メルマガ 第2号の2 [2007年02月21日(Wed)]
メルマガ続きです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 英国の農村地域の中間支援組織RCCの調査に、昨年二度ほど行ったのですが、 彼らも10年前までは、NPOに対する行政の委託金に人件費が、特に管理経費 が入っておらず、非常に苦労したが、現在ではしっかり認めさせているという話 を聞いてきました。時間がかかるのですね。しかし、正論を言っていかないと、 いつまで経っても、是正されないと思って、管理人件費の入った見積書をだして、 コンペに落ちています。 委託と請負ですが、私も含めてNPOの人でよくわかっている人は少ないでしょ う。行政職員もわかってないんです、結構。 で、わかりやすい説明を見つけました。 医療は、一般的には委託契約だそうです。つまり、ガンの治療でも、風邪の治療 でも、治療という行為を行うという契約なので、病気が治るということ(成果) を約束していないのですね。直らなくても訴えられないのです。 それに対して美容整形は、請負契約だそうです。つまり、鼻を高くする手術をす るという契約は、手術をするという行為契約ではなく、鼻を高くするという成果 に対する責任のある請負契約だというのです。わかりやすいでしょう。 そうすると、茨城のケースに話は戻ります。委託契約が治療行為契約と同じ(行 政業務行為代行契約)なら、そして余ったら返すというのであれば、不足した場 合は請求してもいいか、ダメなら、成果と関係なく、資金が足りなくなった時点 で業務を中止してもいいと考えられませんか。そう言いたくなりますよね。実際 にはそういう契約にはなっていないのですが・・・。 そうではなく、成果を保障しろというなら、請負契約にしてもらわないと、代行 業務的履行にだけ神経を使い、事業の成果に集中することが難しくなります。 (もっと大きな資金があれば、両方可能ですが、かなりのものは実際の委託の金 額にそもそも無理があるのです。) ところが、実際は、監査委員は、当然のように、委託事業は具体的な成果目標が あるべきであると求めています。ここでいう成果が講座の実施や支援事業の実施 という行為目標(アウトプット)なら、かまいませんが、講座の結果リーダーを 10人つくるとか、ひきこもりの若者が5人自立を果たすというような本当の意 味の成果目標(アウトカム)なら、安い委託契約では難しいのではないですかね。 実際、成果目標という言葉が安易に使用されているような気がします。逆に請負 の場合、調査報告書の作成とか雑誌を年に6回発行するとか、橋を架けるとか、 明確なものに使用されるのですよね。 この頃は、NPOとの協働事業の評価などという話がたくさん叫ばれていますか ら、そうであるなら(行為ではなく成果を要求するのであれば)、契約を変えな いと、後で泣きを見るのはNPO側ということになりませんか。予算執行型に設 計された委託契約で、ろくに管理費も人件費もないのに、成果を要求されるほう も結構大変ですね。 (もちろん私は、NPOの側が要求されなくても成果を自ら定義し、その達成の ために尽力することを必要だと考え、自分の組織でも実行していることについて 良く理解しています。実際は、成果のために、コストをつい犠牲にして、余分に 手をかけてしまうNPOが多いんじゃないですか。) なんでこんな極論を書くかと言うと、実際に、行政との委託契約は非常に片務的 なもので、協働などという美しい総論のところではなく、契約上の委託や指定管 理の会計処理みたいな細部にこそ、その相互関係が宿っているのですね。 どんな契約書をつくるのか、そして担当職員がその内容をどのように理解してい るかによって、大きな影響を受けるということです。 そのあたりを、従来のやり方の踏襲ではなく(つまり行政の解釈や慣習を絶対の ものとするのではなく)、かつ公正なやり方で乗り越えるために、衆知を集める 必要があるのではないか、と思うのです。 つまり、単なる外注先としてのNPOの事業報告や会計報告のあり方と、営利企 業の請負仕事のあり方の中間に、大部分のNPOが存在しているために、制度的 にも対応できていないことを、もっと明るみに出して、かつ皆で議論していった らいいのではないでしょうか。 また、行政が国、県、市町村のそれぞれによって、またまたその中のタテ割りの 各省庁と各部署によって、契約の仕方や内容の理解がほとんど違うという事実も あわせて問題にしておきたいものです。 「いったい、どないすればいいねん!!」と叫びたいところです。 その上で、指定管理者と行政の関係について、更に考えを深めることと、協働と いう関係について、どのように制度の中で、位置づけるかという問題があるので はないでしょうか。(現状ではほとんど位置づけられていませんね。) なので、こんな回りくどい文章を書いてみました。 NPOの方、共感してもらえます? 専門家の方、書いていることがわかるでしょうか? 行政の方、どうでしょうね。 皆さんでぜひ考えてみてください。 また、茨城NPOセンター・コモンズさん、ぜひこの議論に加わってください。 実りあるものになるように。 この提案は、茨城のコモンズ・横田さんの了解を得て、投稿しております。 以上 加藤哲夫/せんだい・みやぎNPOセンター ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |