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【レポート】オフィスで変えるWorkstyle2020〜第2回新たな働き方を導くオフィス・カルチャー改革〜(2018年11月12日開催) [2018年11月13日(Tue)]
2018年11月12日(月)に東洋経済新報社主催で開催された「オフィスで変えるWorkstyle2020〜第2回新たな働き方を導くオフィス・カルチャー改革〜」に参加しました。

【レポート:オフィスで変えるWorkstyle2020〜第2回新たな働き方を導くオフィス・カルチャー改革〜(2018年11月12日開催)】

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◆基調講演
The Future of Work〜新たな働き方改革を導くオフィス・カルチャー改革の考察〜
日本アイ・ビー・エム株式会社グローバル・ビジネス・サービス事業コグニティブ・プロセス変革組織人財変革リーダーパートナー 石田秀樹氏

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・働き方改革の中で、変えるのが難しいもの3つ、@オフィス、A人事制度、B人の感情。
・「場」は人の行動を変える役割と可能性を持っている。しかし、多くの場合、イメージ倒れで終わる。
・働き方改革の企画担当者の視点と実際のギャップ。
・文化・風土と市掛けの不足。理解と納得が十分に無いと機能しない。
・つまり、仕組みだけではダメ。仕組み×仕掛けと土台としての文化や風土が必要。
・働き手が活躍できる舞台として働く場(オフィス)を位置づける。
・イメージではなく、明確なコンセプトを定義できているか?
・コンセプトを定義する際には、目的と手段を混同しないこと。説明する形容詞が重要。
・オフィスの無駄を削りすぎると、余白が少なくなることで機能の柔軟性が下がってしまうこともある。
・失敗例:フリーアドレスの結果、個人作業の集中力と生産性が下がった。パーテション、ミニター、高機能PCのニーズが高い。
・月曜日の朝は席が足りない。集中できる環境がないのでパーテションがほしい。
・アジャイル・オフィスというコンセプト。
・アジャイルとは、迅速に俊敏に応えるということ。
・当事者意識を持たせ、自身で考える機会を与えることが必要。
・当事者意識を持ち、実際に使うシーンを想像しながら、自分たちで議論して「こうなりたい」を形にし、トリセツ化する。
・このトリセツが仕掛けになる。
・アジャイル性を担保するため、実際の利用状況をデータ化し、分析している。
・働き方改革を定着化させるには、まずは実態を可視化すること。
・次に、慣習や通例にもメスを入れること。
・業務改革は効率化と引き算。働き方改革は自分たちの未来を描く、ノウハウづくりへ。
・明確な大義名分とトップの強いコミットメントの明示。
・進捗状況に関する情報の提供と共有。
・外圧の活用も有用。
・打ち上げ花火で終わらせない。意識の変容から行動変容につながるように。

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◆先進事例講演1
グラクソ・スミスクライン株式会社人財総務マネージャー 長坂将光氏

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・グラクソ・スミスクラインJAPANは、外資だけでなく日本企業も含めた合併の歴史を持つため、日系文化も色濃く持つ。
・呼吸器が主要製品領域だが、喘息死亡者5,661人(1997年)→1,454人(2016年)に減少。
・2017年10月に赤坂インターシティエアにオフィス移転。
・国民医療費が高騰する中で、薬価改定が2年に1度から毎年に変更される。
・この薬価改定で、約7%の売上が減少する。
・働き方改革について、自分たちがより強く、より変わるためにと、ビッグ・ピクチャーを確認した。
・プロとして、お互いを尊敬し、刺激しあい、柔軟性があり、高い成果をあげることができる高い生産性を実現。
・個室を廃止し、社長も社員も同じデスクで。
・スマートワーキングとは、全ての社員に平等なオフィス、働く≠デスク。
・働き方改革や生産性の向上は目的ではない。手段。
・Webinar(Web+セミナー)ルームで、時間や空間にとらわれない顧客への機会提供。
・ダイバーシティやインクルージョンの対応も。
・実際の利用者に合わせた細やかな配慮が肝。
・使い方についても、一定のルールの下で、社員の主体性や自律性を尊重。
・プロジェクトの推進は、プロジェクト責任者の下にCHANGE MANAGERを置き、さらに各部署にCHANGE CHAMPIONを配置。
・オフィス移転は、約1年半前にスタートし、移転後も、定期的に利用状況調査を実施。
・プロセスに社員が参加する機会は多ければ多いほど、社員の満足度、コミット度は高くなる。
・書類も、移転前と移転後で85%の削減に成功。
・移転前のオフィス不満足層66%→9%に減少。

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以上
【レポート】SVP東京15周年スペシャルダイアローグシリーズ(第3回)(2018年11月9日開催) [2018年11月12日(Mon)]
2018年11月9日(金)にSVP東京主催で開催された「SVP東京15周年スペシャルダイアローグシリーズ(第3回)」に参加しました。

私自身はSVP東京に直接的な関わりはあまりなかったのですが、知り会の方もいたり、共通する話もたくさんあったので、まるで15年関わってきたかのような共感を持ちながら話を聞かせていただきました。

備忘録的なメモをアップします。


【レポート:SVP東京15周年スペシャルダイアローグシリーズ(第3回)(2018年11月9日開催)】
◆SVP東京について
・2019年5月に新たな15年のビジョンを発表。
・SVP東京は2003年から活動開始。100名強がメンバー。
・主な活動は、資金の提供とパートナーによる経営支援。
・活動の原資は、パートナーの時間と会費。
・これまでに40団体以上に経営支援。
・ソーシャルベンチャーの成長とパートナーの成長を両立。

◆木下万暁さん(サウスゲイト法律事務所
・2010年からSVP東京のパートナー。
・2012年にBLP-Networkを立ち上げ。
・弁護士としての仕事をする中で、クライアントが考える世界の中でしか仕事をしていないことに疑問を感じた。
・小ぶり、フットワーク軽く、クロスボーダーで働ける事務所はないのか?
・独立し、サウスゲイト法律事務所を設立。

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◆小泉裕義さん(小泉グループ株式会社)
・2009年にSVP東京に参加。
・チェンジメーカーを読んだのがきっかけ。
・大学のときはゲームのルールを変えると、人々の行動がどう変わるのか?を研究。
・世の中で一番大きなルールは何か?それは資本主義だろう。
・NEXUS Japan Country Leaderになる。
・成長というよりは、自分だけでは気づかなかった気づきや経験の機会をもらった。
・自分の中で腹落ち感のある経験が、行動変容につながる。

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◆久野浩子さん
・パートナーになったのは大学時代の友人の誘い。
・大学生の頃は主婦になるものだと思っていた。
・専門職になりたかったが、もっと広く世界を経験すべきと母親に反対された。
・成長よりも、変化や変身。
・安定よりも、挑戦とアンバランス。
・SVP東京は、同世代ではない人たちが多く、求めている居心地のよくなさがある。
・でも、心の平和、平和な毎日も大事。
・SVP東京を通じて、いろんなつながり、そのつながりから見つかるもの、それを通じた自分の変化。

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◆石川貴志さん(Work Design Lab
・2013年8月から一般社団法人Work Design Labの活動を開始。
・2012年にSVP東京に参加。
・地方の仕事で副業。
・お返しは特産品だったり、その地域への旅行だったりする。これは、家族受けがよく、副業のサステナビリティ的には重要。
・ライフスタイルとは、人生という時間を再配分すること。
・これからは、目的を時間が共有(仕事、家族、その他の間で)される生き方へ。

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◆ディスカッション
・なにかを始めた人が、手を離れる(引き継ぐ)ことの難しさ。
・他の人の目線があって、はじめてもっとうまくいく。
・はじめはエゴで構わない。褒められたい、自分の
・やって見せることの大切さ。
・自分があって、会社があって、社会があって、一人一人の物語がある。
・それぞれにとって見え方も、感じ方も違うかもしれないけど、同じ場を共有していることが大事。

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●自分にとってSVP東京とは
・この歳になって、一生付き合えそうな友達ができる場だった。
・自分を変えさせてくれた大切な空間。
・ある時、パートナーとしての仕事で手を抜いたら、本気で怒られた。この歳になって本気で怒られることが嬉しかった。
・いろんな価値観、自分が知らないセクター、知らないこととの出会い。
・SVP東京が原体験になり、拡大再生産していく。
・ビジネスセクターとソーシャルセクターの言語や文化の違い。その違いに出会える場。
・最初にSVPを始めた時は、パートナー=あこがれる存在と想定していたが、始めてみたら違った。
・チェンジからトランジションへ。変わろうとする意思と一歩が必要。
・そして、トランジションには一人一人の物語がたくさんあることに気付かされた。
・それが今のSVP東京につながっている。
・当事者性の難しさ。
・当事者性は、その正しさゆえに、人をボロボロにする。
・コミットの程度、ラストワンマイルへの関わり方の難しさ。
・SVP東京はナマモノだから離れられない。
・去年のSVP東京と今年のSVP東京は違う。目を離せない。
・自分でつくったことがある人にしか見えない世界。大企業にいるとその経験は難しい。
・健全な自己否定力。
・お客さんの選択肢がない。同じように弁護士自身も働き方の選択肢を減らしている。
・SVP東京に関わり、業界を分析する機会があり、それが、自分の業界に対する気づきにもつながった。
・ソーシャルイシューやソーシャルイノベーションの領域に関わる人は、セルフアウェアネスが重要。
・子どもが生まれてマインドセットが変わった。
・特に、人への向き合い方が変わった。
・自分自身の声に耳を傾けていなかった自分に気づいた。
・100年後の課題解決といっても自分事じゃなかったのが、孫のこと考えたら自分事にできる。
・自然体の自分を見つけることができる。
・社会の役に立つ!みたいに角が立ってた自分が、SVP東京でもまれるうちに角がとれて自然体になる。
・心地よさを感じ始めたことに不安を感じた。
・自分の人生、キャリアを自分の意思で選んでいると思っていた。
・外部から身に降りかかることを受け入れることで、新しい扉が開く。
・苦難が新たな仲間とつながるきっかけになる。
・毎年変わることも含めて、継続することの強さ。
・メンバーが変わっても、多様であることの本質が変わっていない。
・社会の多面性を、実感を持って教えてもらった。それが、今の行動変容につながっている。
・普段会えない人と会える楽しさ。
・世の中は変わらない。そんなに良くなっていない。自分たちが気持ちよくなってるだけとも言える。
・SVP東京は、投資と協働ではなく、協働と協働と協働。
・もっと自分たちに厳しく。本当に貢献できているのか?
・助成によって喜ばれる環境を整え、その中で自己満足しているともいえる。
・無理しないこと。

以上
【レポート】国際教育カンファレンス(Edvation×Summit2018)(2018年11月5日開催) [2018年11月07日(Wed)]
2018年11月5日(月)に一般社団法人 教育イノベーション協議会の主催により開催された「国際教育カンファレンス(Edvation×Summit2018)」に参加しました。

たまたま、少し早く会場についたら、ギャル電のお二人がプレゼン中。まんまギャルなお二人がギャル口調で教育を語っている姿に衝撃を受けましたが、結構学びの本質をついた発言に共感多かったです。

【レポート:国際教育カンファレンス(Edvation×Summit2018)(2018年11月5日開催)】
◆セッション:身近な課題をテクノロジーで解決するW50センチ革命W(1センチ革命)〜チェンジ・メーカー育成に必要なこと〜
菅原のびすけ氏(dotstudio 代表取締役CEO)
渡辺ゆうか氏(FabLab Kamakura代表)
大見京子氏(ギャル電

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●菅原氏
・中学生向けの講座を持つ機会がある。
・中学生に何に興味があるのか?聞くと、YouTubeかLINEとのこと。
・プログラミングというと構えてしまうが、YouTubeやLINEでやりたい事というと、のめり込みやすい。
・自慢したくなる、自尊心を満たせると、プラス効果に働く。

●大見氏
・小学生向けの講座をすることがある。
・教えてもらう時は、よそ行きな方法をしてしまったりすることもある。

●チェンジ・メーカーとは?
・やりたい事をやるステージから、自分のやり方を広めたいというステージになったとき。
・主語が一人称から二人称や三人称に変化する。
・自分を認めて欲しいという空気が滲み出ている人、外に対する承認欲求が強い人は、チェンジ・メーカーの素養がある。
・広い意味でのもてたいという気持ちはある。
・インターネットでお世話になった人たちへの恩返し。
・自分の経験、特にうまくいかなかった経験を、つたなくてもいいからインターネットで伝えようと思ったら、それがチェンジ・メーカーの資質であり、一歩。
・つらさや苦しさを共有できることからうまれる安心感。

●チェンジ・メーカーの育成に必要なこと
・チェンジ・メーカー=課題解決をする人ととらえてしまう前に、うまくいかなかったことをシェアすることができる人。
・分かんなかったらググればなんとかなる。
・恐れずに始めてみよう。

以上

◆セッション:STEAM教育とは何か?〜これからのSTEAM教育に必要なこと〜
中島さち子氏(steAm, Inc. 代表/ジャズピアニスト/数学者)
橋本恭伸氏(Digika(そろタッチ) 代表取締役社長)
中村俊介氏(しくみデザイン 代表取締役)
駒形政樹氏(FPV Robotics 代表取締役)

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●中村氏
・「カグラ」という新しい楽器(ソフト/プログラム)。
・楽器を弾けない自分でも、弾いて楽しめる楽器をつくりたかった。
・5歳の娘でも使いこなしている(楽しめる)。

●橋本氏
「そろタッチ」という、ソロバンを応用した暗算学習アプリ。
・世界唯一の共通言語「数字」に自信をつけることができる。

●駒形氏
・ドローンを活用したプログラミング教育。
・ドローンによる空の産業革命。
・この産業革で活躍できる人材を育成したいという思いで始めた。

●中島氏
・ミュージックブロック、STEAM×Sports LABなど、社会人のための数学×◯◯シリーズ、数理女子など。

●STEAM教育について
・先に勉強はダメ。楽しんでから勉強。楽しむことがクリエイティビティにつながる。
・PDCAではなく、PLCA(Play→Learn→Create→Approve)
・学ぶまでで終わらず、アプライ(応用)することまでやってみることが大事。
・新しいデバイスに触れることで、好奇心や楽しい感覚を刺激される。
・社会課題との結びつけ方については、子どもの知恵も借りてしまう。
・やりたい事、解決したい事がイメージできると、たどり着きたい欲求が生じて、それがエンジンになる。
・教科とかにとらわれず、混ぜることも大事。混ぜることで、一つ一つの専門性では叶わなくても、違う世界が見えてくる。
・ベースとなるknowとunderstandの力もとても大事。
・五感を使うこと、失敗を繰り返すこと。
・大人も等身大でよい、学び続ける一生を見せること。

●難しいこと
・「これを身につけると、将来なんの役に立つのか?」と聞いてくる親が多い。
・役に立つからやるのではなく、楽しいからやるでよいのではないか。
・ソロバンができても暗算はできるようにならない。頭の中でソロバンの玉を動かす暗算術を身につけないといけない。
・iPadやドローンなどを導入するためのコストの問題もある。

●一言
・楽しいことは楽しく。勉強しようと思わなくてもよい。
・世界最速の暗算術を世界最速で身につけるおどろきを体験してほしい。
・南相馬市、東京大学と連携協定を結んで取り組んでいる。

以上

◆セッション:ブロックチェーンは教育に何をもたらすのか?
磯津政明氏(株式会社ソニー・グローバルエデュケーション代表取締役社長)
小野成志氏(NPO法人CCC.TIES副理事長)
河崎純真氏(GIFTED AGENT合同会社代表社員)

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●磯津氏
・300年先の未来をつくる教育をテーマに2015年に設立。
・koovが日本e-Learning大賞(最優秀賞)を受賞。
・中国では、教科の一つとしてkoovを取り入れている学校もある。

●河崎氏
・活動の軸はスタートアップから生きづらさの問題意識へとシフト。
・「COMMONS OS」という、社会をつくる、仕組みをつくる取り組み。
・石川県加賀市、台湾高雄市などで実証実験も始まっている。

●ブロックチェーンとは
・新しい認証(信用保証)の仕組み。
・中央集権化された認証機関から分散型の認証システムへ。

●小野氏
・1996年にオンライン教育システムを開始した。
・日本は技術的には先行していたが、オンライン教育については完全に遅れている。
・SXSW2016にて「学びの取引」がスピーチが話題になったが、中身はなかった。
・市場経済と同様に学習経済というシステムを、ブロックチェーンの技術を活用して検討している。
・みんなが知識の生産者であり、みんなが享受できる。

●ブロックチェーンの影響
・ブロックチェーンにより新しい国家が生まれ、非中央集権的な個が強い社会が生まれる。
・学習と経済の結びつきが強くなる。

●学習者の変化
・自分の学びが世界の末端にまで影響を及ぼす可能性があることのすごさ。
・学校の中で学んでいることはわずか。学校の外での学びが重要。
・フォーマルラーニングとインフォーマルラーニングの違い。
・インフォーマルラーニングを測るのは難しかった。
・ブロックチェーンという新しいデータベースがこの状況も変えようとしている。

●学校のあり方
・比叡山でお坊さんの修行をしている時に、小学校を思い出した。規律と規則の世界。
・文化教育として規律や戒律の厳しさを教えることには意味がある。
・形だけの知識教育ではなく、魂を込める、文化的な場として機能するのであれば意味がある。
・インターネットも、当初は批判さへたが、今ではなくてはならない当たり前のものに、なった。ブロックチェーンもそうなるどろう。

●今後に向けて
・社会は変えられなくても、作ることができる。のの醍醐味を多くの人と共有したい。
・今までの教育ではなく、新しい教育をつくっていきたい。
・ブロックチェーンの教育へのインパクトはますます大きくなる。難しいと避けるのではなく、多くの人に注目してもらいたい。

以上

◆セッション:オンライン教育は既存の教育をどう変えるのか?
廣政愁一氏(学びエイド
森健志郎氏(Schoo
葉一(教育YouTuber
井上陽介氏(グロービス

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●オンライン教育の動向
・オンラインMBAは、東京、大阪、名古屋の次の規模に成長している。
・アメリカのトップビジネススクールのメインテーマの一つがオンライン。
・内部での変革と外部での変革の両面で、積極的な議論がなされている。

●廣政氏
・東進ハイスクールの予備校講師。
・林修氏などが同期。
・予備校講師はアクの強い個性を出す人が多い。
・大阪のくんえい女子校の立て直しを請け負い、3年で進学校にした。
・高校英語の映像教材の制作にチャレンジ。
・東進ハイスクールは高エンタメ、高額(従量制)型のビジネスモデル。
・スタディサプリは中エンタメ、低額(定量制)型。
・学びエイドは実直、低額(定量制)型のビジネスモデル。

●森氏
・企業内研修のオンライン研修に失望し、自分で起業した。
・ライブ配信や双方向性、リアルタイム性などに特徴をもつサービス。
・社会人向けから大学向けまで展開。
・インターネットだからこそのプラス価値にレバレッジをかけることにこだわる。

●葉一氏
・塾講師の時、所得格差で通える通えないがあることに気がついた。
・所得格差が子どもの選べる機会と直結していることが納得いかなかった。
・2012年からYouTubeへの動画投稿を始めた。
・チャンネル登録者数47万人、総再生回数1億6千万回。
・中学生向けの無料コンテンツは少ない。中学生のうちに勉強することで、人生の選択肢を広げたい。

●オンラインビジネスの可能性
・ビジネスとして成立するかどうか?食っていけるか?がポイント。
・高校生と社会人はビジネスになりやすいが、小中学生と大学生はビジネスになりにくい。
・食っていけるかどうかのレベルではなく、クソ儲かる会社が1社でも出てくるかどうか?そして、優秀で高額な人材が流入してくるかどうか?
・日本という小さなマーケットでは、様々な技術を組み合わせて、インターネットならではのサービスを提供していかないと成長しない。

●オンライン教育の可能性
・学校があるのに、なぜオンラインで教育をしなければいけないのか?
・質の高いものを大勢の人に届ける、これが、以前であればラジオ・テレビの放送講座や通信講座の役割。
・オンライン教育も同じ。既存の教育を変えるというよりも、より質の高いものを提供することに本質があるのではないか。
・オンライン教育は怖いものではないので、まずは使ってみてほしい。
・ユーザーとしての声を反映していく。
・YouTuberをしていると、学校などの既存の教育をつぶすのか?という質問をよく受けるが、そういうことではない。
・コンテンツの選択肢の一つとして、上手に使ってほしいという感覚。
・衛星放送→ビデオ→DVD→オンラインと、媒体は変化してきたが、コンテンツは変わっていない。

●オンライン教育のプラスアルファ
・YouTuberは特殊。
・全てのコンテンツをYouTuber一人で提供するので、関係性も一対一。
・だから、勉強以外の悩み相談なども入ってくる。

●一言
・YouTube自体まだ斜に構えられる存在。YouTubeで勉強することが当たり前な社会にしていきたい。
・産業をちゃんとつくっていくことがなにより必要。
・優秀なエンジニアはECやソーシャルゲームに人材はいっている。優秀な人材がくるような魅力的なマーケットにしていきたい。
・オンライン教育は参考書と一緒。実況中継という革命的な参考書があった。
・オンライン教育は教える側の機会均等でもある。誰でも教えられることが教育全体の質の向上につながる。
・新しい教育のあり方を模索するチャレンジ。

以上
【レポート】東京サステナブル・シーフード・シンポジウム〜魚から考える日本の挑戦2018〜(2018年11月1日開催) [2018年11月05日(Mon)]
IMG_8768.jpg2018年11月1日(木)に日経ESGとシーフードレガシーの主催で開催された「東京サステナブル・シーフード・シンポジウム〜魚から考える日本の挑戦2018〜」に参加しました。

日本にいると、マグロ規制やうなぎが獲れないとか、サンマやイカの不漁など、食卓(消費者)の関心事しかニュースにならないので、一般人からすると食料品=水産業という印象しかない感じがします。

一方で、世界的にみると水産業=国際ビジネスであり、SDGsでも14番目に「海の豊かさを守ろう」目標として掲げられているように、世界的な環境問題の最前線の一つになっています。

ということを改めて実感させられるシンポジウムでした。

備忘録的なメモをアップします。

【レポート:東京サステナブル・シーフード・シンポジウム〜魚から考える日本の挑戦2018〜(2018年11月1日開催)】
◆セッション:水産業界で始まった持続可能性コミットメント
マルハニチロ経営企画部サステナビリティ推進グループ佐藤寛之 氏
日本水産養殖事業推進部部長屋葺利也氏
ウォルトンファミリー財団環境部門プログラムオフィサーテレサ・イッシュ 氏
ストックホルム・レジリアンス・センター副サイエンス・ディレクターヘンリック・オスターブロム 氏

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●オスタープロム氏
・水産業においては、大手企業による漁獲、生産への集中化が進んでいる。
・このような大手企業は影響力が非常に大きいので、キーストーンアクターと呼ばれる。
・SeaBOS(Seafood Business for Ocean Stewardship)を2016年にスタート。
・2017年6月の国連海洋会議で取り組みを発表。
・この会議では、SeaBOSに対しては全体的には模様眺めという雰囲気だった。
・2018年6月のFAO COFI会議に招待され、文書にも記述がされた。
・2018年9月の軽井沢ダイアローグには10社が参加した。
・ダイアローグの結果、会議体としての定款などの整備もでき、CEOが主導する会議として位置づけることができた。
・SeaBOSでは、4つのタスクフォース。@IUU漁業の抑制と奴隷漁業の撲滅、A透明性とトレーサビリティの向上、B規制の改善、Cモニタリングとコミュニケーション、D水産サプライチェーンにおけるプラスチックの削減。
・科学者としての立場から、科学的根拠を重視した取り組みを推進。
・UNグローバル・コンパクトとの連携によるAction Platform for Sustainable Oceanなど、取り組みが拡がっている。

●屋葺氏
・SeaBOSの会議にはすべて参加してきた。
・ニッスイグループは、@豊かな海を守る、A安全・安心で健康的な生活に貢献、B多様な人材が活躍できる企業、以上3つのマテリアリティを掲げている。
・GSSIやGDSTへの加盟、CSR調達方針の確率、認証水産物(MSC、ASC)の調達推進など、サステナビリティに関する取り組みを行っている。
・取扱水産物の資源状態の調査。
・ニッスイグループは、約160万トン、世界の漁獲量の1.6%相当を調達している。
・取扱魚種は450種。93%は天然魚、7%は養殖魚。
・取扱水産物に関し、約1年半をかけて持続性調査を実施した。
・天然魚については、サステナビリティに関して、88%は心配ない(うち37%は認証魚)、3%は心配がある。9%は不明。
・2030年までに、ニッスイグループのすべての調達品について、持続性が確認されている状態を目指す。
・SeaBOSに参加していることのメリット。
・世界の最先端の情報や動向にいち早く触れることができる。
・日本の大手水産3社(ニッスイ、マルハニチロ、極洋)の間で、サステナビリティに関する情報交換の機会が増えた。

●佐藤氏
・11年前にマルハとニチロが合併。
・165カ国で174社のグループ企業がある。
・サステナビリティ長期ビジョンで、経済価値、社会価値、環境価値の3つの柱で、価値の創造を規定。
・事例紹介。国交省の「東京湾UMIプロジェクト」に参加。
・カーボンニュートラル認証をオーストラリアで取得
・2010年に民間企業としては初めてクロマグロの完全養殖化に成功。生産量アップに取り組んでいる。
・認証水産物(MSC、ASC)の取り扱いを推進。
・SeaBOSに参加していることのメリット。
・業界および自社が本当にもとめられていることをいち早く知ることができる。
・変化により早く対応していくことが重要。

●SeaBOSの今後について
・取り組みを一つ一つ実行し、成果を出していくこと。
・スピードが重要。
・現在のメンバーは、欧米、東南アジア、日本。
・中国とロシアの会社もメンバーに入るとよい。
・大手から中小にも取り組みが拡がっていくことが、成功の一つの形。

●イッシュ氏
・NGOと産業の接点で働いてきた。
・SeaBOSについて、企業が参加し、競合他社が手を携え、喫緊の課題にチャレンジするというアイデア。これは非常にエキサイティングなチャレンジだった。
・連携が肝。連携することでしか実現できない。
・リーダーとして業界をひっぱり、他の業界も巻き込む。
・そのためには、目標を掲げること。
・目標の達成に向けて、連携により境界を超えてサステナビリティを実現していく。

●質疑応答
Q.関連するSDGsの実現への取り組みはされていると思うが、水産業の本領域での取り組みについてはどうか?
A.
・@社内の取り組みを改善、Aリーダーシップ(外部への良い影響)、B将来に向けた取り組み、以上の3つのレベルでの取り組み。
・SeaBOSとしてだけではなく、日本における規制、科学者との連携などによる取り組みもしていく。

Q.日本の沿岸漁業に対する印象は?
A.
・(オスタープロム氏)中小規模の水産業への印象はという質問でもある。正直、まったく知らない。
・(イッシュ氏)沿岸漁業は多くの従事者を使っている。大企業の利益だけでなく、従事者にも利益をもたらしているか。
・沿岸漁業は中小企業が多いので、サステナブルではない漁業のリスクが大きい。

以上

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◆セッション:IoTと新技術が作るサステナブルな新市場と漁業の課題解決
日本電気デジタルプラットフォーム事業部マネージャー早坂真美子 氏
NTTドコモ地域協創・ICT推進室担当課長山本圭一 氏
KDDIビジネスIoT推進本部地方創生支援室マネージャー福嶋正義 氏
ウミトロン代表取締役藤原謙 氏
IHIジェットサービス衛星情報サービス部取締役 兼 部長川辺有恒 氏
日経ESG編集 シニアエディター & 日経ESG経営ォーラム プロデューサー藤田香氏

●山本氏
・NTTドコモの水産業に関する取り組み。
・社会課題の解決と地方創生に取り組むことを者の目標として掲げている。
・きっかけは東日本大震災の復興支援。
・被災地でコミュニケーションを重ねる中で、海の状態の変化を見える化したいという相談が出てきた。
・2016年から実証実験を開始し、2017年から「ICTブイソリューション」をサービスイン。
・今まで見えなかった海の状態が見えるようになることで、新しい気づきが生まれ、現場からイノベーションが創出されることにつながることを期待。

●福嶋氏
・KDDIの水産業に関する取り組み。
・通信事業者からライフデザイン事業者へ。
・水産業との関わりは東日本大震災の復興支援がきっかけ。
・2012年に復興支援室を発足し、2017年に地方創生支援室へ。
・東松島での取り組み。震災前は15分で漁場につけたのが、高台移転や漁港被害等の理由により、1時間かかるようになった。
・センサーの情報から、翌日の漁獲量の推定にチャレンジ。
・鮭の定置網漁では推定精度70%以上を達成。
・ビッグデータがない状況での漁獲推定モデルの開発にチャレンジ。
・福井県小浜市での鯖復活プロジェクト。養殖事業の最適化に実装。
・長崎県五島市でのクロマグロの養殖に関する実証実験。ドローンでプランクトンを採水し、赤潮の発生をリアルタイムに検知。

●藤原氏
・水産養殖向けのデータサービスを提供するベンチャー企業。
・水産養殖が21世紀の最も重要な産業になると思ったので、ウミトロンをはじめた。
・世界の養殖可能余地の開発をすれば、現在の水産物消費量の100倍を生産できるといわれている。
・愛媛県愛南町で実証実験。
・水産養殖の現場の課題は多い。コスト削減、リスク低減、売上向上。
・生簀の魚の様子を遠隔でモニターし、給餌器をリモートで制御するサービス。
・AIやIoTを活用した養殖向け保険の開発

●早坂氏
・NECの水産業に関する取り組み。
・2016年から養殖魚のサイズ測定を自動化するサービス開発に取り組んでいる。
・養殖事業者は様々なデータを収集しているが、精度や頻度が足りない。データの所在や保管もばらばらなので活用できないという課題がある。
・この課題を解決するため、ICTを活用し、データの高度化、デジタル化、活用可能化を目指す。
・AIを活用し、養殖業の最適な打ち手をAIが提案し、経営に活かすことができるようなサービスへと発展させたい。

●川辺氏
・IHIジェットサービスの水産業に関する取り組み。
・航空機やロケットのジェットエンジンを開発するのが本業。
・AIS(船舶自動識別装置)を活用。
・exactTraxを開発中。
・漁船等にも搭載可能な、小型だが出力の大きい発振器。
・この技術とブロックチェーン技術を使うことで、操業場所から漁獲の報告までをデータ化。トレーサビリティやサステナビリティにつなげたい。
・データ化するための現場での手間の省力化に課題が残る。
・関心の高い漁業者の参入をどうやって増やしていくかも課題。

●ディスカッション(苦労と実用化のめど)
●NEC
・人手による作業では生簀全体の平均を出すのは難しい。これをICTを活用することで可能とする。
・勘と経験では誤差が大きい。
・2019年度から正式販売予定。
・価格は現在の実証実験で見定める。

●NTTドコモ
・2017年から有償サービスを提供中。
・有償トライアル→本購入の流れ。
・使用している漁業者からは、データが見えることによる安心感が大きいとの声。
・海苔の場合は塩分濃度が重要なので、そのデータを見て対応を判断する。
・ブイの値段は月数千円程度。

●KDDI
・定置網で天然魚を獲る漁獲推定サービスは実証実験の段階。
・鯖養殖のIoTサービスはサービスイン済み。
・マグロ養殖の赤潮早期検知サービスは実証実験の段階。
・複数の推進で採水できるドローンを実証実験中。
・鮭の定置網について、最初はカメラでチェックする方法を考えたが、水の濁り、データ量の膨大さがネックになり断念。
・過去7日間のデータから、翌日の漁獲量の推定が可能になる。
・ブイについては数十万円/台程度。マーケットが大きくなれば10万円を切るくらいの値段まで下がる。

●ウミトロン
・海のIoTの難しさは、データを取ることそのものが難しいこと。
・特に、電気がない環境でのオペレーションの実現が難しい。
・値段決めについては、コスト削減できた分の一定割合で模索中。

●IHIジェットサービス
・2019年からの実装化。
・センサー1台数千円程度で。

●ディスカッション(サステナビリティについて)
●ウミトロン
・養殖業の餌の量を最適化できることで、コスト削減はもちろん、環境負荷の低減も。
・働き方改革への貢献も。

●KDDI
・漁獲量の予測ができるこは、市場での価格の安定性につながると仮設を立てたが、実際には、少人数の参入では難しい、

●IHIジェットサービス
・トレーサビリティが向上することが、水産物の価格向上、漁業者の収入向上にもつながる。
・漁業が稼げる産業になってきている面もある。

●NEC
・技術を活用することで、労働時間や負担が減るので、この時間を別のことに使うことができる。
・スマートな漁業への貢献。

●NTTドコモ
・後継者不足が深刻な課題。
・漁業の技術を継承することは比較的難しくないが、タイミングの見定めを会得するのが非常に難しい。

●今後の展望
・現場との関係性の構築。新しい挑戦。水産業への貢献。
・企業単独でできることは限られている。
・地域に根ざしたICT、IoTの活用に取り組んでいきたい。
・水産養殖の成長を支えつつ、持続可能な産業への貢献。
・技術はそろっているので、あとは実践あるのみ。

以上

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◆セッション:シーフードにESG投資を呼び込め
大和総研調査本部主席研究員河口真理子 氏
高崎経済大学教授水口剛 氏
味の素広報部ダイレクトコミュニケーショングループ長CSR統括長谷川泰伸 氏
日本水産取締役 常務執行役員 CFO(最高財務責任者)山本晋也 氏
日経ESG編集 シニアエディター & 日経ESG経営ォーラム プロデューサー藤田香氏

●河口氏
・持続可能な水産資源とESG投資について。
・PRI(責任投資原則)が2006年に発足。
・署名機関数は2142機関。日本は65機関。
・署名機関の資産総額は80兆ドル。
・署名機関が増えている理由は、投資家がESG要因が投資価値やリターンに影響すると判断しているから。
・投資家が企業に求めることは、@情報公開(公開情報で評価、判断する)。
・ASDGsに基づく社会課題のマッピングができていること。
・Bマテリアリティがわかる情報があること。
・CEに関する重要なテーマの中に、海洋資源が含まれる。
・持続可能な水産業に関する投資家の動き。
・2017年10月英国のNPOフィッシュトラッカーイニシアティブによる過剰漁獲リスクの公表。
・2018年9月ノルウェー政府年金基金オーシャンサステナビリティに関する憂慮を公表。
・海洋資源の重要性は、日本の投資家の間ではようやく認識され始めた段階。
・地球の水の総量は非常に少ない。はかない存在。

●水口氏
・なぜESG投資をするのか?
・@ESGは個々の企業の評価、ブランド毀損のリスクにつながる。
・A個々の企業の評価は投資リスクにつながる。
・B地球のサステナビリティへのコミットメント。
・漁業のESG課題は、@人権、A乱獲、B薬物。
・世界の水産業の上場企業は228社。日本は40社で一番多い。
・情報開示している企業は37社。日本は0社。
・AVIVA INVESTORS(保険会社)による解説(投資家にとってサステナブルシーフードがなぜ重要かhttps://www.avivainvestors.com/en-gb/media/insights/gri/why-sustainable-seafood-matters.html)。
・アメリカを中心としたODP(Ocean Disclosure Project)。CDP(Carbon Disclosure Project)の海洋版。
・海洋資源に関しては、水産業だけでなく、サプライチェーンを通じて多くの企業に関連する。

●山本氏
・ニッスイグループの取り組み。
・2016年からCSRに本格的に取り組みだした。
・ステークホルダーダイアローグを経て、2016年3月にCSR行動宣言を策定。
・2016年11月にマテリアリティを公表し、12月にSeaBOSに参加。
・マテリアリティの決定プロセス。29のイシューに対し、571名・社から重要度(対ステークホルダー、対事業)を回答。
・水産資源のマテリアリティについて、調達水産物の資源状態の調査を実施。
・3.4%が心配がある。8.6%が不明という調査結果。調査結果は公表。
・ニッスイグループとしての調達基本方針を定めた。

●長谷川氏
・味の素の水産業関連の取り組み。
・100年先の漁業を考えるコンソーシアム(仮)を立ち上げた。
・投資家と対話するには、KPIを数値化、さらに金銭価値化することが必要。
・ほんだしの環境負荷を数値化。1リットルのだしをつくるのに、どれだけのCO2を排出しているのかをほんだしとそれ以外で比較。
・CO2排出量は、原料調達で57%、生産で16%、使用時で27%という構成。水の消費についても調べた。
・自然資本の総合評価にも取り組んでいる。

●投資家サイドの変化
●河口氏
・ノルウェー政府年金基金は、海洋の持続可能性について、まだ細かいことはコメントしていないが、関心があることを表明している。
・投資家の関心は陸から海へ。プラスチックも含めて。
・大和証券での水産資源に関するセミナーは、アンケート結果がセミナー史上最高の評価だった。
・魚は自分ごとにしやすいので、投資家としてなにをすべきかという思考、行動につながりやすい。
・日本の投資家も、ESGに関する感度がよくなっている。

●水口氏
・ヨーロッパの投資家はESGへの関心が高い。
・活用はエンゲージメントが中心になるだろう。

●企業側の変化
●山本氏
・最初は、なぜやる必要があるのか?コスト的に無駄では?という発言もあった。
・変わるきっかけは、社外取締役のやるべきという発言が大きく影響した。
・もう一つはマグロの状況。避けては通れない。
・中期経営計画の立案に際し、先進的な取り組みをしている他の企業の勉強もした。
・正直、最初は必ずしも腹落ちしていたわけではなく、やらなければいけなさそうだからという感覚もあった。
・マテリアリティを設定することは、担当部署を決めることでもあり、やらなければいけない環境が整うということ。

●長谷川氏
・ASV(Ajinomoto Shared Value)という考え方(味の素の発展は、社会の持続的な発展)を導入している。
・最初は、海外の先進企業とのコミュニケーションで感化された社長のイニシアティブが強かった。
・投資家とのスモールミーティングを開催してみたら、おどろくほど参加者が多かった。

●情報開示について
●山本氏
・情報開示は緒についた段階。
・タイムリーに情報を出していくことの重要性や、隠し立てをすることは身にならないことはよく理解している。
・すべて答えることは労力も大きく、投資家にとってもどこまで有益なのかは悩むところ。

●河口氏
・「地道に」や「まだまだ」というのは日本企業的。欧米では評価されない。
・やりますと宣言したら中身がなくても開示する欧米のスタイル。きっちりやりきるまで開示しない日本のスタイル。
・欧米のスタイルに変えることが必要。

●長谷川氏
・情報開示に関しても、ヨーロッパの仕組みに従わざるを得ないというのは現実。
・社内的な理解はまだ不十分。

●河口氏
・投資家をはじめ、情報の受け手側は、良いこともあれば悪いこともあることは理解している。
・100点を取ろうとしない。悪いことがないと、かえって怪しいと思われる。

●水口氏
・情報開示の目的は、信用を創ること。
・情報開示のルールやガバナンスには国による違いもある。
・一方で、水産資源のサステナビリティは共通の問題。
・ニッスイグループの80%以上が安全という調査結果も、世界的には、水産資源の危機感からすると「それほんと?」という疑問を持たれかねない。
・だから、情報開示の仕方、発信の仕方、コミュニケーションのとり方が重要。

以上

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◆セッション(総括):2020年に向け、サステナブル・シーフードを主流化
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会持続可能性部長荒田 有紀 氏
北京、ロンドン オリンピック バドミントン日本代表フライシュマン・ヒラード・ジャパンシニアコンサルタントFHスポーツ&エンターテーメント事業部池田 信太郎 氏
水産研究・教育機構 理事長兼農林水産省国際顧問農林水産省顧問宮原 正典 氏
大和総研調査本部主席研究員河口 真理子 氏
イオンリテールグループ商品本部グループ商品戦略部マネージャー山本 泰幸 氏
日経ESG編集 シニアエディター & 日経ESG経営フォーラム プロデューサー藤田 香氏
シーフードレガシーCEO花岡 和佳男氏

●荒田氏
・持続可能性に配慮した水産物の調達基準について。
・東京2020大会の持続可能性コンセプト(https://tokyo2020.org/jp/games/sustainability/)。
・主要テーマ(@気候変動、A資源管理、B大気・水・緑・生物多様性等、C人権・労働、公正な事業慣行等への配慮、D参加・協働、情報発信)ごとに、具体的な目標を設定。
・A資源管理については、資源を一切ムダにしない。
・ISO20121(イベントサステナビリティ)を取得。
・持続可能性に関する調達コードを策定。
・調達コードでは、共通事項と個別事項がある。
・個別事項の中で、水産物の調達基準を定めている。
・認証や認証取得計画の有無、行政機関による確認を受けた資源管理計画の有無、行政機関による確認を受けた漁業環境の維持・改善に関する計画の有無で、調達基準を満たしているかどうかを判断。

●宮原氏
・オリンピックを良い機会にしたい。
・様々なな魚種が不漁の危機にある。
・資源管理型漁業の対象となっているのは、魚種では7種/重要魚種50種中。漁獲量では42%にとどまっている。
・IUUについても、係争水域での事象が多いことを理由にあまり取り組んでこなかった。
・漁業を成長産業化するために、持続可能な資源量の維持、国際競争性の確保。
・Googleのグローバルフィッシングウォッチ(http://globalfishingwatch.org)との連携。
・水産庁の2019年度概算要求では、荒田な資源管理と成長産業化に関して約3000億円(2018年度は1772億円)を要求。
・ただし、この新たな資源管理の中に、トレーサビリティーが入っていない。

●ディスカッション
●荒田氏
・調達基準が直接的に影響するのは、選手村等で提供する飲食物など。
・それだけでなく、オリパラの影響力をポジティブに活用し、幅広く社会へ広げていきたい。
・人権についても、予防的な取り組みはもちろん、発覚した際に通報する取り組みも。
・ケータリング業者の選定については、一斉にではなく、順次決定していく。プロセスはこれから。

●池田氏
・晴海の選手村が建設中。
・場所が奥まったところにあるので、目にする機会はなかなかない。
・選手村は約3か月。
・大会期間中の選手は、試合が終わるまでの期間と試合終了後の期間の、2つのステージがある。
・選手のバリューは、2020年に向かってピークを迎えていく。
・アスリートやスポーツが持つコンテンツもピークを迎える。
・限られた資源を、どうやって半永続的につなげていくか、これは大きな課題。
・スポーツは体験が源泉。
・日本財団がHEROsというプラットフォームづくりを行っている。自分もメンバーに入っている。
・スポーツの力、アセットを上手に活用していくとよい。

●宮原氏
・輸入物、国内流通物のどちらについても、流通経路を知りたいというニーズは高まっている。
・政府が強制するのではなく、民間主導の動きが必要。政府はあくまでも後押しするスタンスであるべき。
・テクノロジーは進化しているので、技術的には実現可能。
・まだまだ抵抗勢力は多いが、みんなでやろうとすれば必ずできる。
・オリンピックを、風向きが変わる機会として活用。
・コストはまだまだ削減可能。
・大企業だけでなく、中小企業との連携もコスト削減の活路の一つ。

●河口氏
・世界のESG投資家は、まだ日本の水産業についてウオッチできていない。
・なぜなら、情報開示が少ないから。
・まずは、やっていることをアピールする、情報開示し、投資家の目を向けさせることから。
・水産会社自体の時価総額は大きくないので、株価という観点から注目を集めるのは難しいかもしれない。
・一方で、水産業や海洋資源への注目は高いので、日本(人)と魚のサステナブルな付き合い方のビジョンのようなものを発信していくとよい。
・サプライチェーンまで
・スタバのプラスティックストロー廃止など、脱プラスティックの注目度も参考に。
・社会全体の認知、消費者の認知を高め、サステナブルな水産業の実現にもつなげていく。

●山本氏
・持続的な調達に関する2020年目標を公表した。
・日本企業なので、約束事は必ず守る。単なる大風呂敷ではない。
・日本産か海外産かへのこだわりはない。
・CSRではなくCSVとして取り組む。
・お魚コーナーだけでなく、おにぎりや惣菜コーナーなどでの認証も取り組み始めている。
・まずは2020年の目標の必達。
・その先については、その時の状況をみないと分からない。課題が解決されている、もしくはめどが立っているのであれば次の課題に進む。
・消費者の最大の関心事についてコミットメントを出す。
・小売業は常に消費者が起点。
・認証取得を促進するために、漁業者を支援するようなことは考えていない。
・消費者が望むことを実現するための取り組みをする。
・持続可能な調達基準は、イオンに納入するために必要なライセンス。
・現状は、プライベートブランド以外では、調達基準の適用はほとんどできない。

●荒田氏
・東京2020の調達コードでは、国内産を優先したいということは明記している。
・持続可能性を担保しつつ、国内産での提供を実現したいが、割合についてはなんとも言えない。

●宮原氏
・ルールは変えていかないといけない。
・例えば鯖。なぜ国内で出回らないかといえば、小さな鯖を取っており、アフリカなどに輸出しているから。
・消費者の責任も大きい。
・例えば、数年前にテニスプレーヤーの錦織圭選手がのどぐろが食べたいとインタビューで答えたら、のどぐろの消費が急拡大。結果、大きなのどぐろを獲り尽くしてしまった。

●池田氏
・社会への恩返しをしたい。
・GAP基準を満たした食材を扱うレストランを2019年3月にオープン予定。
・メディア・コントロールが重要。そのためにはストーリーが重要。
・農業の現場は、工事現場の2倍も事故率が高い。
・こういう状況では、様々な認証も取れないし、若い人材も獲得できない。

●藤田氏
・ESG投資は上場企業だけではない。
・たとえば、サステナビリティへの配慮に取り組んでいる漁協には、積極的に地域金融機関が融資するなどもできるのではないか?

●河口氏
・ESG投資は、現在は投資が注目されているが、融資という方法もある。
・地域金融機関の動きはまだまだにぶい。

●山本氏
・持続可能な調達は、CSRの問題ではなく、仕入れ・商品の問題であることを認識することが必要。
・MSCやGAP認証を導入したときは、仕入れ担当が始めた。
・これはイオンにとっては当たり前だと思っていたが、どうやら企業全体ではそうでもなく、CSR部門が進めるケースも多いようだ。
・消費者をどれだけ巻き込めるか

●藤田氏
・ミニストップがおにぎりでのMSC認証を最初に取り組み、セブンイレブンも開始した。
・コンビニや社食での取り組みの影響力は大きいと思う。

●荒田氏
・ボランティア(大会8万人、都市3万人)は現在募集中。
・ボランティアも発信の一役を担う。

●未来に向けて一言
●山本氏
・調達において、人権課題のプレッシャーが大きくなっている。
・水産物についても、サステナビリティはもちろんだが、人権課題への対応も大事。

●河口氏
・海と人間の関係は、ギブ・アンド・テイクではなく、テイク・アンド・テイクになっている。
・自分自身、自社だけでなく、ことあるごとに周囲の人に発信してほしい。
・魚のことは自分ごとにしやすい。

●宮原氏
・テクノロジーの活用を促進する。
・資源管理や資源回復のためには、小さな魚は食べないことを、消費者としても意識してほしい。

●池田氏
・アスリートでこのシンポジウムに参加しているのは自分くらい。
・今後、競技団体も環境対応について指摘されるようになるだろう。
・たとえば、バドミントンの羽はガチョウの羽。しかも、競技用の公式については、生きているガチョウを切って羽を確保する。
・クロス・マーケティング的発想も必要だろう。

●荒田氏
・東京2020のBe Better Togetherというコンセプトは、2020はもちろん、その先のサステナビリティの実現につながるもの。

以上

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【レポート】パナソニック創業100周年記念CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018(2018年10月31日開催) [2018年11月02日(Fri)]
2018年10月30日(火)にパナソニック株式会社主催で開催された「パナソニック創業100周年記念CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」に参加しました。

二日目のIDEOの特別セッションを聞いてきました。

自分にはデザイン思考のセンスはないけどセンスのあるなしではなく、考え方やものごとの捉え方、特に「人間中心」という思想と発想にはとても共感しました。

備忘録的にメモをアップ。


【レポート】パナソニック創業100周年記念CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018(2018年10月31日開催)
◆特別講演
デザインと創造力で考えるビジネスと社会の未来
IDEO CEO ティム・ブラウン氏
IDEO Tokyo 共同代表 兼 パートナー マイケル・ペン氏

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◆IDEOについて
●ブラウン氏
・40年前にデビッド・ケリー氏が設立。
・スタンフォード大学の同級生5人で創業。
・アップルの最初のマウスのデザインを手がけた。
・新しいテクノロジー(パソコン、AEDなど)のデザインを数多く手がけてきた。
・学際的な企業文化は初期からあった。
・人間中心の考え方を重視。
・非テクノロジー分野の多様な人材が集った。
・新しいテクノロジーは、ともすると使うユーザーの視点でデザインされていない。
・テクノロジーのためにデザインするのではなく、人間のためにデザインする。
・多様化することでイノベーションがうまれる。
・文化的な多様性に目を向ける。
・学際的、チーム単位で仕事をする。個人単位では仕事はしていない。
・複雑な問題に取り組むには、一人のスーパーマンの力ではなく、多様なメンバーによるチームでのコラボレーションが必要。

◆デザイン思考について
●ブラウン氏
・組織の多くの人が、自分はクリエイティブではない、自分がクリエイティブになる必要はないと考えている。
・多くの人が、自信を持って、クリエイティブにならないといけない。
・そのために、デザイン思考になることが許容されることが必要。
・デザイン思考は、クリエイティブなプロセスであり、人間中心の考え方が中核となる。
・常に人から始める、これがデザイン思考の肝。
・ニーズを見つけることに長い時間を掛けすぎることはムダになることもある。
・デザイン思考は非常にシンプル。プロセスとエッセンスは3つ。
・1つ目は、問いをどう立てるか?
・正しい問いを立てるためには、好奇心、関心を持つこと。
・2つ目は、アイデアを生み出す。
・チームワークで、できるだけ多くのアイデア、平行して試してみること。
・3つ目は、行動すること。

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●問いの立て方。
・小さ過ぎても、大きすぎてもダメ。
・正しい問いを立てることは、正しい大きさの問いを見出すアートである。

●アイデアの生み出し方
・同じ文脈、同じオフィスで考えているだけではアイデアは生まれてこない。
・一つのアイデアをあまり大事にし過ぎないことも重要。

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◆プロジェクトの事例
●ペルーでの学校デザインプロジェクト
・教育は競争や成長の源泉。
・新しい学校システムを創り、国を変えるチャレンジ。
・ペルーの実業家との出会い。
・将来の顧客や社員を確保し、ビジネスの継続性を確保するには、国の学校システムを変える必要がある。
・学校のデザインを変え、国家規模でスケールしていくチャレンジをペルーで。
・ペルーからラテンアメリカ諸国への展開も。
・ビジョンを持って正しい問いを立てることができた。

●フォードのチャレンジ
・技術的な専門性も大切だが、プロセスそのものの専門性も必要。
・自動車産業も大きな変化の時期を迎えている。
・自動車会社からモビリティカンパニーへ。
・フォードでのチャレンジ。

●薬局のチャレンジ
・イノベーションの領域で面白いのは、競争条件が平等にってきた。
・pillpackのチャレンジ。
・顧客の体験を改善する、デザイン思考でチャレンジ。
・スタートアップとして始まり、ついにアマゾンに買収されるところまで、んずか5年で成長。

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◆新しいテクノロジーへの対応
●IoTやAIなどの新たな技術
・技術中心になってはいけない。
・人々の生活を改善するものでなければ成功しない。
・現存する人々のニーズ、将来のニーズを考える。
・リスクに対処するため、多くの企業で協働し、新しい技術を探索していく。
・co-lab(コラボレーションラボラトリー)という取り組み。

●データの活用
・明るい側面と暗い側面の両面ある。
・協働はまだ不十分。
・データサイエンティストと技術者が協力する。

◆デザイン思考の先にあるもの
・以前は、デザイン思考は一部の部門だけのものだった。
・マーケティング、人材、情報システムなど、あらゆる部門で使われるようになっている。

◆世界が日本から学べること
・文化の一番良いところ。
・エンジニアリングの能力が非常に高い。
・コモディティレベルでの競争が望ましい舞台なのかは疑問。
・直線型から循環型経済への転換が必要。
・製造の工夫、エンジニアリングの工夫、デザインの工夫が必要。
・循環型の経済の分野において、日本のリーダーシップに期待。
・より少ない資源で、より多くの活動を実現する。
・そのためには、デザインが重要。
・ムダの多い業界。アパレル、食品などの業界。
・スピード(速さ)とケア(丁寧さ)のバランスが重要。
シリコンバレーはスピード最優先の風潮が強いが、これは良くない。
・この速さと丁寧さのバランシングに、日本の企業の強みになる。

◆パナソニックへのアドバイス
・速く、丁寧に。
・世界への影響力に対して遠慮しすぎない。
・人々の問題に、思慮深く取り組んでもらいたい。

◆デザイン思考を実践したい人へのアドバイス
・好奇心をもつこと。
・実践をしていくこと。
・立ち止まり、なぜ世界で問題が起きているのか?なぜ身の回りのことがそうなっているのか?を考えてみる好奇心。

以上
【レポート】パナソニック創業100周年記念CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018(2018年10月30日開催) [2018年11月02日(Fri)]
2018年10月30日(火)にパナソニック株式会社主催で開催された「パナソニック創業100周年記念CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」に参加しました。

ユニクロの柳井さんの特別講演を聞きました。

柳井さんの講演は初めて聞きましたが、話の内容はもちろんですが、話し方にも迫力があり、テレビで見るのとは違う、生柳井のエネルギーも堪能しました。

それにしても、LifeCarとLifeHomeの提案はインパクトがありました。「世界中のあらゆる人を幸せにするために」という思想と発想がすでに次元超え。

しかも、10億台、10億軒売れば33兆円の売上にもなるというスケールの大きさも別次元でした。

備忘録的にメモをアップします。

【レポート:パナソニック創業100周年記念CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018(2018年10月30日開催)】
主催:パナソニック株式会社
場所:東京国際フォーラム

◆特別講演
グローバルな変化を予見し、 企業はどう変わるべきか
柳井正氏(ファーストリテイリング株式会社会長)

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◆松下幸之助と私
●経営者としての出発点
・松下幸之助さんにお会いする機会はなかったが、とても尊敬している方。
・国や社会のために事業をするや水道哲学は、自分にとっての経営哲学の原点。
・1971年早稲田大学を卒業し、ジャスコに勤めたが、すぐに故郷に戻り、家業を継いだ。
・生意気だったので、我流で振舞ったら、従業員が一人残してみんなやめてしまった。
・全て自分でやらなければいけなくなったが、今となっては、これが基礎となっている。

●経営の教科書
・「社員家業」の社員という独立した業を営む存在という考え方。
・グローバルワン、全員経営というコンセプトの原点。
・「水道哲学」から会社・産業の使命を学んだ。ファーストリテイリンググループのミッションにも強く影響を与えている。

●時代に合わせ、未来をつくる
・自分たちの失敗にめげず、自分たちの未来を、自分たちで愚直につくってきた。

◆水道哲学に学び、ユニクロは何を実現してきたのか?
・ライフウェアというコンセプトを生み出し、世界中に届けてきた。
・「服の民主主義」を推進してきた。
・服の歴史。生存のため服→階級の服→社交ビジネスの服→カジュアルウェア。
・欧米は階級社会。
・階級意識の薄い日本からの視点で、「機能」と「美意識」という世界の服の共通項を見出した。
・「部品としての服」服に個性があるのではなく、着る人に個性がある。

●あらゆる人の生活をより豊かにするために
・創業以来の使命としてきた。
・Life Wearというコンセプト。
・ユニクロの服とは、つくり手ではなく、着る人の価値観からつくった服。
・「一部の人のための服」を日常着の世界に解き放つ、高機能で良い服をリーズナブルな価格で提供する、世界中のどこでも安心して買うことができる、これが「服の民主主義」。
・アジア発で「洋服」の常識を覆す。ユニクロのチャレンジ。

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◆パナソニックへの期待
●非常識なくらい高い目標を持つ
・あきれられるくらい高い目標を持つこと、これがイノベーションの源泉。
・ちょっとした改善では無理なので、あらゆることを変革せざるを得なくなる。
・ユニクロは、売り上げがわずか80億円しかなかったときに、GAPを超えて世界一になることを目標として掲げた。

●自分の使命は何か?
・戦後日本の奇跡の復興ストーリー、その主役がパナソニック。

●大きな夢を描く
・自動車のバッテリーのようなBtoBではなく、アップルのようなBtoCにチャレンジしてほしい。
・イノベーションの本質を理解し、それをもとに大きな夢を描かないと、あっという間に他社に飲み込まれる。

●Life Car
・たとえば「Life Car」。世界一の企業になるためにも、パナソニックを代表するするような製品、今の自動車メーカーにはつくれない車をつくりだしてほしい。
・自動車メーカーはモビリティに取り組んでいるが、それとは異なる。
・世界中の誰もが、いつでもどこでも、高品質な車を、リーズナブルな価格で手にすることができる。
・車の民主主義。
・アップルのiPhoneやiPadのような車を、パナソニックにもつくってもらいたい。
・消費者にブランドを理解してもらうために、多くの企業がフラッグシップストアをハイストリートにつくっている。
・成功しているのはアップルストアだけ。
・それは、お客様目線ではなく、メーカー側目線だから。そして、製品がユーザーフレンドリーではないから。

●Life Home
・高品質、快適、大量、リーズナブルな価格、圧倒的なスピードで世界中に提供する、世界一の住宅メーカーななってもらいたい。
・これは住宅の民主主義。

●売り上げ目標
・Life Carを世界で10億台。
・Life Homeを世界で10億軒。
・Life Car30万円、Life Home300万円なら、33兆円の売り上げになる。
・ネーミングは無料で自由に使って構わない。

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◆自ら変わり、世界を変える
●自ら挑戦する
・今の時代を先取りした形に、組織、ビジネス、すべてをつくり革える「ありあけプロジェクト」にユニクロはチャレンジ。
・データがオイルに代わるという考えがあるが、それは違うと思う。
・なぜなら、データにはオイル以外のさまざまなものも含まれているから。
・これを選り分ける力がなければ、データだけでは
・世界中の拠点がダイレクトにつながり、すべての経営者、社員が直にコミュニケーションする。

●Change or Die
・受け身になったら必ず衰退する。
・そして、停滞は死を意味する。
・自ら挑戦していくこと。

●コーポレートステートメントの重要性
・ユニクロは「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」。
・良い企業、良い個人でなければ長続きしない。
・コーポレートステートメントを明示することが、良い企業、良い個人との出会いにつながる。
・このことを教えてくれたのも松下幸之助さん。

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以上
【レポート】INNOVATE with CANADA〜カナダのスタートアップエコシステムを大解説〜(2018年10月30日開催) [2018年11月02日(Fri)]
2018年10月30日(火)に在日カナダ大使館主催で開催された「INNOVATE with CANADA〜カナダのスタートアップエコシステムを大解説〜

スタートアップというとアメリカ、特にシリコンバレーをイメージしがちですが、カナダ大使館のPRという点を差し引いても、カナダのアグレッシブな現状やポテンシャルを知ることができました。

また、カナダの5つスーパークラスターの中に、「Ocean」が入っていることが印象的でした。日本も海洋大国(立国)として頑張らねば。


【レポート:INNOVATE with CANADA〜カナダのスタートアップエコシステムを大解説〜(2018年10月30日開催)】
主催:在日カナダ大使館
場所:dock-Toranomon

◆歓迎挨拶(キャラーリー・ゲリッツ氏(カナダ大使館参事官))
・カナダ政府は人工知能戦略に1億ドル以上を投資。
・人材が新たな通貨になる。
・カナダへのベンチャーキャピタルの投資額は5倍に増加。30億ドル以上(年は不明)。

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◆基調講演『イノベーションの国、カナダ』
(Bill Tam氏(カナダ・デジタルテクノロジースーバークラスター共同創立者)
●カナダの強み
・カナダの人口は東京とほぼ同じ。面積は日本の25倍。
・カナダの一般的な印象は、豊かな自然と観光。
・それだけではない、発明の国でもある。ブラックベリーはカナダ発。
・未来を見据え、成長を続けるには、従来の成長要素に依存していてはダメ。
・不安定な経済情勢、人口動態(高齢化)、仕事の性質の変化、クリーン成長経済への転換(気候変動への対応)など、環境の変化への対応。
・カナダの立ち位置や優位性は?
・オープンで多民族な国家(3分の2はルーツが海外)、世界レベルの大学や研究機関、投資環境などが充実。
・カナダを力を入れる4つの柱。@人材とスキル、Aリサーチとテクノロジー、商業化、B投資やスケールアップ、クリーン成長Cイノベーションプログラム。
・過去10年、G7の中で経済成長率がトップ。(3%超)
・グローバルな人材が充実。北米はもちろん、ヨーロッパ、アジアのどちらにも強い。
・シリコンバレーとの時差もほとんどない。(バンクーバーは)
・ビザ関連のプロセスが簡素化されており、優秀な人材の流入障壁が低い。
・法人税率が低い。(26%)
・デジタル産業(ソフトウエア、デジタルメディアなど)の関連セクターが強い。
・AI、IoT、AR・VR、量子コンピューターなどの分野に強い。

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●スーパークラスターイニシアティブについて
・10億ドル以上を投資。
・研究志向ではなく、産業主導であること。
・野心的なプロジェクトのためのプラットフォーム。
・デジタル産業スーパークラスター以外に、カナダには4つのスーパークラスター(海洋スーパークラスターもある)がある。
・2020年までに、一人毎秒1.7メガバイトの情報を排出するようになる。
・今後5年以内に、500台以上のデジタルデバイスが使われるようになる。
・一方で、世界中の全データのわずか0.5%しか分析されていない。
・カナダはデジタルエコノミーでのリーダーを目指している。
・コラボレーションを通してイノベーションを実現する。
・業界主導であること、顧客側からの目線で取り組む。
・マッチングファンドによりリスクを低減。
・@データコレクション(収集)、Aデータアナリシス(分析)、Bデータビジュアライズ(可視化)と3つのプラットフォームがある。
・産業横断的に対象とし、取り組む。
・共有知化、二重化、カスタム医療ケアへの活用。
・イノベーションのプロセスが重要。プロセス自体をイノベーションすることで、イノベーションが加速する。

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◆プレゼンテーション(『カナダのAIエコシステム』 )
(庄子 尚宏氏(Hike Ventures))
●AIについて
・技術力のある企業が躍進し、ソフトウエア産業が隆盛。
・AIを活用することで、技術の進歩が加速。それに伴い、競争も激化。
・国が基礎研究に投資することで、各分野の基礎コンポーネントが充実し、それが技術の進歩やスタートアップの参入を加速する。
・エドモントン、トロント、モントリオールの3地域がカナダにおけるAI(ディープラーニング)の中核地域。
・CIFAR、Vector INSTITUTE、ami、MILAなどの先進企業。
・カナダはAI関連人材のコストを効率的に抑えることができる。
・データの整備も進んでいる。IVADOなど。
・商用化については、MaRS、CREATIVE DESTRUCTION LAB、UTEST、DCSILなどのインキュベーターがトロントにある。
・インキュベーターと大学の連携も進んでいる。トロント大学で単位が取れるインキュベータープログラムもある。
・FounderFuel、TANDEMLAUNCHなどのインキュベーターがモントリオールにある。
・わ技術をベースに、どうやって商用化するか?に力を入れているのがカナダの特徴。
・2017年のスタートアップ投資額は同程度(約2800億円)。

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◆質疑応答
・人件費はどのくらいの基準?
→1600万円出せば魅力的な給与オファーになる。

以上
【レポート】地域再生に挑戦するアメリカと日本のイノベーターたち〜現場での気づきと学び〜(2018年10月29日開催) [2018年11月02日(Fri)]
2018年10月29日(月)に日本NPOセンター主催で開催された「パブリック・フォーラム『地域再生に挑戦するアメリカと日本のイノベーターたち〜現場での気づきと学び〜』」に参加しました。

私自身、これまで海外の地域再生の取り組みに触れる機会があまりなかったので、日米交流という仕掛けにより生み出されることがらの面白さも含め、興味深く聞かせていただきました。

【レポート:パブリック・フォーラム『地域再生に挑戦するアメリカと日本のイノベーターたち〜現場での気づきと学び〜』(2018年10月29日開催)】
主催:日本NPOセンター
場所:聖心女子大学

◆地域人材の日米交流プログラムの紹介(ベティ・ボーデン氏(ジャパン・ソサエティ

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◆セッション1「アメリカの農村地域で地域再生に取り組むイノベーターからの活動紹介」
●テイラー・スタッカート氏(エナジャイズ・クリントン・カウンティ共同創設者)
・2008年にオハイオ州で会社を設立。
・DHL の撤退により衰退していく地域。
・コミュニティエンゲージメントをつくり、維持するためのスペースづくり。
・自分のコミュニティを知り、インパクトは測り、資源は有効利用し、気運を維持するために、率先して行動する。

●サバンナ・ライオンズ氏(メイデイ・コンサルティング&デザイン代表)
・アパラチア地方の貧困と失業の課題に取り組む。
・農業、食、バリューチェーンと領域が広がっていった。

●パネルトーク(テイラー・スタッカート氏、サバンナ・ライオンズ氏、田村淳一氏(一般社団法人Next Commons Lab理事)、林賢治氏(株式会社FoundingBase共同代表取締役))
・DHL撤退危機に接して始めたフェローシッププログラムに関して、調査でデータを取りながら進めているところが印象的。(田村氏)
・日本では、「よそ者、若者、ばか者」が地域を変える原動力になるという格言的なものがある。アメリカは国土も広大だし、ハーバード大学を出てから地方へ行くのは珍しいのではないか?(林氏)
・同世代でのクラスター的なものは存在する。(くらいのメンバーが似たようなな活動を行なっている)(サバンナ氏)

●コニー・ライマーズ・ヒルド氏(ネブラスカ大学農村未来研究所所長代行)
・ワイルドカード(予測不可能。突然起きる)のようなことが多い。
・巻き込みが重要。

●ジョナサン・ヒラディック氏(農村問題センター政策プログラムディレクター)
・センターは1973年設立。
・地域の人、移民、退役軍人など、幅広い人を対象に。教育に重点。
・アドボカシー(市民運動、政策提言、ロビー活動)

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●パネルトーク(ヒルド氏、ヒラディック氏、関原剛氏(特定非営利活動法人かみえちご山里ファン倶楽部元専務理事))
・日本では、地方は病気(問題がある)だから治療が必要という文脈で語られることが多いがどう思うか?(関原氏)
・地方にはそれだけ可能性(機会、チャンス)があると思えばよい。(ヒラディック氏)
・「田舎は大変だから助けに来た」(呼ばれてもいないのに)という都市目線(上から目線)で地方に向かう人が多いことをどう思う?(関原氏)
・アメリカでも似たような傾向はある。地方はアメリカ経済の背骨であるにも関わらず。(ヒルド氏)

●リチャード・マッカーシー氏(スローフードUSA代表員)
・大きければ大きいほど良いという認識が蔓延。
・スローフードはゆっくり、楽しみながらがキーワード。
・搾取する経済から生成する経済への挑戦。漁業もその一つ。

●パネルトーク(マッカーシー氏、江守氏(一般社団法人日本食べる通信リーグ専務理事))
・一年前の現地ツアーでは、南部の貧困街という、見たこともない地域を一緒に見た。(江守氏)
・食べ物をどう届けるかだけではなく、消費者の価値観をどう変えるか?というチャレンジ。(江守氏)

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◆セッション2「日本の地域訪問を通じた経験・学び」
●田村淳一氏(一般社団法人Next Commons Lab理事)
・個別の社会課題の解決だけでなく、社会構造そのもののOSをつくれないか?にチャレンジ。
・NCL第1号遠野の紹介。
・3年で19名が都市部から遠野に移住してきたが、移住障壁を低くするために、一定の集団性、収入保証(地域おこし協力隊制度)を整えることを意識。
・NCLの拠点は全国10カ所まで拡大中。

●トーク(スタッカート氏、ヒルド氏、田村氏)
・小型の醸造所と大企業(キリン)のコラボは簡単だったのか?(スタッカート氏)
・元々、キリンは遠野のポップを扱っていた。加えて、日本のビール文化を盛り上げたいという目標を共有できた。(田村氏)
・マインドセットを変える、夢を諦めないために、どのような取り組みをしているのか?(ヒルド氏)
・女性が多いので、子育てサポート含めてチームメンバーで関わる。(田村氏)
・コミュニティの外を見ていることが印象的。(スタッカート氏)
・中だけにいると同質化してしまう。また、将来の流動性を生み出すためにも、外を見、外を動く。(田村氏)
・企業の意図を汲み取ることごできる現地のコーディネーターの有無がキーになる。

●江守敦史氏(一般社団法人日本食べる通信リーグ専務理事)
・1.5:98.5=日本における生産者と消費者の比率。
・生産者が減少していることはもちろん、つくる人と食べる人が離れてしまっていることが課題。
・食べる通信は、読む→食べる→つながるを生み出し、モノ→コトにチェンジ、共感→参加の回路をつなぐ。
・フランチャイズではなくリーグ方式。各地域の通信は、それぞれのオリジナル経営。
・地域創生においては、関係人口創出の入り口として注目されている。

●トーク(ライオンズ氏、ヒルド氏、江守氏)
・地縁という旧来型のコミュニティに属さない人が増えている。一方で、SNSを介した地図にないコミュニティの形成もある。(田村氏)
・食べる通信をネブラスカでも実現するには?ファーストステップは何をしたらよい?(ヒルド氏)
・自分たちの地域を愛し、自分たちのために、自分が頑張る人が必要。(田村氏)
・当初は東日本大震災の復興支援の文脈からスタート。(田村氏)

●関原剛氏(特定非営利活動法人かみえちご山里ファン倶楽部元専務理事)
・一日に300カ所の集落が消えている。
・RMO=Region Management Organization(地域経営組織)。
・理事の重要な役割は、他所から来た若者を地域住民から守ること。
・優等生の村が勝ち残る仕組み、優等生をマネする潮流から、平凡な村も生存できる社会へ。
・高齢者の健康年齢が伸びることで、莫大な行政コストの削減(60人×5年分の社会保障費約7億円)を実現した。
・3:7の地域運営、行政運営、クニの運営。

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●トーク(ライオンズ氏、マッカーシー氏、関原氏)
・食とのつながりの部分へのアドバイスは?(ライオンズ氏)
・生産者は生活者としての能力が非常に高い。食は非常に頭を使う。(関原氏)
・こだわり、デザイン、美学が素晴らしい。都市部で実行するとどうなると思うか?(マッカーシー氏)
・田舎だけでなく、都市部でもうまくいくコンセプトではないかと思う。(関原氏)
・高齢者は他の地域の高齢者との接点にも関心があるのか?
・そういう観点ではみたことがないので、自分も知りたい。(関原氏)
・児童生徒のUターン教育のポイントは?
・地域の偉人のことを教えてもダメ。美しいもの、地域の生存能力の高さを教えるのがよい。(関原氏)
・行政との連携は?
・正直、行政の動きは鈍い。でも、勉強会に課長級がみんなくるような時代の変化もある。(関原氏)

●林賢治氏(株式会社Founding Base共同代表取締役)
・他所ものがコミュニティづくりに関わる仕組み。
・自分の生活が好きか嫌いかが、コミュニティづくりの根源。
・人口はどうやっても減っていく。だからこそ、数から価値への転換が大事。

●トーク(ヒラディック氏、マッカーシー氏、林氏)
・これから観光に関してはどのような取り組みを?(ヒラディック氏)
・津和野は元々観光で食べてきた地域ではない。そのことを踏まえた上で考えていきたい。(林氏)
・地域おこし協力隊の制度を改善できるとしたらどうしたい?(マッカーシー氏)
・自分が地方創生大臣だったら、NCLやFBとのコラボに力を入れる。その上で、地域おこし協力隊の仕組みは仕組みとして有効活用を促す。(林氏)
・特別なスキルがある人はともかく、一般的にはマルチワーカーのスタイルが適当だろう。協力隊員の3年間のうちに、マルチワーカーとなるのに必要な出会い、仕事、ネタなどを見つけていけるかどうかが大事。(林氏)

以上