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モモイロドウクツガザミ("Z"保留) [2013年03月27日(Wed)]
Atoportunus.jpg
 

Atoportunus2.jpg 今回は、2013年に伊良部島・下地島で行われた海底洞窟調査で得られたモモイロドウクツガザミ Atoportunus gustavi Ng & Takeda, 2003 を紹介します。本種は、ガザミ(ワタリガニ)科ドウクツガザミ属に属する甲幅3cm程度のカニです。久米島や沖縄島の海底洞窟に生息するクメジマドウクツガザミAtoportunus dolichopus Takeda, 2003 に近縁な種です。
 本種は過去にNg & Takeda (2003)によって与那国島の海底洞窟から1個体が報告されていて、今回が国内2例目の発見となります。国外では、グアムとクリスマス島(オーストラリア領)から知られています。海外では、堆積した死サンゴ礫(ガレ場)の間隙からも採集されています。今回調査した伊良部島・下地島の海底洞窟には割と個体数がいるようですので、今後も、類似の環境を持つ海底洞窟で発見されることもあるかもしれません。
 さて、今回提唱された和名「モモイロドウクツガザミ」ですが、本種の体色の記録がいずれも赤みを帯びたピンク色、薄いオレンジ色、暗赤色などを呈していて、これが果物の桃の様々な品種(白桃や黄金桃など)を連想させることから名付けられました。決して今流行の某アイドルグループとは関係ないものと思われます。

<論文>
Ng, P. K. L. and M. Takeda, 2003. Atoportunus, a remarkable new genus of cryptic swimming crab (Crustacea; Decapoda; Brachyura: Portunidae), with descriptions of two new species from the Indo-West Pacific. Micronesica, 35/36: 417–430.
藤田喜久・成瀬貫・山田祐介, 2013. 宮古諸島下地島の海底洞窟で採集されたカニ類 2 稀種. Fauna Ryukyuana, 1: 1–9.
 *藤田ら(2013)の論文は、Fauna Ryukyuana からフリーでダウンロードできます。
オオアシハラガニモドキ [2013年01月13日(Sun)]




 今回紹介するのは、オオアシハラガニモドキ Neosarmatium fourmanoiri Serène, 1973 です。本種は、ベンケイガニ科アシハラガニモドキ属に属し、甲幅5cm近くになる比較的大型のカニです。アシハラガニモドキ属は国内から4種(本種の他に、アシハラガニモドキ、ヒメアシハラガニモドキ、ヒナアシハラガニモドキ)が知られていますが、本種は最も大きくなります。インドー西部太平洋域に分布し、国内では、沖縄島、宮古島、石垣島、西表島、与那国島から記録があります。マングローブ域の軟泥底に巣穴を掘って生息しています。夜には巣穴外で活発に活動しています。本種が最初に見つかったのは宮古島ですが、宮古島の島尻マングローブ域には本種がとてもたくさんいます(ただし、マングローブ林内の奥深くに多くいるので、普通には見れません。また、島尻マングローブ域は宮古島市の天然記念物なので、現状変更に相当する林内への無断立ち入りはできません。)。現地では、甲に泥を被っていることが多く、余計に大きく見えます。なお、本種は、沖縄県版レッドデータブックおよび日本ベントス学会編集の干潟の底生無脊椎動物に関するレッドデータブックにおいて、共に「絶滅危惧U類(VU)」に評価されています。

<文献>
長井隆・成瀬貫・前之園唯史・藤田喜久・駒井智幸, 2011. 琉球列島におけるアシハラガニモドキ属とその近似属 (甲殻亜門:十脚目:短尾下目) の種の再検討と分布状況. 沖縄生物学会誌, 49: 15-36.
キノボリエビ [2013年01月11日(Fri)]
130111_kinobori1.jpg



130111_kinobori2.jpg 今回はキノボリエビ Merguia oligodon (De Man, 1888) を紹介します。本種は、モエビ科に属する体長2cm程度の小型種です。本種は、主に河口域の転石下やマングローブ林内のヒルギ類の根の間などに生息し、半陸性の生活様式を示す極めて特異なコエビ類です。ケニア、タイ、インドネシア、日本に分布しており、国内では沖縄島、宮古島、石垣島、西表島から記録があります。本種は夜行性で、夜間に活発に活動します。また、雄性先熟の性転換することが知られていて、甲長4.4 mm未満の個体はすべて雄とされています。なお、本種の和名は2002年に提唱されたキノボリエビが定着していますが(本稿もそれに従いました)、別の報告では「ミーピカラーモエビ」も提唱(?)されています。「ミーピカラー」は、沖縄方言で「目の光る者」的な意味ですが、夜間の調査で懐中電灯の光が本種にあたると目が光って見えるので、妙に納得です。語呂や語感はキノボリエビが素晴らしいですが、沖縄在住者としてはミーピカラーも味わい深いです。
 本種は、沖縄県版レッドデータブックおよび日本ベントス学会編集の干潟の底生無脊椎動物に関するレッドデータブックにおいて、共に「絶滅危惧U類(VU)」に評価されています。

<文献>
諸喜田茂充, 1980. 大浦川・億首川マングローブ湿地付近の動物. “沖縄県自然環境保全地域指定候補地学術調査報告書”, 沖縄自然研究会, 101–120.
Komai, T., 2002. New record of a semi-terrestrial hippolytid shrimp, Merguia oligodon (De Man) (Crustacea: Decapoda: Caridea) from Japan and Thailand. Natural History Research 7: 75-82.
藤田喜久, 2005. キノボリエビ. “改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 (動物編)レッドデータおきなわ”, 沖縄県編, 沖縄, 200-201.
藤田喜久, 2009. 宮古島から得られたキノボリエビ. 沖縄生物学会誌, 47: 29-31.
イエジマガマガザミ [2013年01月10日(Thu)]
130110_iejima1.jpg



130110_iejima2.jpg 今回は、私の大好きな海底洞窟ものの極上の一品、イエジマガマガザミ Catoptrus iejima Fujita & Naruse, 2011を紹介します。本種は、ガザミ(ワタリガニ)科ハイガザミ属に属する甲幅3.5cm程度のカニです。伊江島の海底洞窟から採集された1個体を基に新種記載されました。和名の「ガマ」とは沖縄方言で「穴(洞窟)」のことです。目が小さいことや、歩脚が細長いのも大きな特徴です。一見するとクメジマドウクツガザミAtoportunus dolichopus Takeda, 2003のようにも思えますが、はさみ脚や第4歩脚(遊泳脚)を見ればその違いは明らかです。現在のところ、伊江島のみで見つかっています。実は僕は生きた状態を見た事がないので、いつか見てみたいと思います。いやぁ、”穴”って本当にいいもんですね〜(水野晴郎風、そして意味深)。

<文献>
Fujita, Y., & Naruse, T., 2011. Catoptrus iejima, a new species of cavernicolous swimming crab (Crustacea: Brachyura: Portunidae) from a submarine cave at Ie Island, Ryukyu Islands, Japan. Zootaxa, 2918: 29-38.
アシナガベンケイガニ [2013年01月09日(Wed)]



 今回は、アシナガベンケイガニSesarmoides kraussi (De Man, 1887)を紹介します。本種は、ベンケイガニ科Sesarmoides属に属する甲幅2cm前後のカニです。本種は、マングローブ域に生息していますが、ヒルギ類などが生育する軟泥の場所よりは、むしろその後背林(陸よりの場所)周辺の転石帯や石灰岩岩礁などに多く見られます。その名の通り歩脚がとても長く、甲羅の幅の2.5〜3倍ほどの長さになります。大型の個体では体の色がくすんだ褐色ですが、小型個体では赤みが強くとても美しいです。国内では、沖縄島、石垣島、西表島で記録があります。ごく最近、宮古島と伊良部島で本種が発見され、もうすぐ報告論文が出版されます。本種は、沖縄県版レッドデータブックおよび日本ベントス学会編集の干潟の底生無脊椎動物に関するレッドデータブックにおいて,共に「準絶滅危惧(NT)」に評価されています。

<参考文献>
Davie, P.J.F. & Ng, P.K.L., 2007. A new genus for cave-dwelling crabs previously assigned to Sesarmoides (Crustacea: Decapoda: Brachyura: Sesarmidae). The Raffles Bulletin of Zoology, Supplement, 16: 227–231.
Komai, T., Nagai, T., Yogi, A., Naruse, T., Fujita, Y., & Shokita, S., 2004. New records of four grapsoid crabs (Crustacea: Decapoda: Brachyura) from Japan, with notes on four rare species. Natural History Research, 8: 33–63.
成瀬貫, 2005. アシナガベンケイガニ. pp.222–223. 沖縄県文化環境部自然保護課 (編), 「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 (動物編) レッドデータおきなわ」. 沖縄県文化環境部自然保護課, 那覇市, 561pp.
成瀬貫, 2012. アシナガベンケイガニ. p.199. 日本ベントス学会 (編), 「干潟の絶滅危惧動物図鑑 海岸ベントスのレッドデータブック」. 東海大学出版会, 秦野市, 285pp.
藤田喜久(印刷中). 宮古初記録のアシナガベンケイガニ. 宮古島市総合博物館紀要.
キヌゲカムリ [2012年12月21日(Fri)]

 今回は,キヌゲカムリ Lewindromia unidentata (Rüppell, 1830)を紹介します。本種は、甲幅2cm前後のカイカムリの仲間で、その名の通り長い絹糸状の毛で全身が覆われています。体色は茶褐色や黄色など変異があるようです。インドー太平洋域に広く分布しています。日本では本州以南で記録されているようです。カイカムリ類は最近ダイバーに人気だと思いますが、写真だけだと種同定はなかなか難しいですね。ちなみにこの標本はホヤの一種を背負っていました。

<文献>
Komatsu, H., & Takeda, M., 2009. Rare crabs (Crustacea, Decapoda, Brachyura) from Okinawa Island, with description of a new species of the family Leucosiidae. Bulletin of the National Museum of Nature and Science, Series A (Zoology), 35: 125-136.
オオウラコユビピンノ [2012年12月20日(Thu)]
 
 今回はオオウラコユビピンノUruma ourana Naruse, Fujita & Ng, 2009 を紹介します。本種は、名護市大浦湾から得られた雄1個体を基に”新属新種”として記載されました。カクレガニ上科(Pinnotheroidea) Aphanodactylidae科 Uruma属に属しています。おそらくゴカイ類のものと思われる棲管から採集されましたが、追加標本は未だ採集されてなく、詳しい生態などは一切不明です。恐らく大浦湾以外にも生息しているものと思われますが、ともかく追加の情報が切望されているカニですね。

<文献>
Naruse, T., Fujita, Y., & Ng, P.K.L., 2009. A new genus and new species of symbiotic crab (Crustacea: Brachyura: Pinnotheroidea) from Okinawa, Japan. Zootaxa, 2053: 59-68.
成瀬貫, 2010. 琉球大学資料館 (風樹館) 収蔵資料目録 第3号 琉球大学資料館 (風樹館) 甲殻類標本目録. 琉球大学資料館 (風樹館), 西原, 72pp.
アデコシオリエビ [2012年12月11日(Tue)]
gpilosa_cp0822.jpg 今回は、アデコシオリエビ Galathea pilosa de Man, 1888 を紹介します。 本種は、コシオリエビ科コシオリエビ属に属しています。甲長は1〜1.5cm程度です。体色には変異があって、全体的にピンク色の個体から、青みがかった(むしろ紫っぽい)個体もいます(ただし、斑紋パタンはあまり変わらず、地色が変わる)。枝状サンゴや死サンゴの隙間、岩の裂け目などにいて、ナイトダイビングで良く見かけます。個体数は決して少なくありませんし、とても美しい種なのですが、なかなか観察しずらい場所にいるのでちょっと残念ですね。可愛いくせにシャイな子です(そこが萌える?)。僕も標本を得るまでに多くの潜水数を費やしました。

<参考文献>Baba, K., Macpherson, E., Poore, G.C.B., Ahyong, S.T., Bermudez, A., Cabezas, P., Lin, C.-W., Nizinski, M., Rodrigues, C., & Schnabel, K.E., 2008. Catalogue of squat lobsters of the world (Crustacea: Decapoda: Anomura−families Chirostylidae, Galatheidae and Kiwaidae). Zootaxa, 1905: 1-220.
アサヒガニモドキ [2012年09月21日(Fri)]
120909_Notopus dorsipes.jpg 今回は、最近標本整理をしていて出て来た掘り出しものを紹介します。このなかなか格好いい(個人的見解)カニは、アサヒガニモドキNotopus dorsipes (Linnaeus, 1758) だと思われます。本種は、アサヒガニ科ビワガニ亜科アサヒガニモドキ属に属していて、1属1種の素敵な種です。
 手許に金武湾の標本があって、さらに7月の大浦湾のナイトダイビングでも採集されました。本種は、インド-太平洋域に広く分布しています。文献を見ると、本州・九州・種子島・台湾あたりからも記録されているものの、どうやら琉球列島の沖縄県側からの正式記録は無いみたいです。というわけで、現在、報告論文を準備しています。

<文献>
Low, M. E. Y. & S. K. Tan, 2012. Notopus dorsipes (Linnaeus) in Singapore: First record of the brachyuran superfamily Raninoidea (Crustacea: Decapoda) on the Sunda Shelf. Nature in Singapore, 5: 19–25.
ムネキュンガニ もとい メガネオウギガニ [2012年09月19日(Wed)]
EPC0183-1.jpg 最近、真面目かつロマンチストなネタばかり提供してきたので、エビ・カニネタもそこそこ提供しなければということで、大昔のHPから引っぱり出して来たネタを紹介します。今回紹介するのは、メガネオウギガニ Dacryopilumnus rathbunae Balss, 1932 です。
 メガネオウギガニは、メガネオウギガニ科のメガネオウギガニ属に属しています。甲の幅は1cm程度で、表面は短毛と顆粒に覆われます。目は左右でとても離れています。本種は、主に岩礁の潮間帯に生息しています。かなり個体数はいるのですが、ごく浅い所にいるのでダイビングではなかなか見られません。やや波当りが強く、陸域に近い場所で良く見られるような気がします。


EPC0183_2.jpg 本種が良く見られる所としては、沖縄島の真栄田岬が有名です。エントリー&エキジットするところから(海に向かって)左側の岸沿いにかけてとても多く見られます。岩礁に開いた直径1〜2cm程度の穴に潜んでいます。巣穴からこちらを覗くその愛くるしい姿には、胸がキュンとなってしまいます。なんと言っても正面顔が最高なので、今回は標本写真は無しです。学生の頃、毎夜のように真栄田岬でナイトダイビングを2〜3本していたのですが、夜中帰る時に意味も無く眺めて癒されていたのが思い出されます。今は別の原因で癒されたくなって、再度登場してもらいました(笑)。このカニの生息場所は、いつも素通りするだけの場所ですが、ちょっと目を凝らせば、こんなにも可愛いカニが生きています。エキジット時に見ると、あのキツイ階段を登る力も湧いてくるというものです。
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