2014年10月15日〜18日の日程で石垣島に行っていました。石垣市立川平小中学校にて、「この先、海です。プロジェクト」を実施するためです。今回の「この先、海です。」は、川平小中学校の全児童・生徒に実施することになりました。今回は、その内容の紹介をしたいと思います。
今回の実施は、
2009年に石垣島で実施した「この先、海です。」をたまたま見た川平小中学校の保護者(大学の先輩)から、ぜひ川平でもということで計画を進めていました。
小中学生すべてとなると、学年によって学習理解度は大きく異なるので、初日(10月16日)は、小学1・2年生、3・4年生、5・6年生、中学生と分けて、それぞれ異なる座学を行いました。写真は3・4年生に実施した
サンゴのテリトリーウォーズの様子です。このプログラムは、サンゴの陣取り合戦(サンゴの成長と他種との生息空間を巡る競争)のゲームを通して、サンゴの成長に必要なことやサンゴの成長を妨げる要因について学ぶものです。このプログラムを実施した後に、沖縄での海岸環境の問題を紹介し、その中から特に海岸ゴミの問題を取り上げて、それらが生物に与える影響についての講義を行いました。その他学年での講義では、当然内容は大きく変えており、例えば中学生には、僕が川平湾で調査研究してきた結果を話す事で川平湾の特殊性についても話をしています。
翌日(10月17日)は、小学生(1年生、2年生、3・4年生、5・6年生、中学生に分かれてペイント作業をしました。ペイント数や実施箇所は、市や県に許可申請する際に決めていたのと、景観を乱さない程度の数に押さえるという理由もあって、全校生徒がペイントできる数を確保できる訳ではありません。なので、小グループごとに作業を分担して実施してもらうことになります。それでも作業がない時間帯が産まれた場合には、「今回勉強したことを周りの大人達(地域の人や観光客)に説明するように」という課題を子ども達に出していました。
右の写真は、子ども達が地域の商店で買い物を終えた方にプロジェクトの説明をしているところです。とても勇気がいる行動だとは思いますが、このような経験は大事なことだと思っています。最初は不安そうだった子ども達も、最後の方には多くの人たちにプロジェクトの紹介をしていました。
左の写真は、ペイント作業と同時に行った、路面用ステッカーの貼付け作業の様子です。この路面用ステッカーは、印刷するものなので、細かな言葉も盛り込めるし、ペイントに比べて耐久性もとてもあります。それなりにコストがかかるため、あまり多くの枚数は用意できませんでしたが、今回は、中学生にこの作業を実施してもらいました。貼る場所については、大まかなエリアを指定して、その中で「どこが人が多くて、問題がある場所か」を生徒自身に考えてもらってから実施しました。
今回の川平の「この先、海です。プロジェクト」は、僕たちが考案したプロジェクト内容のほぼ全体を実施できたことになります。欲を言えば、事前学習にさらに時間をかける事ができれば、より効果的な学習に繋がることになりますし、事後にさらに「何かできること」を考えば(例えばポスターを作るとか)、さらに素晴らしい取り組みになると思います。けれども、色々なことを学ばねばならない学校教育の中で、今回の問題(海ゴミ問題を中心とした環境問題)を学ぶための時間をこれ以上費やすことは難しいと思っています(僕も子どもがいる身としては、特定のことに時間をかけすぎるのも問題かなと思うようにもなっています)。そうした忙しい中で、今回、実施を認めてくださった川平小中学校の先生方、僕と学校との間をとりもっていただいた大学の先輩(川平小中学校の保護者)の方には、とても感謝しています。プロジェクト実施終了後には、先生方とのぶがりのーしも行っていただきましたが、とても熱い議論を交わす事が出来、とても勉強になりました。久々に充足感のある活動ができたように思えます。
一方で、今までの活動を通じて、気になっていることもあります。今回の授業には、石垣で環境教育をされている方も見学に来られていましたが、おそらく将来的にご自身でも実施しようとされているのかもしれません。しかし、ペイント作業などの上辺の部分だけを見て、「やれる」と思われたら大きな間違いで、それに繋ぐ部分に力を注ぐことこそが最重要だと考えています。僕は今まで、環境教育に関わることも度々あり、いくつかのプログラムや教材などを作成することもありましたが、「良い部分」だけを使って、全体の構成やそれを作成するにあたった理念の部分を理解されていないと感じることが沖縄では多い様な気がします。今回も石垣滞在期間を利用して現地の環境教育の方々に講習会でもしようと提案したのですが、そういうのにはどうも関心がないようでした。
個人的には、「この先、海です。ゴミを捨てないで」の言葉や活動が色々な場所で拡がることを期待しています。しかし、誤った実施方法が拡がってしまうと、その責任はプログラムを考案した我々に降り掛かってくることも考えられます。
今回の路上でのペイント作業は、道路管理者の許可が必要で、石垣市と沖縄県に届け出て実施しました。この部分もきちんと理解していただきたいです。現在、沖縄の某地域では、僕が参加しない形(僕とは他団体が実施する)「この先、海です。プロジェクト」の実施の計画が挙がっています。そういう動きは大歓迎していますので、アドバイスや資料の提供を行うこともできます。ぜひ「良い形」での「この先、海です。プロジェクト」が拡がっていくことを期待したいと思います。