【レポート】助成金セミナー〜すぐに使える団体PR文の作成&助成する側のハートを射止めるコツ教えます〜in新潟(2013年2月22日開催) [2013年02月23日(Sat)]
2013年2月22日(金)に新潟県新潟市で開催された、新潟NPO協会さん主催による、
助成金セミナー 〜すぐに使える団体PR文の作成&助成する側のハートを射止めるコツ教えます〜 で講師をつとめました。 この講座には、約60名(男性40名、女性20名)の方にご参加いただきました。 みなさんありがとうございました。貴重な機会をいただいた主催者のみなさんありがとうございました。 また、今回の講座では、飛耳長目ブログでおなじみの、そしてひげ仲間でもある長浜洋二さん(NPOマーケティング研究所代表)との夢のコラボ(笑)が実現しました。 普段は一人で講師をすることが多いので、コラボで講座をするのは新鮮で、しかも私にとっても学びも多く、さらにはフォローまでしていただけてしまいと、とても楽しい時間になりました!長浜さんに感謝! それでは、講座のレポートをお送りします。 <レポート:助成金セミナー〜すぐに使える団体PR文の作成&助成する側のハートを射止めるコツ教えます〜> ■講義資料 ○講座のレジュメ 助成金セミナー_講義レジュメ_新潟_20130222.ppt ○ワークシート 助成金セミナー_ワークシート_新潟_20130222.pdf ○助成金活用マニュアル 助成金の活用マニュアル_新潟_20130222.pdf ■主催者からのご挨拶(新潟NPO協会の金子さん) ・「新しい公共支援事業」で、新潟県でも60以上の講座が開催された。 ・今回の講座が講座のフィナーレを飾るもの。 ・最後を飾るテーマを「助成金」とした。このテーマはこれまでには新潟では開催してこなかったもの。 ・定員を超える申し込みがあったが、みなさんの関心はどこにあるのか? ・一つのポイントは、自分たちをいかに上手に表現できるか? ・助成金は数を経験することも大切。失敗がつきもの。 ・参加者への質問、助成金に申請したことがある8割。今後申請の予定がある4割。助成金を獲得したことがある4割。失敗(不採択)の経験がある3割。 ■長浜さんの講義「すぐに使える団体PR文の作成&助成する側のハートを射止めるコツ教えます!」 ○経験の重要性 ・ヘミングウェイは老人と海を完成させるまでに80回以上推敲を重ねた。 ・つまり、助成金の申請書や企画書も何度も推敲を重ねる必要がある。 ○共感と納得 ・助成金申請に必要なことは助成する側に共感してもらうこと。 ・そして、共感に加えて、相手を説得して納得してもらうことが必要。 ・支援の規模が大きくなり、組織の規模が大きくなるほど、説得と納得の必要性が高くなる。 ・申請書で重要になるのは、@事業の内容と助成を必要とする理由。A事業成果と目標(数値)の2点。 ・まずは現状分析。分析にはマーケティング的発想が必要。 ・現状分析がしっかりできていないと、一生懸命書けば書くほど、読む側から客観性が乏しくなり、説得力が低くなる。 ・主語を自分たちだけにするのではなく、受益者を主語にするなどの工夫も必要。 ○事業成果と目標 ・組織のミッションを明確にし、そのミッションを具現化するための目的を設定し、その目的を達成するための目標を定め、そしてその達成度合いを計る指標を定める。 ・目標は、大きく分けると、インプットの目標、アウトプットの目標、アウトカムの目標、インパクトの目標の4種類がある。 ・申請書で多いのが、自分たちは○○をやりましたというアウトプットだけ書かれており、それがどのような意味を持つのか、ターゲットにどのような変化を及ぼしたのかというアウトカムが書かれていない。 ・指標は定めることが目的ではなく、常に振り返り、状況を把握し、見直すことが大切。 ○申請書の書き方 ・募集要項や記入例などから事前に情報を収集することが大切。 ・できるだけ具体性のある、定量的な書き方にする。 ・事業名も一目でわかる具体性のある名前にする。 ■質疑応答 Q.スポーツ関連の助成制度では、校庭の芝生化などのように対象内容が明示されている場合があるが、このような制度へのアプローチ方法は? A.対象内容が明示されている制度では、対象要件を満たすかどうかがすべて。 ・対象内容に自由度(企画力が問われる)がある制度に比べると、申請書の書き方で差が出ることが少ない。 ・あえて書き方のコツがあるとすれば、自分たちを主語にして書くだけでなく、受益者を主語にして書く要素を入れること。 Q.地球温暖化のような大きな課題に取り組む事業を申請する場合のアプローチ方法は? A.残念ながら、そのような大きな課題に取り組む事業は助成対象になりにくい場合が多い。 ・なぜなら、課題そのものの意義は分かるが、その事業を支援することで得られる効果(リターン)が、助成する側からすると少ない。つまり費用対効果の問題があるため。 ・なので、例えば、地域の複数の団体と連携していく仕組みをつくりたい、世代を超えて価値観の共有や意識を高める取り組みをしたい、など、助成する側が期待する効果を読みとき、そこに答えるような内容にすると、可能性が出てくる。 Q.個々の団体がばらばらに助成申請するのではなく、共同申請するようなことは可能か? A.一般的には、共同申請はできない制度が多い。 ・ただし、助成する側は必ず、一つの団体が自身で完結してしまう取り組みよりも、様々な関係者と連携する、あるいは広がっていくような要素を期待しておる。 ・また、最近では、トヨタ財団の制度のように、複数の組織による共同事業を対象とする、というような制度も出てきている。 Q.説得力を高めるためには数値化をできるだけすることというが、数値化するコツは? A.まずはとにかく数字に慣れること。 ・そのためにも、日頃から、自分たちの行動を数値化するクセをつけていく。 Q.申請した金額を満額もらえるようにするにはどうしたらよいか? A.満額出すだけの事業内容であると相手(助成する側)に思わせる根拠が事業にあること。 ・金額を削られるのにはそれなりの理由がある。 ・相手(助成する側)をよく研究し、相手が全部出したいと思うような事業内容にしていくことも必要。 Q.ボランティアを集めるために自分たちの宣伝をしたいが、このような活動は対象になるか? A.ならないことが多い。 ・自分たちのための活動は、自分たちの努力でやってください、と言われてしまう。 ・ウォンツなのかニーズなのか?違いが微妙な場合もあるが、自分たちがしたいことと、地域や社会から必要とされることの間には大きな意味の違いがある。 ・助成をする側は、みなさんを応援したいわけではないので、みなさんのウォンツは対象としないことが多い。 ・みなさんがされる活動を支援し、そして課題が解決される、状態が改善されることを求めている。 Q.審査員は申請書のどこから読むのか? A.事業名から読む。 ・名は体を表すというように、事業名を見ればだいたい申請書が良さそうかダメそうかが分かる。 Q.審査員の心をつかむ決めセリフのようなものはあるか? A.ない。 ・逆に言えば、決めセリフに頼らないといけないのは、申請書の内容に説得力がないから。 ・プレゼンテーションの場合、自分たちにしか語れないストーリーを盛り込むのは一つのコツ。 ・ストーリーに力があれば、審査員に共感をうみ、審査員にとっても自分ごととして聞いてもらいやすくなる。 Q.事前相談でしてはいけない注意事項や聞いてはいけないことは? A.助成してくれますか?としつこくせまること。 ・聞いてはいけないことはほとんどない。 ・ただし、相手が答えられないこと、特に、助成してもらえるのかどうか?をしつこく聞くのはNG。 Q.以前に事前相談したことがあるが、良い効果を生んだのか?記憶に残ったのか分からなかったが、事前相談は本当に効果があるのか? A.効果がある。 ・記憶に残らなかったのではないかという印象をもったとすれば、それは、自分たちの事業内容に相手を共感させる、あるいは納得させる根拠が弱かったのかもしれない。 ・日本財団の場合、実際に事前相談してくるところは、実は1割程度。 ・逆に言えば、1割の団体のことはよく覚えている。 Q.古民家の保存への支援はもらえないか? A.まずは地元の制度や古民家と関連する助成制度を探してみること。 ・自力で探すのが難しい場合は、地元の中間支援組織にも相談してみるとよい。 Q.日本財団の支援のテーマは? A.オールジャンル。 ・ただし、福祉系は特に、かなり対象内容をしぼった制度にしている。 ・なお、近年は公募に応募してくるものから選ぶよりも、事前に一緒に考え、相談しながら事業をつくる一本釣り的方法に重点をシフトしている。 Q.一度不採択になったところに再度チャレンジする時のコツは? A.不採択になった理由を把握し、傾向と対策をしっかり行うこと。 ・不採択になった内容をそのまま再度申請しても必ずまた不採択になる。 ・不採択になった時こそ、事前相談をして、改善をしようという姿勢があることも相手に伝えることが大事。 以上 |