小野田さんから帽子に書いてもらった言葉。

彼が戦後、30年間もの間“戦い続けた”時の話や、おそらく彼が日本に帰国後、そしてブラジルへ出国後、それぞれの土地で経験した苦労話などは、ほとんど彼の口から聞くことはありませんでしたが、彼が私の帽子に「不屈」と一言記したのを見て、小野田さんの意思の強さを再確認しました。

30年もの間、敵の目を逃れ、絶えず生きるか死ぬかの状況に置かれながら日々を過ごす、つまり、ほぼ私の人生と同じだけの時間を気を許すこと無く、戦い続けることがどれほど人を追い詰め、集中力を必要とすることなのか、想像することすらできません。

彼が日本を出てブラジルに農園を開くことを決意するのにしても、そんな挑戦はそれまでの30年に比べたら、大したことでは無かったことでしょう。小野田さんにとっては大したことではないとは行っても、間違いなく、周囲からの偏見や差別、侮辱など、普通の人々が経験するような苦労もきっとあったに違いありません。

そんな彼が、川崎金属バット事件の折、日本の子どもたちを心配して、何か国のためにしなくてはならないという使命感に燃え、帰国し、夏場にキャンプ活動を通して教育にかかわるようになったそうです。そして、最近では子供だけでなく親をも対象として、キャンプ活動の指導に当たっているそうです。

強いものは強く、弱いものは弱い。しかし、その能力差を認めさせたうえで、生きる術を身につけさせていく・・おそらく、小野田さんの教育はそこに通じるように思います。
つまり、身の丈に合った生き方をさせるための訓練だと思います。

例えば、ひとりで夜の真っ暗な中を歩いていく「ナイトウォーク」というプログラムでは、ひとりで歩ける子供もいれば、3人くらいの集団になって歩いていく子供、あるいは指導員に同行を依頼する子供、それぞれいるそうです。だからと言って「ひとりで行け」という風には強要しないそうです。
なぜなら、それぞれのやり方は、それぞれの人に合った目の前の課題に対する解決方法だから。

いつか、最近の小学校などでは、小学校の徒競走で1番を決めずに皆で手をつないでゴールするなんていう信じられないような記事を目にしたことがあります。
でも、私はそういうやり方にはあまり賛成できません。だって、足が速いということを誇りに思える子供たちの得意分野を奪いとっていることになるわけですから。
これを小野田さん式のやり方で言えば、足が速い人は速いで良いじゃないか、足が遅い人は別のことをがんばればいい、そういうことだと思います。

セミナーの間、小野田さんの言葉からあふれる彼の教育論に考えさせられました。貴重な経験だったと思います。笑いクローバー

トラックバック
ご利用前に必ずご利用規約(別ウィンドウで開きます)をお読みください。
CanpanBlogにトラックバックした時点で本規約を承諾したものとみなします。
この記事へのトラックバックURL
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
トラックバックの受付は終了しました

» 100年ブラック from 縁(えにし)な生活 powered by 日本財団 
ザ・ブルーハーツの名曲「1000のバイオリン」。
そのオーケストラバージョンが、「1001のバイオリン」なんだって!

ヒマラヤほどの〜♪で始まるあの名曲に、
「100年、愛しつづける。」のコピーがかぶさる…。

ワンダ100年ブラックのCM、
ひさび [ReadMore]
Tracked on

» 最後の帰還兵  小野田寛郎さん from 縁(えにし)な生活 powered by 日本財団 
小野田寛郎さんにあってきました!

NHKハイビジョン特集 『生き抜く・小野田寛郎』

終戦60年スペシャルドラマ 『実録・小野田少尉 遅すぎた帰還』

…の小野田さん。
先日の水曜日、わがままを言っておうちにお邪魔してきました。





色紙を... [ReadMore]
Tracked on

コメントする
コメント
to正毅さん
TB二つもアリガトウございます。正毅さんの中にも大きな影響を与えたと知って、小野田さんの大きさが、私の中で余計に拡大しました。
正毅さんのブログも相変わらず絶好調のご様子・・。アタシも正毅さんの褒め言葉を励みに、今後も頑張ります(^O^)/
Posted by: 森 啓子  at 2006年07月11日(Tue) 23:45

父さん、お久しぶり。
綾戸智絵のコンサート行ったんだねぇ!
しかも母さんと!とっても羨ましいです!!私はジャズといえば、2年前に上原ひとみのコンサートに行ったっきり・・。

さて、今、私のところにTBしてくれた縁な生活さんのブログでも紹介されていた、「君たち、どうする?」という小野田さんの本を読んでいます。
そこに載っていた帰還兵だった当時の小野田さんの写真を見て、「いつか見たことあるなー」と思いました。

「不屈」・・通常だと「不撓不屈」らしいのですが、本当に彼が語るとしっくりとくる言葉でした笑いクローバー
Posted by: 森 啓子  at 2006年07月11日(Tue) 18:07

小柳津様

おっしゃるとおりですね。“子供たちが自然の中で過ごす経験をつむことが大切”、私もそう思います。

通常、小野田自然塾ではますつかみをやった後、子ども達は自分で魚をさばき、それを焼いて食べるそうです。どこぞの小学校がニワトリを殺して、羽をむしって食べる学習をやっているとか聞いたことがありますが、それと似たような体験をさせるそうです。

今のご時世、パソコンやテレビゲームで育った世代は人は死んでも生き返ると信じている子どもも多いとか。

そういう子どもにしないために、動物や植物の命を断つことで我々の糧にしているということを体験させることは、非常に重要だと思います笑いクローバー
Posted by: 森 啓子  at 2006年07月11日(Tue) 17:59

to啓子
午前中にここの連続小野田さんログみつけて読み耽ってしまった。
最近表現力とかパワーアップしてませんか?ステキ☆
正毅の小野田さんログも読んでね。TBしました。
Posted by: 縁(えにし)な生活  at 2006年07月11日(Tue) 12:32

出張お疲れ様でした。
小野田さんのことは、ルバング島で救出?された時の新聞報道写真・・・ぼろの服を着ても、その立ち居振る舞いに将校としての威厳が感じられる・・・・が目に焼きついておりました。
「不屈」という言葉。彼にとって一番ふさわしいく、深みを感じます。
記念の帽子、大切にしてください。
15日には、お盆で有田に帰ります。
それに綾戸智恵のライブ良かったよ。
Posted by: ぱぱりん  at 2006年07月11日(Tue) 11:05

もりりんさま
小野田塾のレポートで、「それぞれの力、個性にあった訓練、経験をさせる」という点に感心しました。自然は過酷で、まして原住民に敵視されていた小野田さんの生き方は地獄であったでしょう。とられている方法が、自然の中で日本の子供たちを過ごさせる(あえて訓練とは言いません)ことで彼ら自身を自分で見つけて行かせようとすることである、そこに小野田さんのすばらしさと、経験の深さを感じました。終戦直後のさつばつとした世相にあって
ゴロツキを一喝した将校はシベリア抑留から帰って人でありました。彼は「地獄を本当に見たものが人にやさしくなれる」と言ったそうです。子供たちに地獄を見せる必要はありませんが、そんな社会が歴史にあったんだ、と高度の情報化の世界に生きなければならない分、現在の日本の子供たちが自然の中で過ごす経験をつむことが大切です。
Posted by: 小柳津浩之  at 2006年07月11日(Tue) 10:39