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恵楓園入所者の手から型取りした「手の彫刻」の紹介@[2018年01月25日(Thu)]
 私達、菊池恵楓園入所者自治会は平成28年(2016)を以って設立90周年を迎えました。
 ハンセン病療養所菊池恵楓園の中でよりよい「生」を実現していくために結成された私達自治会の活動は、現在ではより広がりを見せ、人権講話や平和学習の実施などにも及んできています。

 ご存知のとおりハンセン病療養所はハンセン病になった患者を収容、生涯に亘って隔離していく施設として長く運営されてきました。この中で私達入所者が受けてきた不幸、苦しみは大変なものがありました。
 それでもなお私達の先輩、またそれを引き継いだ私達は世の中の矛盾に立ち向かい、言われなき差別を受ける者がいない社会を実現するために活動を続けてまいりました。
 その終わりなきように思えた日々も早90年。この記念すべき年を迎えるにあたり、我々入所者自治会は「入所者の手から型取りした彫刻を作ろうではないか」という考えに至りました。

 ハンセン病は、病気が進行すると指先が曲がったまま動かなくなってしまう「拘縮」という症状が出ることがあります。物を自由に掴めないというのは勿論、その姿は差別の対象として忌まれるものでもありました。
 私達ハンセン病療養所の入所者は、この曲がった手を人前では隠しながら、恥ずかしいものとしながら生活を送ってきました。
 曲がった指は不可逆的な症状で、ハンセン病が治癒した後にも、元に戻ることはありません。一生涯、この症状とは付き合っていかなければならないのです。
 恵楓園入所者の平均年齢も80歳を超えました。曲がった指と数十年以上に亘って生を共にした者も少なくありません。
 そう考えると、この曲がった指は、実は恥ずかしいものではないのではないかと思えてきます。これは私達が苦しみを乗り越えて生きてきた証。生き抜いてきた証ではないかと。
 幸いにも近年では当園や、当園に設置された歴史資料館「社会交流会館」に人権学習の一環として訪れる人も少なくありません。この”生きた証”を資料館に置き、訪れる皆に触れてもらうことで、ハンセン病の歴史を肌で感じてもらいたい。そのような想いから、入所者の手をかたどった彫刻を作ろうという考えが生まれてきたのです。

IMG_5523.png


 本来ならば、できる事ならば、私達入所者が皆さんに直に会って手を握り、この想いを伝えていきたい。しかしながら私達が老いたことは事実であり、それは難しいことです。ならば彫刻を作り、その彫刻に末永く私達の記憶を語り継いでいってほしい。そう思っています。

 この「手の彫刻作成」事業についてしばらくご案内していきます。



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