言葉に気持ちを練り込む
[2022年07月21日(Thu)]
先日の支援学習会で、2家族のコミュニケーションの違いについて話し合いました。
Aさん宅は、長年関わり方に工夫され、実践を積み上げて、結果も出されているご家族です。
勿論、まだ、課題はありますが。
B父さんは、沢山の本を読まれ、どう関わりを作るかは知っておられます。それを実践されているのに、変化がなく、同じことの繰り返しの様に思われ、結果も出ているとは思えないということでした。
B父さんは、朝「おはよう」、帰宅すると「ただいま」、の言葉を、ドア越しにするようになって数ヶ月が経つというのです。
「返事がなくても、やり続けることですね。気負わずに出来るようになると、何か変わってきますから。」と、Aさんから続けることへの励ましの言葉がありました。
反応がずっとなければ、期待している親は寂しいし、意味がないのではと考えるようになってしまいます。
確かに意味がないように思えますが、少なくとも父親が自分に気遣ってくれていることは伝わっているでしょう。
しかし、判を押した様に、聞き取りにくい声で、「おはよう」「ただいま」では、安心できる感覚を、ご本人に届けられてはいないようです。
「挨拶」は、まずは「私はあなたの味方になりたい(でいたい)。攻撃する意図はない(仲良くしたい)。」を相手に伝え、理解を求め、安心出きる関係の基礎を築くという役割があります。
握手は、銃を持っていないという証明だし、頭を下げるのは小さな降伏表現であるといわれます。
「挨拶」をする時、その言葉にそれらの気持ちを練りこんでいることが肝心です。それらの想いをこめて、願いをこめて、言葉をかけておられますか?
「おはよう」「ただいま」の一言に、自分のことを伝え、相手のことを気遣い、お互いの健康状態や気分の有り様を伝え合い、お互いのそれらの情報交換を共有して居ることを確認できると、安心感が腹に納まってくるようです。
安心出来る会話は、その関係が育ってきて初めて、歩み始めることが出来るのでしょう。
具体的な言葉は「おはよう」「ただいま」だけですが、その言葉に「元気か? 父さんは少し元気がないよ!」「たまには声が聞きたいな」「安心して毎日が過ごせているならいいのだが」「父さんは、今日は少し疲れているよ」「よく眠れなかったけど、元気をだして行って来るわ」等々、今の正直な気持ちを、ひとつ選び、想いを練りこんで、気持ちをこめて一言「おはよう」「ただいま」と言葉にしてみましょう。
その練りこんだ思いは、新たな「安心感」という雰囲気となって、お子さんから、きっと返ってくる筈なのです。
B父さんは、気持ちを込めることを明日からやってみますとおっしゃって、帰られました。