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ヒトスジコブヒトデ [2014年08月08日(Fri)]
140808_hitosujikbuhitide1.jpg 今回は、近年日本から記録されたばかりのヒトスジコブヒトデPoraster superbus (Möbius, 1859)を紹介します。ヒトスジコブヒトデはコブヒトデ科に属する大型のヒトデ類の一種で、輻長(中心から腕の先までの長さ)が20cmを超える大型種です。インドー西太平洋の熱帯域に広く分布する種ですが、つい最近まで日本からの記録はありませんでした。
 僕と本種との出会いは、2011年に遡ります。この年、知り合いのスーパーダイバーさんから本種の写真を見せて頂きました。あまりに特徴的な種なので直ぐに写真同定できましたが、残念ながらその時は肝心の標本を採集することができませんでした。


140808_hitosujikbuhitide2.jpg その後、ずっと気にしていて、時折発見された海域でもダイビングをしていたのですが、見つけることができないでいました。そして、2013年にKogure & Igei (2013)によって沖縄島から記録されました。で、1年遅れた今年2014年7月28日、別の知り合いのスーパーダイバーさんによって、ついにこのヒトデを手にする機会を得ました。ずっと待ちこがれていた種なので、とても嬉しいです。夕方、保育園から迎えた子どもを抱えて回収に行ったのは良い思い出です。こういうデカブツなのに希少系は、ちっちゃくて新種とかよりも嬉しかったりするものです。今回の標本は、日本からの2例目の記録になります。Kogure & Igei (2013)では標本の収蔵についての記述が見当たりませんが、今回の標本は、琉球大学の風樹館に登録・保管されることになります。本種が含まれるPoraster属はまだ和名が無い様なので、今回の標本を基につけておきましょうかね。

<論文>
Kogure, Y., & Igei, H., 2013. First record of the large tropical oreasterid sea star Poraster superbus (Echinodermata, Asteroidea) from Japanese waters. Biogeography, 15: 33-36.
ニチリンウミシダ [2012年07月18日(Wed)]
120718_kumi_1.jpg ついに、「沖縄のウミシダ類」スタートしました(笑)。最初に紹介するウミシダ類は、最近記載されたばかりのニチリンウミシダ Comanthus kumi Fujita & Obuchi, 2012 です。本種は、クシウミシダ科コアシウミシダ属に属する大型種です。腕の長さは30cmを超える大型種ですが、夜行性かつ、岩のくぼみなどに常に体の大部分を隠しているという生態を持つため、紹介されることはほとんどありませんでした。ただし、個体数はとても多く、夜になると群生している状態を見る事ができます。また、岩のくぼみなどから出ている側の腕はとても長いのですが、逆側の腕は半分以下程度の長さしかありません。
 
120718_kumi_2.jpg 10年以上前に未記載種であることは分かっていたのですが、サボリにサボっていました(苦笑)。KUMEJIMA2009 の調査成果の関係で必要に迫られたこともあり、やっと新種として記載することができました。学名は、タイプ標本を採集した久米島(球美 = kumi)にちなんでいます。和名(ニチリン=日輪)の方は、本種の背側(裏側、下側)にある特徴的なオレンジ色の輪っか模様にちなんでいます。まぁ夜行性なんですが(笑)。ちなみに、このオレンジ色の部分は自切するための「不動関節」がある部分ですので、過度な刺激を与えるとこの部分から切れてしまいます。


120718_kumi_3.jpg<参考文献>
Fujita, Y., & Obuchi, M.,2012. Comanthus kumi, a new shallow-water comatulid (Echinodermata: Crinoidea: Comatulida: Comasteridae) from the Ryukyu Islands, Japan.pp. 261-268. In: Naruse, T., Chan, T.-Y., Tan, H.H., Ahyong, S.T. & Reimer, J.D. (2012) Scientific Results of the Marine Biodiversity Expedition − KUMEJIMA 2009. Zootaxa, 3367, 1–280.
沖縄の棘皮動物 [2009年10月25日(Sun)]



 沖縄には実に多種多様な生物が暮らしています。僕の主な研究対象は十脚甲殻類(エビ・カニ・ヤドカリ類)全般なのですが、もともとは棘皮動物のウミシダ類に共生する十脚甲殻類の共生生態についての研究をしていました。その過程で、ウミシダ類分類も研究するようになり、他の棘皮動物(ウニ類、ヒトデ類、ナマコ類、クモヒトデ類)にも興味を持つ様になりました。国内には棘皮動物を取り扱った図鑑はいくつかありますが、沖縄に限定したものは皆無といっても差し支えないような状況です。「沖縄の棘皮動物」では、沖縄の浅海(水深50mくらいまで)に生息する棘皮動物を少しずつ紹介していきます。
 ここでは、専門的表現を極力避けるよう努力していますので、説明が不足する場合があるかも知れません。より専門的な情報を知りたい方は,著者の藤田(galatheids◎yahoo.co.jp ←◎を@に換えて下さい)までご連絡ください。

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