2013年6月8日〜9日の日程で、多良間村の水納島に行っていました。今回も
前回同様、水納島の海岸の話題を紹介します。
今回の調査では、1周約7kmの島の周りをほぼすべて踏査したのですが、その際にはカニ類だけでなく、色々なものを見る事ができました。その一つがウミガメ類の上陸跡です。今回歩いた限りでは5つほどの上陸跡を見る事ができましたが、そのうちの2つくらいはかなり新鮮(最近上陸したものと思われる)な状態でした。ほとんどの上陸跡は島の南西部に集中していました(その辺りには沖合にクチもあるので、ウミガメも入り易いと思います)。丁度新月の大潮ということもあったので上陸するカメがいるかも知れないと思い、夜に行ってみたのですが空振りに終わりました。先月だったら見れた可能性も高いのかも知れませんね。そうそう上手くは行きませんね。
この写真は島の北側の海岸です。なぜか海岸林が大規模に枯れている場所がありました。近年の台風の影響じゃないかという話でしたが、島の人には聞けずじまいでしたので、詳しいことは分かりません。
白砂の地面には無数の枯れ木が不気味に立っていました。砂地には恐らく風で境界がぼやけてしまった何かの足跡が無数にあり、それが一層寂しさを増長させるようでした。そして、強すぎて逆に眼から色彩を奪ってしまう日差し。何か別の惑星にでも来てしまったような感覚さえ覚えました。これは映画にも使えそうな光景だなと思いながら歩いていました。
右上の場所の砂上には、陸産巻貝類の死貝が大量に砂の上に転がっていました。これまた物寂しさを増幅させる要素となりえるところなのですが、そこはホラ、一応生物学者なもんで、貝殻を手にとって色々観察していました。少なくとも2種は混じっているようでした(一応、採集したので後ほど貝類の専門家に名前を教えてもらおうと思います)。そういえば、同じ様な光景は
小笠原の南島(のヒロベソカタマイマイ)で見た事がありますねぇ。小笠原のヒロベソカタマイマイは絶滅種ということでしたが、水納島のはどうなんだろうか?そして、なぜこれほどまでに多数の巻貝が死んでしまったのか?不思議は尽きないですね。.....とか思いつつ、顔をあげたら、さほど遠くは無い距離にいた牛さんと眼が合いました。結構ビビった。
水納島のビーチを歩いていると、気になったのがゴミの多さでした。僕は以前、
沖縄県の海岸漂着物対策推進協議会の委員だったのですが、その際の資料で、水納島のゴミ量が他所に比べて多い事が気になっていました。そのこともあって海岸ゴミにも注目して歩いていたのですが、やはり多かったです。特に島の北岸は右写真のような風景が延々と続いていました。やはり多いのは漁具関係で、その他定番のペットボトルやビンなどがありました。まぁこの島では定期的にビーチクリーン活動を行うことは困難ですので、致し方ないとは思うのですが。漂着ゴミが周辺の生物に与える影響については、まだまだ分からない事が多いので、なんとなく気になっています。
漂着ゴミを眺めながら歩いていると、こんな素敵な漂着物とも出会いました。ガラスの浮き玉ですね。これもゴミといえばそうなのですが、やはり見つけると嬉しいですね。しかも特大サイズで、「へこみ玉(ヘソのところが飛び出していないやつ)」でした。見つけたのが島の北西側だったので、結構な重さのあるコイツを持ちながら残り半分を歩く事を考えると正直大分悩んだのですが、ヒモもついたままだったし、水納島の上陸記念にと持ち帰る事にしました。その後、1周する間に小サイズの浮き玉も5つ拾いました(うち一つは珍しい円筒形のもの)。夏場でこれほど拾えるのはなんか凄いですね。冬場だともっと沢山漂着していそうです。
余談ですが、この浮き玉、手荷物で飛行機に持ち込んだのですが、座席の下に収まらないので離着陸時は抱いておく様に言われました。でも、多くの方に「いいの拾ったね〜」とも言われましたよ。空港の手荷物検査場でのシュールな光景もなかなか素敵だったです(透明なガラス玉をX線に通すという.....)。