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風をあつめて

不登校・ひきこもりの支援活動をしているNPO法人フリースクール阿波風月庵の代表をしているかぜさんです。この活動で色んな若者やその親御さんと会いました。人の心っておもしろいです。僕自身も活動の中で、生き方がどんどん楽になってきました。そんな不思議な心の話をしてみたいなあ!


居なくなって、気付く「場」 [2024年06月11日(Tue)]

なんとなく、寂しいんだよね

 風月庵のクラスに参加し始めた若者は、大概の方が、自分の好みや苦手意識で判断し、参加する前に、参加しないと決めてしまいます。

それは、いろんな意味での可能性を狭めている事なのですが、それよりも、不安や、失敗や、戸惑ったらどうするか等の方が気になり、現実に足を踏み出すことが出来ないのです。

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運動が苦手、絵を描くは嫌、音楽を聴くのが、カラオケはしたくない等、今までの経験や、見た目で決めてしいます。
私は、スポーツ音痴で、40歳まで、自分がスポーツをした事がありませんし、観戦もほとんど知りませんでした。高校野球をたまにテレビで観るのと、息子が小学校時代にサッカーをしていて、その試合を観に行ったくらいです。

そんな私が、やりたかったのに、やらないときめて、してこなかったことをやってみようと、選んだのが、バドミントンと、バイク・ツーリングと、パントマイムでした。
何事も、3日坊主といわれた私は、バドミントンは3ヶ月間やれました。バイクは免許を貰って1週間後に、東京まで7日間のツーリングに行き、9年後の日本一周まで長距離ツーリングの旅はありませんでした。パントマイムは、周1回、バイクで通い、1年半後の発表会で卒業しました。

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風月庵を始めて、キャッチボールが出来ない若者がいたのには驚きました。流石の私も、ゆるいキャッチボールは難なく出来るからでした。
私は得意気に、キャッチボールを怖がらないことから始め、何とか取れても、投げられません。
本人は他の若者とキャッチボールをすることはありませんでしたが、他の若者がしているのを眺めるようになっていましたし、下手なりに、ソフトボールにも参加するようになっていたのでした。
河川敷の野球場で、懸命に走る彼の姿は輝いて見えました。

その内気付くと、他の若者とキャッチボールをしている場面を見かけました。
始めは、スポーツを休みがちで、参加を渋っていた彼でしたが、上手に出来なくても、同じようにプレイできなくても、皆と一緒にすることを楽しんでいるようで、休んだ次のスポーツでは、他の仲間とキャッチボールをしていました。

「今日、〇〇君は、スポーツ休みなの?」と、気に掛けてくれるメンバーも出てきました。怖がって手を伸ばして取っていたボールも、胸の前真ん中で取っています。
決して、上手くなっているとは言えませんが、楽しんでいる彼を見ていると、知らなかった楽しみを1つ見つけたのだと、確信しました。

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彼がスポーツを休んでいたある日、あるメンバーが仲間に「なんか、寂しいよな!」と、ポツリと言った一言が、私の胸に響いていました。
スポーツの時間が、いつの間にか、〇〇君が居て当たり前の「場」に育っていたのでした。
きっと、自分が下手だと思っている若者が参加しても、楽しめる雰囲気が伝わる「場」が、そこにはあるのでしょう。
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