昨日、千葉県千葉市で、
ちば市民活動・市民事業サポートクラブ(ちばNPOクラブ)さん主催により、
NPOのための 信頼を生み出す情報開示セミナー&ワークショップin千葉が開催されました。
このセミナーには、18名(荻上カウントで)の方にご参加いただきました。
みなさま、どうもありがとうございました!
【一言】みなさん、
地域資源循環システムちばのWA!が2月25日にスタートします。
誤解をおそれずに一言・・・
こういう地域で地域を支える取り組みって、本当にものすごい重要なことなんですが、なかなかに地味なんですよね。
特に、「団体の情報をちゃんと開示できないとだめよ」とか言われると「なんだか面倒くさしなぁ」「もっと派手においしいことやってよ」と感じる方も多いと思います。
でも、みなさんの活動を顧みていただければ、たぶん、この地味なことに取り組む人がいるからこそ成り立つことって、みなさんの活動そのものと一緒だったりすると思います。
【レポート】■講義「NPOの情報開示が、今なぜ必要なのか?」川北秀人さん(
IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所])
○IIHOEとは?
・市民団体の運営のお手伝いをしている。特定の地域ではなく、各地を飛び回っている(流しの支援センター)。
・年間の予算規模は約5500万円。そのうちの6割は市民団体の運営サポートから。2割は行政の協働、2割は企業のCSRなど。
○助成機関との関係
・市民団体にお金を出す助成機関はどんな情報を求めているのか?
・セブンイレブンみどりの基金は、1店舗で約3万円集まる。全12000店舗で約3億6千万円集まる。この基金の最終審査員を務めている。
・他に、トヨタ環境基金(年間約2億円)、パナソニックNPOサポートファンド、マイクロソフトNPOサポートファンド、庭野平和財団の審査員を努めている。総額は12億円くらいの規模の助成金。
・資金提供者が期待することは、@状況の緩和・改善、A原因の解消、B基盤の整備、C担い手の成長、以上の4点。
・@状況の緩和・改善は、助成金の申請書は情念を伝えるものではなく、状況と成果を伝えるもの。
・A原因の解消は、ちゃんと原因が解消されることにつながる打ち手であるかどうかを判断する。
・B基盤の整備は、事業の実施を通じて、団体自身の基盤だけでなく、多の団体や地域にも良いインパクトを与えられるかを判断する。
・C担い手の成長は、助成をした結果、その助成が終了した後に、その団体が自主財源を調達できるようになりそうかどうかを判断する。
・お金を出す側も、そのお金が効果的に使われるためには?を真剣に考えるようになっている。
○ここ10年の変化
・助成制度やサポートの仕組みはここ10年で大幅に増えている。
・ITの進化でツールも簡単、便利になったし、流通する情報量も圧倒的に増えている。
・マスメディアでの露出も増えている。(河北新報は「NPO」の記事が年間に1000本以上など)
○相手の立場から考える
・一方で、協働や寄付が広がらないのはなぜなのか?
・いまだに「NPOはよく分からない」と言われるのはなぜか?
・市民の情報の探し方も変わった。極端に言えば、ネットで検索して出てこない団体は存在しないことと一緒。
・根本原因は、「自分たちが出したい情報」しか出して無く、「相手の立場から、相手の知りたい情報」を出していないから。
・安全と安心は異なる。安全は自分たちが取り組めば実現できることだが、安心は相手との関係性においてはじめて成り立つもの。
○助成機関はどんな情報を求めているのか?
・91機関、133助成プログラム(総額約338億円)の申請書・報告書を調査した。
・必ず聞かれることは、@団体の概要(信頼できるか)、A事業のニーズ(本当に必要な事業か)、B事業の実現可能性、以上の3点。
・@団体の概要は、例えば、年間活動規模200万円の団体が500万円の事業を申請してきた場合、本当に実施できるのか確認しなければいけないことが増える。また、確認しないとリスクが高くなる。
・A事業のニーズは、自分たちがやりたいことが、地域で本当に必要とされていることをデータで説明できることが求められる。
○団体基本情報シート
・上記の調査結果をもとに、「団体基本情報シート」を作成した。
・定款はつまらないもの、ではなく、定款も分かりやすい意味のあるものに変えればよい。
・助成金などの実績は、隠さずにきちんと書いた方がプラス(信用保証にも)になる。また、隠していてばれたら、二度ともらえないと思った方がよい。
・他の団体との協働の実績は、要は、他の団体ともけんかばかりせずに事業が展開できる方が、同じお金の効果が期待しやすいから。
・会計は3年度分用意。単年度だけでは分からないことが、3年度分を見れば分かるから。経年変化が分かることが重要。
・IIHOEの事業報告書の工夫からお勧めしたいこと、@表紙や目次にハイライトを記載、A財政状況は数年分で経年変化が分かるように記載、Bこれまでの活動を年表にする、C次年度の方針を記載、以上の4点。
・なぜ詳細な事業報告書が必要なのか?IIHOEがうさんくさいと疑う、詮索する人へ開示するため。
○情報開示は義務ではなく権利
・特定非営利活動法はゆるい法律。県庁にある報告書の記入例はあくまでも記入例。
・報告書は義務ではなく情報を開示する権利であることを忘れないでほしい。
・情報開示はなんのためにするのか?
・情報開示は、自分たちのことを知ってもらい、理解してもらい、支援してもらうため。
・そのために、求められている情報を日頃から整備しておくこと。
■事例発表「NPOに求められる情報開示とは?-助成財団の立場から」荻上健太郎(
日本財団システム統括グループ情報コミュニケーションチーム)
■事例発表「NPOに求められる情報開示とは?-行政の立場から」内山真義さん(
千葉県NPO活動推進室)
・千葉県所管のNPO法人で事業報告書を期日内に提出しない法人は約2割。
・もう一度NPO法の趣旨「運営について内部自治を尊重する一方、徹底した情報公開により、市民の評価を通して運営を適性化していく」を確認して欲しい。
・提出された事業報告書は内容に不備があってもそのまま閲覧可能とする。
・ホームページでも閲覧可能となっているので、ぜひ閲覧してほしい。
・事業報告書の作成は、一般の人が見ても分かりやすいを意識してほしい。
・活動内容などを積極的に情報提供してほしい。インターネットでも検索できるようにしてほしい。
■事例発表「NPOに求められる情報開示とは?-民間の立場から」中根裕さん(
生活協同組合パルシステム千葉)
・パルシステム千葉のNPO助成金は2001年から。
・生活の不安要素でここ数年で一番高まっているのは「防犯への不安」。
・組合員よりも非組合員の数の方が圧倒的に多い。
・組合員へのサービス提供だけでなく、地域へのサービス提供を検討した結果、NPO助成金をスタート。
・書類出すときにはミスをなくして欲しい。(ミスで不採択になるのはもったいない!)
・審査ではインターネットをフル活用している。助成金は地域への投資なので、地域への情報提供をしっかり取り組んでほしい。
・誰に対する情報発信なのか?を大切にしてほしい。(プレーヤー?利用者?協力者?などなど)
・誰に対して情報発信しているのかを明確にしないと、適切な情報発信にならない。
■話題提供「適切な情報開示を促進する情報インフラについて」荻上健太郎(
日本財団システム統括グループ情報コミュニケーションチーム)
■話題提供「公益ポータルサイトちばのWA!について」志村はるみさん(
ちばNPOクラブ)
・地域資源循環システムちばのWA!が2月25日にオープン。
・信頼できる団体を探すなら「ちばNPO情報館」。
・人・もの・金を探す、提供するなら「NPO三尺店」。
・ちばのWA!の運営はみんなで協力し、活用し、支え合う形で進めていきたい。
・まずはCANPANへの団体登録(=団体の情報開示)から初めて欲しい。
■ワーク「支援を集める団体シートづくり」○個人ワークの内容
・A3用紙に次の項目を記入する。
・表には、@読んで欲しい相手、A活動の目的と設立趣旨、B活動概要(10項目以内)を記入。
・裏には、C活動実績(15項目以内、時期、連携・協働相手、波及効果、社会的評価など)を記入。
○川北さんから?
・どういう場面で自分たちのことを説明しなければいけないか?をもっと意識する。
・商品の基本条件は、@名前、A規格、B値段、C再現可能性(再生産性)、以上の4点。
・他地域で開催したワークショップでの気づきの紹介。
・団体名が分かりにくい場合は事業名を工夫する。
・ネーミングやキャッチコピーの重要性と有用性。
・専門用語を不用意に使うとまったく通じない。
・定款は格式ばった表現でなければいけないということはない。自分たちの心の支えになるような言葉でもよい。
・定量的な指標と定性的な指標の両方が必要。
・団体の活動実績を定量的に表現できないのは、記録をつけていないから。団体の活動で記録を取るべきものをきちんと把握し、かつ記録をつける。
・誰に何のために何を伝えるのかをもう一度確認してほしい。
・この機会に団体情報基本シートを整えてほしい。
・帰ったらすぐに取り組んでほしい3つのこと。
・@事業報告書を通じた発信にもっと積極的に。もっといえば、事業報告書をパンフレット代わりにも活用。
・A名刺の裏を活用する。名刺に入れる要素:@地名、A年齢層、B抱えている課題。
・B活動名や事業名を分かりやすく、象徴的なキャッチフレーズを盛り込む。
■開催要項開催要項は
こちら以上