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新年メルマガ [2011年01月01日(Sat)]
□■□■□加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2011年1月1日 第15号□■□■□

メルマガ読者の皆様、ご無沙汰いたしております。
なんと一年ぶり!ではないでしょうか。
ほんとうにすみません。

ブログ読者の皆様、一年間のお付き合い、ありがとうございました。
特に、4月末に入院以来、8月末に再度の入院と手術という大事件があり、
皆様には、ほんとうに心配をかけました。
そして、いろいろと励ましをいただきありがとうございました。

ブログとメルマガの使い分けができていないところに、最近はツイッターなどと
いうものも登場して、どうしたらいいんや!!と悩む時代になりました。

恒例の2010年をふりかえるメルマガをお届けいたします。
目次にすると、こんな感じです。

 □1.入院と手術の苦しい一年でした。

 □2.仕事と生き方の転換を始めました。

 □3.組織は確実に成長し、世代交代していると思います。

 □4.こんな仕事もしてきました。

ということで、まず

■1.入院と手術の苦しい一年でした。

メルマガの読者の方の中には、初めて聞く話の方もいらっしゃるかと思いますが、
ブログではずっと書いてきたので、詳しいことはブログに譲ります。最低限のこ
とをお知らせしておきます。

4月は、16日に福島県会津柳津町の花ホテル講演会、24-25日と秋田県由利本荘市
での廃校サミットと続き、どうも体調が思わしくないと思っていたところ、突然
連休初日の4月29日、腹部激痛で救急車入院いたしました。かなりの熱と痛みに
耐えて、抗生剤の効果もあってか、5月14日に退院いたしました。原因は、膵の
う胞という膵液が漏れて溜まった状態と説明され、水溜りが小さくなったから退
院ということでした。無理をせずにいれば大丈夫と考え、6月から仕事を再開、7
月、8月と結局元通りの仕事のペースになってしまいました。
 https://blog.canpan.info/katatsumuri/archive/162

あの暑い暑い夏に仕事のペースを落とさずにいたつけでしょうか、8月26日には
再び緊急入院、今度は抗生剤もあまり効かず、長い入院になってしまいました。
その中で、どうしても手術して肥大した患部を除去した方がいいという判断で、
10月20日に手術をいたしましたところ、開腹して初めて膵臓がんとわかり、癒着
していた患部と胃と大腸の一部と脾臓と膵臓の5分の4を摘出するという大手術に
なりました。 https://blog.canpan.info/katatsumuri/archive/303

術後の苦しいリハビリに励み、手術後2週間の11月2日には驚異の短期間で退院に
こぎつけました。目下、自宅療養をしつつリハビリに励んでいるところです。

なんにしても、膵臓がんという大変な部位でのがん発見で、危機一髪でした。執
刀医の果敢な判断、かなり特殊な膵臓がんであること、転移していなかったこと
など、奇跡がいくつか重なって、最悪の事態を避けることが出来て、いまのとこ
ろ生存しています。まさに九死に一生を得た思いです。

市民活動を続けてきて30年くらい、特に、薬害エイズ訴訟の支援に関わってから
約20年になります。その間、ほんとうに年中無休、一日15時間勤務状態でしたか
ら、さすがにカラダも嫌だというメッセージを出したのだと思います。

たくさんの方々に迷惑をかけてしまいました。またたくさんの方々から励ましと
ご配慮をいただきました。ありがとうございます。昔はほんとうに孤立無援の闘
いと思っていたら、たくさんの人たちに支えられるようになったのだということ
を改めて実感させられました。だからこそ、もう一人で頑張らなくていいと素直
に思えたのが、入院効果でしょうか。

年末の最終検査でも、異常なしという判定をいただきましたので、今の段階では
転移はなく、元気に新年を迎えることが出来ることを感謝したいと思います。

詳しいことは、こちら↓でご覧下さい。

□理事オピニオン「病気と仕事と人生と・・・」
 https://blog.canpan.info/minmin/archive/412


■2.仕事と生き方の転換を始めました。

ということで、仕事と生き方の転換です。この20年間、自身に課したミッション、
つまり「日本の社会の中で市民活動の認知を高め、市民参加を社会システムの一
環として必要不可欠の存在する」ことはほぼ達成したと思います。

そして、もうひとつの「地方において、市民活動を支える民間の力強い支援組織
をつくる」というミッションも、せんだい・みやぎNPOセンターとして結実し
ています。

これ以上、無理の利かないカラダになってしまったこともあり、少し落ち着いて、
私でなければ出来ない仕事を選択してやっていくことを決断しました。今までは
年間100回から150回もさせていただいていた講演・セミナー・ワークショップ講
師などは、事務局長や幹部スタッフが担い手として成長してきましたから、選手
交代をいたします。

組織の経営のトップとしての意志決定は、理事会の皆さんと相談の上、しばらく
は随時関わっていくことになりますが、これも世代交代を進めていきます。

今までもなかなか思い通りに行かなかったことで、私がしたいことのひとつが、
もっと原稿を書き、発言していくことです。それもNPOの世界にとどまらず、
もっとこの世界の成り立ちと現状について積極的に発言していきたいという思い
がますます高くなりました。その分野で新しい何かを切り開ければと思っていま
す。一部ですが、退院後のブログに掲載しています。

□蝸牛試論「尖閣諸島問題を考える」
 https://blog.canpan.info/katatsumuri/archive/301
□蝸牛試論「いわてNPOセンター破綻の教訓」
 https://blog.canpan.info/katatsumuri/archive/321
□蝸牛随想「二人の老い」
 https://blog.canpan.info/katatsumuri/archive/304
□蝸牛随想「街場のメディア論を読みながら」
 https://blog.canpan.info/katatsumuri/archive/306
□理事オピニオン「地域の支援はどうあるべきか?」
 https://blog.canpan.info/minmin/archive/369
□理事オピニオン「異動の季節と転校生」
 https://blog.canpan.info/minmin/archive/304
□理事オピニオン「仙台市、そして宮城県は本当にNPO先進市(県)か?」
 https://blog.canpan.info/minmin/archive/255

そして、もう少し仕事漬けではなく、人間らしい生き方を享受しても良いのでは
ないかと思っています。まあ、仕事漬けも人間らしいのですがね。

精神的時間的な余裕のある日常を送りたいものだと思っているところです。具体
的にどうするかは、これからですが・・・


■3.組織は確実に成長し、世代交代していると思います。

一年前のメルマガ(2010.1.1)に私は以下のように書いています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しかし、こんな中でしたが、センターは大きな変化があり、厳しい夏を越えてス
タッフがより責任を持って働く体制が構築できたのではないかと思います。いろ
いろ苦労はありましたが、実はそれが昨年一番の成果だと考えています。なにし
ろ40人近くのスタッフが4つの施設と1つの事務所で働いています。意識を統一し、
組織力を高めるには、それなりのリーダーシップと大きなエネルギーがいります。

私ももう60歳になり、身体もなかなか思い通りに動かなくなっています。いつま
でもこの組織のトップをやっているわけにはいかないと思っています。スタッフ
が育つのは嬉しいものです。

ちなみに誤解のないように書いておきますが、センターは基本的にボトムアップ
型の組織でして、私が一人で決めているものはほとんどないと言っていいのです。
私がしている仕事は、スタッフと幹部が考えたことの修正と追認と対外的な責任
を負うこと、スタッフの研修、方向性と戦略議論の取りまとめ、外部理事への説
明責任、対外的な発言と発信により方向性を示すこと、対外折衝、内部統制シス
テムの確認などです。

いろいろなところで後継者難ということばが語られますが、あまり気にしていま
せん。私の代わりはそう簡単にはいないと思いますが、ちゃんとした組織になっ
ていれば、私が突然いなくなっても、なんとかやっていけるものです。そして、
そういう組織になってきたと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

どうでしょうか。病気でリタイアを余儀なくされている現状を良く予見している
のではないか、と思っています。ここ数年、確かにそういう予感があったのです。
そして、私が留守の間、理事会と幹部職員を中心に全員野球で危機を乗り切って
くれたと思います。

そういう意味で、私は全然心配していませんでした。これで組織がボロボロにな
るなら、今まで私がやってきたことは無意味だったということですから、そんな
はずはないと信じていました。そして、理事会とスタッフは見事に応えてくれた
と思います。また、仕事の上での取引先や関係者の皆さんもさまざまな配慮をし
ていただきました。ありがたいことです。感謝申し上げます。


■4.こんな仕事もしてきました。

上記のような実情でしたから、たいしたことは出来ていませんが、この1年をふ
りかえると、こんな仕事もしてきたでした。もちろんこれら以外に、スタッフは
たくさんの仕事を担っています。

□大分県で連続講座を引き受け、「学びの協働隊」というネットワークが誕生し
ました。参加団体の方々が互いに支援しあうという地域支援のひとつの形が生ま
れたことはとても嬉しいことでした

 学びの協働隊ブログポータル https://blog.canpan.info/manabitai-oita/ 
 地域の支援はどうあるべきか? https://blog.canpan.info/minmin/archive/369

□ソーシャルビジネス支援を形にしました。
・フラスコおおまち https://blog.canpan.info/minmin/category_35/
・ソーシャルビジネスネットワーク大学東北キャンパス
  https://blog.canpan.info/sb-minmin/
・みやぎソーシャルビジネスネットワーク(MSBN)
  https://blog.canpan.info/msbn/

□コミュニティ自立研究会は、5年間のまとめを本にします。
 https://blog.canpan.info/katatsumuri/archive/320

2011年がより良い年でありますように。
そして皆様のご活躍を祈念いたしております。

加藤哲夫

蝸牛庵日乗 2010年1月1日 第14号 続き [2010年01月04日(Mon)]

□■□■□加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2010年1月1日 第14号□■□■□

 続きです。

◆目次
  □1.発信力低下と向上?
  □2.相変わらずの仕事漬け?
  ■3.政権交代と日本サードセクター経営者協会の設立
  ■4.官僚亡国?
  ■5.地域コミュニティ支援とは?

■3.政権交代と日本サードセクター経営者協会の設立

昨年の一番大きな出来事は何かと言われたら、政権交代をあげたいと思います。
もちろん国レベルの政権交代がありました。その直前には、仙台市の市長選があ
り、奥山恵美子さんが新しい市長になりました。これも大きな変化です。

ブログにも書きましたが、私の市民活動歴の中でもっとも苦しかったものは、薬
害エイズ訴訟支援でした。たくさんの仲間たちが目の前で死んでいきました。被
害者が救済されるどころか、最高裁まで提訴した人たちがもたないのではないか
という時間との闘いでした。限られたいのちを「砂時計」と喩える人もいて、当
時、私が発行を引き受けていた感染者・患者の編集する情報紙の名前も『砂時計』
という名前でした。そんな中、1996年2月に日比谷公園に全国から提訴した患者
たちと支援者が集まり座り込みを行った中での菅直人厚生大臣の謝罪と、同年3
月の和解は、当時の政権が自民党単独政権ではなかったから可能になったもので
した。

薬害エイズ訴訟の和解的な勝利は、その後のさまざまな動きの原動力となりまし
た。ハンセン病訴訟、そして肝炎訴訟と続く闘いへと大きな道をつけたのです。
(もちろんエイズ訴訟も、その前のスモン訴訟などから大きな恩恵を受けていま
すが。)

そういう経験からも、私にとって政権交代のある社会への変革の必要性は言うま
でもないものでしたが、もう一つ、私には関心があることがありました。80年代
にヨーロッパ特にドイツにおいて緑の党が勢力を伸ばし、保守派と左派(社会民
主主義派)との間でキャスティングボードを握ってくる状況を見て、日本におけ
る緑派が必要であると考えていた人間です。しかし残念ながら日本では左翼の力
が強く、環境保護派は、左翼に数えられていましたし、選挙では四分五裂、ほと
んど力になりませんでした。しかし、開発思想(進歩思想)に対する環境保護思
想は、十分に保守の思想でもありうるので、開発に反対すれば左扱いされ、右か
左かしか選択肢のない貧しい日本の政治状況をずっと憂いていました。

やがてベルリンの壁が崩壊し、それから20年、NPOの季節が来て10年、ようや
く政権交代の時代が来たのです。8月30日の総選挙で民主党が圧勝し、政権交代
が起きました。9月1日東京で、日本サードセクター経営者協会の設立総会が開催
され、名古屋大学教授で、市民フォーラム21・NPOセンター代表理事の後房
雄さんや、日本社会事業大学専門職大学院教授で(財)日本老人福祉財団理事長
の田島誠一さん、公益財団法人公益法人協会理事長の太田達男さんと共同代表に
なりました。

この協会の設立と政権交代に対する見方については、一緒に協会を設立した名古
屋大学教授で、市民フォーラム21・NPOセンター代表理事の後房雄さんのブ
ログを読んでいただくことが早いと思います。特に、『政権交代への軌跡』(花
伝社刊)を書いている後房雄さんのマスコミとは違った小沢一郎論が面白いです。

 日本サードセクター経営者協会HP http://www.jacevo.jp/
 後房雄代表理事ブログ https://blog.canpan.info/jacevo-board/

もう1冊、政権交代後に、霞ヶ関と民主党の間で何が起きているか、日本の進む
べき道の見取り図と共に、明確に論じているのが、『日本の難点』の著者、宮台
真司氏と民主党国会議員で、外務副大臣を務める福山哲郎氏の徹底討論本である
『民主主義が一度もなかった国・日本』(幻冬舎新書)です。これはぜひ、すべて
の人に読んでいただきたいものです。政権交代後2ヶ月以内という執筆時間で、
これだけの瞬発力を示せるところが二人のすごいところですね。

あの八ツ場ダム問題の原因の一つが、衆議院中選挙区制度下の自民党内部の、つ
まり福田赳夫(推進派)と中曽根康弘(反対派)の票取り合戦で、いまさら自民
党が地元の声を聞くべきだなどというのはお笑い種、60年近く地元を翻弄してき
た張本人に言われたくないよ、という話など、どうしてマスコミは書かないんで
しょうね。子ども手当てもまったくバラマキではないし・・・対米従属による利
権勢力がわが国を滅ぼしてきたということもどこにも書いていないですね。

日本のマスコミの、記者クラブ制度の守られた官僚情報垂れ流し体質こそ、諸悪
の根源ということもよくわかります。

せっかく政権交代したけれど、マニフェストは無理して守ろうとするといろいろ
と大変そうだからもういいかも、などと思っているあなたも、ぜひ本書を読みま
しょう。世界の見方が変わりますよ。

誤解のないように書いておきますが、上記は、民主党の支持者としての発言では
ありません。私たちNPOのリーダーたちは、もっと大きなビジョンを語る必要
があり、その前提として、政治理解、政党理解は必須だから、ということです。

福山×宮台本でも、福山氏が語っていますが、政権をとったらとたんに、民主党
に言えばなんでもできると思って、続々と要望を持ってくる人たちがいるけど、
そうじゃないんだと。今までは、政治過程の中でNPOが参加できるシステムが
なかったんだから、それをつくらなきゃならない。その前に何をしてください、
これをやってください、と言ったって、そう簡単ではない、と言われています。

この本で読み込んでいただきたいのは、そういう(自民党型の政治で身について
しまった陳情・要望型の)思考回路を変える必要があることです。今、NPOが
発信すべきは、特定非営利活動法人の制度改革や事業予算の獲得要望など
ではなく、もっと大きなビジョン、つまり日本の国の形を、この本では参加型の
コーポラティズム(談合主義)と呼んでいますが、要はアメリカのような市場主義
型ではなく欧州のような参加民主主義型の社会に変えるために、NPOセクター
全体を社会の中にどう位置づけ、どう変革し、どう成長させていくか、というこ
とです。なぜなら、そういうNPO抜きに、そういう社会は来ないからです。
そのための長期ビジョンと戦略の提案こそ私たちに求められています。

私は、そういう大きな議論がほとんど出てこないNPO界に大きな危機感を抱い
ています。


■4.官僚亡国?

政権交代とも、宮台×福山本ともつながるのですが、私たちは、官僚システムに
対する理解があまりに不足です。もうひとつ、歴史についても、あまりに不明で
す。だからデマゴーグが跋扈します。嘘が見抜けません。

この二つについて、歴史の側から仕事をしているのが、保阪正康氏です。保阪氏
は、私より10歳年上のノンフィクション作家という肩書きをお持ちですが、わが
国の昭和史に関わる徹底した調査と関係者のインタビューを続けておられる方で
す。私は、凡百の歴史家を自称する人たちよりも、保阪氏の著作から学ぶことが
多いのです。氏は保守であると自身の立場を表明されていますが、講演などでし
ばしば「自虐史観」という言葉をあびせられるそうです。これに対して氏は自ら
の立場を「私は自虐史観ではなく、自省史観の側に立っている。昭和という時代
を自省や自戒で見つめ、そこから教訓を引き出し、次代につないでいくという立
場だ。」と答えています。その氏の最新の著作から、『官僚亡国 軍部と霞ヶ関
エリート、失敗の本質』(朝日新聞出刊)と『太平洋戦争、七つの謎 官僚と軍
隊と日本人』(角川oneテーマ21新書)を紹介します。

後者が新書ですから、簡単に読めますが、私たちが知っていると思っていた歴史
的な「事実」がいかに危ういものか、また隠されていることがいかに多いのかが
よくわかります。あるいは、情報としては既に明らかになっているにも関わらず、
誰もそのように読み解きはしなかった、ということでもあります。過去を断罪も
せず、また自己陶酔的な称揚もせず、史実の確認を積み重ねて見えてくるものに
目を凝らし耳を澄ます姿勢を読み取っていただけると嬉しいところです。

実は、この視点がないと、政権交代後の日本のアジア外交戦略が描けません。そ
の点でも、保阪氏の著作は、紹介した2冊に限らず、もっと多くの方々にしっか
り読まれてしかるべきと思います。もちろん「官僚亡国」にならないように、正
しく官僚に仕事をさせるためには、何か必要かを理解するためにも、官僚機構の
行動原理を理解しておくことは必須です。福山×宮台本と一緒に読むと味わいが
増します。いや、両方を読まないと、今の日本がわかりません。


■5.地域コミュニティの支援とは?

今年もあまり原稿が書けませんでした。書き下ろしや共著の単行本はありません。
ただ、このところずっと関わってきた地域コミュニティ支援と政策づくりに関す
る報告書を共同執筆いたしました。(財)東北開発研究センターのコミュニティ
自立研究会として、一昨年、岩手県住田町にほぼ一年間にわたって関わりました。
職員研修、議員研修、人材育成塾、集落単位の住民参加ワークショップを2ヶ所
という構成で、コミュニティ政策づくりのお手伝いをさせていただきました。そ
の一年間の取り組みの記録が、『住民自治と協働へのプロセス〜コミュニティ自
立支援プロジェクト活動記録報告書〜』((財)東北開発研究センター刊)とし
て発行していただきました。一部に同時期に関わった栗原市の記録も織り交ぜな
がら、立体的な地域づくりと支援施策の展開に参考になる報告書になりました。
 http://www.tohoku-drc.or.jp/press/0911jyumin.html

もうひとつの書き物ですが、こちらは仙台市環境局廃棄物管理課の発行物でして、
『クリーン仙台推進員 クリーンメイト活動事例集』です。私は7年くらいでしょ
うか、地域でごみ問題の解決に汗を流している方々を支援する仕事をさせていた
だきました。その仕事の集大成が、この事例集=活動マニュアルです。いわゆる
近隣トラブルと呼ばれる領域の問題について、どのように取り組んでいったらい
いか、その考え方と具体的な成功事例を掲載した冊子を、仙台市の担当者とつく
りました。

これは地域住民による問題解決行動の支援ですが、いわゆる「安全・安心」運動
のような悪いやつを見つけて排除する運動ではなく、問題を抱えた市民を、同じ
コミュニティに生きていくものとして援助する「信頼」構築の取り組みです。
「責めない」「100%をめざさない」がコンセプトです。全ページ仙台市のHP
でも読めますから、ぜひご覧ください。これは、山岸俊男著『日本の「安心」は
なぜ消えたのか』(集英社インターナショナル刊)の加藤流実践編です。そして、
地域の方々による圧倒的な成功ケースに着目ください。

 http://www.city.sendai.jp/kankyou/haikibutsu/clean/jirei.html
◆推進員向け委嘱式での加藤の講演内容
 http://www.city.sendai.jp/kankyou/haikibutsu/clean/01_jirei/01_00_kato.html

こんなことを書いているうちに、もう3日も終わります。昨日は中学時代の同窓
会に参加して来ました。還暦同窓会です。皆さん歳をとっていましたね。もちろ
ん私もですが。小学校を5つ転校した経験がそうさせたのか、同窓会的な雰囲気
とは距離を置いてきた私ですが、還暦ということもあり、ひょっとしたら二度と
会えないかもしれないので、顔を出してきました。

さあ、2010年の始まりです。


                                 以上


加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2010年1月1日 第14号 [2010年01月04日(Mon)]
□■□■□加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2010年1月1日 第14号□■□■□

皆様、良いお年をお迎えになりましたか?
仙台の新年は、雪がチラつきましたが積もらず寒風の正月です。
今年もよろしくお願いいたします。

◆目次
  ■1.発信力低下と向上?
  ■2.相変わらずの仕事漬け?
  □3.政権交代と日本サードセクター経営者協会の設立
  □4.官僚亡国?
  □5.地域コミュニティ支援とは?
   →□は続きのブログへ

■1.発信力低下と向上?

ご無沙汰お詫び申し上げます。(一部の方は最近やりとりをしているかも知れま
せんが、大多数の方々には本当にご無沙汰していると思います。)
何しろ、ブログもメルマガもさっぱり発信できていませんでしたね。
本もほとんど書けていません。(報告書は書いています。)

年々発信力が下がってきたかも知れません。

その反対に、センター自身の発信力は確実に高まっています。

2008年6月にオープンした「みやぎの公益ポータルサイトみんみん」は、情報開
示と発信の必要性に対する理解が進み、多くの情報ライブラリー登録団体に活用
していただいてブログの情報発信がにぎやかです。

さらに栃木、千葉、京都、島根、岡山など全国的にも情報開示のポータルサイト
が展開され、私たちが宮城県で先駆的に開発・展開してきたものが、全国化して
います。「みんみんポータル」の兄弟が増えていくのは嬉しいですね。

そして、情報の開示と発信によって社会的な注目が集まり、団体が大きく成長す
るのを見ることが増えました。これがもっとも嬉しいことです。

 →みやぎの公益活動ポータルサイトみんみん
         http://minmin.canpan.info/

更に、受託管理をしている各施設のHPとブログによる発信も増え、ようやく全
体での発信戦略を議論できる体制になってきました。

▲せんだい・みやぎNPOセンターHP http://www.minmin.org/
 せんだい・みやぎNPOセンターブログ https://blog.canpan.info/minmin/
 仙台市市民活動サポートセンターHP http://www.sapo-sen.jp/
▼仙台市シニア活動サポートセンターブログ https://blog.canpan.info/sendai-senior/
▼多賀城市市民活動サポートセンターHP http://www.tagasapo.org/
 多賀城市市民活動サポートセンターブログ https://blog.canpan.info/tagasapo/
▼名取市市民活動支援センターブログ https://blog.canpan.info/natori/

▼は新規開店、▲はリニューアル途中です。

うーん、ややこしいですねえ〜
おまけに、それぞれにニュースレター(紙媒体)を5つも発行しているのですよ〜!


■2.相変わらずの仕事漬け?

さてさて、話がずれてしまいました。
毎年のことですが、旧年中はほんとうにお世話になりました。

加藤哲夫は8月31日で還暦
せんだい・みやぎNPOセンターは、11月1日で満12年、13年目に突入です。
仙台市市民活動サポートセンターは、6月30日で満10年
仙台市シニア活動支援センター、多賀城市市民活動サポートセンター、名取市市
民活動支援センターと関わる市民活動支援の公共施設が増えました。

センター内部の会議で、私の出席が必須の会議は合計60回。相変わらずほとんど
出席しました。もちろん多数の内部打ち合わせと行政など対外的な打ち合わせは
無数にしています。

あとは、主催事業のコーディネーター、共催事業や会議の出席、依頼された研修
やワークショップの講師などの仕事で、年間150回以上全国を駆け回りました。
手帳を見直すと気が遠くなる仕事量ですね。数えるのが途中で嫌になりました。

しかし、こんな中でしたが、センターは大きな変化があり、厳しい夏を越えてス
タッフがより責任を持って働く体制が構築できたのではないかと思います。いろ
いろ苦労はありましたが、実はそれが昨年一番の成果だと考えています。なにし
ろ40人近くのスタッフが4つの施設と1つの事務所で働いています。意識を統一し、
組織力を高めるには、それなりのリーダーシップと大きなエネルギーがいります。

私ももう60歳になり、身体もなかなか思い通りに動かなくなっています。いつま
でもこの組織のトップをやっているわけにはいかないと思っています。スタッフ
が育つのは嬉しいものです。

ちなみに誤解のないように書いておきますが、センターは基本的にボトムアップ
型の組織でして、私が一人で決めているものはほとんどないと言っていいのです。
私がしている仕事は、スタッフと幹部が考えたことの修正と追認と対外的な責任
を負うこと、スタッフの研修、方向性と戦略議論の取りまとめ、外部理事への説
明責任、対外的な発言と発信により方向性を示すこと、対外折衝、内部統制シス
テムの確認などです。

いろいろなところで後継者難ということばが語られますが、あまり気にしていま
せん。私の代わりはそう簡単にはいないと思いますが、ちゃんとした組織になっ
ていれば、私が突然いなくなっても、なんとかやっていけるものです。そして、
そういう組織になってきたと思います。

また、人材はそう簡単には出てこないので、京都にならって学生NPOインター
ンシップなどの長期的な地域公共人材育成の取り組みが必要ですね。これは仙台
の大きな課題です。
 → 一般財団法人地域公共人材開発構 http://colpu.org/

続く→https://blog.canpan.info/katatsumuri/archive/129


■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2009年1月1日 第13号■■■ [2008年12月30日(Tue)]

■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2009年1月1日 第13号■■■

本当は14号でした!! お恥ずかしい。

実はまだ12月の29日なんですが、新年に向けた年末恒例メルマガです。

今年もいろいろ皆様のお世話になりました。ありがとうございます。
お陰様で無事、年を越せそうです。

◆目次
  ■還暦?
  ■仕事漬け
  ■地震
  ■DVD
  ■父の死


■お恥ずかしいことに、毎年のことなのですが、机の周りを片付けることと、た
まった仕事を片付けることが重なって、どうにも情けない正月を迎えます。
今年も、寒い事務所で一人黙々とパソコンを叩いているのです。

それなのに(何がそれなのになのかわかりませんが)来年というか2009年には私
はなんと還暦を迎えます。えー、実感が湧かないなあ・・・

還暦って? Wikipediaで調べてみました。

・・・・・・還暦(かんれき)とは、干支(十干十二支)が一巡し、起算点となった年
の干支にふたたび戻ること。通常は人間の年齢について言い、数え年61歳(生ま
れ年の年号に60を加えた年)を指す。本卦還り(ほんけがえり)ともいう。以後、
その年は「今年、還暦を迎えた」の様に表現する。・・・・・・

なーんだ!! 私は2010年にならないと還暦ではないのでしたね。ハイ、あと1年
の執行猶予をいただいた気分です。

→→なんと、勘違いもはなはだしい。メルマガを送った方から、
   計算違っているんじゃない?とお叱りを受けました。
   やっぱり、2009年が還暦のようです。トホホ・・・(1/1記)


■相変わらず仕事漬けの生活を送っています。

1年の3分の1は、せんだい・みやぎNPOセンターの経営に関する会議出席や意
志決定の仕事をしています。出席が義務付けられている会議は、約60回です。そ
れにスタッフほぼ全員の面談を年に2回。これらはほとんど出席しています。
(1月にはほとんどの会議の年間スケジュールが決まり、それを確保してから講
演などの仕事をしています。)

今年、当センターは、多賀城市の市民活動サポートセンターの管理・運営を受託
しました。今までの、仙台市市民活動サポートセンター(1999〜)、仙台市シニア
活動支援センター(2007〜)に加えて、3つの公共施設の管理・運営を担うことに
なりました。そのためスタッフが総数30数名の大所帯になり、ますますマネジメ
ントが重要になってきました。幸い、二人の常務理事とスタッフの皆さんの力で
困難を乗り越え、全国的にも高水準の市民活動支援を続けられていること、感謝
したいと思います。今年から受託している多賀城市は、人口も6万人弱の小さな
都市で、狭い意味での市民活動だけではなく、生涯学習や地域コミュニティ組織
の活動支援なども総合的に担う施設として位置づけられ、市長の唱える地域内分
権の推進のための重要施策になっています。


さらに、3分の1は、複数の自主事業や受託事業の管理です。昨年ですと、サポー
ト資源提供システムとみんみんファンドの運営管理、NPO情報ライブラリーと
地域公益活動ポータルサイトみんみんおよびHPの構築と運営管理、名取市の支
援センター相談員管理と事業管理、環境基金の組織マネジメント講座、アダプト
シンポジウム、情報開示と協働とCSR系のセミナー、インターン生による議会
改革の取り組み調査、東北労金との提携事業など、施設系ではない多数の事業の
マネージャーとしての仕事をしています。

 →みやぎの公益活動ポータルサイトみんみん
         http://minmin.canpan.info/


そして一番労力を使っているのが、ほとんど一人で仕事をしている講師派遣やア
ドバイザー、他組織との協働事業などです。年間100回を越すNPOマネジメン
ト研修および行政職員研修の講師、地域づくりコミュニティ再生事業関連講師・
コーディネーター、協働のしくみづくりのコーディネーター、CANPANと連携した
地域・テーマ公益ポータル推進プロジェクト、環境基金の評価委員、若者の社会
起業家支援の若起塾、JACEVO(日本サードセクター経営者協会)などの仕事です。

また、今年度は、経産省のソーシャルビジネス&コミュニティビジネス推進協議
会の形成へ向けた委託事業を、潟fュナミス、いわてNPOセンターと共同受託
しています。また、内閣府の元気再生事業で、東北圏地域づくりコンソーシアム
の形成を、宮城大学事業構想学部、まちづくり政策フォーラム、財団法人東北開
発研究センター、パシフィックコンサルタントなどと共同で進めています。多賀
城市の地域経営アドバイザー業務を含めて、地域コミュニティの再生と自立へ向
けた政策づくりと地域の取り組みに関わることが増えてきました。

この部分は、当センターがNPO支援を進めていく中で、将来、地域の課題を解
決するために、NPOを含む多様な主体の参画による地域づくり支援に道を拓く
ものと考えています。


■さて、今年は、6月に、宮城県北部と岩手県南部に大きな地震がありました。
いつものことですが、自然の猛威の前には、人間の小ささを思い知らされます。
しかし、そこから立ち上がるのも人間です。大きな支援活動はできませんでした
が、さまざまな救援の申し出のコーディネートや職員が交替でのボランティア派
遣、募金活動などを行ってきました。中山間地域での局所的な被害ということで、
同じ栗原市でも、なかなか実感がないところもあり、大規模合併自治体の課題を
感じさせました。現在は避難所から仮設住宅に入った被災者たちは厳しい冬に立
ち向かっています。

これから緊急救援期から復興期に入っていくわけですが、救援→復興の過程で、
被災者市民が置き去りにされたり、被災者と他の地域住民の間の微妙な関係がま
すます断絶したりすることなく、また県内の心ある人々の新たな関わりの創出も
含めた、新しい地域づくりに向けた取り組みを始めたいと考え、関係団体や機関
と準備に入っています。復興基金などが作られない中で、どのように資金を確保
しながら、地域づくりにつながる取り組みに多くの人々を巻き込むかが課題です。


■例年と違って、今年はあまり本を書きませんでした。忙しすぎて原稿も断った
りしていましたからでしょうか。その中で、火星の庭というブックカフェの発行
で、「ブックトーク」として断続的に話をする機会を続けています。今年は5回
の開催でした。読んでオススメしたい本と時事問題を絡めた言いたい放題の2時
間ですが、若い方々が興味を持って参加してくださいます。普段はなかなか発言
しにくいことを、観客がいて話をすることができるのは、私も考えがまとまって
ありがたいものです。

12月25日は、田母神論文についても触れました。公権力の行使の地位にあるもの
が、言論の自由を標榜して、公的に積み重ねてきた政府の見解や外国との信頼関
係をぶち壊して懲戒免職にならないというお粗末な幕切れに、後味の悪い思いを
した方はたくさんいらっしゃるでしょう。これは言論の自由問題ではない、とい
うことをほとんどマスコミがちゃんと書かないという情けなさも味わいました。

友人に紹介してもらったのですが、村上龍のメルマガJMMの中の水牛健太郎と
いう人の文章「田母神論文問題ーー浮き彫りになる政治とメディアの危機」がこ
との本質を見抜いています。(11/16)
http://12191.diarynote.jp/200811170518523751/


このようなブックトークをDVDにまとめたものが2冊発行されました。

第1集は、3月に発行されました。

「加藤哲夫のブックトーク〜てっちゃん、今何読んでるの?〜」

 DVD 収録時間120分
 トーク内容の補足資料など、書き下ろしによるブックレットつき
 定価2000円+税

 初回100部限定・4大付録
 ★カタツムリ社第1作『戦争と私』(1981)
 ★メモリアルキルト仙台展(1994年開催)の当時のチラシ現物
 ★「原発赤信号」3号分(1988年発行の現物)
 ★単行本未収録原稿
  「エイズが教えてくれたもの−患者・感染者サポート活動から−」

お申し込みは、火星の庭までお願いします。
      http://www.kaseinoniwa.com/cafe/bt.html

第2集は、この12月25日に発行です。

「加藤哲夫のブックトーク〜てっちゃん、今何読んでるの?〜」 Vol.2
     〜朗読パフォーマンス「市民の日本語」〜

 DVD 収録時間120分
 定価2000円+税

 初回100部限定・3大付録
 ★『レッグス 平和への道はない道が平和である』ブライアン・ウィルソン著
   仙田典子監訳 島田啓介訳 カタツムリ社刊
 ★『中日対訳版ぬりええほんひゃくばんめのサル』ケン・キース・ジュニア著
  北村弓絵と文 木下貴雄中国語訳 カタツムリ社刊
 ★「ネットワーキング宣言」(1)〜(12)「コンパ」連載原稿のコピー冊子


■最後になりますが、今年私は、父を亡くしました。享年86歳。10月30日の朝の
ことでした。数年前から肺ガンの手術を受け、体力の衰えが次第に進行していま
した。母と二人の生活で、ほぼ寝たきりになるまで、自宅で頑張っていました。
9月に肺炎になり救急車で入院、そのまま約2ヶ月の入院生活でした。仕事が最盛
期なのですが、なんとかやりくりをして病院に通い、父や母と話をすることがで
きました。私はほとんど仕事三昧の生活なので、両親とも信頼関係はあるのです
が、寂しい関係であったと思います。それをいくらかでも取り戻すことができた
でしょうか。
亡くなる直前の3日間は、ずっとベッドの傍らで、意識が薄れている父と話をし
ておりました。いい時間でした。家族を守り、仕事に全力投球をし、最期は母と
共に信仰に生きました。

私にとって、父の存在は、これから大きくなっていくのではないか、と思ってい
るところです。何らかの形で父に有情有縁の皆様には、生前のご厚情に感謝した
いと思います。

そうそう、父とほぼ同い年の詩人、ナナオサカキも、この12月23日に、「人間家
族」の発行をしていた大築さんも21日に亡くなったという知らせをいただきまし
た。
冥福を祈ります。


                             2008/12/29記
■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2008年3月16日 第13号■■■ [2008年03月16日(Sun)]

■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2008年3月16日 第13号■■■

皆様 お元気でいらっしゃいますか?
桜餅など美味しくいただいているうちに、もう3月も半ばを過ぎました。


私は、今日(16日)、個人の確定申告をさせていただきました。
と言っても日曜日です。
税務署のポストに封筒をギュウギュウと押し込んできただけです。

私のように、前日になってあわてている方々がいかに多いか、
ポストのギュウギュウでよくわかります。


私は、NPOセンターで給料をいただいているのですが、
その他に、わずかながらカタツムリ社の出版物の売り上げがあり、
また、講師料や謝金、原稿料などで、センター(法人)受け取りにならないもの
を個人で受け取り、寄付調書を書いて、センターに入れている関係上、結構な額
の源泉徴収票が届きます。
それらを合算して申告しないと、脱税ということになってしまいますゆえ、毎年、
個人の確定申告をすることになっております。

「現金はないが、源泉徴収票はある」という贅沢な悩みを持っております。
税金ばかりが増えまする。

長年にわたって事業主として確定申告をしてきましたから、
一日あれば、一年分の計算をして書類を書き、提出することができるのですが、
いつもいつも3月15日の直前になってしまいます。
今年は、15日が土曜日なので、月曜日の17日まで寿命が延びたというわけで
す。

NPOの経営をしていても、最低限の税務の知識はあるにこしたことはありませ
ん。その点、私は、長年の自分のビジネス経験が、役に立っていると思います。


さてさて、お正月にこのメルマガをお送りしてから、あっという間に、3月半ば、
お恥ずかしい限りです。

今年の1月から3月も、例年に負けず劣らずの忙しい毎日でした。
なんと、2月の上旬には、コミュニティ政策の研究会での英国調査を直前にキャ
ンセルしてまで、仕事の山と格闘しておりました。(裏切り者!!と陰で言われて
いるのではないか、心配です・・・トホホ)

今年の春は、何か、絶不調です。仕事の山が雪崩れ状態になって遭難しそうになっ
ているのに、花粉症が直撃です。ハアハア・・・。

いろいろとご迷惑をおかけしている皆様、お詫びを申し上げます。
(そんなこと書いていないで、早く報告書を上げるんだあ・・・!!という声が聞こえ
ます・・・。トホホ)

あー、それなのに、それなのに、嬉しいお知らせです。


昨年の9月から始めた、ブックカフェ「火星の庭」さんでの「ブックトーク」が
とうとうDVDで発売になりました。

 火星の庭 http://kaseinoniwa.com
      http://www.kaseinoniwa.com/cafe/bt.html

全国的に一部の人たちに有名な、仙台の「ブックカフェ 火星の庭」の前野健一、
久美子夫妻のお陰です。前野久美子さんは、もともと「カタツムリ社&ぐりん・
ぴいす」という私の経営していた出版社とエコロジーショップの社員でした。
「奇跡的に(本人曰く)」5年間も私のもとに勤めた後、健一さんと海外放浪な
どをして、帰国後開いた店が、「ブックカフェ 火星の庭」です。そのきっかけ
のひとつは、私が薦めた『街の古本屋入門』という文庫本でした。もともと本好
きの久美子さんは、たちまち店舗物件を探し歩き、現在の場所にお店を開いたの
です。

一方、私と言えば、この10年、日本社会に「NPO」という考え方と組織を認知
させ、定着させるために、ほぼ全精力を費やしていたため、出版社は休眠状態、
お店はつれあいに譲って、街中から撤退してしまいました。いつの間にか行方不
明になったと騒がれていたとかいないとか。そのため、「火星の庭」のような不
思議な空間が仙台の街の中に存在していることを大変嬉しく思っているのです。

話したいことを自由に話せて、聴いてくれる少数の人々がいる。嬉しい空間です。
もちろんDVDにて発売という計画でしたから、いい加減なことは話せません。
しかし、普段の講演では、その片鱗しかみせられない部分を自由に話せるのは、
私にとって大きな喜びです。

一方、若くて新しい読者というか、聴き手との出会いもまた、楽しいものです。
私のことなど全然知らない人たちが、私のおしゃべりを聴いて、何か、考える素
材にしてくれていること、嬉しいですね。

というわけで、今回は、DVD発売のお知らせでした。

「加藤哲夫のブックトーク〜てっちゃん、今何読んでるの?〜」

 DVD 収録時間120分
 トーク内容の補足資料など、書き下ろしによるブックレットつき
 定価2000円+税

 初回100部限定・4大付録
 ★カタツムリ社第1作『戦争と私』(1981)
 ★メモリアルキルト仙台展(1994年開催の当時のチラシ現物)
 ★「原発赤信号」3号分(1988年発行の現物)
 ★単行本未収録原稿
  「エイズが教えてくれたもの−患者・感染者サポート活動から−」

お申し込みは、火星の庭までお願いします。
      http://www.kaseinoniwa.com/cafe/bt.html

■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2008年1月1日 第12号の2■■■ [2007年12月29日(Sat)]
■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2008年1月1日 第12号の2■■■


■『HIV/AIDSをめぐる集合行為の社会学』

さて、2月には、センターに出入りしていた大学院生で、本郷正武さんが、ドク
ター論文をベースに、とうとう『HIV/AIDSをめぐる集合行為の社会学』という本
をミネルヴァ書房から上梓しました。A5判267ページ、ハードカバーという
立派な本ですが、中身も本当に素晴らしいのです。

この本は、私が1993年に設立し、既に14年の活動実績がある、東北HIVコ
ミュニケーションズというエイズ問題に取り組む市民活動団体に対する著者の参
与観察に基づいて執筆されています。参与観察とは、社会学の用語で、当該団体
や活動に調査者が参加しながら調査・分析を進める手法ですが、ちょうど10周
年を迎えようとしていた東北HIVコミュニケーションズに対するヒアリング調査
を、私が本郷さんに提案したことから始まったものです。電話相談員の養成講座
の受講から始まって、やがて事務局次長という立場での活動参加を通して、本郷
さんは、団体の内部にいては言語化しにくいさまざまな事象を、的確に言語化し、
論文に仕上げてくれました。

依頼をした私の問題意識は、小さなNPOの中で起きている人々の意識の転換や
教育のしくみ、参加者の市民としての成長プロセスなど、視覚化・言語化しにく
い活動の現場の豊かさを、学問的な立場で読み解き、見えるものにして欲しいと
いうものでした。本郷さんは、その期待に見事に応えてくれたのです。

この本には、私が活動の当初から大切にしてきた「当事者性の探求」や「共に生
きるコミュニティづくり」「ワークショップ型研修」などの本質が、克明に記述
され、解明されています。また、簡単には社会を変えることができない、ある意
味絶望的な状況の中で、絶望することなく良心的支持者を広げていく活動者の力
の源泉のありかについて、そして真の社会変革とは何かということについて、大
きな示唆を与えてくれるものとなっています。

市民活動や社会運動の深い意味や教育性についてきちんと考えたい人には、ぜひ
おススメの本です。ただし、発行部数が決定的に少ないので、入手困難、かつ価
格がとても高いです。(税込7350円)センターで10冊のみ限定販売しています
のでお問い合わせください。

私は今は、東北HIVコミュニケーションズの顧問という立場で、実際の活動には
一切タッチしていませんが、私と仲間たちが築いてきた世界が、このように記述
されたことに、心から感謝をしたいと思います。私が書きたくて書きたくて仕方
がなかったけれど、時間がなくて実力がなくて書けなかったことを、こんなにき
ちんとまとめてくれて、本郷さん、ありがとう!なのです。これで安心して死ね
るねえ。


■『地域コミュニティの支援戦略』

この4年来、地域コミュニティの諸問題についての研究会を、(財)東北開発研究
センターさんのお世話で、山田晴義さん(宮城大学副学長、当センター理事)や櫻
井常矢さん(高崎経済大学地域政策学部准教授)、鈴木孝男さん(宮城大学事業構
想学部助教)などと続けてきました。その成果は、昨年までに、(株)ぎょうせいか
ら、『コミュニティ再生と地方自治体再編』『コミュニティの自立と経営』の
2冊にまとめておりましたが、9月に『コミュニティの支援戦略』を上梓するこ
とができました。私は第1章 民間の支援システム構築へ向けて を書いていま
す。第2章が、行政によるコミュニティの自立支援、第3章が、英国におけるコ
ミュニティ支援システム、第4章が、中間支援システムの整備に向けた提言になっ
ています。

3冊共著を続けてきて、だいぶコミュニティ問題への視座というものを深く獲得
できたかなと思います。そのあたりが類書にはない特徴と思います。いよいよそ
れを実践で活かして行くことになりますが、もとより各先生たちは、私を含めて
実践者であり、自治体の現場でのコミュニティの再生に向けたお手伝いを既に続
けているところです。櫻井さんは、宮城県大崎市の政策専門員(地域自治組織・
市民協働アドバイザー)として活躍されています。

私は、10月から、宮城県多賀城市の地域経営アドバイザーに就任させていただ
き、市民活動と協働推進、コミュニティ組織の振興に関わっています。多賀城市
は、仙台市の隣の市で、人口6万人強、古代の多賀城址跡で有名な史跡のまちで
すが、他にはあまり特徴のないコンパクトな自治体です。アドバイザーをお引き
受けするきっかけは、市の職員の勉強会に招かれて話をしたことから。なんと職
員がチケットを販売して勉強会に私を呼んでくれたのです。税金を使って勉強す
るのが当たり前の行政職員ですが、その心意気に打たれました。その後、市民活
動推進の指針づくりのお手伝いをしたり、いろいろな関わりが増えた中でのご指
名でした。少しでもお役に立つように尽力いたしたいと思います。


■『協働の強化書』

2006年から2007年にかけて、行政職員10人と市民・NPO関係者19
人が一年間の研究会を開催、協働でヒアリング調査を行い、『協働の強化書』を
完成させました。第1章は、主に私が全体の調査で見えてきたものをベースに、
協働の概論と現在の課題を提示し、第2章は、18の事例の研究、第3章はアン
ケート調査の分析になっています。行政職員とNPO関係者が一緒に協働事例の
ヒアリングに行き、意見交換してつくったところが特徴で、決して一方的な主張
にはなっていないと思います。(1050円)

■『NPOと社会教育』

日本社会教育学会の年報、第51集『NPOと社会教育』に、「NPO支援セン
ターと社会教育行政。施設の関わり」という文章を書かせていただきました。市
民による自発的な問題解決行動としての市民活動とその組織であるNPO/NG
Oが社会教育という政策の中で、正当に評価されていない現状や課題を論じたも
のですが、何かの参考になれば幸いです。(東洋館出版社 3045円)

考えてみれば、この10年で、ほぼ、単著で5冊、共著で15冊以上の著書を上
梓しました。なかなかにたいしたものです。関連する書籍も加えれば、もっと多
いのですから、この忙しい中に、よく書いたものだと自分を誉めたい気分です。

そしてとうとう↓です。


■DVD『加藤哲夫のブックトーク〜てっちゃん、今何読んでるの?』

仙台には「火星の庭」http://kaseinoniwa.com/ というブックカフェがありま
す。もと私の店で働いていたKさんがつれあいさんと開いたカフェ+古本屋さん
です。とてもいい空気のお店ですが、そのご夫妻のご好意で、2ヶ月に一度、ブッ
クトークを開催しています。おまけに、そのトークを映像作家である夫君に録画
していただき、とうとうDVDにして発売しようという企みが浮上しました。も
うすぐ発売になるでしょう!うまく行けば、2ヶ月に一度の発行で、しばらく
は続けられると思います。もう3回分の収録が終わっているのですから。

こんなことをしようと思ったのは、年間135回もの講演をしていても、それは
協働やNPOというお題をいただいての講演であり、もっと多様なことについて
話したいことがいっぱいあっても、センターの代表としての立場からはほとんど
声にしていないことがたくさんあることに、そろそろ窮屈さを感じ始めたのだと
思います。

ちょうど京都で「豆料理クラブ」を主宰されている楽天堂という豆屋さんのお招
きで、10月にお話をする機会をいただいたことも影響しています。


それで、以前に『自然食通信』という雑誌の連載でやっていたように、書評とい
うか本の紹介をしながら、実は、自分が何を考え、どう行動しているのか、とい
うことを書いていくスタイル「ブックニュース」のライブトーク版を行うことに
いたしました。それを収録してDVDをつくろうとなったのです。創刊号は、な
んと2時間もの語りおろしのDVDに、特別付録が4種6点もつくという超豪華
版。プロの映像編集技術と私のトークが融合して、なかなかの出来栄えです。乞
うご期待!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ということで、今年もよろしくお願いいたします。

                           加藤哲夫


◇こんなインタビューも掲載されています。
 「宮城県の人々 vol.5 加藤哲夫さん」
 http://juku.fan-miyagi.jp/hitobito/index.php?file=vol5


 加藤公式ブログ https://blog.canpan.info/katatsumuri/
 センターブログ https://blog.canpan.info/minmin/
 若起塾ブログ: https://blog.canpan.info/wakakijyuku/
-----------------------------------------
特定非営利活動法人
      せんだい・みやぎNPOセンター
980-0804
宮城県仙台市青葉区大町2-6-27 岡元ビル4F
TEL  022-264-1281
FAX  022-264-1209
minmin@minmin.org
http://www.minmin.org/
-----------------------------------------

■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2008年1月1日 第12号■■■ [2007年12月29日(Sat)]
■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2008年1月1日 第12号■■■


あけましておめでとうございます。
(・・・といいながら、2007年の年末に書いています。)

毎年の初めには、昨年の反省と今年の抱負などを書いていたのですが、何も出来
ないうちに、たちまち年末がやってきてしまいます。ああ、恥ずかしい。


新古今和歌集に、藤原俊成が詠む。
「けふごとに 今日や限りと をしめども 又今年にあひにけるかな」

こんな気分ですね。


メルマガもブログもたいしたことはできませんでした。お恥ずかしい。
メルマガは、Canpanで数えてみたら、12号らしいです。

仕事はたくさんしたのですがねえ。
なかなか書く時間がなく発信できないのです。


それでも新しい年にあたって、多少は努力してみたいと思います。


配信ルートは、日本財団Canpanのメルマガ機能に登録いただいている皆様と、
私の参加しているMLの皆様と、
私と直接メールのやりとりのある皆様に、ときどきお送りいたします。


だから、後者の皆さんには、
継続してお送りすることができないと思いますので、
今後も読みたいと思っていただけたら、
Canpanのメルマガ講読機能を使って、申し込んでください。
 https://canpan.info/mmg_index.do

ここから画面の下の方の検索条件を使って、「加藤哲夫」または「蝸牛」を検索
していただくと私のブログ「蝸牛庵日乗」の登録画面が出てきます。バックナン
バーも読めます。


Canpanという日本財団が始めた公益コミュニティサイトのお手伝いをしています
が、これがなかなか注目です。月間ビジット100万件というアクセスを誇り、
公益情報の集積効果を見せてくれています。トラックバックやコメントという機
能も、集積効果と共に活用されると有効のようです。参考までに、クリスマスイ
ブにお邪魔した倉敷市でのフォーラムについての2つのブログをご紹介しましょ
う。私も登場します。

◇へんこつ侍さん
https://blog.canpan.info/henkotsu/archive/536
◇くらしきパートナーシップ推進ひろばさん
https://blog.canpan.info/hiroba/archive/27


また、私のセンターでやっているNPOの情報公開支援サイト「NPO情報ライ
ブラリー」の考え方を取り入れていただき、詳細な団体データベースを構築しよ
うとしています。今までのデータベースは、登録・更新するインセンティブが働
かず、情報が次第に死んでいくという難点がありましたが、「NPO情報ライブ
ラリー」http://www.minmin.org/Library/ は、助成金申請と結びつけて、この
問題をクリアしてきました。Canpanのデータベースは、その考え方を基にしてい
ます。そして簡単なブログの開設支援機能と共に、公益活動情報の集積をつくる
ことと、地域とテーマの公益ポータルサイトの開設を支援することで、地域での
NPOの情報公開と発信に大きなインフラとなるでしょう。

6月に仙台で開催したブログ講座でブログを開設した団体から、発達障害に関わ
る2つの団体のブログを紹介しておきます。発達障害は、ようやくその存在が認
知され、支援法が出来て、情報を求める市民がたくさんいる領域です。ブログへ
のアクセスも、新聞などで紹介記事が出るとたちまち跳ね上がるといいます。

私たちも、みんみんファンドなどの金銭的支援とブログ講座などの技術的支援、
それにさまざまな相談を通して、活動に寄り添い、少しでも力になればと願って
います。大きな飛躍を遂げつつある活動に注目ください。

◇発達支援ひろがりネット
 https://blog.canpan.info/haxtutatusien/
◇発達障害サポートネット
 https://blog.canpan.info/mddsnet/

◇みんみんファンドの秘密
 http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2006/00007/mokuji.htm
 http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2006/00008/mokuji.htm#

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■さて、例年のことですが、2007年の1年間、何回の講演やワークショップ
の講師をさせていただいたかというと、およそ135回でした。ほぼ、前年と同
様のペースです。

同時に、組織内部の会議に、ほぼ70回以上出席し、かつその他の打ち合わせを
無数にしております。

何年か前までは、予定表に×印をつけて、休みの日を死守するぞ、などというこ
ともしてみたのですが、頼まれると嫌とは言えない性格もあって、ほとんどすべ
ての日が仕事で埋まってしまうということになっています。CSRでよく言われ
るライフワークバランスなんか、考えられません。これもお恥ずかしい限りです。
ワークワークアンバランスですねえ。


■センターは10周年を迎えました。

2007年の仕事を振り返ると、一番大きな出来事は、センターがとうとう設立
10周年になったことでしょう。その記念事業を、11/1−3に行いました。

11/1は、日本の代表する詩人、谷川俊太郎さんと息子の賢作さんのジョイン
トコンサート。
11/2の記念式典の後の、記念講演は、18年前にカタツムリ社が出版した
『覚醒のネットワーク』の著者、上田紀行さん。
お二人とも、いのちの根源に届く言葉と思考を提示してくださり、今のNPO界
の、ある種の上滑り状態に対する「喝!」になったのではないか、と企画をした
私たちは思っています。

印象に残った言葉・・・
谷川さんの詩から
「誰も代わりに死んでくれないから 私は私の骨になる」
ちょっとドキッとしますね。

上田さんが書いた『生きる意味』(岩波新書)という本は、小泉改革、規制緩和
路線に狂奔する日本社会に対する「それでいいの?」という根源的な問いかけで
あったというのです。2005年に出たこの本は、今こそますます読まれるべき
ものを提示していると私には思えます。

さっき、「とうとう」と書きましたが、この10年、NPOという市民組織と市
民セクターのエンパワメントという日本社会の大きな課題に、全力で取り組んで
きました。そして10年、なかなかに感慨無量です。

そろそろ世代交代も必要でしょうし、もっと取り組まなければならない全国規模
の課題も浮上してきています。次の一手を考えたいですね。


NPOが認知された結果、一定の成果が上がったことは事実です。どの自治体で
も、市民活動支援や協働の推進が言われるようになり、市民の声が以前と比較し
たら届くしくみが増えています。

一方、新自由主義的改革の波は収まらず、社会の荒廃は広がっていると思うのは、
私ばかりではないでしょう。しかも、荒廃と敵意に囲まれた社会では、国民統合
のために国家やナショナリズムという大きな物語を必要します。愛国心は私の心
の中にもちゃんとあるつもりですが、お上から強制されるのはごめんです。


『障害者の経済学』(東洋経済新報社)というユニークな著書で知られる経済学
者の、中島隆信さんは、近著『子どもをナメるな−賢い消費者をつくる教育 』
(ちくま新書)の中で、その愚をこう書いています。(188p)

◇モラル教育が人間をキレさせる
・・・人間は多くの過ちを犯す。その過ちを否定し、完全な人間を目指そうとす
ると心がパンクする。完璧さを追求するあまり、自分や他人の過ちを許すことが
できず、自傷行為や暴力的な報復行為に出たりする。あるいはショックで心に深
い傷を負ってしまう。人間が不完全な存在だということが理解できていれば、私
たちの心は過ちに対してより柔軟な対応ができるようになるのではないか。
 道徳を教科化し、モラルを子どもに押しつけることは、知的のみならず道徳的
にも完全な人間を目指すよう指導するようなもので、子どもの心の鍛錬という点
からいえばまったくの逆効果である。世の中はますます窮屈になり、ルールを守
らなければならないと心が固くなり、同時に傷つきやすくなる。その一方で、ルー
ルに厳格な人はそうでない人を軽蔑し、馬鹿にするようになるだろう。


いかがでしょうか。現在の社会の荒廃や混乱の原因は、意外なところにあるので
はないでしょうか。中島さんの著書は、そのことを教えてくれるようです。

続く

■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 第11号 ■■■ [2007年10月19日(Fri)]
メルマガをそのままブログにも掲載させていただいています。

■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 復刊第4号 2007/10/19発行■■■


ご無沙汰いたしております。
加藤でございます。

読者数が増えていただいているのに、このメルマガは廃刊か?
さっぱり発行せず、大変申し訳ありません。
ブログも増えて、仕事も増えると、ますます書けない私がなさけないです。

書きたいことは山ほどなんです。

例えば、舛添厚労省大臣が、社会保険料を着服した自治体職員を
昔にさかのぼって刑事告発する、といきまいています。
宮城県の大崎市は、合併前の旧田尻町の職員が対象にされ、
告発せよ!と命令に等しい指示(恫喝に見えます)を受けたのですが、
伊藤大崎市長は、既に全額返納、懲戒免職、社会的制裁も受けて
更正している人を、もう一度、今度は刑事告発する必要はないと、
記者発表をしたところ、舛添大臣のパフォーマンスに煽られた市民から
抗議の電話やメールが殺到したそうです。
大臣は社会保険庁に指示して刑事告発に踏み切らせました。

今は、誰かが煽ると、自分ではちゃんと考えもしていない人たちが、
群集となって非常に攻撃的に振舞う事態が増えていますね。
とても嫌な感じがします。

私は伊藤市長と大崎市のとった方針は、極めてまともで立派なものだ
と思います。でも、このままですと、抗議の嵐に、大崎市の皆さんが
めげてしまうかも知れません。
あるいは、他の自治体が毅然とした態度を取れなくなる可能性もあります。

そして大臣の人目を引くパフォーマンスは、社会保険庁の長年の悪徳商法の
ような体質の改革へ人々の目を注目させることなく、やり玉にあげる
スケープゴート(犠牲の羊)をつくり、いつの間にか、一過性のスキャンダル
として忘れ去らせてしまうのです。人気取りのパフォーマンスの影には、
そういうメタ効果が隠されていることを読み取りたいものです。

そうならないために、私にできることは何か、考えました。
そうです。
大崎市に、励ましのメールや電話をすることでしょうね。
講演でも、そのように話しています。
さっそく行動です。

なんてことを考えながら、10周年の記念事業の準備をしています。

ご縁がありましたら、ご参加ください。

加藤哲夫


【BCC:クロスポストお許し下さい・転送歓迎】

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■■■せんだい・みやぎNPOセンターの設立10周年記念事業のお知らせ■■■

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おかげさまで、せんだい・みやぎNPOセンターは、この11月1日で満10年
になります。NPO法が衆議院を通過の直後の7月、緊急報告集会を同時に、セ
ンター設立呼びかけ集会にして3ヶ月、11月1日に設立総会を開催したのが、
つい昨日のように思われます。

この10年間にお世話になった方々と共に、豊かな感謝の時間を持ち、さらには、
この10年で私たちは何を成し遂げ、何を失敗してきたのか、その総括と今後の
展望を語り合うことをめざして、11月1日から3日に、記念事業を開催いたし
ます。盛りだくさんの内容ですが、この機会に、仙台の秋の味覚を楽しみながら、
NPOの未来に思いを寄せていただきたいと思います。

ご来訪、お待ちいたしております。

                   せんだい・みやぎNPOセンター
                     代表理事 大滝精一、加藤哲夫
                     他理事・監事・職員・会員一同


以下、各事業のご案内を申し上げます。

■【その1】「谷川俊太郎+谷川賢作の世界「朝のリレー」詩と音楽の贈りもの」

日時:11月1日19:00〜21:00
場所:イズミティ21 小ホール

当センターでは、11月1日〜3日の3日間にわたり、設立10周年記念事業を開催します。
その第1弾として1日の夜に開催されるのが、
「谷川俊太郎+谷川賢作の世界 「朝のリレー」詩と音楽の贈りもの」です。

谷川俊太郎さんは、皆さんご存知の日本で最も知られている詩人ですが、なんと
当センターの正会員です。縁あって会員になっていただきましたが、今回はまさ
に縁あってご子息の谷川賢作さんとの共演、朗読とピアノによるコンサートが実
現しました。ちょうど10周年を迎える、NPO法人ソキウス仙台さんと一緒に開
催します。会員の方はもちろん、一般市民の方にも楽しんでいただけます。また、
仙台在住の著名なフラワーアーティスト「森春雄さん」とのコラボレーションも
急遽実現することに。谷川俊太郎ファン必見のパフォーマンスが実現しそうです。
ぜひお越しください。

*詳しくは、当センターホームページをご覧の上、お申込みください。
 http://www.minmin.org/info/2007/10/03_2002.php


■【その2】10周年記念式典&記念講演・シンポジウム

日時:11月2日13:30〜18:30
場所:仙台市市民活動サポートセンター地下 市民活動シアター

10周年記念式典のあとは、文化人類学者で、東京工業大学大学院准教授 上田紀
行さんによる記念シンポジウムです。つい最近、ダライラマとの対談集がでたば
かりの上田さんですが、今回の記念講演タイトルは、「目覚めよ日本!がんばれ
NPO!」です。今年の日本の世相をふりかえると、なんとぴったりのテーマで
すね。NPOが、今の日本で、世界で果たせることって?ちょっと足を止めて、
この日ばかりは上田さんのお話に耳を傾けて、明日からのこと、来年のこと、未
来のことを考える時間にしてみてはいかがでしょうか?

また、記念講演のあとは、(1)仙台・宮城のNPOの方に、この10年と今後の展
望について語っていただきます。続いて、(2)11/1〜2と行われる支援センターワー
クショップのゲストからNPO支援10年の総括と展望についてパネルディスカッ
ションにて議論の成果をご報告いたします。長丁場のシンポジウムです。

*詳しくは、下記のアドレスをご覧ください。また、参加のお申込みは、当セン
 ターまでご連絡ください。
 http://www.minmin.org/info/2007/10/14_1716.php


■【その3】10周年記念パーティー
        「拓け!市民社会、やってやれないことはない」
         なんと驚きの「10周年記念グッズ付き」!!

日時:11月2日19:00〜21:00
場所:仙台市市民活動サポートセンター地下 市民活動シアター

記念講演「目覚めよ日本!がんばれNPO!」に引き続き、記念パーティ「拓け!
市民社会、やってやれないことはない」を開催します。

このパーティにご参加いただく方には、もれなく「10周年記念グッズ」を進呈
いたします。その中味は、なんと!
(1)報告書「せんだい・みやぎNPOセンターの仕事3」と「地域のNPO支援10年の
総括と展望」を贈呈
(2)オリジナル日本酒【純米大吟醸「協働」】と【有機米仕込み純米大吟醸「みん
みん」】の2本を贈呈。それぞれ題字は、「協働」を、市民協働の提唱者である
元仙台市長・藤井黎さん、「みんみん」を谷川俊太郎さんに揮毫いただきました。
おいしいお酒の味わいがグーンと深まるはずです。
*(1)(2)共に、新酒の出荷される来年2月を予定しております。

なお、パーティには出席できないが、せんだい・みやぎNPOセンターの10周
年を祝って、記念グッズが欲しいという方も、ご祝儀と思ってお申し込みくださ
い。パーティ不参加分のおまけをつけてお届けいたします。

パーティ参加・不参加いずれも、参加費は10,000円となります。

*詳しくは、下記のアドレスをご覧ください。また、参加のお申込みは、当セン
 ターまでメールでご連絡ください。
 http://www.minmin.org/info/2007/10/16_1214.php


■【その4】オプショナル訪問企画
日時:11月3日(土)
(1)バスで行く「みやぎの田んぼは、元気だっちゃ!」 9:10−15:30
(2)「秋の仙台まち歩き」 10:00−13:30

2つの企画は、地元の人も意外に知らない宮城県や、仙台のまちを楽しむ企画で
す。遠方からおこしの方におすすめの2コースです。

◆環境保全団体の案内でラムサール条約指定の地、蕪栗沼を訪問、さらにバスで
 行く先のゴールは、記念グッズの製造元でNPOとの連携を進める蔵元・一ノ
 蔵です。(参加費:4,880円)
◆仙台のまち歩きでも、広瀬川だけじゃない見どころがザクザクあります。
 (参加費:2,480円)

*お問合せは、せんだい・みやぎNPOセンターまで。
 http://www.minmin.org/


■【その5】ワークショップ「地域におけるNPO支援10年の総括と展望」
日時:11月1日(14:00〜17:30)〜2日(10:00〜12:00)
場所:仙台市市民活動サポートセンター セミナーホール

北海道、上越市、大阪市、神戸市、千葉市、北上市などの地域NPO支援センター
の理事長、事務局長やNPO研究者を発題者に、IIHOEの川北秀人さんと当セン
ター代表理事の加藤哲夫が、コーディネーターで、この10年の総括と今後の展望
について公開の議論を展開し、参加された皆さんも呼応して、議論を深める二日
間です。参加費無料。NPO支援に情熱を持つ、行政担当者や支援センター幹部、
研究者にも開かれた議論の場です。(参加費無料)

*こちらからお申し込みください。
 http://www.minmin.org/info/2007/10/14_1646.php


■11/3-4には、IIHOEと共催の支援力パワーアップセミナーも開催いたします。
 https://blog.canpan.info/iihoe/archive/49



□お問い合わせ、お申し込みは、
-----------------------------------------------------
 特定非営利活動法人
       せんだい・みやぎNPOセンター
 980-0804
 宮城県仙台市青葉区大町2-6-27 岡元ビル4F
 TEL  022-264-1281
 FAX  022-264-1209
 メールアドレス minmin@minmin.org
 ホームページ http://www.minmin.org/
 センターブログ https://blog.canpan.info/minmin/
-----------------------------------------------------

メルマガ第3号 [2007年04月13日(Fri)]
メルマガばかりでごめんなさい。
次から変わりますね。
たくさんの方に読んでもらっているようで、ちゃんと書き続けます。
加藤

■■■加藤哲夫の蝸牛庵日乗 2007年3月12日 復刊第3号■■■

私が毎年講師をしている一新塾 http://www.isshinjuku.com/ の受講生たちの
プロジェクト「道州制.com」が、とうとう単行本を出版することになりました。

『道州制で日はまた昇るか−地方分権から市民主権へ』 1680円(税込)
                  発行:現代人文社、発売:大学図書

道州制なんていったって興味がない人が大部分でしょうが、この本は、サラリー
マンなど素人の市民が、国の政策に声をあげていくプロセスから生まれたもので、
「政治」とは何か、国−県−市町村の財政関係、どうして国も地方自治体も借金
だらけなのか、誰に責任があるのかなどが実にわかりやすく書いてあります。市
民が社会を変えるための前提条件がよくわかります。

この本の著者たちは、会社員、主婦、公務員、起業家などさまざまな人たちです。
最初は5年前、道州制についてもっと何かしたいという数人の人たちでした。私
のアドバイスもあって、一人5000円ずつ出し合い6人で3万円をつくって、HPのド
メインを取得、活動を開始しました。冊子をつくって販売、講演やワークショッ
プ、シンポジウムなどを実施、HPでは他の道州制についての意見の比較ができる
唯一のサイトとして、グーグル検索No.1になり、今では国会の政党からも意見を
求められています。折に触れてアドバイスをしてきた私としては、とてもうれし
い出版でした。

内容のわかりやすさばかり誉めましたが、ひとつだけ物足りないところもありま
す。それは読んだ方のお楽しみです。本の内容についてはアドバイスしていませ
んので・・・。でも、いいですよ。


http://www.doshusei.com/

加藤哲夫

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『道州制で日はまた昇るか -地方分権から市民主権へ- 』

道州制 は数ある政治改革のひとつ。
でも実は、私たちにとって、最も重要な改革。
道州制 がうまくいけば、住みたい社会、
生きたい生き方、元気な日本が実現する。
でも道州制 がうまくいかなければ・・・・?

普通の市民である私たちから、
普通の市民であるあなたへ、これだけは伝えたい。

日本を10前後の「道州」に再編する制度が
国会や地方自治体で議論されているけれど、
私たちの生活をよくするという
視点に欠けていないか?
市民の視点から道州制 を提案!

現代人文社 価格: 1600円+税 -

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本の帯は・・・

目覚めよ、市民!
 日本再生の鍵はあなたが握っている。

推薦:大前研一
寄稿:増田寛也(岩手県知事)
   北川正恭(元三重県知事/早稲田大学大学院教授)
   松沢成文(神奈川県知事)
   加藤哲夫(せんだい・みやぎNPOセンター代表理事)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最後の私だけ、宮城県知事でないのは、別に理由はありません?!
私は他の方たちとは別の理由で、活動のアドバイスをしてきた縁での寄稿です。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こんな紹介文も書いています。


「上の方の話」
                         加藤哲夫
       特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター代表理事

現代社会は大変複雑である。そのために多くの人々は、政府が何を進めていよう
が、それが私たちの暮らしにどういう影響を与えるか考えることを諦めてしまい
やすい。「どうせ考えても、上のほうで勝手に決められてしまうんだろう。」と
思うのだ。道州制の議論も、そういう空中戦の一つだろう、どう考えても庶民の
手の届かないところの話に過ぎないと多くの人々が思っているはずである。

一新塾に集う若者(とは言えない人も含む)たちが、道州制に興味を抱き、市民・
生活者の立場から道州制に物申したいとプロジェクトを立ち上げたのは、なかな
かに勇気ある、ひょっとすると蛮勇とでも言うべき行為だった。間違えば空中戦
になってしまう危険が大きかった。しかし、その取り組みは、上の方の話では満
足できないぞ、という志が次第に醸成してくる、学びとコミュニケーションのプ
ロセスであったのではないか。

もう何年も前になるが、私が一新塾の講師として話をする機会をいただいた折、
ごく普通のサラリーマン(ウーマン)や官庁方面の仕事をしている人たちが多数、
決して安くはない身銭を切って、社会変革や社会的事業の起業を志して集まって
いるという事実にまず驚いた。しかも、皆さん、熱いのである。熱いことにおい
ては人後に落ちない私だが、その私が感心するのである。そこで道州制プロジェ
クトの面々とも知り合ったわけだ。

私がしたことは、活動初期の活動アイディアと優先順位づけに過ぎないが、彼ら
は見事にアドバイスを消化し、道州制.comというサイトを、「上の方の話」では
なく、市民・生活者の視点から道州制を考えるための総合的なサイトとして発展
させ、ブックレットやワークショップも開発して、ユニークな市民の政策提言集
団を作り出してしまった。これはなかなか稀有の例ではないかと私は高く評価し、
私自身も勉強させてもらっている。

さて私は、仙台という地方都市で、市民活動支援のNPOの経営をこの10年近く続
けてきた。日本社会にとってのこの10年は、まさに公共的に行動する市民の増加
とその社会的な認知のプロセスであったと言えよう。その中で私たちは、市民組
織のエンパワーメントに力をそそぎ、一定の成果を上げて来たとは自負している。
ただ、平成の大合併の後、各地の現状を見てみると、ますます過疎化や高齢化が
進み、格差社会が到来しているとしか思えない。中山間地域などは、一種の棄民
と言っても過言ではない現実が到来している。道州制の選択も含めて、コミュニ
ティの再生と自立が大きな課題となっている。そこでの市民組織の役割はますま
す増大していくだろう。「上の方の話」を現場に引きずりおろして参画していく
こと、そして「下の方の話」をもっとボトムアップで政策に反映していくこと、
この双方の任務が私たちを待っている。

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メルマガ 第2号の2 [2007年02月21日(Wed)]
メルマガ続きです。

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英国の農村地域の中間支援組織RCCの調査に、昨年二度ほど行ったのですが、
彼らも10年前までは、NPOに対する行政の委託金に人件費が、特に管理経費
が入っておらず、非常に苦労したが、現在ではしっかり認めさせているという話
を聞いてきました。時間がかかるのですね。しかし、正論を言っていかないと、
いつまで経っても、是正されないと思って、管理人件費の入った見積書をだして、
コンペに落ちています。


委託と請負ですが、私も含めてNPOの人でよくわかっている人は少ないでしょ
う。行政職員もわかってないんです、結構。

で、わかりやすい説明を見つけました。
医療は、一般的には委託契約だそうです。つまり、ガンの治療でも、風邪の治療
でも、治療という行為を行うという契約なので、病気が治るということ(成果)
を約束していないのですね。直らなくても訴えられないのです。
それに対して美容整形は、請負契約だそうです。つまり、鼻を高くする手術をす
るという契約は、手術をするという行為契約ではなく、鼻を高くするという成果
に対する責任のある請負契約だというのです。わかりやすいでしょう。


そうすると、茨城のケースに話は戻ります。委託契約が治療行為契約と同じ(行
政業務行為代行契約)なら、そして余ったら返すというのであれば、不足した場
合は請求してもいいか、ダメなら、成果と関係なく、資金が足りなくなった時点
で業務を中止してもいいと考えられませんか。そう言いたくなりますよね。実際
にはそういう契約にはなっていないのですが・・・。

そうではなく、成果を保障しろというなら、請負契約にしてもらわないと、代行
業務的履行にだけ神経を使い、事業の成果に集中することが難しくなります。
(もっと大きな資金があれば、両方可能ですが、かなりのものは実際の委託の金
額にそもそも無理があるのです。)

ところが、実際は、監査委員は、当然のように、委託事業は具体的な成果目標が
あるべきであると求めています。ここでいう成果が講座の実施や支援事業の実施
という行為目標(アウトプット)なら、かまいませんが、講座の結果リーダーを
10人つくるとか、ひきこもりの若者が5人自立を果たすというような本当の意
味の成果目標(アウトカム)なら、安い委託契約では難しいのではないですかね。
実際、成果目標という言葉が安易に使用されているような気がします。逆に請負
の場合、調査報告書の作成とか雑誌を年に6回発行するとか、橋を架けるとか、
明確なものに使用されるのですよね。


この頃は、NPOとの協働事業の評価などという話がたくさん叫ばれていますか
ら、そうであるなら(行為ではなく成果を要求するのであれば)、契約を変えな
いと、後で泣きを見るのはNPO側ということになりませんか。予算執行型に設
計された委託契約で、ろくに管理費も人件費もないのに、成果を要求されるほう
も結構大変ですね。
(もちろん私は、NPOの側が要求されなくても成果を自ら定義し、その達成の
ために尽力することを必要だと考え、自分の組織でも実行していることについて
良く理解しています。実際は、成果のために、コストをつい犠牲にして、余分に
手をかけてしまうNPOが多いんじゃないですか。)


なんでこんな極論を書くかと言うと、実際に、行政との委託契約は非常に片務的
なもので、協働などという美しい総論のところではなく、契約上の委託や指定管
理の会計処理みたいな細部にこそ、その相互関係が宿っているのですね。

どんな契約書をつくるのか、そして担当職員がその内容をどのように理解してい
るかによって、大きな影響を受けるということです。


そのあたりを、従来のやり方の踏襲ではなく(つまり行政の解釈や慣習を絶対の
ものとするのではなく)、かつ公正なやり方で乗り越えるために、衆知を集める
必要があるのではないか、と思うのです。

つまり、単なる外注先としてのNPOの事業報告や会計報告のあり方と、営利企
業の請負仕事のあり方の中間に、大部分のNPOが存在しているために、制度的
にも対応できていないことを、もっと明るみに出して、かつ皆で議論していった
らいいのではないでしょうか。


また、行政が国、県、市町村のそれぞれによって、またまたその中のタテ割りの
各省庁と各部署によって、契約の仕方や内容の理解がほとんど違うという事実も
あわせて問題にしておきたいものです。

「いったい、どないすればいいねん!!」と叫びたいところです。


その上で、指定管理者と行政の関係について、更に考えを深めることと、協働と
いう関係について、どのように制度の中で、位置づけるかという問題があるので
はないでしょうか。(現状ではほとんど位置づけられていませんね。)



なので、こんな回りくどい文章を書いてみました。
NPOの方、共感してもらえます?
専門家の方、書いていることがわかるでしょうか?
行政の方、どうでしょうね。
皆さんでぜひ考えてみてください。


また、茨城NPOセンター・コモンズさん、ぜひこの議論に加わってください。
実りあるものになるように。


この提案は、茨城のコモンズ・横田さんの了解を得て、投稿しております。

以上


加藤哲夫/せんだい・みやぎNPOセンター

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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