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サンゴ礁学会第12回大会に参加して [2009年12月01日(Tue)]
 2009年11月27日〜29日は、本部町で開催された日本サンゴ礁学会第12回大会に参加しました。 僕の関連の発表は全部で5題ありました。初日には、結構話題になってしまった大浦湾の甲殻類の発表を行いました。講演会場にもマスコミが来ていて、僕の前後の講演者や、学会の実行委員会の方々には色々ご迷惑をおかけしてしまったかもしれません。 僕の発表の直ぐ後に発表をした後輩は「テレビカメラがあって緊張した」と言っていました。ゴメンなさい。まぁとりあえず無事に終わってホッとしました。



 ポスター発表の様子です。「この先、海です。プロジェクト」についての発表も行いました。沖縄のサンゴ礁保全に関して、陸域からの負荷(汚染物質の流出など)への対策の必要性が議論されていますが、一般に分かり易い形での普及啓発の努力はあまりなされていないように思えます。それで、海研で進めている「この先、海です。プロジェクト」を用いれば、普及啓発活動の一端を担えるのではと思い立ちました。研究発表がメインの場なので、この手の活動に興味を持ってくれる方々はそれほどいるわけではありませんが、熱心に聞いてくださる方もおられました。沖縄の離島地域での実施ついて、かなり具体的な議論ができました。




 中日の11月28日には懇親会がありました。沖縄芸能などもあり、楽しめました。サンゴ礁学会はほんとに色々な人が参加しているので、懇親会はとても楽しいです。
 今回参加した感想としては、口頭発表やポスター発表など、個々の発表はとても面白かったのですが、初日と中日に時間を割いて(午後のほぼすべての時間)やっていた公開ワークショップやシンポジウムにちょっと違和感を覚えました。いずれもプロジェクト研究の成果発表会のようなもので、学会中にこれだけの時間を割いてやる必要があるのだろうかと正直思いました。もっと整理して口頭発表に組み込んだり、ポスターの時間を増やしたり、自由集会の時間を重ならないようにするなどしても良かったのではないでしょうか。個人的には故 山里 清先生の追悼国際シンポジウム『サンゴの生物学研究の現状』だけあればよかったように思えます。僕は所用で参加できなかったのですが、すごく聞きたくてとても残念でした。




 今回の学会では、自由集会がいくつか企画されていました。どれも大変魅力的で、どこに参加しようかかなり迷いました。結局、その後の飲み会を考慮して、知り合いが多くいるであろう「伝わってる? サンゴ礁のこと。-サンゴ礁インタープリテーション入門-」に参加しました。海辺フォーラムなどで度々お会いしている古瀬さんの講演を初めて聞けたので楽しかったです。
 そのあとの議論も古瀬さんの受け答えを中心として、参考になることがあり、概ね楽しめました。ただひとつ気になったのは、全体的にどうも「伝える」ということを難しく考えすぎているのではないかという点でした。この集会では、研究者を主対象にして、もっと一般の人々にサンゴ礁研究の成果やこれまでに蓄積された知見を伝える努力をしようと促すものだったと思います。もちろん、伝えるための技術もそれなりに必要となってくる場面もあるかもしれません。でも、現状では、技術うんぬんよりも、まず「やるか、やらないか」が重要になってくるような状態にあるのではないでしょうか。私たちが伝えるべき内容は今現在でも多岐に及びます。そして、伝える対象も極めて多様です。「人が足りない」と僕はいつも思っています。
 今回の議論の中でも「子どもを相手にする時はXXでなくてはならない。XXしないといけない(伝わらない)。」のような「インタープリターはこうあるべき」論を振りかざしておられる方がいて、かなり辟易しました。そもそも伝わっているかどうかを計る尺度など存在しないと思うのですが、なぜそう言い切れるのでしょうか?「難しいこともあるかもしれないけど、とにかくやってみようよ。」となぜ言えないのでしょうか。僕は、「技術をもち、優れたインタープリター」が5人いるよりも、「伝える技術はまだない、でも伝えたいという意欲に溢れている若手研究者」が100人いるほうに未来を感じます。小さな離島では、そもそも自然を学ぶとか、専門家とふれあうという機会すらほとんどない場合もあります。そこでは、熱意こそが最重要で、技術なんか二の次です。また、伝え方のテクニックが未熟でも、現役の研究者だからこそ話せる研究の現場や苦労話なんかも沢山あると思いますので、そういうことを伝えるのもとても意味があると思います。あと、野外調査などの際に、地元の方々と飲みながら生物とか環境のことを語るのだって立派な「伝える」活動だと思います。子どもに対するのは得意でも、大人相手の飲みニケーションの苦手なインタープリターだって存在するハズですから、頭でっかちにならず、やれそうなことをやっていけば良いのではないでしょうか。
 終盤にさしかかり、さすがにこのまま終わったら、難しく考えてしまって新たに何かやってみようとする人も減ってしまうのではと心配になり、発言のタイミングを伺っていたのですが、なかなか機会がなくてソワソワしていました。その時に主催者の鹿熊さんが「子ども相手の時の議論になってきているが、実際には大人を相手することも重要」との発言をされました。で、その後の最後の締めの中でコメンテーターの瀬底研究所の中野さんが、「なにをやってもよい」のような発言をされていたので、大部気が収まりました。
 とても良い試みの集会だったと思うので、次回はもっと一歩踏み出す勇気を与えてくれるような集会になったらいいなと願っています。
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コメント
いつも楽しく拝見させて頂いております。大会参加の方お疲れ様でした。今回は私自身運営の立場で参加しましたが、学会も規模が大きくなりつつあり、活気あふれる一方で、会場の狭さ、集会が重なるなどの問題も浮き彫りになった大会だったように思います。

シンポジウムの方は、私も企画として参加したのですが、時間的制約が厳しい中で行なうことの難しさや、またプロジェクトの成果発表のような雰囲気にならず、いろんな方面の研究者の方々から話題を提供して頂きながら、今後どう問題に向き合っていくべきか、議論を踏まえて方向性が明示できるような内容にと思っていたのですが、難しいものです。

新しい試みであった自由集会は評判が良く、今後も企画されていくべきものであると思います。インタープリテーションの方もそうですが、やれそうなことをやっていくこと、あるいはとりあえずやってみようと思えるような雰囲気が生まれることは大事だと思います。今後比較的若い人達でもシンポジウムや自由集会を積極的に企画して実施され、時間や場所の制約が出来る限りない状態で、大会が行なわれていければと個人的には期待したいところです。
Posted by: wiguchi@sesoko  at 2009年12月01日(Tue) 13:34

藤田先生、おひさしぶりです。ものすごくがんばっていますね!東京の方に来ることがあったら連絡してください。
Posted by: 丸井美穂  at 2009年11月29日(Sun) 20:22