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■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2008年1月1日 第12号の2■■■ [2007年12月29日(Sat)]
■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2008年1月1日 第12号の2■■■


■『HIV/AIDSをめぐる集合行為の社会学』

さて、2月には、センターに出入りしていた大学院生で、本郷正武さんが、ドク
ター論文をベースに、とうとう『HIV/AIDSをめぐる集合行為の社会学』という本
をミネルヴァ書房から上梓しました。A5判267ページ、ハードカバーという
立派な本ですが、中身も本当に素晴らしいのです。

この本は、私が1993年に設立し、既に14年の活動実績がある、東北HIVコ
ミュニケーションズというエイズ問題に取り組む市民活動団体に対する著者の参
与観察に基づいて執筆されています。参与観察とは、社会学の用語で、当該団体
や活動に調査者が参加しながら調査・分析を進める手法ですが、ちょうど10周
年を迎えようとしていた東北HIVコミュニケーションズに対するヒアリング調査
を、私が本郷さんに提案したことから始まったものです。電話相談員の養成講座
の受講から始まって、やがて事務局次長という立場での活動参加を通して、本郷
さんは、団体の内部にいては言語化しにくいさまざまな事象を、的確に言語化し、
論文に仕上げてくれました。

依頼をした私の問題意識は、小さなNPOの中で起きている人々の意識の転換や
教育のしくみ、参加者の市民としての成長プロセスなど、視覚化・言語化しにく
い活動の現場の豊かさを、学問的な立場で読み解き、見えるものにして欲しいと
いうものでした。本郷さんは、その期待に見事に応えてくれたのです。

この本には、私が活動の当初から大切にしてきた「当事者性の探求」や「共に生
きるコミュニティづくり」「ワークショップ型研修」などの本質が、克明に記述
され、解明されています。また、簡単には社会を変えることができない、ある意
味絶望的な状況の中で、絶望することなく良心的支持者を広げていく活動者の力
の源泉のありかについて、そして真の社会変革とは何かということについて、大
きな示唆を与えてくれるものとなっています。

市民活動や社会運動の深い意味や教育性についてきちんと考えたい人には、ぜひ
おススメの本です。ただし、発行部数が決定的に少ないので、入手困難、かつ価
格がとても高いです。(税込7350円)センターで10冊のみ限定販売しています
のでお問い合わせください。

私は今は、東北HIVコミュニケーションズの顧問という立場で、実際の活動には
一切タッチしていませんが、私と仲間たちが築いてきた世界が、このように記述
されたことに、心から感謝をしたいと思います。私が書きたくて書きたくて仕方
がなかったけれど、時間がなくて実力がなくて書けなかったことを、こんなにき
ちんとまとめてくれて、本郷さん、ありがとう!なのです。これで安心して死ね
るねえ。


■『地域コミュニティの支援戦略』

この4年来、地域コミュニティの諸問題についての研究会を、(財)東北開発研究
センターさんのお世話で、山田晴義さん(宮城大学副学長、当センター理事)や櫻
井常矢さん(高崎経済大学地域政策学部准教授)、鈴木孝男さん(宮城大学事業構
想学部助教)などと続けてきました。その成果は、昨年までに、(株)ぎょうせいか
ら、『コミュニティ再生と地方自治体再編』『コミュニティの自立と経営』の
2冊にまとめておりましたが、9月に『コミュニティの支援戦略』を上梓するこ
とができました。私は第1章 民間の支援システム構築へ向けて を書いていま
す。第2章が、行政によるコミュニティの自立支援、第3章が、英国におけるコ
ミュニティ支援システム、第4章が、中間支援システムの整備に向けた提言になっ
ています。

3冊共著を続けてきて、だいぶコミュニティ問題への視座というものを深く獲得
できたかなと思います。そのあたりが類書にはない特徴と思います。いよいよそ
れを実践で活かして行くことになりますが、もとより各先生たちは、私を含めて
実践者であり、自治体の現場でのコミュニティの再生に向けたお手伝いを既に続
けているところです。櫻井さんは、宮城県大崎市の政策専門員(地域自治組織・
市民協働アドバイザー)として活躍されています。

私は、10月から、宮城県多賀城市の地域経営アドバイザーに就任させていただ
き、市民活動と協働推進、コミュニティ組織の振興に関わっています。多賀城市
は、仙台市の隣の市で、人口6万人強、古代の多賀城址跡で有名な史跡のまちで
すが、他にはあまり特徴のないコンパクトな自治体です。アドバイザーをお引き
受けするきっかけは、市の職員の勉強会に招かれて話をしたことから。なんと職
員がチケットを販売して勉強会に私を呼んでくれたのです。税金を使って勉強す
るのが当たり前の行政職員ですが、その心意気に打たれました。その後、市民活
動推進の指針づくりのお手伝いをしたり、いろいろな関わりが増えた中でのご指
名でした。少しでもお役に立つように尽力いたしたいと思います。


■『協働の強化書』

2006年から2007年にかけて、行政職員10人と市民・NPO関係者19
人が一年間の研究会を開催、協働でヒアリング調査を行い、『協働の強化書』を
完成させました。第1章は、主に私が全体の調査で見えてきたものをベースに、
協働の概論と現在の課題を提示し、第2章は、18の事例の研究、第3章はアン
ケート調査の分析になっています。行政職員とNPO関係者が一緒に協働事例の
ヒアリングに行き、意見交換してつくったところが特徴で、決して一方的な主張
にはなっていないと思います。(1050円)

■『NPOと社会教育』

日本社会教育学会の年報、第51集『NPOと社会教育』に、「NPO支援セン
ターと社会教育行政。施設の関わり」という文章を書かせていただきました。市
民による自発的な問題解決行動としての市民活動とその組織であるNPO/NG
Oが社会教育という政策の中で、正当に評価されていない現状や課題を論じたも
のですが、何かの参考になれば幸いです。(東洋館出版社 3045円)

考えてみれば、この10年で、ほぼ、単著で5冊、共著で15冊以上の著書を上
梓しました。なかなかにたいしたものです。関連する書籍も加えれば、もっと多
いのですから、この忙しい中に、よく書いたものだと自分を誉めたい気分です。

そしてとうとう↓です。


■DVD『加藤哲夫のブックトーク〜てっちゃん、今何読んでるの?』

仙台には「火星の庭」http://kaseinoniwa.com/ というブックカフェがありま
す。もと私の店で働いていたKさんがつれあいさんと開いたカフェ+古本屋さん
です。とてもいい空気のお店ですが、そのご夫妻のご好意で、2ヶ月に一度、ブッ
クトークを開催しています。おまけに、そのトークを映像作家である夫君に録画
していただき、とうとうDVDにして発売しようという企みが浮上しました。も
うすぐ発売になるでしょう!うまく行けば、2ヶ月に一度の発行で、しばらく
は続けられると思います。もう3回分の収録が終わっているのですから。

こんなことをしようと思ったのは、年間135回もの講演をしていても、それは
協働やNPOというお題をいただいての講演であり、もっと多様なことについて
話したいことがいっぱいあっても、センターの代表としての立場からはほとんど
声にしていないことがたくさんあることに、そろそろ窮屈さを感じ始めたのだと
思います。

ちょうど京都で「豆料理クラブ」を主宰されている楽天堂という豆屋さんのお招
きで、10月にお話をする機会をいただいたことも影響しています。


それで、以前に『自然食通信』という雑誌の連載でやっていたように、書評とい
うか本の紹介をしながら、実は、自分が何を考え、どう行動しているのか、とい
うことを書いていくスタイル「ブックニュース」のライブトーク版を行うことに
いたしました。それを収録してDVDをつくろうとなったのです。創刊号は、な
んと2時間もの語りおろしのDVDに、特別付録が4種6点もつくという超豪華
版。プロの映像編集技術と私のトークが融合して、なかなかの出来栄えです。乞
うご期待!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ということで、今年もよろしくお願いいたします。

                           加藤哲夫


◇こんなインタビューも掲載されています。
 「宮城県の人々 vol.5 加藤哲夫さん」
 http://juku.fan-miyagi.jp/hitobito/index.php?file=vol5


 加藤公式ブログ https://blog.canpan.info/katatsumuri/
 センターブログ https://blog.canpan.info/minmin/
 若起塾ブログ: https://blog.canpan.info/wakakijyuku/
-----------------------------------------
特定非営利活動法人
      せんだい・みやぎNPOセンター
980-0804
宮城県仙台市青葉区大町2-6-27 岡元ビル4F
TEL  022-264-1281
FAX  022-264-1209
minmin@minmin.org
http://www.minmin.org/
-----------------------------------------

■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2008年1月1日 第12号■■■ [2007年12月29日(Sat)]
■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2008年1月1日 第12号■■■


あけましておめでとうございます。
(・・・といいながら、2007年の年末に書いています。)

毎年の初めには、昨年の反省と今年の抱負などを書いていたのですが、何も出来
ないうちに、たちまち年末がやってきてしまいます。ああ、恥ずかしい。


新古今和歌集に、藤原俊成が詠む。
「けふごとに 今日や限りと をしめども 又今年にあひにけるかな」

こんな気分ですね。


メルマガもブログもたいしたことはできませんでした。お恥ずかしい。
メルマガは、Canpanで数えてみたら、12号らしいです。

仕事はたくさんしたのですがねえ。
なかなか書く時間がなく発信できないのです。


それでも新しい年にあたって、多少は努力してみたいと思います。


配信ルートは、日本財団Canpanのメルマガ機能に登録いただいている皆様と、
私の参加しているMLの皆様と、
私と直接メールのやりとりのある皆様に、ときどきお送りいたします。


だから、後者の皆さんには、
継続してお送りすることができないと思いますので、
今後も読みたいと思っていただけたら、
Canpanのメルマガ講読機能を使って、申し込んでください。
 https://canpan.info/mmg_index.do

ここから画面の下の方の検索条件を使って、「加藤哲夫」または「蝸牛」を検索
していただくと私のブログ「蝸牛庵日乗」の登録画面が出てきます。バックナン
バーも読めます。


Canpanという日本財団が始めた公益コミュニティサイトのお手伝いをしています
が、これがなかなか注目です。月間ビジット100万件というアクセスを誇り、
公益情報の集積効果を見せてくれています。トラックバックやコメントという機
能も、集積効果と共に活用されると有効のようです。参考までに、クリスマスイ
ブにお邪魔した倉敷市でのフォーラムについての2つのブログをご紹介しましょ
う。私も登場します。

◇へんこつ侍さん
https://blog.canpan.info/henkotsu/archive/536
◇くらしきパートナーシップ推進ひろばさん
https://blog.canpan.info/hiroba/archive/27


また、私のセンターでやっているNPOの情報公開支援サイト「NPO情報ライ
ブラリー」の考え方を取り入れていただき、詳細な団体データベースを構築しよ
うとしています。今までのデータベースは、登録・更新するインセンティブが働
かず、情報が次第に死んでいくという難点がありましたが、「NPO情報ライブ
ラリー」http://www.minmin.org/Library/ は、助成金申請と結びつけて、この
問題をクリアしてきました。Canpanのデータベースは、その考え方を基にしてい
ます。そして簡単なブログの開設支援機能と共に、公益活動情報の集積をつくる
ことと、地域とテーマの公益ポータルサイトの開設を支援することで、地域での
NPOの情報公開と発信に大きなインフラとなるでしょう。

6月に仙台で開催したブログ講座でブログを開設した団体から、発達障害に関わ
る2つの団体のブログを紹介しておきます。発達障害は、ようやくその存在が認
知され、支援法が出来て、情報を求める市民がたくさんいる領域です。ブログへ
のアクセスも、新聞などで紹介記事が出るとたちまち跳ね上がるといいます。

私たちも、みんみんファンドなどの金銭的支援とブログ講座などの技術的支援、
それにさまざまな相談を通して、活動に寄り添い、少しでも力になればと願って
います。大きな飛躍を遂げつつある活動に注目ください。

◇発達支援ひろがりネット
 https://blog.canpan.info/haxtutatusien/
◇発達障害サポートネット
 https://blog.canpan.info/mddsnet/

◇みんみんファンドの秘密
 http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2006/00007/mokuji.htm
 http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2006/00008/mokuji.htm#

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■さて、例年のことですが、2007年の1年間、何回の講演やワークショップ
の講師をさせていただいたかというと、およそ135回でした。ほぼ、前年と同
様のペースです。

同時に、組織内部の会議に、ほぼ70回以上出席し、かつその他の打ち合わせを
無数にしております。

何年か前までは、予定表に×印をつけて、休みの日を死守するぞ、などというこ
ともしてみたのですが、頼まれると嫌とは言えない性格もあって、ほとんどすべ
ての日が仕事で埋まってしまうということになっています。CSRでよく言われ
るライフワークバランスなんか、考えられません。これもお恥ずかしい限りです。
ワークワークアンバランスですねえ。


■センターは10周年を迎えました。

2007年の仕事を振り返ると、一番大きな出来事は、センターがとうとう設立
10周年になったことでしょう。その記念事業を、11/1−3に行いました。

11/1は、日本の代表する詩人、谷川俊太郎さんと息子の賢作さんのジョイン
トコンサート。
11/2の記念式典の後の、記念講演は、18年前にカタツムリ社が出版した
『覚醒のネットワーク』の著者、上田紀行さん。
お二人とも、いのちの根源に届く言葉と思考を提示してくださり、今のNPO界
の、ある種の上滑り状態に対する「喝!」になったのではないか、と企画をした
私たちは思っています。

印象に残った言葉・・・
谷川さんの詩から
「誰も代わりに死んでくれないから 私は私の骨になる」
ちょっとドキッとしますね。

上田さんが書いた『生きる意味』(岩波新書)という本は、小泉改革、規制緩和
路線に狂奔する日本社会に対する「それでいいの?」という根源的な問いかけで
あったというのです。2005年に出たこの本は、今こそますます読まれるべき
ものを提示していると私には思えます。

さっき、「とうとう」と書きましたが、この10年、NPOという市民組織と市
民セクターのエンパワメントという日本社会の大きな課題に、全力で取り組んで
きました。そして10年、なかなかに感慨無量です。

そろそろ世代交代も必要でしょうし、もっと取り組まなければならない全国規模
の課題も浮上してきています。次の一手を考えたいですね。


NPOが認知された結果、一定の成果が上がったことは事実です。どの自治体で
も、市民活動支援や協働の推進が言われるようになり、市民の声が以前と比較し
たら届くしくみが増えています。

一方、新自由主義的改革の波は収まらず、社会の荒廃は広がっていると思うのは、
私ばかりではないでしょう。しかも、荒廃と敵意に囲まれた社会では、国民統合
のために国家やナショナリズムという大きな物語を必要します。愛国心は私の心
の中にもちゃんとあるつもりですが、お上から強制されるのはごめんです。


『障害者の経済学』(東洋経済新報社)というユニークな著書で知られる経済学
者の、中島隆信さんは、近著『子どもをナメるな−賢い消費者をつくる教育 』
(ちくま新書)の中で、その愚をこう書いています。(188p)

◇モラル教育が人間をキレさせる
・・・人間は多くの過ちを犯す。その過ちを否定し、完全な人間を目指そうとす
ると心がパンクする。完璧さを追求するあまり、自分や他人の過ちを許すことが
できず、自傷行為や暴力的な報復行為に出たりする。あるいはショックで心に深
い傷を負ってしまう。人間が不完全な存在だということが理解できていれば、私
たちの心は過ちに対してより柔軟な対応ができるようになるのではないか。
 道徳を教科化し、モラルを子どもに押しつけることは、知的のみならず道徳的
にも完全な人間を目指すよう指導するようなもので、子どもの心の鍛錬という点
からいえばまったくの逆効果である。世の中はますます窮屈になり、ルールを守
らなければならないと心が固くなり、同時に傷つきやすくなる。その一方で、ルー
ルに厳格な人はそうでない人を軽蔑し、馬鹿にするようになるだろう。


いかがでしょうか。現在の社会の荒廃や混乱の原因は、意外なところにあるので
はないでしょうか。中島さんの著書は、そのことを教えてくれるようです。

続く