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恵楓園入所者の手から型取りした「手の彫刻」の紹介D[2018年02月06日(Tue)]
 型を取ることに意外なほど時間がかかり、不安も様々生じましたが何とかそれも完了しました。
 後は大学に持ち帰っての教授と院生のお仕事ととなります。むしろ大学の側としてはここからがお仕事の本番となり、私ども自治会としてはただ待つだけということになります。

 ところで、恵楓園では毎年11月の初めに文化祭が開かれています。文化祭では入所者や園職員が製作した写真・絵画などが多く出品・展示されます。彫刻の除幕式はこの日に合わせて、ということになりました。

 この文化祭は3日間行われますが、毎年この中の1日を使って浜田知明作品展が恵楓園内社会交流会館において実施されています。
 浜田知明先生は日本を代表する版画家で、御船町出身の人物なのですが、この浜田先生の作品を収集し、後に熊本県立美術館にその作品を寄贈された永野一成さんという方がいらっしゃいました。永野さんは学校で教鞭をとられていた方で、永野先生と呼ぶ方がよいかと思いますが、ハンセン病問題に人権教育の実践者としても活動されていました。
 永野先生は既に故人とはなられていますが「恵楓園の中で浜田展を開催したい。入所者の方々に人間愛やユーモアにあふれた作品を見てもらい、また、それとともに地域や園外の方々が恵楓園を訪れるきっかけにもしたい」という想いを持たれていました。そこから県立美術館のご依頼もあって恵楓園でこの浜田知明展を毎年実施する運びとなったのです。

 この県立美術館には井上正敏さんという学芸員の方がおられましたが、この井上先生は熊本大学の出身でした。勘の良い方なら既にお気づきかと思いますが、この井上先生は熊大緒方教授の先輩にあたる方で、この人脈を通して今回手の彫刻の作成を熊本大学に依頼したのでした。

 本当に人の縁とは数奇なものではないでしょうか。

 さて、手の彫刻の除幕式は平成29年11月1日、恵楓園文化祭初日、場所は文化祭作品展示場・恵楓会館ロビーと決まりました。

 当日は大学側から巨大な加藤清正像をお借りして展示するということも併せて行いました。緒方教授を中心としたゼミ生が作り上げた発泡スチロール製(!)の、3mにも及ぶ巨像なのですが、この加藤清正は恵楓園の成り立ちとも関わりが深く、そもそも恵楓園は1909年開所・九州癩療養所を淵源とし、その時期熊本市内では本妙寺が…話が長くなるのでこの件は読者の方々それぞれでお調べください。

清正像.JPG


 とにかく清正像を眺めて、素晴らしい作品を作る方々ということを再度認識したわけです。



 いよいよ除幕式の開始です。まずは恵楓園入所者自治会長挨拶。

自治会長挨拶.JPG


 次に園長挨拶。

園長挨拶.JPG


 そして、本事業の補助金を出していただいた日本財団、その代表としてハンセン病資料館事務局長・池内賢二さんにもご挨拶いただきました。遠くよりのご出席感謝しております。

日本財団挨拶.JPG


 いよいよ除幕です。幕を落とすのは当然、杉野ご夫妻。

彫刻ジョマク.JPG


 3,2,1…

彫刻除幕2.JPG


 現れたのは手の彫刻と、…それを更にモデルとしたモニュメントでした。

 当初はお二人の手をかたどった彫刻だけ製作予定だったのですが、緒方教授からのたっての提案があり、その彫刻を元にしたモニュメントの作成も行うこととなりました。
 それが下の作品です。

IMG_5522.png


 寄り添う二つの手。下に渦巻くのは恵楓園を囲む森であると共に入所者の方々が生き抜いた情念、強い思いでもあるとのことです。90cmを超える大きさで、佇むだけでその迫力が感じられます。こちらについては主に熊大の院生お二人が力を尽されたとのことです。

 
彫刻対面.JPG


 彫刻との御対面です。ご自身の手と握手をされます。

彫刻に触れる.JPG


 
 除幕式の後、教授院生お二人よりお言葉もいただきました。

 緒方信行教授。

教授挨拶.JPG



 岩間美咲希さん。

岩間挨拶.JPG



 田中悠里恵さん。

田中挨拶.JPG



 勿論、杉野ご夫妻からのお言葉もいただいています。

夫婦感想.JPG


 杉野桂子さんの
「この彫刻を見て、今まで嫌だいやだと思っていた自分の手が初めていとおしく思えた」
という言葉が印象的でした。

 最後は院生とご夫妻が握手。

握手.JPG


 手と手を取り合う。今回の取り組みを通して、人と人の新たな繋がりを作ることもできたのではないでしょうか。
 ご協力いただいた熊大緒方先生、岩間さん、田中さん、県立美術館井上さん、杉野芳武・桂子さん、日本財団の皆さん。そして陰ひなたにサポートをしてくださった皆さん。皆さんの御蔭で今回の事業を成功させることがでいました。

 ありがとうございます。

 除幕式当日は多くの報道陣の方々が来られ、本事業は全国的なニュースにもなりました。これをきっかけにハンセン病に対する関心、ハンセン病問題に対する理解を深める方々がより増えていけばと願っております。



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