昨日、
とちぎコミュニティファンドさん主催により、
応援されるNPOへの道(連続講座)in栃木
〜第2回「地域と企業をつなぐCSRセミナー」〜が開催されました。
このセミナーには、44名(荻上カウントで)の方にご参加いただきました。
みなさん、どうもありがとうございました!
このセミナーのレポートをお送りします。
【レポート】応援されるNPOへの道(連続講座)in栃木
〜第2回「地域と企業をつなぐCSRセミナー」〜■主催者からのご挨拶・地域に根ざした企業のCSRについて考える。
・企業だけではない、NPOや行政も含めた全ての組織のSRについて考える。
■基調講演「地域に根ざした企業がCSRをめざすために」講師:
川北秀人さん(
IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所])
○IIHOEとは?
・流しのNPO支援。
・CSRレポートは約1000社くらいが発行している。
・東証一部上場企業約1700社のうち、約450社がCSRレポートを発行している。
・13社のCSRレポートに第三者意見を執筆している。
○CSRとは?
・CSRは社会貢献ではない。
・CSRは「企業が社会において果たすべきすべての責任」のこと。
○法的責任から社会責任へ
・法律を守るだけでいいのか?
・吉兆の事件も、法律的には問題がない。でも、社会的には大問題になった。
・法律を超えた取り組みがなければ持続可能な企業経営はありえない。
・リーバイスとナイキは何が違ったのか?
・リーバイスは、児童労働の問題で法律を超えた取り組みをしている。ナイキは、児童労働はもうしていない宣言をしたにも関わらず監査したらまだあった。
・リーバイスは、住み込みで働いてる子ども向けに学校を建てた。
・なぜか?子どもをクビにすると、その子どもたちは身を売られて売春へと進む。だから、子どもをクビにするのではなく、学校を建てて教育を提供する道を選んだ。
・ユニクロの障害者雇用率は7.3%。
・なぜか?社会貢献のためではない。障害者を雇用することが利益につながるから。
○社会からの期待に応える約束を誠実に行っているか?
・法律の改定は遅いが、社会の変化は早い。
・守りの姿勢で責任を果たすのではなく、積極的な姿勢で責任を果たすこと。
○ISO26000は2010年に発効
・ISO国際規格。
・ISO26000は、企業だけでなく、NPOや行政、大学や労組など、全ての組織の社会責任の規格。
・NPO自身も社会責任を果たしているのか?要求するだけではだめ。
・ISO26000は認証が不要。自主目標、自主実施、自主開示。
・様々な相手を巻き込む(ステークホルダーエンゲージメント)ことで実施していくという考え方。
○自治体も本気でSRに取り組まないと生き残れない
・「魅力的なまち」か「魅力的でないまち」かは住民数の増減にも影響する。
○責任の三次元と主なテーマ
・事項(何を)×対象(誰が)×程度(どれだけ)
・主なテーマは、環境、健康、人権、安全、安心、地域。
○CSRはトップダウンとボトムアップのバランスが重要
・すごい!取り組みをしている企業は、製造業ではデンソー、非製造業ではイオン。
・二社に共通しているのは、現場が本気になっている、ボトムアップのCSRになっていること。
・CSRにきちんと取り組めている会社は小集団活動がうまくいっている。
・CSRにきちんと取り組めている会社は他の企業活動もうまくいっている。
・朝日酒造は、久保田というお酒とブランドを守るため、経営方針として美味しい水とお米を守るための自然保護活動に取り組んでいる。
・エコドライブを推進すると事故も減る。この調査は、損害保険会社が提案したが、それは、自社の利益につながるから。
・山口の産婦人科は、看護士にやめられると困るので、柔軟な育児休暇制度を導入した。その結果、多くの看護士が長期に勤務し、しかも出生率が2.5人と高い。
■事例紹介「花王ハートポケット倶楽部地域助成の取り組み」発表者:高内美和さん(
花王株式会社コーポレートコミュニケーション部門社会貢献部)
○花王の社会貢献活動
・「よきモノづくり」を通じたCSR。
・次世代を育む環境づくり、人づくりがテーマ。
○花王ハートポケット倶楽部
・2004年に設立された社員参加型の活動。
・社員の給与から任意の金額を天引きで倶楽部の基金へ積み立て。
・積み立てた基金は社会的な活動への寄付として提供。
○花王ハートポケット倶楽部地域助成
・基金を地域の市民団体を応援するための資金とする。
・地域の市民団体をよく知っている中間支援センターと連携。
・とちぎコミュニティファンドの冠ファンドとして連携。
・社員参加のしかけとして社員による投票も実施。
・今後は、事業場の地域とのつながり、社員と地域のつながりを高めるように。
○ハートポケット倶楽部とCSRの関係
・CSRの主役は社員自身である。
・企業価値を高めるCSRは社員の個の結集である。
■事例発表「株式会社こぶし急便」発表者:山中重雄さん(
株式会社こぶし急便代表取締役)
○ISO9001を取得した理由
・運送会社は社員と接する時間が取りにくい。
・会社をPDCAで回すだけでなく、社員とのコミュニケーションを図ることをねらった。
○社員が安心して働いてもらうために
・事故対策マニュアルをつくった。
・2年近く無事故が継続している。
・飲酒運転を防ぐために、対面点呼、アルコール検知は0厳守、を励行している。
○エコドライブ
・エコドライブ・安全講習の受講を推進。
・エコドライブの推進により、燃料代やCO2排出量を軽減できるだけでなく、事故を減らすこともできた。
・アイドリングストップの励行により、燃料代が安くなった。
・結果的に離職率も低くなった。
■とちぎコミュニティファンドのご紹介発表者:安藤正知さん(
宇都宮まちづくり市民工房)
・とちぎコミュニティファンドは、民が民を支える地域での資源循環の仕組み。
・NPOは情報公開や信用保証も実現できるメリットがある。
■ウェブ(ポータル)を活用したCSR推進事例(CANPANの紹介)発表者:
荻上健太郎(
日本財団CANPAN運営事務局ポータルプロジェクト担当)
レジュメはこちら→
■ワーク「世界一簡単なCSRレポートをつくろう!」○A3用紙に下記項目を記入する。
・A3用紙の表左側:人権(これまでの取り組み、今後の取り組み)
・A3用紙の表右側:社名、社長の思い、企業理念、行動原則、事業概要、事業の経緯
・A3用紙の裏左側:環境(これまでの取り組み、今後の取り組み)
・A3用紙の裏右側:安全(これまでの取り組み、今後の取り組み)
○他の人の作品をみて、助言、提案、気付きを与える質問を付箋に書いてはる。
・企業の方:緑の付箋
・行政・大学の方:黄の付箋
・市民団体の方:赤の付箋。
○ワークを経て川北さんから
・可視化することの原点は数えること。
・日々の活動の中で記録を取ることを習慣化する。
・本業の長期的な基盤に投資をする。
・BOOKMAGICというBookOffの取り組みも本業の基盤への投資。
・個別の顧客からばらばらと仕入れるよりも、まとった仕入れが出来る方が仕入れ効率が高まる。
・仕入れ効率を高めながら、社会貢献も実現できる。
・パンフレットとレポートは何が違うか?レポートは真実を書かなければならない。パンフレットは都合の良いことだけでもよい。
以上