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波照間カニある記2:生物 [2009年02月19日(Thu)]
 2009年2月4〜6日の日程で波照間島に出かけていました。「波照間カニある記」では、そこで出会った生き物、風景、思ったことなどを綴っていきたいと思います。


 まずは、今回のメインのヤシガニ調査についてです。飛沫転石帯での稚ヤシガニ調査や島の方への聞き取り調査を行いました。波照間ではヤシガニについて他の島では見られない利用(採集)の仕方が知られているのですが、今回、実際に島の方からも同様のことを聞きました。
 野外では、幸い夕立があったこともあり、夜にはヤシガニやその他の十脚甲殻類が出歩いていました。沖縄ではヤシガニは「冬眠する」と信じられていますが、これはおそらく脱皮のために穴に留まる個体が多いためで、脱皮をしない個体は普通に活動しています(ただし気温が低いときは活動が鈍る)。特に小さめの個体は、必ずしも冬場に脱皮しないので、冬でも良く見ます。今回も、同一の場所で3個体ほどを確認しました。



 今回、個人的な最大の成果は、この写真のカニが採集できたことです。島内の某洞穴の地下水域で採集したのですが、おそらくドウクツモクズガニOrcovita miruku Naruse & Tamura, 2006であると思われます。極めて報告が少ない種ですので、同時に2個体も採集できたことに驚きを隠せませんでした。また、モエビ科の一種(おそらくParhippolyte属ではないかと思います)と思われるエビ類も採取されていましたが、残念ながらこのカニ達に食べられたようで、頭胸甲の一部と触角しか残っていませんでした。残念です。トラップを改良して次回に期待したいです。



 某湧水では、チスジノリ属と思われる淡水藻類の生育も確認できました。現在の生育状況は良好ですが、宮古島では類似する淡水藻類がこの数年間でほとんど絶滅状態になってしまったので、波照間でも十分注意して行く必要があると思われます。この発見は、3月に沖縄で開催される「日本藻類学会 第33回大会」にて発表予定です。




 なお、波照間島での調査は、竹富町教育委員会に現状変更申請を行い、さらに地元の地権者や公民館などに連絡を行った上で行っています。島には文化財や御嶽なども沢山あり、好き放題採集することはできません(研究者でもです)ので、その旨、注意してください。
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